……さん。
声が聞こえる。聞き覚えがあるような……。
「…いさん」
……まぁ、誰でもいいか。眠いし、もう少しだけ。
「……兄さん、いい加減起きないとぶっ殺すよ」
その声を聞き俺の意識は急浮上した。
体を起こすと冷めた目で俺を見下ろす桃花がいた。
「……おはよう。遅いお目覚めだね。兄さん」
「……お、おはよう。あの、桃花さん?今のは?」
「なかなか起きないからさ。効いたでしょ?」
「……はい」
……声がマジだったぞ、妹よ。久しぶりにあんな殺意浴びたわ。
桃花の冷めた視線から目を逸らした所で、俺は初めて周りの景色に意識を向けた。
「てか、ここ何処よ?」
「……わかんない。気づいたらここにいたから」
不安なんだろう。少し怯えたような顔で桃花がそう言った。起きている他のクラスメイト達も皆似たような表情を浮かべている。
周りは豪華な装飾のされた柱が立ち、壁にも同様の装飾がなされている。後ろを見れば大きな扉があり、前を見れば玉座がある。
そして、その玉座に座る一人の男。その右斜め後ろには豪華なドレスを着た俺らと同い年らしき女が一人。
そして俺がその二人に視線を向けると同時に男が口を開く。
「ようこそ、異世界の者達よ」
そう言うと男は立ち上がりこちらに近づいてくる。
「私はこの国の王であり、そなた達をこの世界に呼んだ者でもある」
王と名乗った男が語った事にクラスの奴らは皆驚いた顔をする。
さらに男は言葉を続ける。
「そなた達の中にはどうして呼ばれたのか、何故自分達が?と考える者もいるだろう。しかし、どうか落ち着いて私達の話を聞いてほしい」
「ざっけんな!」
「おい、よせ!」
王がそこまで話した所でとうとう我慢の限界がきたのだろう。クラスの男子の一人がそう声を荒げた。近くの友人と思しき男が止めようとするがその男子は止まらない。
「いきなり知らねぇ所に連れてきた挙句に、わけわかんねぇ事抜かしやがって!さっさと俺たちを返せよ!」
その男子の言葉に王は申し訳なさそうな顔をする。
「……すまぬ。今はできぬ。しかしその理由もこれから話すのでどうか話を……」
「ざっけんな、クソがぁ!」
そう言って男子が王の胸ぐらを掴もうとした瞬間、男子はどこからか現れた黒いマントで全身を覆った何者かに組み伏せられる。
「あ、がっ」
「……王への暴言に加え、王の話を遮るなど万死に値する。死ね」
その何者かはそう言うと手に持った刃物を男子に振り下ろす。
「よせっ!」
しかし、その刃物は王が発したその言葉により男子の首を刺す寸前で止まる。
「その者が怒るのも当然だ。我々はその怒りを受け止めねばならん」
「……御意に」
そう言って刃物を収めるとそいつは音もなく姿を消した。
あと少しで死にそうになった男子は恐怖からか、その場からすぐに離れると体を震わせて縮こまってしまった。
「すまなかったな。我が家臣は少々敏感でな」
「……いえ。今のはこいつにも非はありました。話の続きをお話しください」
体を震わせる男子の代わりに、先ほど男子を止めようとした男がそう答えた。
「うむ。では、カノン。あとは頼むぞ」
「はい、お父様」
王の後ろに控えていた女はそう言うと、数歩前に出た。そして俺たちにお辞儀をする。
「皆さまはじめまして。私はこの国の王女、カノンと申します」
そう言って笑顔を向ける彼女にクラスの殆どの男子は熱い視線を向ける。
「まず始めに皆さまに改めて謝罪を。こちらの都合で皆さまをこんな世界に連れてきてしまった事、誠に申し訳ございませんでした。
しかし、こちらにもやむにやまれ事情がございます」
「……あのぉ、その事情って?」
そこで初めて俺たちの中で唯一大人である先生が疑問の声を出す。
「はい。実は、この世界は今前代未聞の危機に瀕しているのです」
彼女のその言葉にクラスの奴ら全員が首を傾げる。まぁ、いきなり危機に瀕しているなんて言われても平和な世界で生きてきた彼らにはピンとこないだろう。
「数年前、突如この世界に魔王を名乗る者が現れたのです。彼らは暴虐の限りを尽くし、私達人族の他にも様々な種族が沢山の同胞を亡くしました。そこで、生き残っている種族の代表達で話し合い異世界からこの世界を救える勇者を連れてくる事にしたのです」
彼女は話の途中で目尻に涙を浮かべるが、話の最後には俺たちに希望に満ちた視線を向ける。
「そして今日、とうとう異世界からあなた方を召喚することができたのです」
その言葉にクラスの奴らはざわめき出す。
「魔王ってなに?」
「勇者ってわけわかんない」
「異世界召喚キタコレ!」
などなど各々が思った事を口に出している。
「もちろんこちらの勝手な都合である事は理解しています。ですが、ですが!どうか、皆さまの力を我々に貸して下さい。お願いします!」
そう言ってもう一度彼女は頭を下げる。
その姿を見たクラスの奴らは困ったように周りの奴らと顔を見合わせている。そんな中、一人の男が前に出てくる。そいつは先ほどからちょくちょく口を挟んでいる男だった。
「顔をあげて下さい。王女さま」
「……あなたは?」
そいつは彼女のその問いに笑みを浮かべた後、クラスの奴らの方へ向き直ると口を開く。
「皆、俺は彼女の、いやこの世界の為に戦ってもいいと思う。確かにいきなりこんなわけわかんない事に巻き込まれて戸惑ったり、怒りを覚えることもあるだろう。でも、困っている人がいるのなら助けてあげるのは当たり前のことじゃないか!」
そいつのそんな言葉を聞いて何人かは何故か覚悟を決めたような顔になる。
しかし、それでも殆どの者は不安そうな顔をしている。
「でも、もしかしたら死んじゃうかもしれないんだよ?私、怖いよ」
クラスの女子の一人がそんな事を言う。しかし、前に出た男は何故か微笑むとそう言った女子の前に立つ。
「確かにそうかもしれない。でも、大丈夫だよ。俺が皆を守るから」
そう言うと女子の頭のを撫でる。……あー、これが撫でぽってやつですか。あの、かっこイケメンに限るですか。わぁ、初めて見たなー(棒読み)。
事実撫でられた女子は頰を染めると、「じゃあ頑張ろっかな」なんて言い始めた。うわぁー、すげー(棒読み)。
そして何故かそれを皮切りにクラスの奴らが声を上げ始める。
「おっしゃあ!やってやらぁ!」
「
「うん、頑張ってみるよ!」
そんな声がいたるところから、てか、あの男冬馬って言うのね。覚える気ないけど。
頭を下げていた王女さまはそうした声を聞き目尻に涙を浮かべ微笑む。
「……皆さま、本当に、本当に!ありがとう、ございます……!」
その光景は普通に見れば美談なのかもしれない。実際俺の隣にいる桃花も少し目尻に涙を浮かべている。
「……よかった、よかったね、お姫様。ねぇ、兄さんもそう思うでしょ?」
「ん?あぁ、そうだな。よかった、よかった」
「むっ。なんか心こもってない」
「いや、だってなぁ」
そこから先は絶対桃花は怒るから口にはせず、心の中だけで呟く。
……いったい、こんな三文芝居のどこに感動して共感すればいいんだよ?
注意)ここからは作品と関係ない作者の愚痴とかです。見なくてもいいよ!
作者はスマホゲームのフェイトグランドオーダーをやってるんですが、ガチャで虞美人がピックアップされたんですよ。あまりにも欲しすぎて正月用の石90個全部溶かしたよね。出たからいいけど、出てなかったら発狂物でした。
最終再臨絵可愛いしエロくて超好みです。はい。
以上!