ソードアート・オンライン〜空と大地〜   作:クラッカーV

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誓いとメッセージ

ダイチside

 

「駄目………か?やっぱり」

 

「いや、駄目じゃないんだけど…………。今は、ごめん」

 

………やっぱ、そうだよな。いきなりそんなこと言われても困るよな

 

「ごめん、今のは忘れてくれ」

 

「すまない。……………少し、いいかな?」

 

「なんだ?」

 

「…………《生命の碑》に、行きたいんだ。一人で」

 

《生命の碑》、か……

 

「大丈夫。もう、あんなことなんてしないから」

 

あんなこと、自殺のことだろう

 

ケイタの目はもう光が戻っている。一人で行かせても大丈夫そうだな

 

「………ああ、いいぞ。その前にフレンド登録だけはしておこう」

 

「わかった」

 

俺とケイタ、シリカちゃんはフレンド登録をする。そしてケイタは部屋から出て行った

 

「………………ありがとう」

 

その一言を残して

 

ダイチside out

 

 

 

 

 

 

 

タカside

 

「………すまない」

 

泣き止んだキリトは目を拭い、一言呟く

 

「なに、良いってことよ。泣きたい時はいつでもお兄さんの胸を貸してあげるぞ?」

 

「…ありがとな」

 

少しは元気になったみたいだ。キリトは立ち上がる

 

「なんだ、もう行くのか?」

 

「ああ……。世話になったな」

 

そう言って部屋から出て行こうとするキリト

 

その背中は、初めて見た時よりも多くの何かを背負ってるように見えた

 

「なあキリト」

 

「……?」

 

「俺はさっき、お前しか背負ってはいけないことだって言ったな。けど………もし重くて、疲れちまった時は、うちに来いよ」

 

俺も立ち上がる

 

「そしたらよ、俺もダイチもシリカも三人で、お疲れっ!って言ってやるよ。そんで、皆で騒いで食って飲もうぜ!シリカの料理、最近美味くなってきたんだぜ?最初は不味くはなかったんだけど……まあ色々あった」

 

あの時はやばかったな………。いきなり目の前真っ暗になるし

 

「………ふっ、なんだよそれ」

 

「あ、今笑った?笑ったよな!」

 

キリトの笑った顔久しぶりに見たぜ!

 

「な、なんだよ………。俺だって笑うさ」

 

「そうかそうか、笑ったか!あっははは!」

 

「ったく……、それじゃあな」

 

む、なんだ。本当に行っちまうのか………

 

「……………またな」

 

「!……おう、またな!」

 

またな、確かにそう言ったキリトに俺は満面の笑みで返す

 

キリトは恥ずかしそうに頬を掻くと今度こそ出て行ってしまった

 

「…………頑張れよ」

 

キリト、これからお前はその重いもん背負って歩かなければいけない。俺はそれを見守っててやるぜ

だから、笑顔で見送るんだ。そしたら、笑顔で出迎えれる

 

………俺にはそれしかしてやれねえから

 

「さぁて、ダイチ達の所に行こうかね」

 

そして俺は、ダイチ達のいる部屋へ向かって歩き出した

 

タカside out

 

 

 

 

 

 

 

「ぬわにぃ!?ケイタを一人で行かせただぁ!?」

 

部屋に入ったタカはケイタがいないことに気付く。シリカは説明し、それについてタカは大声を上げた

 

「大丈夫だって、あいつはもう自殺なんてしないよ」

 

「…………むぅ、ダイチがそう言うんなら」

 

ダイチの言葉で渋々引き下がる

 

「ああ、それと………ケイタのギルドに入れてもらえないか聞いたんだけど。今は駄目だってさ」

 

「ギルドォ?そういやぁそんな話あったな。面倒臭いクエスト受けなきゃならんからな。いいんじゃないか?」

 

「タカさんはクエストが面倒臭いだけでしょ………」

 

「最前線から離れるのもなぁ……」

 

「まあ、確かにそうですけど」

 

タカは椅子にどっかと座り込んで溜息を吐いた。シリカもそれを見て溜息を吐く

 

そしてその場を静寂が包んだ

 

「…………狩りにでも行くか?」

 

「ケイタを待たなくてどうするんだよ」

 

「それに今日のノルマは終わってるはずですよね?もう今日はやる気が起きませんよ……」

 

ダラァ、と机にダラけるシリカ。タカも同じように椅子にグデェ、ともたれかかる

 

「じゃあよぉ………ケイタが戻ってくるまでここにいるってことだよな?キリトはもう行っちまったし…………どうすんだよ。ここ俺達が借りた宿じゃねえぞ?」

 

「「あ………」」

 

タカの言葉に二人は愕然とした

 

「金は俺達が払うことになるのか?」

 

「……………まあ、いいじゃないか」

 

ダイチは苦笑いしながらそう言う

 

それを見たタカはフン、と鼻を鳴らす。そして目を瞑り、寝息を立て始めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………皆」

 

《生命の碑》にやってきたケイタは全てのプレイヤーの名前が刻まれた場所の前で膝を着く

 

「ササマル……サチ……ダッカー……テツオ………」

 

順番に名前を指でなぞり、口に出す

その姿は別れを惜しむように、不甲斐ない自分を悔いるように

 

そしてゆっくりと、花束をその場に置いた

 

 

ケイタside

 

「僕は、一人生き残ってしまった」

 

君達は、僕を置いて行ってしまった

 

「僕も死のうとしたけど無理だったよ。ある人達が助けてくれたんだ」

 

自殺しようとした僕を助けてくれた。最初は何で助けたんだ、って怒鳴っちゃったけど………

 

「それで、僕に皆の分まで生きろ、って……」

 

そこまで言って、僕はやっと頬に伝う雫に気が付いた

 

……………僕は

 

「僕は、誓うよ。必ず……必ず、この世界で生き続けてみせる!死んでしまった皆の分まで、生き続けるから!だから………僕を、見守っていてくれるかい?」

 

答えが返ってこないことはわかっている。けれど、聞かずにはいられなかった

 

きっと見守っていてくれる。僕はそう信じる

 

「…………それと、僕達のパーティに入りたいって言う人達がいるんだ」

 

何だか取っ替え引っ替えみたいで、あまり良い気持ちにはならないけど………

 

「皆優しそうで…………僕は、その人達と一緒に生きようと思う」

 

目から流れる雫を拭う。そして立ち上がった

 

「僕、頑張るから。きっと、このゲームをクリアしてみせる。…………今は弱いけど、これからどんどん強くなって、攻略組に入るよ。キリトと、同じ所に立つんだ」

 

キリトのことをもう恨んでいないのか、と聞かれれば悩むだろう。恨んでいると言ってしまうかもしれない。だけど、キリトといた日々は楽しかった

 

僕はキリトにひどいことを言ってしまった。キリトの心も知らずに

…………だから、いつかキリトと同じ舞台に立って、キリトに言おう

 

ごめんなさい、って。そして、仲直りしよう

一緒にまた狩りをしよう。一緒にまたご飯を食べよう、って

 

「もう行くよ。また、来るからね」

 

僕は静かに踵を返し、《生命の碑》を後にする

 

その時、一陣の風が吹き抜けた

 

 

 

『頑張れ』

 

 

 

「っ!」

 

思わず後ろを振り向く

 

確かに今、皆の声が…………

 

「……………うん、頑張る」

 

僕は笑顔でそう答える

 

今の声は、皆が僕にくれたメッセージだと、僕は死ぬまで思い続けるだろう。皆がくれた『頑張れ』の一言には、沢山の思いが詰まっていた

 

 

 

 

 

……………なあ、キリト

 

いつか僕が君の隣に立つ日が来たら、君は僕に背中を預けてくれるかい?

 

君は僕を頼ってくれるかい?君は…………また、僕に笑って話してくれるかい?

 

僕の夢は、黒猫団を攻略組にすることだった

 

でも、君と隣り合わせになる時は、その夢は叶えられているね

 

だから、もう一度新しい夢から始めよう。皆で、一緒に

 

…………勿論キリト、君も一緒だよ

 

ケイタside out

 




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