ソードアート・オンライン〜空と大地〜   作:クラッカーV

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"進化していく武器"

ダイチside

 

「ダイチさーん。素材取れました?」

 

シリカちゃんが背の高い草むらをわけ、顔を出して言う

 

「ああ、そっちはどうだ?」

 

「はい、大分集まりましたよ!」

 

にかやかに言う彼女は草むらから出てきてVサインを作る

 

「よし、じゃあ少し休憩してから帰ろうか。タカ呼んでくるから先に安全なエリアに行っててくれ」

 

「はい!行こう、ピナ」

 

『キュルルル!』

 

シリカちゃんの後ろから出てきた小竜が応えるように鳴く

 

小竜の名前はピナ。種族名は《フェザーリドラ》

 

この前シリカちゃんとここより下層に行った森で偶々出会ったレアモンスターで、攻撃もせず近寄ってきたところをシリカちゃんが偶々前日に買っていた袋入りのナッツをあげたら仲間になったモンスターだ

 

主住区に戻ると大きな騒ぎがあったんだが………あれは思い出したくないな

 

一番印象に残っていることがタカのあの複雑そうな顔。あれなんかは早急に記憶から消し去りたい………

 

「…………」

 

少しだけ感傷に浸りタカのいる場所へと歩みを始める

 

あのクエストから三ヶ月経った。俺達はあの後二層の攻略には参加せず、ただレベル上げに勤しんでいた

 

現在の最前線は十六層。あれからこの城の攻略はとてもハイスペースで進んでいる

 

本当のことを言えば攻略には参加したかった。でもタカの状況から見てとても参加出来るような状態じゃなかったんだ。キリトにある程度理由も話し第二層攻略は俺達は欠席となった

 

「おーいタカ。少し休憩しよう」

 

前方にタカを見つけて声をかける。タカは自分の分の素材が集め終わったんだろう、剣を振っていた

 

「…………ん?ああ、わかった。今行く」

 

俺の声に若干時間をおいて応えたタカは剣を鞘に収めてこちらに歩いてくる

 

「どうだ?調子は」

 

「ま、ぼちぼちかねぇ」

 

顎に手を置いてそう言うタカに俺は苦笑いを作る

 

三ヶ月も経ってタカは大分戻ってきた。最初の頃なんかはずっとふさぎ込んでいたんだ

 

それのせいで俺と大喧嘩したっけ、生まれて初めてタカとした大喧嘩は最終的にデュエルにまで発展して…………結局決着がつかなかった

 

それからは徐々に快復してきてるんだが……

 

「あ、ダイチ。俺武器の強化が終わったら少し行くとこがあんだ」

 

「?どこに行くんだ?」

 

「ちょっとエギルに会いにな。一人で行くからお前らは休んでてくれていいぞ」

 

「…………そうか」

 

タカは、俺達と一緒に行動することが少なくなった

 

今となっては俺もシリカちゃんも気にはしてないが、やっぱり少し寂しく感じる

 

「しっかし、こいつの強化はなかなか大変だよな」

 

タカは剣を小突いて言う

 

「ああ、そうだな。集める素材が多すぎる」

 

「ま、その分モンスターを倒してレベルが上がるからいいけどな〜♪」

 

実際それ程でも無い気がするが…………

 

「でも、これは強いよ。まさかSAOにこんな武器があるなんてな」

 

「"進化していく武器"、か………」

 

"進化していく武器"。俺とタカの武器は三ヶ月前のクエストで手に入れた武器であり、その武器は強化限界に達すると進化し、武器のステータスが上がるみたいなんだ。まあ数値的に言えばごく少量だが

 

更に進化した武器は強化値が0になり、強化限界値も増えてまた強化が出来る。つまりこのSAOの中で俺達は武器の更新を行わなくていいというわけだ

 

俺のハンマーの名前は《竜骨鎚》。タカの剣の名前は《竜骨剣》。今まで二回の進化をしており、今回は強化値0になった武器を強化するのだ

 

しかし何故こんな武器が俺達の手に…………。あのクエスト自体何かおかしいんだよな

 

「あ、タカさーん、ダイチさーん。早く早く!折角お菓子作って来たんですから!」

 

「お、マジで?今回で試作品何号目よ」

 

「57号目です!」

 

俺が考え事をしていると既にシリカちゃんのいるエリアに着いていたようだ

 

「さ、どうぞ食べてみてください」

 

シリカちゃんがバスケットの中から手作りのお菓子を取り出す

 

最近になって料理スキルを生かしお菓子作りに励んでいるらしい。俺達はその試作品を食べさせてもらっているんだが…………

 

「シ、シリカ……これ、何だ?」

 

俺達の前に差し出されたものは真っ黒いタルトだった。まだ黒いというならわかる、チョコかもしれないからな

 

だけど………だけど………なんで沸騰しているんだ………!!グツグツは言ってないけどなんか沸騰してるっぽい!

 

「この前採った《ネバブの実》をタルトにしてみたんです。まだスキルがそんなに高くないのでうまくは作れませんでしたが…………きっと大丈夫です!」

 

「ジャストモーメントだシリカちゃん」

 

「じゃ、じゃす……もーめん?」

 

ああごめん、シリカちゃんは知らない英語だったんだね

 

「取り敢えず、何故これは沸騰しているんだい?」

 

「え?沸騰?違いますよダイチさん。ただ実の塊があるだけですよ」

 

「そ、そうなの?」

 

「はい!………さ、どうぞ食べてみてください!」

 

そう笑顔でタルトを差し出してくるシリカちゃん

 

いや、これホントに沸騰してないの?なんか色々と怪しいよ。これまで食べてきたどんな物よりも悪質な色してるよ?

 

「…………ダイチ」

 

「タカ……」

 

タカも俺と同じことを思ってたんだろう。目と目を合わせて頷き合う

 

一抹の不安は拭いきれないが………

 

「「いただきます」」

 

俺とタカは出来るだけ一口でタルトを平らげる

 

「「…………」」

 

特になんとも無………

 

「「ゲホッ!ゴホッゴホッ、ゲホッゲホッ!!」」

 

後からきた味に俺とタカは急にむせた

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

心配そうにするシリカちゃんを手で制する

 

な、なんだこれは………口の中で生焼けの生地と果実のなんとも言えない味が混ざり合って……………

 

「う、うまいぜシリカ」

 

「っ!?」

 

マジかタカ。お前これがうまいのか……!

 

「そうですか、それは良かったです」

 

胸を撫で下ろすシリカちゃん

 

「あ、ああ………(プルプル」

 

?タカの手が若干震えている

 

…………ああ、そうかそうだった。タカはそういう奴だったな

 

タカは孤児院で子供達が作った失敗作のお菓子を美味しい美味しいって食べてたっけ。俺もそんなタカを見習ってどれだけコゲ臭かろうがどれだけ生焼けだろうが美味しいと言って食べていた記憶がある………

 

あいつ、無理してやがる…………

 

「ダイチさんはどうですか?」

 

「ああ、美味しいよ」

 

なるべく自然に返す。この時ポーカーフェイスではなく笑うということを忘れない

 

「やった!美味しいって、ピナ」

 

『キュルルル!』

 

ピナを抱いて嬉しそうに笑っているシリカちゃんを見ているとなんとも言えない感じになるが………

 

「ピナも食べてみる?」

 

「「!」」

 

マ、マズイ、ピナにあれを食わせてはいけない!ピナに食わせたら何らかの反応は返ってくるだろう。だがそれは明らかに良くない反応であることは間違い無い!そうなったら俺達が無理をしていたことにシリカちゃんは気付いてしまい………

 

ここは止めなければ!

 

「シ、シリカちゃ…………」

 

俺の唖然としながら硬直した

 

俺のアイコンのところにあるものがあったからだ

 

そこにあったのは不幸状態を示すものだった

 

「(な・ぜ・だ!)」

 

もうわけがわからない、タルトを食べただけなのに何故こんなものが………

 

「目、目が………目が見えないぃ………」

 

「ど、どうしたんですかタカさん!?」

 

タカは暗闇状態に陥っている

 

ランダムなのか…………

 

「……………あぁ、平和なのかもしれない」

 

「突然何を言ってるんですかダイチさん!?それよりタカさんが!」

 

…………俺は、現実逃避を決め込むことにした

 

ダイチside out

 




急に跳んで三ヶ月後。こっからちょっとずつ原作へ入っていきます
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