今回はあまり話進みませんでした...
「"きりさけ"、ネギ」
崖の上から降り注ぐ岩の群勢を、カモネギはそのクキを使って"きりさ"いた。クキで岩を斬り裂けるか、と聞かれれば不思議なものだが、カモネギはたしかに斬り裂いた。
マイは現在、イワヤマの荒野へと来ていた。グリーンの修行場所らしい。
グリーンもマイと同じ様に、というよりマイもグリーンと同じ様な修行をしていた。本来はストライクの"きりさく"でゴースを倒せた絡繰りを聞くだけのつもりだったのだが、グリーンは師の教えに従っただけだとあっさり返されてしまった。それでは引き下がれなかったマイだが、どう足掻いても聞けそうになかったのでポケモン達の力量を上げるため修行をすることにしたのだ。
修行法は、上から燃えた岩を落とし対処するというもの。燃えている、つまり炎を意識していることから、ワタル対策のことだろうとマイは理解している。
「ネギ交代。次...ビー、やる?」
疲れてきたカモネギを休ませ、次のポケモンを呼ぶ。しかし、岩を落とし燃やす役割のサイドンを除くと、コクーン以外のポケモンは疲労を回復仕切っていなかった。
仕方なくコクーンを呼んだが、コクーンは独特のリズムでこちらへと寄ってきた。恐らくやる気があるのだろう。マイはサイドンに軽い"いわおとし"だけを指示した。
「ビー、"かたくな"って"どくばり"!」
コクーンは全身を硬化させ、体の下半身部分から"どくばり"を放った。"かたくなる"を使わせたのは、万が一のことを考えてだが、現実は上手くいくもので岩は砕けずにコクーンに直撃した。
岩にぶつかったコクーンは、頭上からぴきぴきと嫌な音を立てて綺麗に真っ二つに割れた。蛹の中からは黄色い影が飛び出し、縦横無尽に宙を飛び回り始めた。
「進化...スピアーか」
マイはポケモン図鑑を開いて能力を確認する。元気一杯のスピアーは自己流ダンスを踊りながらサイドンの元へと駆け寄る。サイドンは進化したスピアーに拍手を贈った。仲間が進化したことがとても嬉しいのだろう。
スピアーはさらにマイの他の手持ちの所へも飛んで行った。皆疲れているが、スピアーはお構い無しに自分の姿を自慢する。
「ビー、もっかいやるよ」
ポケモン達を休ませる為、マイはスピアーをこちらへ呼び戻した。覚えた技の確認の為、サイドンにもう一度"いわおとし"を指示した。
スピアーは軽くステップを踏み、落ちてくる岩に狙いを定めた。
「"ダブルニードル"」
スピアーは両腕の巨大な針を構え、真上に飛び上がった。その巨大な針は岩を簡単に貫き、粉砕する。
「お、すごい。」
飛び散った石屑から頭を守りながら、マイはスピアーを褒めた。スピアーは嬉しいようで、サイドンに"いわおとし"を再度するよう指示を仰いだ。
サイドンはスピアーの言われた通り、"いわおとし"を連続で放つ。"いわなだれ"に似た状況になったが、スピアーはスイスイと宙を飛んで貫いて行った。
スピアーの姿を見たマイは、その場はサイドンに任せてグリーンの元へと歩み寄る。グリーンは丁度休憩に入ったところのようで、近くの岩に腰掛けていた。
「ねぇグリーン」
「...何の用だ」
声をかけると、グリーンは素っ気なく返した。マイはその冷たさに少し不満を感じたが、話を続けた。
「四天王の拠点とか分からないの?」
「...ある程度の目処は立っている」
ならすぐそこへ行こう、とマイは言ったのだが、グリーン曰く戦力が圧倒的に足りないそうだ。本拠地へ行くのであれば、ある程度手薄になった時に行くのがセオリーなのだから、今は未だ動くときではないらしい。
「そっか...」
「なんだ、それだけか?」
「え?えっと...グリーンの留学してたとこって、どこ?」
「...師匠に会う気か?」
「そうだけど?」
グリーンは顎に手をあて少し考えた後、この戦いが終われば教えるとだけ言い、修行を再開した。追い返される形でマイは自分の定位置へと戻った。
定位置へと戻ると、ポケモン達は各自トレーニングに励んでいた。カイリキーとライチュウは組手をしており、その他のポケモン達は岩を処理する特訓だった。
指示をしなくてもやってくれているので、マイは傍の小岩に腰掛けた。アドバイスでもしようかと思ったが、カモネギとサイドンを中心にそれをしているようでマイの入る隙は無かった。
「...暇だ」
岩に両手を着いて空を見上げるが、この空いた時間は埋まらず体を地面に預けた。世界が反対に見え、視界の端にはキャタピーと接戦を繰り広げるイエローが見えた。
さらに奥には、野生と思われるニャースが走っている。右から左へと走っているようだった。
体を起こし、後ろを向いてマイは軽く走り始めた。標的であるニャースは木の実を咥え、岩陰に隠れて食事をしていた。
岩陰に近づくと、マイはそろりそろりと忍び足で近づきモンスターボールを構えた。体を半身向けて、スっと左足を上げると、そのまま左足を前に着いて思い切りボールを投げた。ボールはニャースの額に直撃し、あっさりと捕まった。
「...」
ボールを拾い上げ中を覗いてみると、ニャースは不思議そうな表情をしてマイを見詰めてきた。
━━━━━━━━言葉でも覚えさせてみるか...
暇潰しの道具とでも言えばいいか、マイはニャースに言葉を覚えさせることにした。トボトボとマイは定位置に戻ったが、途中で未だキャタピーと戦闘を続けているのが見えた。
「...大丈夫?」
とりあえず声をかけてみたが、気付いていないようだった。マイは定位置へと戻り、イエローを見守ることにしたのだが、気付けば目を瞑って寝てしまっていた。