今年も『ポケットモンスターMINOR』をよろしくお願いします
お気に入り58件も…!ありがとうございます(*・ω・)*_ _)ペコリ
「先生!お願いします!」
先生、と呼ばれたベトベトンは登場と共にのっそりと地面に着地し、目前の敵を見定める。マイは図鑑を取り出し、トレーナー側としても戦闘準備を完了させる。
先に動いたのはライチュウ。"メガトンパンチ"をアッパーカットの様にしてベトベトン目掛けて放った。しかし、その攻撃は効いてはいない。顔面目掛けて放ったそのパンチは、流動性を持った先生の体に去なされるような形で決まらなかった。
「"だいもんじ"!」
次はこっちの番だ、とでも言わんばかりの勢いで指示を飛ばすマイ。先生は彼女の指示通りに"だいもんじ"をライチュウ目掛けて放つ。攻撃が効かずに少し棒立ちしていたライチュウは、回避に遅れてしまい命中。大ダメージを負ってしまった。
ここで追い打ちをかけるべく、さらに攻撃を指示しようとした所で、マイの視界の隅にあるものが映った。咄嗟にその名を叫ぼうとしたが、無駄。気づけば建物の壁へと吹き飛ばされていた。
「っ、トリ...」
マイの視界に映ったのはトリだった。電撃を浴びているのか、体を痙攣させながら白目を剥いている。トリをボールに戻してふとネギの方に目をやると、ネギは防戦一方で回避に専念しているようだった。
「っ、カニミソ頼ん━━━━━━━━」
カニミソのボールを投げようと、腰のボールを取り出した瞬間、マイの言葉が、吐く息が、止まってしまった。マイの背後にはいつの間にかロケット団員が回り込んでいた。
━━━━━━━━最悪だ
マイは今現在、このロケット団員に首を掴まれている。そして、掴んでいたボールは手から引き剥がされ、両手を片手で拘束されているような状態だ。
「こうしちまえばよぉ、ポケモントレーナーってのは無力だよなァ!」
汚い笑いをするこの
マイは今現在出ているポケモン達の様子を窺う。ネギとラフはマイを心配して動けずにいる。ネギは隙を窺っているようだが、ラフは完全に恐怖していて、戦闘どころではないようだ。
続いて先生に目をやると、ライチュウに一方的に攻撃されていた。物理攻撃の"メガトンパンチ"は効いていないようだが、特殊攻撃の"10万ボルト"やその上位互換とも呼べる威力の"かみなり"は流石に堪えているようだった。しかし、ライチュウのスピードに翻弄され、反撃しようにもできない状態。マイの次の指示を待っているようだった。
━━━━━━━━せめて他のポケモンさえ使えれば
なんてことを考えているうちに、マイの首の拘束がさらに強くなる。踠き苦しむ姿を見て、彼等は大喜びのようだった。
指示をしようにも罵倒しようにも、空気が、酸素が肺に送られず、息が出来ない。
「で、どうすんだこっから?俺ら『この嬢ちゃんの相手しろ』としか言われてねぇけど」
「決まってんだろ?んなもん、嬢ちゃんの
「「「ハッハッハッハッハッ!!!」」」
彼等が笑ったこの瞬間、マイを掴むこの手が緩んだ。この数秒間、マイの肺に、体内に酸素が供給される。すかさずマイは掴んでいた男の急所を蹴りあげる。
たった10歳の少女の体とは言え、急所を突かれては悶絶するしかない。マイはカニミソのボールを拾い上げ、ラフの元へと駆け寄る。
その際、彼等のポケモン達による妨害が行われようとしたが、
「なっ、おおおい、こっからどうするつもりだいお嬢ちゃん。」
倒れていないロケット団の1人が怯えながら、マイを落ち着かせようと話をしようとする。しかし、マイは言葉を返すつもりはないようでカニミソのボールを投げる。
「暴れろ」
この世界に来て、もっとも低いトーンで彼女は言葉を発した。そしてこの言葉の破壊力は絶大なもので、彼らを震え上がらすには充分だった。
気の所為か、彼女の口角は上がってるように見える。
「「ひぃぃぃいい!!!」」
暴れろ、という指示にカニミソは嬉嬉として応える。人間相手だろうと容赦なく襲いかかった。
こちらは大丈夫だろう、とマイは先生の方に目をやる。図鑑で体力を確認してみると、半分を切ったところだった。
━━━━━━━━耐久力...
「先生、"はかいこうせん"をあっちに!」
あっち、とマイが指差した方向は先刻マチスとサンダーが飛び立って行った方向。その場所からは時折電撃が迸っており、今も尚戦闘をしていると思われる。
そんな場所へ高威力の"はかいこうせん"を放ったら、どうなるだろうか。否、こんな場所で遠くに向けて"はかいこうせん"を放ったらどうなるだろうか。
無論、機械に砲撃が当たり、爆発する。
つまり━━━━━━━━
「「「うわあぁぁぁぁああ!!!」」」
発電所内は爆発に見舞われる。幸い、発電所が壊れる程の威力では無いが、発電所内は爆風によって様々な器材が吹き飛ばされた。勿論、人間もだ。
マイは"はかいこうせん"の指示を出した後、ネギとラフ、カニミソをボールに戻して先生の体に埋まるようにして爆風を回避した。先生の体はヘドロなので、物を収納することが可能。図鑑によると、体重は30kgと意外と軽いが、寧ろソレは現在のマイにとっては好都合。爆風によって吹き飛ばされ、建物の外へと脱出が出来たのだった。
「っと、助かった...」
建物から脱出し、ベトベトンから出たマイは無人発電所を後にした。火災が起きていたが、来る途中に小さな街はあった。そこにいる水ポケモンのトレーナーがなんとか処理するだろう。いればの話だが。
「サンダーの捕獲...失敗、と。さて、次はどこへ行こうか。」
トリを出して空の旅をしようとしたが、そう言えば倒れていたと思い出してボールにかけた手を離した。この機会に、もらったあの自転車にでも乗ってみようか、とマイは折りたたみ式の自転車をリュックから取り出し跨る。
━━━━━━━━次はどこへ行こうか...
特に宛もなく、捕まえたいポケモンも思い浮かばず、ただ気の向くままにペダルを踏み締めた。