それから暫く王女さまと冬……なんとかが話をしていると、突然王女さまは声を大きくして会話に混ざっていなかった俺や桃花含む数人にも聞こえるように話し始めた。
「それでは、まず皆さまの
彼女のその言葉に、当たり前だがクラスのほとんどの奴は首を傾げる。
王女さまはそうなるのがわかっていたのか軽く微笑んだ後、職業について話を始めた。
「この世界には神から与えられた職業というものが存在しています。この職業は多岐にわたり、村人や戦士、稀にではありますが剣聖や賢者と言われるクラスも存在します」
その言葉を聞き、クラスの奴らは再度ざわめく。向こうの世界にはないものだから興味があるのだろう。
「そして、この職業にはそれぞれにスキルというものが存在します。例えばですが戦士などには<剣術>や<槍術>など戦いに必要なスキルを。村人には<農業>などですね」
彼女がそこまで言うと何か呪文を唱える。すると彼女の手元に水晶が現れた。
「この水晶には職業を調べる力が宿っています。その力を使いこれから皆さまの職業を調べていきますので、私の前に一列で並んでください」
彼女がそう言うとクラスの奴らは自分の職業を確認しようと王女さまの前に並び始める。
その光景を俺は彼らの少し後ろで眺める。
「兄さんは行かないの?」
「ん?俺は後でいいわ。今凄い混んでるし」
「ふーん。……私にも職業があるのかな?」
「何かしらはあるだろ。自分の職業を知らない奴はいくらかいるが、職業を持たない奴は存在しないからな」
「そうなの?というかなんで兄さんはそんなこと知ってるの?」
「……なんとなく?」
「……ふーん。まぁ、今はあんまり聞かないでおくね。でも、あとでちゃんと教えてよ」
それじゃあ、私も行ってくる。桃花はそう言うとクラスの奴らが並ぶ列に混ざっていく。
その光景を見ながら桃花の問いについての答えを心の中で呟く。
……なんでそんなこと知ってるかって、そりゃあ、
もちろんまだ確証はない。でも、職業の事と言い、さっき王女さまが使った<転送>の魔法と言い、それに何よりこの空気を知っている。そのことからおそらく、かなり高い確率でこの世界はあの世界だろう。
いったいなんの因果かわからないがまたこの世界に来ることになるとは、人生ってのはわからないもんだな。
「あなたは行かないの?」
俺がそんな事を考えていると後ろからそんな声をかけられる。後ろを見るとそこには転校生の永夜と名乗った女がいた。
「それはこっちのセリフなんだが?」
「私はあとでいいよ。今は面倒だし」
「へぇ、意外だな。お前みたいな奴は友達とワイワイしながらやるもんだと思ってた」
「まだ、転校してきて数十分しか経ってないのに友達なんいるわけないじゃん」
あー、それもそうか。そういや、挨拶してすぐこっちに飛ばされたんだもんな。
「お前も大変だな」
「まぁね。でも、会いたい人にも会えたからいいよ」
「ふーん。知り合いでもいたのか?」
俺がそう言うとそいつは少し頰を膨らませる。
「どうした?」
「……やっぱり気づいてないか」
「はぁ?」
その言葉から考えるにそいつの知り合いは俺なんだろう。しかし、俺はこんな明るい奴と知り合いになった覚えはない。見た目は俺が知るあいつに似ているが、あいつはどっちかって言うと隠キャだし……。
「はぁ。お主また失礼な事考えてるじゃろ?死ぬか?ん?」
「いや、全然。……って、は?お前、魔王か?」
「やっと気づきおったか。私はすぐ気づいたと言うのに」
そう言って呆れたようにため息を吐くそいつの喋り方と今の雰囲気は、まさに俺の知る魔王のそれだった。
「まじか。……お前、いつからそんな陽キャラに」
「お主まじでいっぺん死ぬか?失礼すぎるぞ!?」
おぉ、この感じ本当に魔王なんだな。
「いや、悪い。性格変わりすぎてて気づかんかった」
「まぁ、仕方ないか。私も周りから浮かないように頑張ってあのキャラを作っておったし」
「苦労してんな」
「……まぁ、そこそこな」
そう言って遠い目をする魔王。まじで苦労してきたんだな。
「コホン。それよりももっと話すべき事があるじゃろ」
「あぁ、そうだな」
「うむ」
そう言って少し静かになる。
俺は魔王の次の言葉を待ちながら話すべき事を頭の中で整理する。
そして魔王は口を開く。
「先ほどまでお主の隣にいたおなごは誰じゃ?」
「……は?」
「聞こえんかったのか?お主耳悪くなったんじゃないか?」
「いや、悪くなってねぇよ。それより、は?」
最初に何を言うのかと思ったら隣にいた女が誰か?桃花のこと言ってんのか?
「お前それ今話すべき事か?」
「話すべき事じゃろ!私と言う者がありながらあんなに親しそうにしおって!浮気か!?事と次第によっては私は泣くぞ!年甲斐もなく泣くからな!」
そう言う魔王は目尻に涙を浮かべて本当に泣きそうな顔をしている。
……ふむ。
「お前には会ったら言わないとと思ってたんだ」
「な、なにをじゃ!?」
……まぁ、もしも会えたら紹介しないといけないもんな。身内として。
「あいつはさ、俺にとって大切な存在なんだ」
家族だし、妹だしね。
「わーわー!聞きたくない!聞きたくなーいー!」
「いいから聞けって。お前だってすぐには納得できないと思うんだ。だからこういうのは早い方がいい」
義理とは言え妹が出来るんだ。すぐに納得するのは難しいかもしれないからね。
「いやじゃあぁ!!こんな、こんな事なら会いとうなかったぁ」
そう言って彼女はガチで泣き始める。……そろそろ本当のこと言うか。
「あいつはさ」
「うえぇぇぇん」
「俺の今の妹なんだ」
「うえぇぇぇ……なんと?」
「だから妹なんだって」
そう言うと魔王は俯いて震えだしたと思ったら、涙目で真っ赤な顔を向けてきて拳を振るってきた。
「あっぶね!テメェ何しやがる!?」
「うっさいわ阿呆!貴様わかっていてあんな話し方したじゃろ!」
「うん」
「なぜじゃ!?」
「お前の泣き顔が見たかった」
「貴様ぁ!」
そんな感じの会話を俺たちは暫くしていたのだった。
注)ここから先は本編に関係ない作者の愚痴です。見なくてもいいよ!
コミケに行きたい(切実)。でもお金がない(絶望)。
宝くじ当たんないかなぁ。と思う今日この頃。好きな作家さんの同人誌とか画集とかタペストリー買おうと思ったらいくらお金があっても足りない。正月はゲームに課金もしたいし、作者さんの財布は寒くなる一方なのです。
以上!