Xeno // SSSS.GRIDMAN   作:アチスキー

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#4

「…………」

 

 その冴えない風貌とは対照的な、刃の鋭さを帯びた眼光。

 男の視線は真っ直ぐに。

 たじろぐ様にして顔を引きつらせている裕太を、じっと見つめている。

 その視線が余計に裕太を困惑させた。

 

「ねぇ……誰?」

 

 

 入り口の前へと立つ男を横目にしながら。

 裕太の服の裾を摘まんでツンツン引っ張ると、六花は裕太へと小声で耳打ちする。

 

「いやいやいや。全っ然知らない人なんだけど」

 

 ぶんかぶんか、と。

 勢いよく(かぶり)を横に振る裕太。

 相手の視線が裕太に向けられている事に気付いた六花は、あるいは知り合いなのではと考えた様なのだが。

 裕太からすれば、あんな怪しげな知り合いなどいないと声を大にしたいところだった。

 

「…………」

 

 何か言葉を発するでもなく、沈黙を保ったままに。

 

 裕太達が固唾を飲んで見守る中。

 

 男は大きな歩幅で店内へと足を踏み入れると、まるで誰かから後ろへと引っ張られた様にして。

 

 

……その姿のまま、盛大にずっこけていた。

 

 

 男が店内へと入った瞬間、彼が腰の後ろに負った長物が、店の入り口へと見事に引っ掛かったのである。

 自分が背負っている物の長さを失念していたのだろうか?

 だとしたら、とんでもないドジである。

 これがかわいい女の子なら、まだ微笑ましくも見えるのだろうが……生憎とやらかしたのはオジサンだった。

 ぶつかった衝撃で、入り口付近の棚に飾ってあった商品がバラバラと床に落っこちて、ガチャガチャと音をたてていたが……裕太にはそれが、緊張していたこの場の空気が、砕けて散った音に聞こえた。

 内海も同じ気持ちなのだろう。

 男を見つめている筈のその目は、どこか遠くを眺めている様だった。

 ただ、六花だけは──

 

「ああ! 商品が……!」

 

──床に散乱する品物を見て、悲鳴にも似た声を上げていたが。

 その場にむっくりと立ち上がった男は、そんな三人へと向けて、ついにその重たい口を開く。

 

「お、俺の名は、サムライ・キャリバー……」

 

……三人が三人とも、ポカンとした様な表情になった。

 吃り気味に男が口にしたのは、本当に彼自身の名前なのだろうか?

 名は体を表す、などと言うが……目の前に立つ黒いスーツの男からは『サムライ』で『キャリバー』な要素など何一つ感じられない。

 むしろ、中学生辺りがドヤ顔で考えついて、後々になって恥ずかしい思いをするような──そんな痛々しさの方を感じてしまう。

 

「……絶対、宇宙人だろ」

 

 

 サムライが苗字で、キャリバーが名前だろうか?

 そんな、どこかズレた事を考えていた裕太の隣で。

 訳が分からないと言った風情のある半眼でキャリバーを見つめながら、内海がぼそりと呟く。

 裕太自身も感じた事ではあるが。

『普通』と言うカテゴリーから逸脱した者の中に、仮に『宇宙人』と呼ばれる者が潜んでいるとするならば……なるほど、この男ほど疑わしい者も無いと思えた。

 

「この街に、き、危機が迫っている……だから、俺達は来た」

 

 自身を訝しむ視線に動じる風もなく、キャリバーは言葉を続ける。

 そして、いまだにどう反応していいか考えあぐねている三人を尻目に、グリッドマンのいるパソコンの前へと立った。

 

「俺……達?」

 

「俺と、他の奴らだ」

 

 言葉尻をとらえた裕太が疑問の声をあげるが、その返答はあまりにも簡素で端的である。

 キャリバーの思考は裕太達にではなく、どうやらパソコンの方へと今は向けられているらしい。

 

「ここにいたか……!」

 

 それまで感情の起伏に乏しかった彼の声音に、僅かにだが興奮した様な色が浮かぶ。

 そして、その場でどっかりと腰を下ろすと胡座をかき、躊躇なくパソコンの内部を弄くり始める。その手つきは、機械に対して素人である裕太の目からしても、恐ろしく手慣れている様に見える。

 キャリバーは取り外した部品を丁寧に整理しながら、いつの間にか床へと敷いていたハンカチの上へと置いていく。そして、瞬く間に、そんな風にして置かれたパーツ達が面積を増やしていった。

 

 「──あのぅ……それって一応、買い手のついてる商品なんですけどー」

 

──その一方。

 仮にとは言え、六花は店をあずかる身である。

 今は彼女がこの店の秩序であり、お姫様だ。

 この狼藉者に対して姫は、控えめではあるが抗議の声を上げられた。

 

「…………」

 

 しかし、キャリバーは特に反応を示す風でもない。

 取り外した部品をつけ直したり、また別の部品を取り外したり……相も変わらずそんな作業を黙々と続けている。

 六花の声をわざと無視した──と言う訳ではなさそうだと、裕太は感じた。怪しい男ではあるが、そんな底意地の悪さは見えない。

『与えられたおもちゃに夢中になっている子供』とでも言うのだろうか。ただ純粋にキャリバーは、この作業に没頭しているのである。

 

 もっとも、何がどうあれ。

 この男の態度は、六花の眉間へと縦にシワを入れさせるには充分だった。

 ムッとした様に眉をひそめながら。

 隣に立つ裕太の服の裾を再び摘まむと、ツンツンと引っ張る。……今度は、先程よりも若干強めに。

 

「……ねぇ、響君からも何か言った方がいいって。グリッドマン、バラバラにされちゃうんじゃない?」

 

「う、うん。でも……大丈夫、じゃないかな?」

 

 怪しげではあるが、悪人ではなさそう──と言うのが、裕太のキャリバーに対する最終的な所感であった。

 六花の不機嫌顔にちょっぴり気圧されながらも、裕太は苦笑いを浮かべてみせる。

 

「……どうして?」

 

──てっきり、裕太は自分の言葉に同調してくれると思っていたのに。

 そんな自身の思惑が外れたばかりか、さらにキャリバーへと寛大な言葉を口にする裕太に対して。六花はちょっとキツめの半眼になると、ずいっと裕太に詰め寄る様にして顔を近づけた。

 

「いや、それはその……なんとなくと言いますか」

 

「なんとなく? なんとなくじゃ分かんないですけど」

 

「そ、そう? あ、あはは……」

 

 根拠を提示しろと言われても、裕太には無理な話だった。

 なんせ正真正銘に『なんとなく』でしかないのだから。

 しかし、それでは六花は納得してくれないらしい。

 

 じーっ、と。

 突き刺さりそうな六花の視線と向き合いながら、裕太はかわいそうな位に笑みをひきつらせていた。彼女から顔を背ける事すら、やった瞬間に怒られそうだったので出来なかった。

 

……そんな二人のやりとりに、小さな嘆息をこぼすと。

 自分だけでも話を進めようとするかの様に、内海はキャリバーの丸まった背中へ声をかける。

 

「えーと……サムライさん? それ、何してるんすか?」

 

「……さ、最適化だ。グリッドマンは……こ、このままでは、駄目だ」

 

 内海から投げられた声にも背を向けたまま。

 しかし、キャリバーは訥々(とつとつ)と、そう言葉を返す。

──途端に。

 ハッとした表情で、裕太達は顔を見合わせた。

 

「グリッドマン!? ──し、知ってるんですか!」

 

 動揺の色が、内海の言葉に浮かぶ。

 それは仕方の無い話だっただろう。

 まさか、自分達以外の人間からグリッドマンの名を聞くことになるとは思ってもいなかったからだ。

 それは裕太と六花も同じである。

 

 そんな三人からの視線を背に受けながら、キャリバーは外していたPCケースを静かに嵌め込んだ。

 

「お、終わった」

 

 気が付けば、驚く事に。

 あれほど広げてあったパーツ達が全てなくなっていた。

 作業を初めてから、さほど経ってはいない筈である。

 キャリバーは『最適化する』と言っていたが……こんな僅かの内に何かが出来るものなのだろうか。

 

「グリッドマン……その、大丈夫か?」

 

 半信半疑な裕太が声をかけると、画面の中のグリッドマンは力強く頷いて見せた。

 

「ああ、裕太達の姿がよく見える。……二人にも、私の声が聞こえているか?」

 

「これって……」

 

「き、聞こえる! オレにもグリッドマンの声が!」

 

 三人は再び、驚いた表情で顔を見合わせた。

 これが『最適化』と言う事なのだろうか。裕太にしか聞こえていなかったグリッドマンの声が、今や内海と六花にも聞こえる様になったらしい。

 

 グリッドマンは、そんな二人の姿を静かに見つめてから。

 

「キャリバー……」

 

 画面の脇へと立つキャリバーへと顔を向け。

 何かを問う様にして、彼の名を呼んだ。

 横目に向けられるキャリバーの蒼い瞳が、グリッドマンをとらえる。

 

「俺はグリッドマンの意思に従う」

 

「……ありがとう」

 

 キャリバーの答えを聞くと。

 グリッドマンは彼へと礼を述べてから、最後にもう一度だけ、何かを考える様子で一拍の間をおき──そして、ついに決意したと言う様に、胸の前で拳を握って見せる。

 

「三人とも、私はここを動く事ができない。この街を守る為には……君達の協力が必要だ!」

 

……おそらく、グリッドマンは自分達の身を案じてくれたのだろう。──彼が見せた逡巡にも見える沈黙の間から、六花はそんな印象を受けた。

 自分達の協力がなくしては、グリッドマンは戦う事が出来ないのだ。この街を救うと誓った彼の背負う使命と大義は、きっと、ここにいるたった三人の少年少女の命よりも重い筈である。それでも……グリッドマンは自分達を戦いに巻き込むべきか否かを迷ってくれたのだ。

 なにより六花には、あの恐ろしい怪獣をやっつけてしまう凄まじい力を持ったヒーローですら、人間と同じように悩むのだと言う事が驚きだった。

 

 画面の向こうにいるこの超人に初めて、六花は親しみを覚えた。

 

……とは言え、だ。

 確かに街にとんでもない事が起きていて、それをどうにかしないといけないとは分かっていても。

 危ない目に合ってしまうのは、やはり困る。

 どう返答したものか、六花は答えを探すようにして、隣に立つ裕太へと視線を向ける。

 

「…………」

 

 何より一番怖い目にあっている筈の裕太は、どうしてグリッドマンと一緒に戦う事を嫌がらないのだろうか?

 街のため、皆のため……前回の戦いの中で、裕太はそう口にしていた。

 守ってもらう側としては、とても有難いのだが……本当にそれだけの理由なのだろうか? もっと大事な何かが、彼の中にはあるのではないだろうか?

 

──不意に。

 

 裕太の視線が自分へと向けられて、六花はちょっぴり目を丸くする。

……あまりジロジロと不躾だっただろうか。

 謝るべきか言い訳するべきか、言葉を探す六花。

 しかし、そんな彼女へと向けて、裕太はにこりと笑ってみせる。

 

「大丈夫だよ、宝多さん。恐いなら無理しなくても……俺がグリッドマンに伝えるから」

 

 その言葉に、再び六花はハッと目を丸くした。今度は少しだけ、頬も紅くして。

 胸の奥にじんわりとあたたかなものが広がる。

 六花はまた、裕太のやさしさに触れた様な気がした。

 しかし、──

 

「…………どうして、そういうこと言うかな」

 

「え?」

 

 どこか拗ねた様に口を尖らせ、ぼそりと呟く六花。

 その呟きを聞いた裕太は、ぎょっとした様な表情になる。何かまた、彼女の機嫌を損ねる事を言ってしまったのだろうか? ──そんな様子で、ちょっとだけおろおろもしていた。

 

 そんな裕太の姿に、六花の心が罪悪感にちくちくと痛む。

 もちろん、裕太が悪いわけではない。

 彼に心配してもらえた事は六花にとって、とても嬉しい事だった。

 しかし、今回に限ってはそれが少しだけ悔しかった。

 まるで裕太に、最初から頼みにされていない様な気がして、それが悔しかったのだ。

 一方で、きっと自分の勘繰り過ぎだろうと言う自覚は六花にもある。そして既に、そんな感情を表へと出してしまった事に自己嫌悪もしていた。

 

──かわいくないな、私……。

 

 ふと、そんな言葉が心の中に思い浮かぶ。

 そして、そんな自分と比較する様にして思い出したのは。

 

……新条 アカネの姿だった。

 

 

「──もちろんだぜ、グリッドマン! オレ達『グリッドマン同盟』に任せてくれよ!」

 

 自己嫌悪に陥る者、おろおろする者─そんな二人を差し置いて、ひとり元気に瞳を輝かせているのは内海である。

 六花の迷いも一切無視して、彼女を巻き込みながら。

 彼の中では、この三人で異変解決に当たるというのがすでに規定事項となっているらしい。

 

 呆れるやら、感心するやら。

 友人のバイタリティへとそんな表情を浮かべつつ、裕太は朝から疑問に思っていた事を指摘した。

 

「また出た。なぁ、内海……その『グリッドマン同盟』って何なんだよ」

 

「グリッドマンと一緒に戦うオレ達のチーム名だよ」

 

 裕太の問いに対して、内海はさも「当然だろ?」と言わんばかりの表情で応える。

 

「なにそれ。きもちわる」

 

 あまりにも堂々とした内海の物言い。

 そこに清々しさすら感じて、六花はからかう様にして苦笑を向けた。

 その言葉に、内海は大袈裟な仕草を交えながら嘆いてみせる。

 

「あー、女子には分かんないかなぁ。このレトロっぽい格好良さが……なぁ、裕太?」

 

「いや、まぁ……俺もよく分かんないかも」

 

 同意を求められた裕太だったが、半眼のままに頬をかく。

 

「なんだよ! それじゃあ、お前は『グリッドマンと愉快な仲間達』とかの方が良いって言うのかよ!」

 

「パーで殴られたいかグーで殴られたいか、みたいな事を言われてもな」

 

 やいのやいの、と。

 またもや朝の不毛な争いを繰り返そうとする内海と裕太。

 しかし、のっそりと近付いてきたキャリバーが、そんな二人の頭を軽くはたく。

 そして、あの刃にも似た眼光を二人へと向けた。

 

「い、行くぞ。まずは街に出て、昨日と今日で変化した事がないかを調べる……」

 

「う……うっす!」

 

 先程までは怪しさこの上ない目つきの男であったが、グリッドマンの仲間だと分かってしまえば、そんな鋭い目付きもひどく頼もしく思われた。

 ぞんざいにポケットへと手をつっこんで、キャリバーは足早に店の外へと歩きだす。

 そして、──

 

「ああ! また商品が!」

 

──そして、またもや。

 来たときと全く同じ様にして、店の出入り口にてずっこけていた。

 しかも、今度は勢いがある分、被害もさっきより大きい。

 六花の悲鳴が悲痛さを増していた。

 

「…………」

 

 キャリバーはのっそりと立ち上がると、今度は体を横にして長物がつっかえない様にしながら、慎重に外へと出ていく。

 そして、店の前にある建物の屋根へと軽い跳躍だけで飛び乗ると、すたすたとその上を歩き始めた。

 

 驚愕した様子で、内海が店の外へと飛び出す。

 

「ええ?! そんなとこ通って行くんすか!」

 

 もちろん、普通の人間には屋根の上へと飛び乗る事など出来はしない。

 これだけでもキャリバーの身体能力が常人のそれを遥かに上回っている事が分かる。

 

 行くぞ、と裕太達に声をかけたにも関わらず。

 それを忘れたかのように、ひとりでさっさと行ってしまうキャリバー。

 そんな彼を追おうと走り出そうとする内海だったが──

 

「ちょ、ちょっと! 片付けないで行っちゃう、普通!」

 

 その背に向けて、六花の非難めいた言葉が投げつけられる。

 振り返った内海の視線の先では、これでもかと商品がばらまかれた床の上で立ち尽くす六花の姿があった。

 

 可哀想に、と内海は思った。

 それと同時に……面倒くさいな、とも内海は思った。

 

「悪い、宝多! これも平和の為だ!」

 

 ビッと片手を掲げると、凛々しい表情でそれだけ言い残し。

 さっさとキャリバーを追いかけはじめる内海。

 

「信じらんない…………ねぇ、響君?」

 

 そんな内海の姿を睨み付けてから。

 裕太の顔を、六花はじいっと見つめた。

 

──響君は手伝ってくれるでしょ?

 そんな無言の圧力が、裕太のやわらかいハートへプレッシャーをかけてくる。

 

「え、えーっと」

 

「──おい、裕太! 早く来いって! サムライさん、見失っちまうぞ!」

 

 どうしたものかと答えあぐねていると、内海の急かす声が聞こえてくる。

 その声に圧される様にして。

 裕太は顔の前で、バシッと両の手を合わせた。

 

「…………ごめん! この埋め合わせはいつか必ず!!」

 

 ペコペコと頭を下げると。

 内海の後を追って駆け出していく裕太。

 そんな彼らを追って、憤慨した様子の六花も店の前まで飛び出す。

 

「裏切り者!」

 

 そんな六花の叫びも、空しく大気に霧散する。

 

「はぁ……ウソでしょ」

 

 その場で、六花は店の中へと振り返った。

 ひとりで片付けるには、あまりにもあんまりな状態だった。

 かと言って、放っておくわけにもいかない。

 こんなところを母親に見られたら、幾つ雷が落ちてくるか分かったものではない。

 

 茫然とする六花。

……そして、悪いことは重なるものである。

 

「──わざわざお出迎え? ただいま、六花」

 

 今この瞬間、世界で最も聞きたくない「ただいま」の声が聞こえて。

 六花はおそるおそると、声のした方へ振り返る。

 

「げ……ママ」

 

 六花の視線の先。

 まだ幾らか店から離れたところに、彼女の母親──宝多 織江の姿があった。

 

 ちらり、と。

 母親に顔を向けたまま、六花は目線だけをもう一度店内へと向けた。

 これを見られた時が、自身の破滅の時だ。

 いいだけ怒られた末に、ひとりで片付けさせられるに違いない。

 こちらへと笑顔で近づいてくる母親を見つめる六花。

 

 そして、何よりも。

 きっと裕太達の後を追うことも出来ないだろう。

 

──その瞬間。

 遠くなっていく裕太の背が、六花の脳裏に浮かんだ。

 手を伸ばしても届かない距離がふたりの間に出来る。

 

 そう思ったその時にはもう、六花は裕太達を追って駆け出していた。

 

 

 

「──あらぁ? 変な子ね……」

 

 突然、自身とは反対方向へと駆け出していく娘の姿に。

 織江は笑顔を引っ込めると、不思議そうに首を傾げる。

 とりあえず、落ち着いてから電話の一本も入れてみよう──そんな事を考えながら店の中へと入っていく。

 

 次の瞬間。

 

 まなじりを決した織江が、店の外へと飛び出してきた。

 

「こらぁぁぁぁぁ!! 六花ぁぁぁぁぁ!!」

 

 母親の怒号が耳に届いたのか、届かなかったのか。

 走っていく六花の足は止まる風もない。

 

 どちらにしても。

 

 もう、六花は立ち止まるわけにはいかなかった。

 

 

 




◇今回の幕間◇
スティレット「なぁなぁ、アレクシス。別にアカネに怪獣つくらせなくても、その辺にいっぱいあるフィギュアをアブれ(動詞:「インスタンス・アブリアクションする」の意)ばいいんじゃねーか? なんなら、アタシのタッコング貸してやろうか?」

アレクシス「せめてビルガモくらいにしてもらないかな。──それにね、スティレット。怪獣の人形なら何でもいいと言う訳ではないんだ……そこに人間の情動が無くてはねぇ」

スティレット「ジョウドウねぇ」

アレクシス「それに、ほら──」

スティレット「……?」

アレクシス「著作権とかあるからね。私は劇場版で『ネオ・アレクシス・ケリヴ』として復活する可能性もまだ捨ててないから、円谷さんとかに睨まれるのはちょっと……」

スティレット「お前は何を言っているんだ」


◆今回のあとがき◆
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!

ワタクシ事で恐縮ですが、実はメインヒロインよりも恋が実らないサブヒロインの方が好きだったりします。
『一番よりNo.2!』──これがアチスキーのヒロイン哲学よッ!(`・ω・´)

わけのわからない事ばっかり書き連ねておりますが、次回もお付き合いをよろしくお願い致します(平伏
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