お豆腐メンタルのアイドルマスターシンデレラガールズ 作:冬月雪乃
鬱々しい描写もありますにゃ。
あと公開前に公式とちょっとねたかぶったのでこっちはディープ寄りにしてますにゃ。
——私は、夢を見る。
生まれて、持て囃されて、失墜して、転落して、この世の地獄を味わって、諦める。
それだけの、三十数年間に渡る誰かの人生を追体験するだけの夢だ。
けれどそれは齢二桁にもならない私の精神に強い影響を及ぼした。
それはそれだろう。
本来なら未だ強すぎる悪意からは守られているはずの年頃。
それを突如として逃げられない場所から地獄のような悪意をまざまざと見せ付けられるのだ。
結果、私は一週間意識を失い、その間も見知らぬ男の地獄を見続けた。
目覚めた私は人が変わったようになった。
活発だった性格は暗く、表情のよく変わる顔は鉄面皮に。
両親は心配こそしたものの、どうにも出来ないと匙を投げられた娘相手にオロオロとするだけだった。
——いや、それは失礼だ。彼らは良く寄り添ってくれた。
泣いて飛び起きる私を抱きしめてくれたし、添い寝してくれた。
頭を撫でてくれたし、テストで良い点を取ったら褒めてもくれた。
悪い事をしたら叱られたし、遊びにも連れて行ってくれた。
それらに癒され、愛を感じていた。
だが、見知らぬ記憶はその裏で私を蝕んでいた。
何しろ夢の世界とは時間の概念が無茶苦茶だ。
わずかでも眠れば三十年余をもある地獄の記憶を叩きつけられる。
十五になる頃には不眠症になった。
——そして、悪意の襲撃とは何も夢の世界だけでは無かった。
何百何千と繰り返された地獄の記憶は、ついでに私の学力まで上げていた。
すなわち、常に学年トップ。
そして自分で言うのもなんだが、私の容姿は良い方だ。
可愛くて成績がいい根暗。
イジメられるには格好の餌だった。
小学校はほぼ不登校だったし、中学では主だったイジメグループが別に行ったから通うことにしたが、イジメはすぐに私に襲いかかった。
主には女子グループからだった。
一年を耐え、二年を耐え、三年目。
私の目はすっかり死んだ魚のようになっていた。
そんなある日だ。
呼び出されて向かった旧校舎、そこで私は襲われかけた。
肩を押され、床に叩きつけられる。
そのまま乱暴に服を引っ張られ——
「——ガッ!?」
驚くほどスムーズに足が出た。
丸出された股間に膝を入れたのだ。
柔らかな、しかし確かなものを腹に押し込むように入った膝蹴りはやった私ですら思わず同情する程——膝の感触だが、プチっとした。『パァン』ではないだけ良いと思ってほしい。——のたうち回り、唖然とする面々を尻目に旧校舎から出て行った。
この後私が無意識に上げていた悲鳴を聞きつけた先生方は何が起こったのかを把握したらしく、大問題となった。
被害者である私は受験に問題ないようにすると言っていたが、それよりも気になったのは両親だった。
怒髪天を衝くとはこの事なのだろう。
夫婦揃って容赦のカケラもなく、検事と弁護士の組み合わせには学校も加害者側もタジタジで——後々聞いた話だが、名刺を出した瞬間ノックアウト状態だったらしい——加害者側はほぼ全員が転校。
残った奴も進学出来ない程のダメージになった。まぁ、余罪ぼろぼろだし。録音機は便利だ。担任教師は真っ青だったが。
まぁそんなこんなでメンヘラを加速させつつ、両親の意向もあり、私は東京の高校生になった。