第一層のボスが倒された
場は静まりかえっている
「……………ぉぉ、うおおおぉぉぉぉぉ!!」
ダイチが大声をあげる
それを回りのプレイヤーは凝視した
『……………………おおおおおおおおぉぉぉ!!』
少し置いてレイドの全員が叫びだした
「やったぞタカ!俺達は勝ったんだ!!」
「ああ、やった!第二層開通だぁ!!」
二人は肩を組んではしゃぐ、シリカもそれを見て一緒にはしゃぐ
「やりましたね!アスナさん!」
「ええ、このゲームが始まって一ヶ月、ようやく……」
アスナも笑っている
そしてタカとダイチがエギルと話していたキリトに近付いて話しかけようとした時
「なんでだよ!!」
「……………あ?」
誰かの叫び声が響いた
今までの歓声が一気に静まり返りその叫び声の主へと視線が注がれる。その視線の先にはシミターを手に持っている男がいた
「なんでみんなそんなに盛り上がれるんだよ!!ディアベルさんはもう少しで死ぬところだったんだぞ!?そいつのせいで!!」
男はキリトを指差してそう叫んだ
「……………?」
「お前、なんでボスの使う技のこと知ってたんだよ!!お前が最初からあの情報を伝えてれば、ディアベルさんが死にかけることもなかったんだ!!」
「お、おい、やめ「ディアベルさんは黙っててくれ!」
男の叫びで回りがざわつき始めた
その場にいる一人一人がキリトのことを不審に思い、キリトに疑念の目を向ける
一人の男がキリトに近付き、キリトを指差して言った
「俺知ってる!こいつは、元βテスターだ!!だからボスの攻撃パターンとか、旨いクエとか狩場とか、全部知ってるんだ!!知ってて隠してるんだ!!」
みんなの方へ向き、叫ぶ
だがそれに反論を唱える者がいた。エギルのパーティにいたメイス使いだ
「でもさ、昨日配布された攻略本にはボスの攻撃パターンはβ時代の情報だ、って書いてあったろ?彼が本当に元テスターなら、むしろ知識はあの攻略本と同じじゃないのか?」
「どうせあの攻略本がウソだったんだ。アルゴって情報屋がウソを売りつけたんだ。あいつだって元テスターなんだから、タダで本当のことなんか教えるわけなかったんだよ!」
だがその反論さえももみ消される
それに対しキリトは沈黙している、そろそろタカ達の我慢も限界だった。物申してやろうとタカ、ダイチ、エギル、アスナの四人は口を開こうと前へ出るがキリトはそれを制した
そしてキリトは口を開き
「く、ははは、はっはははは!」
あまりにも愉快そうに、楽しそうに笑った。いや、笑ってみせた
「何がおかしいんだよ!!」
「いや、ただ俺を他の元テスターと一緒にしてるあんたらが実に面白くてさ。…………俺をあんな素人連中共と一緒にしないでもらいたいな」
「な………なに?」
「いいか、よく思い出せよ。SAOの
キリトは冷淡に、その先の言葉を口にした
「俺はβテスト中に、他の誰も到達できなかった層まで登った。ボスのカタナスキルを知ってるのもずっと上の層でカタナを使うMobと戦ったからさ。他にも色々知ってるぜ、アルゴなんか比べものにならないくらいにな」
キリトは嘲笑うように言った
最初、キリトを元テスターと言った男が掠れ声で言う
「……………なんだよ、それ………。そんなの、βテスターどころじゃねえじゃんか……もうチートだろ、チーターだろそんなの!!」
そうだ!チーターだ!、ベータのチーターだ!!、ビーターだ!
「Beターン!!」
「ここでボケてんじゃねえ!!」
何やら馬鹿な声も聞こえる
だがキリトはそんなことも気にせずその場の全員をぐるりと見回して言った
「…………《ビーター》、いいなそれ。
そうだ。俺は《ビーター》だ。これからは、元テスターごときと一緒にしないでくれ」
キリトはウインドウを操作する。そしてボスのLAでドロップしたものだろう。キリトの着ているくたびれた灰色の生地が艶のある漆黒の皮へと変化した。それはロングコートいう感じで裾が膝下まで達している
コートをばさりと翻し、キリトは二層へ続く扉へと足を向ける
「二層の転移門は俺が有効化しといてやる。この上の出口から少しフィールドを歩くから、ついてくるなら初見のMobに殺される覚悟をするんだな」
そして歩き出した。キリトがタカとダイチの隣を通ろうとする
キリトは二人に目線ですまないとだけ伝えてそのまま通る
「「ちょっと待ちなよお兄さん」」
「ぐべっ!!」
だが二人はキリトの襟首を掴んで無理矢理引き止めた
「な、何すんだよ!」
「何すんだよじゃないんだよ。このお馬鹿」
「一人で全部背負ってどうすんだよこのお馬鹿」
「なっ!…………」
「「俺達にも背負わせやがれ、この馬鹿野郎!!」」
二人の声がその場に響き渡る
それを聞いて先程の男が声を荒げた
「お前らはそいつに味方するつもりかよ!!」
「ああ、そうだね。味方するさ」
「キリトは俺達に生きるための知識を教えてくれた。何も知らない俺達はこいつにしてやれることは少ないけど、信じてやることはできる」
「「俺達はどんな状況になろうがこいつの味方だ!!」
タカとダイチは武器を抜いてキリトを中心に交差させるように地面へと突き刺す
「文句があんならかかってこい」
「一人残らずぶっ飛ばしてやるよ」
二人は凄みを放っている、その凄みに圧倒され誰も何も言えない
やっとの事で絞り出すように男が言った
「お、お前らも………ビーターの仲間、なんだな」
「ああ、さっきから言ってんだろ」
それだけを聞くと男は後ろに下がった
それを見るとタカとダイチは踵を返して歩き出す
「………………行くぜ、二人とも。二層の有効化しなきゃな」
「おう……………どうしたキリト?行こうぜ」
キリトは呆然と二人を見ていた。タカに呼ばれてはっと我にかえる
「あ、ああ、行こう」
そして三人は肩を並べて歩き出した
第二層へも続く道を
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