Illegal academic story1   作:ライトネーム

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満たされぬ思い 向ける矛先無き感情に揺れる者がいた。そして、物語は、彼に運命の決断を迫ろうとしていた。 なーんて、予告みたいなものを書いてみました。


本当の想い

胸くそ悪い・・イライラする。

 

この気持ちに支配され始めたのは、アイツが来てからだ。

ガロス・コウサイは、イライラした気持ちを抱えながら学園の

敷地を歩いていた。

 

リノアス・ディータス

 

初めて奴と会い、階段の踊り場で突き飛ばした時は、弱っちい奴と

思っていたが、その後の教室で執った行動や屋上での発言。

まるっきり別人だった。

 

「くそ!!」

ガロスは、苛立ちを紛らわせるために近くの壁を殴りつけた。

奴は、目の中で笑ってやがった!

「畜生!!なんで、あんな奴の言う事がきになってんだよ!獣人とか魔族の奴らを好きになれる訳ねぇじゃねぇか!!」

叫べば叫ぶほど、苛立ちと屈辱感が募っていく。

苛立ちに任せて近くの芝生の上に寝転がった。初夏の日差しは、まだ高い。

奴らが担任と先公と一緒に出ていっちまってから、仕方なくパートナーを探したが、誰も組んでくれやしねぇ!

やっぱ、日頃の行いが悪かったからだろうな。

意外に、自分が迷惑をかけていると自覚しているガロスは、空を見ていた。

その時、何となく逸らした視界の隅に何かの人だかりが見えた。

「なんだ、ありゃ?」

そう呟いて起き上ったガロス。よく目を凝らして見ると、誰かが寄ってたかって殴られていた。

「ち!」

ガロスは、舌打ちを一つして人だかりに向かって走り出した。

喧嘩は大好きだが、卑怯な戦いだけは、大嫌いだったからだ。

 

しかし、この行動が、ガロスの人生を大きく変える事になるとは、

本人は知るよしも無かった。

 

ガロスは、走りながら人だかりが見える距離まで来ていた。

 

 

そして足が、止まってしまった。

 

大勢で暴行しているのは、自分と同じ人間の生徒達である。そして、殴られているのは、黒いタテガミのある獅子人の男子生徒であった。

今、助けに入れば、俺もまた裏切り者と呼ばれる事になるだろう。

それは、嫌だ。見て見ぬフリをするか・・・。

そう決めたガロスの足は、そこから離れるために動こうとした。

その時、頭の中で、あの言葉が響いた。

 

『一人じゃ、何も出来ないくせに・・・。』

 

リノアスの屋上でのあの言葉だ。その瞬間、自分の中で何かが

弾けた。

「うるせぇ!見てやがれ、俺は、テメェより弱くねぇ!」

そう一人で吼えると人だかりに歩み寄った。

「おい!何してんだ!!」

「あん? 何だガロスじゃん。」

今まさに殴りつけようとしていた生徒は、手を止めて振り返った。

「何、リンチしてんだよ。」

「はぁ?何言ってんの?コイツ、獣人だぜ?それによ、このタテガミが、ウゼェんだよ。」

ゲラゲラ笑いながら、そいつは、獅子人の生徒を殴りつけようと拳を振るった。

だが、その拳は、動かなかった。なぜなら、ガロスが、自身の手で受け止めていたのだ。

「なんのつもりだよ、ガロ・・・・・。」

「そんだけが、理由なのか?」

ガロスは、遮るように静かな声で聞いた。だが、心は、マグマの様に煮えくりかえっていた。しかし、それに気づかないそいつは言ってしまった。

「ああ、それ以上の理由があるかよ?」

その言葉が、周囲の耳に入った時には、そいつの顔面にガロスの拳がめり込んでいた。

「ざけんな、テメェら!!」

その言葉と共にガロスは、暴行していた生徒達全員を殴り倒していた。

そして、すぐに倒れている獅子人の生徒を助け起こすと、

「逃げるぞ!走れ!」

そう言って強引に手を握って走り出した。

自分は、今まで自分が裏切りと呼んでいた行為をした。

だが、その時には、さっきまでの苛立ちなどは、綺麗さっぱり無くなっていた。

 

あの後、2人は、全力疾走してガロスのアパートまで逃げてきていた。

幸いな事に追手は、振り切ったようだ。

「傷の方は大丈夫か?」

とりあえず、一応、気遣ってみる。

「ああ・・・痛っ!」

獅子人の生徒は強がっているのか、傷の痛みを我慢しようとしていた。

「ったく、あんだけ手加減抜きでやられたんだったら我慢なんかすんなよな。

ちょっと待ってろ。」

そう言って案外、片付いている部屋に座らせて、寝室の方に消えた。

そして、部屋の、それも全く面識のない他種族の生徒の部屋に置き去りにされてしまった彼は、驚いていた。

実は、彼は、ガロスと同じクラスの生徒だったのだ。

そのため、日頃のガロスが、人間以外を嫌っているのを知っていた。

それなのに、自分を助けている、意味が分からない・・・。

「なんなんだよ、アイツ。」

独り言のように呟く。

「アイツって、俺のことか?」

突然、背後からガロスが話しかけてきた。

「うわあああああ!!!」

あまりの驚きに椅子から転げ落ちてしまったが、強打した尻を押えながら、ガロスを見ると、救急箱を持ったガロスが立っていた。

しかも呆れながら・・・・。

「さっさと傷を見せな。化膿する前に。」

そう言って消毒液など取り出した。しかし

「・・・・いい。」

「いや、いいって事ないだろ? ほら、傷見してみ?」

比較的優しい態度で接する。

「いいって言ってるだろ!」

そう言って手を払い除けた。流石に頭にきた。

「てめぇ!人が手当てしてやるって言ってんのに!!」

「嘘だろ!!」

彼は、大声で叫んで、ガロスを睨みつけてきた。

驚いた。そいつの眼は、右目に傷を負い、さらに左右で色が違っていたのだ。

しかも、その目は、涙で潤んで、今にも涙が零れ落ちそうだった。

それを見たガロスは、なんとか言葉を出そうとしたが、口はパクパク動くだけで、何も言葉が出てこなかった。

「・・・・・・。」

何も言うことは出来なかった。

今までいた強気な俺は、もう何処にもいなかった。

その時、何故かリノアスとギースの姿が頭にフッと浮かんだ。

2人の会話や笑顔、それを見ていて何処か感じていた羨ましさ。

 

そうか・・・今、全部分かった。

 

「ゴメンな。」

自然とその言葉が、口から出た。

「え?」

意外な謝罪の言葉に彼は、耳を疑った。

「俺、ずっと自分の本当の気持ちから逃げてた。人間が好きみたいな顔して本当は、そんなフリして理解しようとしてなかったんだな。」

そう言ってガロスは、頭を下げた。その目からは、涙が溢れていた。

部屋の中に静かな沈黙が下りた。

 

「・・・・・もういいからさ、その・・傷の手当てしてくれない?痛いんだ。」

そう言って彼は、照れくさそうにそっぽを向きながら血が滲んだ腕を差し出した。

「お、おう!」

ガロスも、涙を乱暴に拭うと湿布を貼ったり、包帯を巻いたりした。

そして、2人は、考えていた。

 

もしかしたら、チャンスなのではないか・・・。

 

リノアス達のようになれる最大のチャンスが今なのではないか・・。

 

「そういえば、自己紹介してなかったな。俺は、ガロス・コウサイだ。

よろしくな。」

「・・・・俺は、コブメス・アウトイーダだ。」

照れているのか、頬を赤くしながらそれだけ言ってくれた。

 

その時だった。ドアのチャイムが鳴った。

 

その瞬間、表情が、硬くなる2人。まさか、追手が来たのか!?

ガロスは、慎重にドアに近づくと

「誰だ!」

ドアに向かって叫んだ。

「リ・・・リアスだ。は、入っていいか?」

何故か息も絶え絶えの様子のリアスの声が、ドアの向こうからした。

ホッと胸を撫で下ろしながらドアを開ける。

すると、リアスが、室内に倒れ込んできた。

「お、おい!どうしたんだよ!?」

慌てて抱き上げると顔は、真っ青で死にそうだった。しかし、部屋の外を指さして何かを伝えようとしている。

「?」

ガロスは、玄関から顔を出すと硬直した。

そこには、リアスと同じくらい真っ青な顔色の魔族の生徒が倒れていた。

 

「それで、なにがあったんだ?」

2人の体調が、何とか通常に戻ってから事情を聴いてみた。

「何から説明したものか・・・・。」

珍しく悩み顔のリアス。学年一の秀才が、悩むなんて珍しい光景だ。

すると、意を決したように制服の袖に隠された右腕を見せた。

そこには、牙が突き刺さったような二つの穴があった。つまり、

「もしかして、そこの魔族に血をやったのか?」

「ああ。」

リアスは、迷いなく答えた。

「万年貧血、絶望的に体力無しのお前が、随分と無茶したな。」

ガロスは、呆れた様に苦笑した。

「俺は、裏切り者になってしまったな。」

「なんで、助けたんだ?」

本当に理由を聞いてみたい。一番しないと思っていた人物が、あり得ないと言っていた行動をとっているのだ。

「・・・・アイツの、リノアスの言葉で、助けていた。」

「ふぅ~ん。」

正直、驚かなかった。それが、理由だろうとどこか確信していた。

「・・・殴らないのか?」

リアスは、殴られる覚悟できていたのだろう、意外と普通に終わってしまった事にリアスは、拍子抜けしてしまったようだ。

「だって、俺もコイツと相棒になるって決めたからな。」

そう言ってガロスは、横にいたコブメスの肩を抱いた。

「なぁ、だめか?」

「ダメって言っても無理なんだろ?いいぜ、相棒になろう。」

コブメスも笑ってガロスの肩を抱き返した。

「らしいぞ。ベーク・カオスべイン?」

リアスは、横にいる吸血鬼の青年にいった。その言葉に、深紅の瞳を向けたのは、恐ろしい程の美形の顔だった。

「いいのか?私なんかで、ほかにいい奴がいるだろうに。」

ベークは、確認するように静かにリアスに訊ねてくる。

「言わなかったか?私もお前とパートナーになりたいんだ。」

そう言ってリアスは、微笑んだ。

 

 

今まで、世界の常識に囚われていた俺達。

だけど、アイツの言葉で、掛け替えのない存在に気付けた。

感謝してもしきれないぜ・・・全く。

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