所変わり、破軍学園理事長室。
解放軍ショッピングモール占拠の一報を受けた黒乃が取った行動は、先ず学園で唯一単
独殲滅を行った経験を持つ者へ念押しをすることだった。
「繋がった。ヴァレンタイン、状況はどうだ?」
そして、数秒後に遅かったと思うことになる。
ショッピングモール・裏通路
「黒鉄君達と合流しました。テロリストは・・・・はい、和君が瞬殺して」
『・・・・・明智、
「何言ってんですか理事長、
電子生徒手帳に翳して見せたのは腕である。力瘤あたりをパシパシと叩く和真。
『流石だな、明智。その状況を打破できるか?』
「無理っす。人質が多すぎる、銃事態は怖くありませんが敵の人数も分からない以上下手に動けません。理事長、分かる限りで良いんで情報をください。」
「ねぇ、一輝。何で理事長は和真に任せるような言い回しなのかしら?」
アリスの疑問は最もだ、
「和真は実績があるからね。」
「・・・・“
「アリス、止めてくれ。」
聞こえていたらしい、アリスを制する和真をアリスはクスクスと笑いながら承諾した。
『今、報道されている限りでは20人~30人前後の
黒乃の情報を元に考える和真。
「よし、理事長。
『分かっているとは思うが、一般市民の安全が最優先だ。手は回しておくから健闘を祈る』
通話を終えて電子生徒手帳をポケットに仕舞うエルフェルト。
「和君、どうするの?」
「エルフェルト、正直に言ってくれ。
エルフェルトが和真と同室になった経緯を知る一輝は驚いて目を見開いた。
戦えというのか?彼女にも?
「和真、ソレは」
「大丈夫、私も・・・・戦えるよ」
和真を除いた一輝達は、二階・フードコートを一望できる場所までアリスの
「まさかとは思うけれど、和真ちゃん・・・」
「うん、アリスの考える通りかも知れない。」
アリスは、和真が正面突破を試みると考えて一輝はソレに同意する。
「違うよ、二人共・・・」
エルフェルトが自身の
ト』を展開し、二丁の銃を連結・・・狙撃形態にして狙いを定めた。
フードコートで、人質を見張る
「和君はきっとやり遂げるよ、私達はチャンスを待つの・・・」
震える手を押さえながら、
そんな三人の目の前で、ステラが行動を起した。
人質を守ろうとステラが立ち向かっていくも、解放軍の伐刀者・ビショウにより攻撃全てを跳ね返され、人質の中にいる子供の身柄の安全を条件にステラに服を脱ぐよう指示していた。
三人が、否。特に一輝が殺気立つ。
エルフェルトもステラがどういう気持ちで衣服を選んだか知っている。好意を寄せる人に見てもらいたくて・・・相談してきた友の気持ちを知っている分、一輝ほどではないが怒りを覚えた。
「でも、黒鉄くん。今は飛び出さないで!」
トラウマの恐怖に駆られているとは思えないほど冷静にエルフェルトは殺気立つ一輝へ告げる。
「ステラは・・・・あの学園で・・・初めて出来た友達なんだ・・・・なのに・・・ス
テラが、ステラがあんな姿で泣いているのをずっと見ていろっていうの?」
スコープごしに覗いていたエルフェルトでも見えたか見えないか、それほど僅かな変化を一輝は見逃していない。それでもエルフェルトは電子生徒手帳を一輝に見せる。
結界が出来るまで待って欲しい。珠雫
そんなメッセージが表示されていた。
「結界?だけどそんな魔力の気配は・・・」
「そりゃそうよ。なんてたって珠雫はBクラス騎士だけど、敵に気付かれないように魔力を用いる迷彩の技術の指標。魔力制御だけはステラちゃんを抜いて今年度ナンバー1よ」
「それに和君も動いているんだよ?大丈夫」
「信頼しているのね。彼の事を」
「勿論、私の
「おい!誰が撃って良いっつった!?」
空気を揺らす銃声にビショウが激を飛ばした。当然ながら人質を見張るビショウ込み八人の解放軍は一斉に銃声の発生源である生鮮食品売り場へ視線を向ける。
「び、ビショウさん!“奴”だっ・・・“奴”がココにいたんだ!!」
命からがら逃げてきた様子の解放軍メンバーの一人は必死にビショウへ訴える。
殆ど合図だった、解放軍が駆け込んでビショウに訴えると同時にビショウの背後から裂帛の一声が上がる。
「障波水蓮!!」
珠雫が障壁魔術を発動、同時に見張っていた解放軍は頭上からの狙撃を受ける事になった。
「なぁ、リーダーさんよ。迂闊じゃね?」
背後から一突き、声が聞こえ飛び退く間も無く“左脚”を貫かれたビショウは尻餅をついた。
「お・・・お前は“
「幾ら魔法が通用しない・・・
突撃銃の銃口を向け、震える解放軍に撃てという和真。勿論傷を負うことは無い確信か
ら来る台詞で、銃弾の軌道は
「ふざけるなぁぁぁ!!!」
恐怖をかき消すような咆哮を上げ、解放軍が引き金を引くと同時に一輝達が飛び降りた。
ガガガガガガッ!
一刀修羅を発動した一輝が着地し、和真の背後でビショウの両腕を削ぐと同時に雷電を構えた和真がつまらなそうに口を開いた。
「もう終わりか?」
「ひっ・・・がぅ!?」
逃げ出そうと踵を返す解放軍の脳天を容赦なくカチ割る和真。
「あ"あ"あ"ァァァァァァァァ!!痛い!痛い痛い・・・・・ヒィ!?」
「うるさいな」
痛さにより声を上げるビショウに陰鉄の刃を向ける。
「そんなものiPS再生槽使えば治るだろ。お前がステラにやった事に比べれば大した事ない」
目付きを鋭くして、ビショウにひたすら殺気を飛ばす一輝。陰鉄を仕舞いステラに駆け寄る。
「ステラッ!」
「い、イッキ!」
力強く抱き締める。全身を優しく包み込むように一輝はステラを抱き締める。
「ごめんね。もっと早く助けたかったんだ・・・・遅くなってごめん・・・」
「ううん。気にしないで・・・・イッキが来てくれた・・・それだけで嬉しいから」
「ふぅ・・・俺邪魔じゃね?」
一輝とステラを見て、和真は一息つくと呟く。実に初々しいやり取りが一輝とステラ間で行われている中、アリスの存在を確認できこそすればエルフェルトは何処だろうか?
「か~ず~く~ん!!」
「・・・・アホかぁ!?」
絶賛身を投げた瞬間だった、それも和真を目掛けて全力で踏み出して。
一階二階程度の高低差で五メートル弱飛べるか?と言われたら無理と答える。誰でもそうだろう。助走つければ話は変わるかもだが、素の状態で飛んでだ、無理に決まっている。
和真は雷電を霧散させるや直ぐに受け止めに走る。そんな光景を柱の影から覗く頭蓋骨のお化けが居た。
「殿の申されるとおり、もう結婚しちゃえば良いんじゃないでしょうかね?アレ」
足軽・・・最下級幻魔ながら個の意思を持った個体、故・鳶介というのが人であった時の名前だ。
幻魔界でのんびりしていた所、ノブから「ちょい不味そうじゃから助っ人よろ!」と呼ばれたのだ。
ファウスト先生の移転扉で現場入り、するとあら不思議!もう決着ついてる。
鳶介は直ぐに幻魔界に帰る事になった。
唯一の収穫は今代・鬼武者は鳶介の知る限り最も女難だと言う事だ。
騒ぎが静まった時――一人の青年が姿を現す。
「いやー、誰かと思ったら君達だったのか。久しぶりだね二人とも」
「・・・・・・ッ!」
「やあ」
こちらに手を振るのは一輝にとっては絶対に会いたくない人物だった。
「あ、桐原じゃん。居たのか?」
和真にとってはその限りじゃない相手、桐原静矢―――そして彼はニヤリと笑う。
「黒鉄君に明智君・・・・君ら、まだいたんだ?Fランクの分際で」
「「「・・・・ッ!!」」」
見下した態度にエルフェルト、ステラ、珠雫は静矢の方に睨みの視線を送る。
「てっきり僕の助けがいるかと思ったけど必要なかったみたいだね。まあそりゃそうか。なんていっても僕は強いし、こんな奴等が相手じゃ話にもならないね。精々Fランクである君達の方がお似合いかな?」
「なんなのよアイツ。ムカつくわね・・・・消し炭にしてやろうかしら」
「許せない・・・・」
「お二人に同意見です」
「ドゥドゥ、ヒロインズ。で、小ばかにするだけなら後にしてくれるか?」
押し黙る一輝、怒りに燃えるステラ、珠雫、エルフェルトを宥めつつ和真は言い放った。
「キミは黙らないのかい?僕にボロ負けしてクセにっ」
「いや、一矢も食らってないからね?単なる
「ふんっ!女子の前だからって見栄を張っているのかい?だとしたら見苦しいだけだ、恥をかくのはキミだよ、明智君」
「ソレ貴方だよ。」
桐原に油を注いだのはエルフェルト。
「ほぅ?僕が落ちこぼれのFランクに負けるだって?」
「いや、エルフェルトは其処まで言ってな「そう、貴方は勝てない」お願い黙って!」
のらりくらりと流そうとしていた和真は必死に桐原を立ててお引取り願う姿勢を崩さない。
だって面倒なんだもん、プライドだけ高いイケメンって。
去年の選抜メンバーって言ったって能力選抜式だったから実際の戦闘力じゃないし、一輝に対してだって無防備の相手に
元の世界なら単なる犯罪行為でしかない。
「其処まで言うなら、僕がコイツを負かしたらキミは僕のガールフレンドだ!!」
アレ?可笑しいな、この台詞はステラが一輝をバカにされたことに腹を立てて桐原と口
論の末に吐かれる物の筈だ。それが、ステラではなくエルフェルトに言われている。
「良いよ、もし貴方が勝てば私を好きにすると良いよ。」
エルフェルトの口から飛んでもない台詞が飛び出た。