今回は視点がシナナと白の二人になります。どちらの視点かは一応書いておいたので大丈夫、だよね?
Sideシナナ
今私は異世界から呼ばれた勇者の一人。【剣聖】冬馬と対峙している。
彼は剣を構えこちらの出方を伺っているようだ。
空殿と白殿を見てみると白殿の方は既に戦いは始まっている。
「どうした勇者殿。攻めてこないのか?」
「そうやって俺を挑発して攻撃させるつもりだろう?その手には乗らない」
別にそんな気は全く無いのだが、まぁいいか。
「そもそも貴方はこの国の味方じゃないのか?どうして奴らの味方なんて」
「私がこの国の味方?馬鹿らしい。そんなわけないだろ」
「なんだって?だったら何故……」
「あの王の命令に従っていたのか、か?こちらにもいろいろと事情がある。それだけだ」
あの自爆魔法がかけられていたという事もあるが一番は……、やめよう。怒りで手元が狂ってしまったら大変だ。彼らに迷惑をかけたくない。
「それよりも貴方は何故彼らと敵対する?向こうの世界では仲間では無かったのか?」
「それはあいつらがでっち上げた記憶だと王さまが言っていた。だったらあいつらは敵という事だろう?」
私のその問いに彼は吐き捨てるようにそう言った。
「ふむ。貴方はあの王の言葉を鵜呑みにするのか?もしかしたらあの王が言っている事が嘘かもしれないのに」
「だったら何故逃げた?やましい事が無いならあの場でそう言えばいい。なのに何も言わずに逃げたという事はそういう事だろう」
あんな周りの者のほとんどが武器を構えた状態で弁明も何も無いと思うのだが。それに否定は何回も白殿が言っていたし。それを受け付けなかったのはあの王の方だった筈だが。
「では貴方は今、彼らが弁明すれば耳を傾けるのか?」
「そうだな。……答えはノーだ」
「何故?」
私がそう問うと彼は一瞬空殿と白殿の方へ視線を向ける。
「もう彼らは王女さまたちに手を出している。だったらもう俺の敵だからだ、よ!」
そう言い終わるよりも早く彼は私目掛けて突っ込んでくる。おそらく魔法で身体強化でもしているのだろう。普通の人間が出せるスピードでは無い。
……しかし。
「……はぁ」
「……なっ。これは、いったい」
彼のスピードは徐々に落ちていき、とうとう私の目の前で止まってしまう。
彼は必死に体を動かそうとするが動く事はなく、むしろその度に苦悶の表情を浮かべる。
「な、何をした!?なんで、どうして!?」
「よく自分の体を見てみたらどうだ?」
そう言われて彼は自分の体を見る。そして、ようやく気づいたのだろう。自分の体に無数に巻かれているそれに。
「なんだよ、これ!?」
「糸だよ。少し頑丈で細いだけの」
強度で言えば鉄より上なんだがまぁ、少し頑丈でいいだろ。
「ぐっ!くそぉ!うっ」
「あまり動く事はオススメしない。動けば動くほど糸がその身に食い込む。苦しむのは貴方だ」
さて、無力化もしたし私の仕事は終わりかな。準備運動にもならないのは予想外だった。
私は彼から視線を外し、未だ戦っている彼らへと視線を向ける。
「くそ!正々堂々戦え!卑怯だぞ!」
「卑怯?……ふむ」
そんな事を言っている彼に私は視線を向ける事なく言い放つ。
「私は今は【暗殺者】だ。それは褒め言葉だよ」
Side白
私は王女さまの攻撃を避けながらシナナの方へ一瞬視線を向ける。
「向こうは終わったようですよ」
「……そのようですね」
「私たちも終わらせませんか?……やっぱり、こんな事に意味は無いですよ」
正直な話をするなら私は王女さまと戦いたくはない。この一ヶ月私たちに良くしてくれたし、なにより私が珍しく気に入った人間じゃし。
「貴女たちが投降してくれるのならやめますよ」
「……じゃあ、無理ですね」
私はそう言って指を鳴らすと王女さまは炎に包まれる。
「くっ!!効きません!」
「……へぇ。魔法への耐性はバッチリですか。倒れるくらいの威力でやったと思ったんですけど」
「……あの場で貴女は、転移の魔法陣を使っていました。だったら、貴女が魔法を使う事は分かりますし、その対処をするのは当然です」
あぁ、あれか。確かに魔法陣を使ったし、当然ばれるか。
「今度はこちらから行かせてもらいます!」
そう言って王女さまはその手に剣を持って突っ込んでくる。
「それは悪手では?『大地よ』」
私がそう言うと地面が盛り上がり、私と王女さまの間に壁が出来上がる。
しかし、王女さまは止まる事なくその手の剣を一振りしただけで、その壁を簡単に切り裂いた。
その勢いのまま私に向けて剣を振り下ろす。
「うわ、危な!」
私は間一髪でその剣を避けるとすぐに王女さまへ向けて魔法を放つ。
「『炎よ!』」
「効かないと言いましたよ」
王女さまはそう言って今度は炎を切り裂いた。
「……魔法を切るってそんなのありですか」
「この剣は少々特殊でして。大抵の魔法は切れるんですよ」
うわぁ。そんなのあり?流石に面倒くさいんじゃが。
「貴女に勝ち目はありませんよ。どうか降参してください」
「なんで勝ち目がないなんて事になるんです?それを決めるのが些か早すぎませんか」
「貴女の本当の
「近くに来させなければいいだけです」
「どうやって?つい今しがた私に接近を許したばかりではないですか」
そう言えばそうじゃった。うわ。私の言葉説得力、なさすぎ?
「まぁ、魔法以外にも手はあるから別によいか」
「……先程から気になっていたのですが、そちらが貴女の素ですか?よく喋り方変わってますけど」
「おっと、無意識のうちに出ちゃってたか。失敗、失敗」
「別に私は気にしませんよ」
「うん?あ、そう?じゃあ、こっちの喋り方でいかせてもらうかのぅ」
うむこちらの方が楽じゃのう、やっぱり。
「それで?いったいどうするんです?貴女が勝てる可能性は無いと思いますが」
そう言いながらも王女さまはそこから動く気配はない。……ふむ。
「……なぁ、王女さまよ。何故じゃ?」
「何がです?」
「何故、今の間に攻撃をしてこなかった?もしかしたら私を倒せたかもしれんぞ」
「……」
私の声に王女さまは答えない。しかし、苦しそうな顔で俯いている。
「……のう。王女さま。やはりやめにせんか?私もこんな事はしとうない」
「私だって!……でも、貴女たちは敵かもしれないから、捕まえないと」
王女さまの叫びは後半になるにつれて小さくなっていく。
……迷っておるのだろうな。彼女もこの一ヶ月、私たちと話をしてきた。だからこそ私たちを敵と思えんのだろう。
「王女さま」
「……」
王女さまは何も言わず、こちらをただ見ている。
「少なくともそなたの憧れる『忘れられた英雄』は、そんな事で迷いはしなかったぞ」
「……え?」
「あいつはどれだけ仲が良かった奴でも敵に回れば真剣に戦った。周りが敵だと思っておる奴でも、話す意思が相手にあれば、自分の意思でその者と話す事を決め、とことんまで話し合ったぞ」
「ま、待ってください。それは、どういう……」
「さあ?知りたければ私に勝つのだな」
私は挑発するようにそう言う。あいつに憧れる者なら乗ってくると確信しているからこそ余裕の態度を崩さない。
そして思った通りに、王女さまは剣を構える。大きく息を吐き、真剣な目で私を見つめる。その目からは少しだけではあるが迷いが消えている。
「……なにを考えているのかはわかりませんが、一つだけ。貴女は彼の事を知っているんですか?」
「うむ。少なくともお主よりかはな」
そう言って私も少しだけでは魔力を解放する。
「さて、それでは死合おうか。互いに満足するまでのう」
注)ここから先はこの作品を書いてて作者が思った事です。見なくてもいいよ!
戦闘描写が書けない!え?どう書けばいいの?本当にわからなくて手が進まなかったよ!(言い訳)。なので戦闘描写が書かれている小説何冊か読み込んでました。でも、このクオリティよ!そもそも戦闘らしい戦闘が始まってないような?あれぇ?
以上!もうちょい戦闘描写の勉強しようと思うので更新遅れるかもです。今のままだとちょっとまずい。