ソードアート・オンライン〜空と大地〜   作:クラッカーV

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待たせたな!

え?待ってない?……………ごめん


乗り越えろ

タカside

 

「……………それじゃあ、話してもらおうか」

 

外周部から飛び降りようとした男を救出した後、無理矢理引きずってその男が泊まっていただろう宿へと来ている。エギルの店でも良かったが何やらただならぬ様子なので辞めておいた。エギルは既に店番の方へ戻っている

 

「……………」

 

男はさっきから黙ったままだ。目は焦点があっていない

 

「………キリト」

 

「ああ、わかってる…………」

 

俺はキリトに話すよう催促する

 

わかってると本人は言っているが、心の準備ができていないらしい。何故かさっきから男をチラチラと見ている

 

「シリカ、そいつを連れて別の部屋に行っててくれ」

 

男が居たら話しにくいと判断した俺はシリカに言った

 

「わかりました。………さ、行きましょう」

 

シリカは男を連れ部屋を出て行く

 

「これで話せるか?」

 

「ああ、ありがとう。……………俺は……」

 

そして、キリトはゆっくりと話し始めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キリトは全て話してくれた

 

ここ数ヶ月、《月夜の黒猫団》というギルドに入って居たこと

 

《月夜の黒猫団》のメンバーを攻略組へと育て上げることで、ビーターである自分を正当化しようとしたこと

 

ケイタと言う、先程の男がギルドホームを買いに行っていた時に、仲間達と一緒にここから二層上、最前線から三層下の迷宮区へ稼ぎに出たこと

 

その時に仲間の一人が開けた宝箱がトラップで、そのせいで皆が死んでしまったこと

 

サチと言う女の子との誓いを、守ることが出来なかったこと

 

自分が、仲間を殺してしまった…………と

 

「これで…全部だ……」

 

話し終わっ後、キリトは俯く

 

「………………」

 

「キリト……」

 

俯くキリトを、俺は無言で見据える

 

「ダイチ、先にシリカのとこ行ってろ」

 

「……なんでだよ」

 

「俺はこいつに言いたいことがあるから」

 

「……………わかった」

 

俺が言うとダイチは部屋から出て行く

 

ダイチが居なくなったのを確認した俺はキリトの前に歩み寄る

 

「キリト、顔上げろ」

 

「………タk(バキッ!)!?」

 

俺はキリトの頬を容赦無く殴った。まあ圏内だから《アンチクリミナルコード》によって防がれるんだがな

 

「な、何す………」

 

頬を押さえて文句を言おうとしたキリトは俺の顔を見て止まる

 

「今のは、俺のお前に対しての怒りの分だ」

 

「……………」

 

「キリト、これはお前の問題だ。お前が自分で引き起こしてしまった問題だ」

 

本当なら止めることが出来たはずだろう

 

「仲間が死んだのも、全部お前の問題だ」

 

なんでそれが出来なかったんだよ

 

「何か出来たのに何もしなかったお前に、俺は心底腹が立つ」

 

今のこいつは、半年前の俺だ

 

「…………そんなの、わかってる」

 

「気付いたのは失ってからだろう?」

 

俺もそうだった。ブルーを失って、初めてわかった

 

「……これはお前『だけ』の問題なんだ」

 

「……………」

 

「だから、俺にもダイチにも、シリカにも………誰にも背負うことは出来ない。背負わせてはいけないことだ」

 

俺も一人で背負っている。あれは俺だけのことだから

 

「お前は、これからずっと一人でそれを背負って生きていかなければならない」

 

「わかってる!」

 

キリトは耐えかねたかのように大声を上げる

 

「そんなことはわかってる!わかって、るんだ………」

 

キリトの頬に涙が伝う。それを我慢するかのように下唇を噛み締めていた

 

「……………お前は、俺より年下なのに無理しすぎだ。泣きたい時には泣けよ」

 

俺はキリトの頭に手を置いて優しく撫でる

 

よく、孤児院の子供達にやるように、ゆっくりと………そして優しく

 

「う………うぁ…………あああああああ!」

 

「泣きな………今は好きに泣けばいい」

 

俺は、しがみ付いて泣くキリトの頭をひたすら撫でてやった

 

タカside out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダイチside

 

タカとキリトを残して部屋から出た俺はシリカちゃんのいるもう一つの部屋へと足を運ぶ

 

「入るz「なんで僕を助けたりなんかしたんだ!!」………どうした?」

 

俺が扉を開いた瞬間に聞こえてきたのは怒声

 

「ダ、ダイチさん……」

 

「君は………くっ……」

 

男は俺を見て俯くと俺を押し退けて外に出ようとする

 

「待てよ、行かせるわけにはいかないな」

 

男の肩を掴んで止めた

 

「離して、くれないか………?」

 

「離したらその後あんたはどうするんだ?どうせまた飛び降り自殺しようとするんだろ」

 

俺が言うと男は図星を付かれた様な顔をする

 

…………こいつ、何があったのかは知らないが相当だ

 

「…………僕の、仲間は……皆死んだ。僕は……もう…」

 

「大切な人達だったんだな………」

 

「あぁ……皆、同じ高校の研究会のメンバーだった。皆、とても良い奴で………なんで、ぼくだけが………ぼくもあのとき、皆といっしょに行っていれば……」

 

目から涙を流す男はその場で膝を折って嗚咽をもらす。何もかもを後悔するように泣く男の姿を見て俺はなんとも言えない感情が湧き上がってくる

 

「…………なあ、あんた名前は?」

 

「………………ケイ、タ」

 

名前を聞くと、ケイタは途切れながらも名乗った

 

「ケイタ、か……。なあケイタ。残されるって辛いよな。置いていかれるって、辛いよな」

 

俺がそう言うとケイタは同意するようにゆっくりと頷く。俺もケイタに合わせてしゃがみ、肩をポンポンと叩いてやる

 

このデスゲームで大切なモノを失った人を俺は見た。目の前にいるケイタだったり、モンスターに仲間を殺された人だって見た。…………タカだって、大切なモノを失っている。そして皆、同じように泣く。無力な自分を悔いる様に、絶望したかの様に………

 

俺もいつか、失う日が来るんだろうか?タカが、シリカちゃんが、キリトが、アスナやクライン達、エギルが死ぬ。そんなことを考えたら震えが止まらない

 

特にタカが死んだら、なんて思うと身を引き裂かれる感覚に襲われる。生まれた時から一緒に居たんだ。それほど俺にとっては大きい存在なんだ

 

そんなのは嫌だ。誰かを失うなんて絶対に嫌だ

 

「でもな………その辛さはいつか、乗り越えていかなきゃいけないんだ」

 

「乗り、越えて………?そんなの無理だ……」

 

「それでも乗り越えていかなきゃいけない。今のケイタには酷な話かもしれない。俺もケイタと同じ状況になったら、乗り越えるなんて無理だ、って言って投げ出してしまうかもしれない。これは他人だから言えることでもあるからな」

 

大切な人の死を乗り越えるなんてこと、俺でも出来る自信は無い。俺だってケイタみたいに死のうとするだろう

 

「でも、お前が死んだところでどうにもならないだろう?それに、お前が死ぬことをお前の仲間が望んでると思うか?」

 

「それは………」

 

ケイタは口ごもる

 

「もしそう思うんなら、俺が断言してやる。そんなわけがない」

 

ケイタの仲間達を知ってるわけじゃないが、これだけは確実に断言出来る

 

「それに、仲間のことを本当に大切だと思うのなら、生きろ。仲間の分もしっかり、この世界で…………!」

 

俺はケイタの肩を強く握り言う。ケイタは俺と目を合わせる

 

「…………僕は、生きていていいのか?」

 

「生きちゃいけない命なんて無いんだよ」

 

「……ありがとう」

 

ケイタの目は、もう絶望を宿してはいなかった。これでもう自殺なんてしないだろう

 

「君も、さっきは怒鳴ったりしてごめん」

 

「い、いえ、大丈夫です。私も、タカさんやダイチさん、ピナが居なくなったら……」

 

『キュルルル………』

 

シリカちゃんはピナの頬を撫でてそう言う

 

……………うーん、なんか雰囲気がさっきから重いよな。まあしょうがないことなんだろうけど

 

「………そうだ」

 

「?どうかしましたか?ダイチさん」

 

「ああ。なあシリカちゃん、俺達そろそろギルドを作らないか?って話をしてたよな」

 

そう、俺達はギルドを作ろうと前々から思っていたのだ。でもそうなると第三層まで戻って七面倒臭いクエストをしなきゃならないと言うわけなんだが、その分最前線から離れることになるし、タカが面倒臭いと渋るのでなかなか作れないでいた

 

「………言ってましたっけ?」

 

「言ってたよ………」

 

若干呆れながらも言う

 

「だからさ、ケイタのギルドに入れてもらわないか?」

 

「「…………………は?」」

 

間の抜けた声が二つ、部屋の中に響いた

 

………あれ、駄目?

 

ダイチside out

 




月夜の黒猫団に加入を提案したダイチ

さて、この先どうなるだろうか
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