それから暫く王女さまといろいろな事を話した後、王女さまは政務などがあると言う事で図書館を出て行った。
「……結局、俺たちに関する情報はあの絵本だけか」
「しかし、最初はゼロだった事実を踏まえればこの情報は大きいぞ?その点では王女さまに感謝せねばのう」
「まぁ、確かにな。もしかしたら俺たちの事を覚えてるかもしれない奴らにも目星がついたし」
「……ではそろそろ出るか?」
「うーん。出たいけど、でもなぁ」
そこで悩む俺に白はため息を吐く。
「はぁ。妹の事か」
「あー、まぁな。やっぱりわかるか?」
「どれだけお主と一緒にいたと思っておる。たかだか十数年離れておっただけでわからなくなるわけなかろう?」
やれやれと呆れたようにそう言った後、目を瞑り、何かを思い出しているのか優しそうな笑みを浮かべる。
「……まぁ、妹が心配になるのも分からなくは無いがの」
「そういやお前にも妹がいたっけか」
「私の場合は妹分だったがな。それでも、少なからず気持ちはわかるさ」
しかし……。白はそう言うと目を開き真剣な顔でこちらを見る。
「あの娘を連れて行くわけにもいくまい。これから私たちが行く場所にあの娘を連れて行けば三日と持たずに死ぬぞ」
「……わかってる」
そこで、俺たちの間に沈黙が訪れる。
白が言う事は理解している。事実これから俺たちが行こうとしている場所によっては桃花は何も出来ずに死ぬだろう。でも、あいつをここに一人置いてくわけにも……。
そこまで考えた所でまたもや図書館の扉が開かれる。
「兄さーん?いるー?」
そう言いながら入ってくるのは今ちょうど話をしていた桃花だった。
……あれ?さっきもこんなこと思ったような?これが噂をすればなんとやらってやつか?ちょっと確率高すぎない?
俺がそんな事を考えていると、桃花は俺を見つけたのか嬉しそうな顔をする。……が、俺の近くにいた白の姿を見ると途端に少し不機嫌そうな顔になった。
「……こんにちは、白先輩。今日も兄さんと一緒に調べ物ですか?」
「こんにちは、桃花ちゃん。うん。君のお兄さんと二人で調べ物だよ。だって私たちは【村人】だもん。それしか出来ないからね」
白はやけに二人での所を強調してそう言う。
すると桃花は目を鋭くして白を睨みつけるが、白が涼しそうな顔でいるのを見てため息を吐くと俺の方へと向き直った。
「あんまり言いたくないけど、たまには外に出ないと体悪くするよ」
「あー、まぁ、たまには出るようにするよ。それで?今日はどうした?」
俺がそう聞くと桃花は嬉しそうな顔でこちらに近づいて来る。
「そうそう!最近魔法を習い始めたって話をこの前したじゃん?」
「そう言えば言ってたな、そんな事」
その日は桃花がやけにご機嫌だったのを覚えている。
「そう、それ。それでね、今日初めてその魔法が成功したんだよ!凄くない!?」
そう言って同意を求めてくる妹はまるで犬のようである。尻尾があったら激しく揺れてるんだろうなぁ。
「へぇー。凄いなあー」
「……なんか心がこもってない」
「そうか?じゃあ……」
俺はそこまで言うと手を桃花の頭の上に置いた。
「よくやったな!凄いぞ」
「なっなっなっ!何してんの、急に!?」
俺が頭を撫でると桃花は顔を真っ赤にしてそう言う。
「ん?嫌だったか?じゃあやめるか」
「……べ、別に、嫌じゃないけど。この年だと流石に恥ずかしい」
そう言って俺から視線をそらす桃花。まぁ、そりゃそうだよな。
そんな事をしていると白が大きく一度咳払いをした。
「……それで?桃花ちゃんはその事を言うためだけにこんな所までわざわざ来たの?」
「……だったらなんだって言うんですか?」
「さっさと戻った方がいいんじゃない?これからまだいろいろとやる事あるでしょ?」
白がそう言うと少し気まずい顔をする桃花。……まだ、やることあるのにこっちに来たのかよ。
「だったらお前とっとと戻れよ。他の人も困る事になるだろう?」
「うぅ。わかったよぉ」
そう言って少ししょんぼりとした顔をする桃花だったが、何かを思い出したのかすぐに表情を元に戻すと俺の目を見て口を開く。
「……ねぇ、兄さん。今日こそ一戦やらない?」
それはここ数日毎日桃花が口にする言葉。桃花からしてみればただ純粋にやりたいだけなんだろうけど、今の俺の返答は決まっているわけで、
「無理だって。昨日も言ったろ?」
「でも……」
いつもなら俺が無理と言えば渋々諦めていたのだが今日は何故か食い下がってくる桃花。
「ほ、ほら!たまには体を動かさないと体に悪いし!それに腕だって鈍っちゃうしさ」
「だからってお前とやる必要はないだろ。そもそもお前は【剣姫】だぞ?【村人】の俺が勝てるわけないだろうが」
俺がそう言うと苦しそうな顔をする桃花。
「そんなの分からないじゃん!向こうにいた頃は私一度も兄さんに勝てなかったしさ!」
「お前、その
「私は、別にそんなつもりじゃ!」
「もうそこまでにしといたら?」
俺と桃花がそのまま言い合いになりそうになった時、どちらに言ったのかは分からないが、白のその一言によって俺たちは少しだけ落ち着くことができた。
「とりあえず空は言い過ぎだし、あとその少しずつ挑発的になっていくの直しなよ」
「……悪い」
「……そして桃花ちゃん」
白はそこで少し間を開けると続きを口にする。
「別に貴女を責めたいわけじゃないけど、少しはこっちの事を考えたらどう?さっきから空は無理だって言ってるのに自分の気持ち優先で空の事考えてないよね?それってどうなの?」
「それは!兄さんが私と剣を交えてくれないから!」
「それだってちゃんと理由言ってるじゃん。【剣姫】の貴女と【村人】の空。その実力に差がありすぎるんだって」
「向こうの世界では兄さんは私より強かったもん!」
桃花がそう言うと白は大きなため息を吐く。
「いったい、いつまで向こうの話をしているつもり?向こうとこっちとじゃいろいろと変わってるってわかるでしょ?」
白はそこで言葉を止めると、チラリと俺の方を横目で見て、再度口を開く。
「あのさぁ、こんな事言いたくないけど、いい加減お兄さん離れした方がいいんじゃない?今の貴女の兄はこの世界で最弱の職業なんだからさ。甘えるのも大概にしなよ」
「……」
白がそう言い終わる頃には桃花は俯き肩を震わせていた。
何か言ってやりたいが、なんで白がそう言ってわざわざ悪役になったのか、なんとなくだがわかるので声を掛けることは出来ない。
それから少しして桃花は顔を上げる。目から涙を流すその姿に罪悪感が生まれる。
「……私はそんなつもりじゃなかったのに」
そう言って俺の方を見た桃花は俺たちに背を向ける。
「……馬鹿」
最後にそう言って桃花は図書館を走って出て行った。
そして桃花の足音が聞こえなくなった所で口を開く。
「……悪かったな。悪役みたいなことさせて」
「別によい。私は魔王じゃからな。それに実際思っていた事でもある」
「……そうか」
「……そうじゃ」
そう言って少しの間互いに口を開かずただ図書館の扉を見ていた。
「今日はもうやめるか」
「うむ。それが良かろう」
俺たちはそう言って一緒に図書館から出て行った。
そしてその夜。
俺たちがあの日召喚された場所。王の間で。
「すまぬが、お主たち二人にはこの城から出て行ってもらう」
俺と白は王さまにそう言われたのだった。
注)ここから先はあまり作品に関係のない、かもしれない作者の愚痴です。見なくてもいいよ!
あかん。ゲームのイベントが終わらん。
作者はアズールレーンというアプリゲームをやっているのですが、今、うたわれるものというゲーム?なのかな?ちょっと詳しく知りませんがそれとコラボをしているんです。それでイベント海域回っているんですが、終わりが見えない。サボるんじゃなかった。
しかもそれやってたら小説のこと忘れてて思い出して急いで書いたっていう。だから今回駄文なんだよ!(いつもの事です)
そんなわけでもしかしたら明日投稿できるかわかりません!許して!
以上!250文字以上とかあとがき長すぎ。