これにてロケット団との戦いは一旦終わりとなります。
冬休みが明けて忙しくなっているので、投稿間隔は開きます…お許しください(*_ _)
サカキとの激戦を繰り広げ、遂にあと残り二体というところまで追い詰めたマイ。しかし、追い詰められたのはマイのようで、彼女の手持ちは残り一体となるのだった。
氷のフィールドに立っているのはマイのキングラー、カニミソ。やる気満々の表情で、相手を見つめるのだった。
「"10万ボルト"」
サカキの指示により、体を起こしたニドキングは体内で電気を生成し、標的目掛けて放出する。
「回避」
その攻撃はカニミソ目掛けて真っ直ぐ飛んで行ったが、カニミソは氷を滑るようにして回避した。さらに、そのまま流れるようにして左腕の射程範囲にニドキングを収め、"クラブハンマー"を叩き込んだ。効果抜群の技を喰らうニドキングだったが、すぐさまその左腕を捕まえた。
「"カウンター"だ!」
サカキの指示を予め分かっていたのだろうか、空いた手を使って"カウンター"を決める。相手の物理攻撃を倍にして返すこの技は、今のカニミソにとっては痛手となる。
至近距離で高威力の"カウンター"を喰らってしまったカニミソは一瞬気を失いかけるが、本能的に負けてはいけないという意志によって持ち堪えた。
「"ハサミギロチン"!」
"カウンター"を喰らって一度は敗北に肩を掴まれた感覚に陥ったマイだったが、カニミソの燃える闘志に背中を押され指示を飛ばす。指示したのは一撃必殺技の"ハサミギロチン"。
━━━━━━━━近距離なら外さない
マイの思い通り、カニミソの右腕はニドキングの首を穿かんとして引き寄せられるように動く。しかし、その右腕はニドキングの空いている手で防がれた。所謂取っ組み合いの状態になった。
「"10万ボルト"」
「"はかいこうせん"!」
2つの指示が同時に飛ぶ。先に攻撃を当てたのは、体内の電気をそのまま相手に流し込んだニドキングだった。一瞬遅れてカニミソも攻撃するが、ダメージを負ってしまった。カニミソは"はかいこうせん"の反動と高威力により、後方へと後退りする形で両腕の拘束を解くことに成功した。
「大丈夫?」
後退したカニミソを心配してマイは声を掛けた。その行為にマイは何ら疑問を抱かなかったが、実はこの行為、今までの旅でマイは戦闘中に行わなかったことだ。コレがマイにとって新たな1歩になったことに、彼女は未だ気づかない。
カニミソは彼女の問いに頷いて答え、指示を仰ぐように右手を振る素振りを見せようとした。攻撃の反動で実際には動かなかったが、微かに動いたその右腕をマイは見逃さなかった。分かった、とマイは答え次の指示を飛ばそうとする。
しかし
「っ━━━━━━━━」
突然、彼女等の立っているの地面が、否、建物自体が大きく揺れ始めた。その揺れに耐えられなかったのか、ギリギリの体力だったアズマさんは力無く体を横にして倒れた。そしてその上にしがみついていたマイも同じく倒れる。
「残念だが、ここまでのようだ。」
対峙していたはずのサカキは、いつの間にかゴルバットの脚に掴まり脱出の準備をしていた。サカキはニドキングに"みずでっぽう"を天井へ撃ち込むよう指示、鋭い水の光線が天井を貫き、穴を開ける。
━━━━━━━━未だ伸ばせる力、そして秘めている可能性...惜しい
「その力、惜しいが仕方ない。機会があればまた会おう。次会う時、お前のポケモン達の成長が楽しみだ。」
そう告げたサカキはニドキングをボールへと戻し、ゴルバットと共に地上へと脱出するのだった。
マイもそれに続きたかったが、今動ける手持ちはカニミソしかいない。アズマさんをボールへと戻したマイは、這いずってカニミソの元へ駆け寄ろうとしたが、逆にカニミソから寄ってきた。
「脱出...したいんだけどねぇ、動けないや。戻って。」
有無を言わさずにカニミソをボールへと戻すマイ。そして舞台に大の字になって寝転んだ。試しに自分の体を起こしてみようとするが、ピクリとも動かない。
━━━━━━━━電池切れ...みたいなもんか
自身の体をゲームのように例える彼女の意思は、どこかゲームプレイヤーらしさが感じられた。自分の体であって、借り物を使っている、と呟いたマイは静かに目を瞑る。
「楽しかったけど、残念だなぁ」
瞬間、彼女の頭上から瓦礫が崩れ落ちる...
それからどのくらい時間が経っただろうか、マイの体曰く、10分も経っていないようだった。頬を叩かれる感触に彼女は目を覚ます。
「...ここは?」
彼女の目には自身の手持ち、そしてレッド、オーキド博士がいた。ラフはマイが目を覚ますとスグに胸元へと抱きついた。
「まったく無茶しおって...グリーンが気づかなければ幹部や首領共々あのビルの下敷きじゃったぞ。」
オーキドが指し示す先には崩れ落ちた後のシルフカンパニーがあった。上体を起こせず、顔を横に倒して覗き込むマイだったが、その視界には疲弊しきったゴルダックをボールへと戻すグリーンが映った。マイの視線に気づいたグリーンは、マイの方へとやってきた。
「あ、ありがとう...で、いいのかな?」
今の状況を飲み込めてないマイだったが、命の恩人と思われるグリーンに対して一応の礼はした。しかし、グリーンはそれに対して特にこれといった反応はなく、レッドに一言二言告げて、ピジョットに乗り飛び去った。
「あいつのゴルダックが助けたんだよ。グリーンが地下に降りた時、さらに下から響いてくる音に気づいたんだってさ。」
それを聞いたマイは、また眠ることにした。
何故、といわれたら、疲れたからだろう。
とにかくマイは目を瞑り、後のことは全て周囲の人間へと任せた。
その際、マイはレッドから告げられた言葉が頭に残った。
━━━━━━━━セキエイ高原で会おうな