ポケットモンスターMINOR   作:とある世界のハンター

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あけましておめでとうございます
今年も『ポケットモンスターMINOR』をよろしくお願いします

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vsライチュウ 『無』

 

 

 

 

 

「先生!お願いします!」

 

先生、と呼ばれたベトベトンは登場と共にのっそりと地面に着地し、目前の敵を見定める。マイは図鑑を取り出し、トレーナー側としても戦闘準備を完了させる。

先に動いたのはライチュウ。"メガトンパンチ"をアッパーカットの様にしてベトベトン目掛けて放った。しかし、その攻撃は効いてはいない。顔面目掛けて放ったそのパンチは、流動性を持った先生の体に去なされるような形で決まらなかった。

 

「"だいもんじ"!」

 

次はこっちの番だ、とでも言わんばかりの勢いで指示を飛ばすマイ。先生は彼女の指示通りに"だいもんじ"をライチュウ目掛けて放つ。攻撃が効かずに少し棒立ちしていたライチュウは、回避に遅れてしまい命中。大ダメージを負ってしまった。

ここで追い打ちをかけるべく、さらに攻撃を指示しようとした所で、マイの視界の隅にあるものが映った。咄嗟にその名を叫ぼうとしたが、無駄。気づけば建物の壁へと吹き飛ばされていた。

 

「っ、トリ...」

 

マイの視界に映ったのはトリだった。電撃を浴びているのか、体を痙攣させながら白目を剥いている。トリをボールに戻してふとネギの方に目をやると、ネギは防戦一方で回避に専念しているようだった。

 

「っ、カニミソ頼ん━━━━━━━━」

 

カニミソのボールを投げようと、腰のボールを取り出した瞬間、マイの言葉が、吐く息が、止まってしまった。マイの背後にはいつの間にかロケット団員が回り込んでいた。

 

━━━━━━━━最悪だ

 

マイは今現在、このロケット団員に首を掴まれている。そして、掴んでいたボールは手から引き剥がされ、両手を片手で拘束されているような状態だ。

 

「こうしちまえばよぉ、ポケモントレーナーってのは無力だよなァ!」

 

汚い笑いをするこのロケット団員達(下衆共)は、卑怯という言葉を知らないようだ。いや、知っていたとしても、その言葉(称号)を嬉嬉として受け入れるだろう。

マイは今現在出ているポケモン達の様子を窺う。ネギとラフはマイを心配して動けずにいる。ネギは隙を窺っているようだが、ラフは完全に恐怖していて、戦闘どころではないようだ。

続いて先生に目をやると、ライチュウに一方的に攻撃されていた。物理攻撃の"メガトンパンチ"は効いていないようだが、特殊攻撃の"10万ボルト"やその上位互換とも呼べる威力の"かみなり"は流石に堪えているようだった。しかし、ライチュウのスピードに翻弄され、反撃しようにもできない状態。マイの次の指示を待っているようだった。

 

━━━━━━━━せめて他のポケモンさえ使えれば

 

なんてことを考えているうちに、マイの首の拘束がさらに強くなる。踠き苦しむ姿を見て、彼等は大喜びのようだった。

指示をしようにも罵倒しようにも、空気が、酸素が肺に送られず、息が出来ない。

 

「で、どうすんだこっから?俺ら『この嬢ちゃんの相手しろ』としか言われてねぇけど」

 

「決まってんだろ?んなもん、嬢ちゃんの()()するしかねぇよなぁ!」

 

「「「ハッハッハッハッハッ!!!」」」

 

彼等が笑ったこの瞬間、マイを掴むこの手が緩んだ。この数秒間、マイの肺に、体内に酸素が供給される。すかさずマイは掴んでいた男の急所を蹴りあげる。

たった10歳の少女の体とは言え、急所を突かれては悶絶するしかない。マイはカニミソのボールを拾い上げ、ラフの元へと駆け寄る。

その際、彼等のポケモン達による妨害が行われようとしたが、()()溜めていた"かまいたち"が炸裂。彼等はひれ伏すように力尽きた。

 

「なっ、おおおい、こっからどうするつもりだいお嬢ちゃん。」

 

倒れていないロケット団の1人が怯えながら、マイを落ち着かせようと話をしようとする。しかし、マイは言葉を返すつもりはないようでカニミソのボールを投げる。

 

「暴れろ」

 

この世界に来て、もっとも低いトーンで彼女は言葉を発した。そしてこの言葉の破壊力は絶大なもので、彼らを震え上がらすには充分だった。

気の所為か、彼女の口角は上がってるように見える。

 

「「ひぃぃぃいい!!!」」

 

暴れろ、という指示にカニミソは嬉嬉として応える。人間相手だろうと容赦なく襲いかかった。

こちらは大丈夫だろう、とマイは先生の方に目をやる。図鑑で体力を確認してみると、半分を切ったところだった。

 

━━━━━━━━耐久力...

 

「先生、"はかいこうせん"をあっちに!」

 

あっち、とマイが指差した方向は先刻マチスとサンダーが飛び立って行った方向。その場所からは時折電撃が迸っており、今も尚戦闘をしていると思われる。

そんな場所へ高威力の"はかいこうせん"を放ったら、どうなるだろうか。否、こんな場所で遠くに向けて"はかいこうせん"を放ったらどうなるだろうか。

無論、機械に砲撃が当たり、爆発する。

つまり━━━━━━━━

 

「「「うわあぁぁぁぁああ!!!」」」

 

発電所内は爆発に見舞われる。幸い、発電所が壊れる程の威力では無いが、発電所内は爆風によって様々な器材が吹き飛ばされた。勿論、人間もだ。

マイは"はかいこうせん"の指示を出した後、ネギとラフ、カニミソをボールに戻して先生の体に埋まるようにして爆風を回避した。先生の体はヘドロなので、物を収納することが可能。図鑑によると、体重は30kgと意外と軽いが、寧ろソレは現在のマイにとっては好都合。爆風によって吹き飛ばされ、建物の外へと脱出が出来たのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「っと、助かった...」

 

建物から脱出し、ベトベトンから出たマイは無人発電所を後にした。火災が起きていたが、来る途中に小さな街はあった。そこにいる水ポケモンのトレーナーがなんとか処理するだろう。いればの話だが。

 

「サンダーの捕獲...失敗、と。さて、次はどこへ行こうか。」

 

トリを出して空の旅をしようとしたが、そう言えば倒れていたと思い出してボールにかけた手を離した。この機会に、もらったあの自転車にでも乗ってみようか、とマイは折りたたみ式の自転車をリュックから取り出し跨る。

 

━━━━━━━━次はどこへ行こうか...

 

特に宛もなく、捕まえたいポケモンも思い浮かばず、ただ気の向くままにペダルを踏み締めた。

 

 

 

 

 

 

 

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