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「"クラブハンマー"をサイホーン、"みだれづき"をゴルバットに!」
唐突に始まった乱戦だったが、カニミソもネギも動揺はせずに戦闘を開始する。指示された技を指示通りに当てるが、サイホーンはその攻撃を耐え"しっぽをふる"でカニミソを退けた。ネギの方は攻撃を4回当て、ゴルバットに反撃の隙を与えさせない。
「カニミソは"かたくなる"からカウンター気味に"クラブハンマー"、ネギは倒すまで攻撃続行!」
混乱状態の先生を一旦ボールへ戻し、2体へ指示を飛ばしたマイ。しかし、暴れん坊達はマイに休む暇を与えてくれないようだ。背後から攻撃の態勢を取っていたゴーリキーの殺気を感じ、すぐさま先生をフィールドへと放ち盾替わりにするマイ。"からてチョップ"を去なさせたマイは、その後ろからトリを投げた。
「トリ"こうそくいどう"でゴーリキーを翻弄、先生は"だいもんじ"!」
トリの"こうそくいどう"に気を取られたゴーリキーは至近距離で放たれた"だいもんじ"を躱しきれなかった。そのまま後ろへ吹っ飛ばされ、さらに'やけど'状態にもなってしまったようだ。弱ったところで、マイは空のボールにゴーリキーを戻し、周囲を確認する。どうやら相手にしていないポケモンは他にはいないようだ。一安心したマイは、相手しているポケモン達の方を観る。
ゴルバットはネギと空中戦を繰り広げているが、ネギの攻撃はゴルバットには躱されるばかりのようだ。サイホーンの方は、タイプ相性で不利を強いられているにも関わらず、攻撃を耐えつつ反撃をしていた。しかし、カニミソの攻撃力には勝てなかったようで体力はもう残っていないようだ。既に立っているのもやっとのヘロヘロの状態だ。
「トリ、"すてみタックル"をゴルバットに」
遠くからサイホーンをボールに戻し、トリに指示を出した。トリはその素早い動きで一直線に飛んでいく。真横から飛んできた攻撃に、ゴルバットは反応が遅れ攻撃が当たってしまった。高威力の技を喰らったゴルバットはそのまま吹っ飛ばされ、力なく地面にはらりと落ちた。
その隙にゴルバットをボールに収め、この場を収めた。
「これで一旦完了...オーキド博士。」
オーキドの方を向けば、オーキドに襲い掛かっていたゴーストは既に倒れていた。さすが博士、と内心煽てつつゴーストをボールへ戻す。
「これで終わりのようじゃな。いやぁ疲れた疲れた。」
その言葉と共に地面にヘタレこむオーキド、そしてマイ。しかし、スグに立ち上がってマイは呟いた。
「研究所に送りましょう。すぐに...!」
ポケモンセンターへ移動した後、マイ達は40を超えるボールの山をオーキド研究所へと送った。そのまま彼女等は研究所へと戻ろうとしたが、処理を依頼した伯父様が礼をしたいと言ってきた。マイはさっさと帰りたかったが、オーキドに諭されて礼を受けることになった。オーキドは仕事で帰ると言い残し、マイを残してトキワシティを後にした。
「...」
伯父様の家へと連れてこられたマイは、その家の大きさに少し圧倒された。しかし、伯父様はソレに気づいていないのか、特に何か言うわけでもなくマイを家へと招き入れた。
家の中は豪勢に飾られている、という程飾られてはいなかったが、一般家庭に比べれば飾られている方なのだろう。絵画や骨董品が幾つか見られた。リビングへ通されると、彼の妻と息子と思われる人間が座っていた。
「自己紹介が未だだったね。私はナスタ。この街の市長をしている。こっちは妻のキンカ、そして私の甥に当たるミツルだ。こちら、オーキド博士の助手のマイさんだ。」
「よろしくね、マイさん」
「よろしくお願いします...」
「...あ、こちらこそよろしくお願いします。」
リビングでは軽く自己紹介をして、その後彼等はマイに対して今までの旅について色々質問をしていた。マイは答えられそうな範囲で答えていたが、自己紹介の時点で気になっていたことがあった。
━━━━━━━━ミツル君がミツル君なら、なんでここにいるの...?
陽が地面に隠れ始めた頃、マイはキンカの手料理を振舞われた。マイはとても気に入ったようで、いつもより多めに食べてしまった。
食べ終えた後は半ば強制的に一泊することになった。
「...ねぇ、なんで君は叔父さんの家にいるの?」
寝る前に聞いておきたかったことを聞きに、マイはミツルの部屋へとやって来た。幸い、ミツルは未だ起きていたようで部屋に入れてくれた。
「えっと...お父さんとお母さんが仕事忙しいから、叔父さんのお家に来たんだ。僕、体が弱いからお留守番はしちゃいけないんだって。」
━━━━━━━━ちょっと記憶と違うなぁ
「そっか、ありがとう」
質問に答えてくれた礼をして、マイはミツルの部屋を後にしようとする。しかし、ミツルに呼び止められそれをやめた。
「もし良かったら、ポケモン...寝てる間だけ貸してくれませんか?」
お易い御用、とマイは微笑み、ラフとネギの2匹をボールから出した。2体共ボールの中から内容は把握しているようで、任せろと頷く。そしてラフはすぐさまミツルの胸へと飛び込んだ。
━━━━━━━━子供ならなんでもいいのかコイツ...
ミツルは積極的に絡むラフに喜んだようで、会った時の強ばった表情とは一変して年相応の表情を見せている。
━━━━━━━━病弱だからあまり外との関わりがないのか...
マイは何となく彼の事情を汲み取った。そしてソレはネギも同じようで、マイはネギと顔を見合わせる。ネギは任せろ、と胸を張ってみせた。
この2体なら特に心配事もないだろう、とマイは自室に戻ろうとドアノブを握った。
「じゃ、おやすみ」