SS~異能がある不可思議な日々~   作:作倉延世

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 その名はSS

 魔法、超能力、そういった。普通ではあり得ないものというのは夢の対象だ。もっていたら、自分は何に使うだろうか?

 しかし、同時に馬鹿らしいものでもあるのは確か、よく小説や漫画で使われる能力

 

 「炎を自在に操る」

 

 だって、ライターと油を少々、燃えやすい紙を常備すればいい話だ。実際火を使う仕事なんてほとんどない。調理だって、あらかじめ加工した冷凍食品を電子レンジで温めればよくなってしまっている。火を消す専門職があるほど、便利ではあるけど、嫌われている概念だ。

 

 脱線してしまったけれど、何が言いたいかというと、何かをするためには相応の準備が必要だ。なんの脈絡もなく炎が出せるなんてなれば、周りの人間は祝福するだろうか?否、恐れて離れようとするし、情報があっという間に広がるこの時代にそんな厄介な属性を背負ってしまえば、最悪、危険人物という理由で警察のお世話になる可能性があるし、そうでなくても

 

 「この人物は危険だ。お願いだから、自分の生活圏内から追い出してくれ」

 

 という人間は必ず出る。人は、特に日本人は冷酷だ。一人では言えないことでも、同じことを訴える人間がいれば、それが正しい事と決め、正義だと、うたいながら自分の世界を護ろうとする。まあ、それ自体は仕方のないこと、元来、人間とは、弱く、脆く、愚かしく、そのくせ欲深くてどうしようもない生き物だ。とりわけ日本人は世界でも稀有な人種といわれている。その一つは宗教に対する価値観であろう。

 

 本来であれば、一つの国でクリスマスと除夜の鐘をどちらもやるなんてありえない。そもそもの発端が違うからだ。前者はある神様の誕生を祝ってのものだし、後者もまた別の宗教の行事である。つまり、複数の神事を行っているわけだ。これが、原因で内戦に発展した国を考えれば、その異常性が垣間見える。

 

 そして、何故彼らが受け入れているかというと、特に何も考えてなく、ただ、

 

 「楽しみたい」

 

 その一点である。最近だと、ハロウィンなどもそれにあたるかもしれない。あれだって、元々は収穫を祝い、悪霊を追い払うという意味合いがあったはずなのに、最近ではただの祭り、それも相当品がないものになってしまった。根拠なく言ってはいない。興奮した若者がトラックをひっくり返したという。それも衝動的にだ。

 

 

 つまり、日本人とは独創性をもってはいるが、同時に相応の危うさを抱えた人種だということだ。そんな人たちがある日突然、異能に目覚めたなんてなったら、どうなるのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  一月2万円の家賃で借りれるアパート、その金額にふさわしく、居間が一室あるだけだ。トイレや、風呂は共同のものを使うか、外に借りにいくしかない。こんなところでも住む場所があるだけマシだ。世の中、自分より大変な境遇の者なんてそれこそ、地球を見回してみれば、たくさんいるだろう。

 

 「くそが!!」

 

 納得できる訳がない。すべてはあいつが、あいつらが、

 

 「力、それさえあれば」

 数年前からおきたある異変とそれにあわせて出てきた()()が自分にもあれば、そうすれば、

 スマートフォンを起動させる。これがないと、仕事を探すのも一苦労する。いくつか怪しいサイトを見てまわって、求人広告も確認して、申し込みを可能な限りやっておく。時計を見れば、既に時刻は深夜0時を過ぎている

 

 「畜生」

 

 明日は5時起き、今務めているところは非常に忙しい、その癖、給料は安い。本当にみじめだと思い、意味もなく握り拳を振ってしまう。

 

 轟音が響いた。不思議に思い、そちらに目を向けてみると、壁の一部がへこんでいた。それも見た限りでも15㎝以上食い込んでいた。それだけで、理解できた。

 

 「やった、これで」

 

 改めてスマートフォンを操作する男の傍には額から角を生やした男以上に筋肉質な男が控えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大手企業に勤める営業マン石山はスクランブル交差点をいつものように渡るべく、信号が青になるのを待っていた。ここまでの人生は順調だ。今の案件もうまくやって、昇進してやる。そうすれば、選択肢が広がる。特に女性の、現在交際している相手はいるものの結婚は考えていない。どうしても乾いてしまう体に潤いを与えるため、互いに利用しあう関係だ。向こうもそれは承知している。取引に使える情報がないか探していると、信号が青になった。

 

 歩いていて、すぐに気づく、前方に男が立っているのを、パーカーを被っていてその顔は見えず、手は備え付きのポケットに入れたままである。そして体をこちらに向けて静止している。それもスクランブルの中央だ。自分は歩くのが早いほうだ、そして周りをみれば、その男だけがそこに立っている。わざわざそこまで走ったのだろうか?

 

 (変な奴)

 

 そんな人間とは関わらないのが賢い生き方だ。その横を通り過ぎようとしたところで、声が聞こえた。

 

 「久しぶりだな石山、元気かよ」

 

 

 

 

 

 

 

 その名をSecond()Skill()という。

 

 発端は火を自在に操る少年が現れたことから始まり、同様のことができるようになった人々が溢れた。名前の由来は「本来、ありえない2周目の能力」という意味だとか、まあどうでもいいことではある。その異能は要は人の願いが具現化して、科学で証明できるこの世界に介入できるというものだ。その少年は火種も材料もなく、火をおこしてみせた。それがSSだ。当然危険なものもある訳で、色々な手続きの結果

 

 異能対策室

 

 なんてものが設立された。

 

 

 そこに所属してい御舟鏡(みふね・きょう)は特に急ぐわけでもなく、現場へと走っていた。職場についたと思ったら。緊急出動を命じられたのだ。彼は班長であるが、班員が揃ってなかったので、仕方なく、一人で行くことになった。

 

 向かってみた光景は、血まみれになっている男と何やらわめいている男と、

 

 血まみれの方を襲っている鬼、否、それがわめいている男のSSなのだろう。

 

 御舟は拳銃を2丁、両手に持つ、SSとは何も無敵の存在ではない。火であれば消火器で消せるだろう。それと同じだ。1丁を空に向け、発砲。周囲の野次馬達が離れる。今のは警告だ。これからここで戦闘になる可能性がある。もしも怪我をしても責任を()()()持つことはできませんよ。という、銃声は暴れている男にも聞こえたらしい。

 

 「何ですか?」

 「分かっているでしょう?話を聞くため、大人しく抵抗はやめてください」

 「いやです、こいつのせいで、俺は人生狂わされたんだ」

 

 またか、という思いと、それでも誠意をもって接しないといけないと御舟は続ける

 

 「そうであってもそれを判断するのはあなたではありません。話は聞きますので」

 「うるさい!!」

 

 男は突然、更に興奮しだす。SS使いになった者、そして問題を起こす人間の典型的な姿である。

 

 「あんたも壊してやる!!〈その破壊と液体に興奮する〉(アドレナリン・パニッシャー)!!」

 

 それまで倒れている男を殴っていた鬼がこちらを振り向く、それは人の顔ではない、目が3つ、△を描くように配置されていて、口もまた。下顎がさらに二つに割れ、牙が人のように横線ではなく、T字にならんでいる。まるで、未知の生物を見たようだ。鬼はこちらへと狙いをつけたのか、走ってくる。が、速度はそこそこの模様。利き手で持った拳銃を向け、発砲、弾丸は鬼の肩に命中した。よける様子も見られない。確信する。

 

 (A型だな)

 

 SSとは、4つの型と2つの系統、そして4つの基本項目と2つの補助項目でその能力を評価する。そして男の意思に従っているところをみても、たいして身体能力がある訳でもない鬼を見て、御舟は結論付ける。

 

 A型とは、任意的発動型のこと。異能者が自由に行使できるという利点があるが、欠点として、それで生み出されるSSの各能力値は異能者本人のものに依存するという特徴がある。要は、50メートルを7秒で走る人間ではそれ以上の速度を持つSSは作れない。しかし、それもすべてという訳ではないので、注意が必要だ。

 

 鬼の肩の傷口は御舟が放った弾丸を飲み込み再生される。傷の治りが早い。

 

 (神経伝達速度は[本人並]()以下、おそらく、総質量が[本人以上]()以上と言ったところか)

 

 質量とは文字通りエネルギー量。これが多ければ多いほど、そのSSの再生は早い、それでも無敵ではない。

 

 

 (どうしたものか)

 

 御舟鏡は迫る鬼を前に、対策を練りながら、その場を走り出す。一度、あのSSを破壊(ブレイク)する必要があるためだ。

 

 

  突然、異能が異能者が当り前になった世界を彼は走る。

 

 

 

 

 

 




 もう1本の方と合わせてのんびりやっていく予定です。
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