芸術家は焔に嗤う 作:しじる
僕とフェイトの小さな展示会。それが終わってからしばらくして、僕とフェイトの距離は大きく縮まった。ほぼ毎日のように暇さえあればフェイトは僕の部屋に来て、僕と話をしたり作品を見たりしてる。僕も彼女が来る度に心が踊る気がする。僕の作品を初めて理解してくれた存在だからだろう。時たまアルフと呼ばれる存在もついてくる時がある。彼女はフェイトの使い魔らしい。アルフの方は僕の作品の良さがわからないようで、初めて見た時なんか口を抑えて苦しそうに唸っていた。その後。
「フェイトに変なこと教えこんだのお前か!」
とブチ切れて拳を振ってきたっけ。まあその直後にフェイトが僕を庇って前に出たから、互いに怪我なく終わったけど。
なんにしても僕の作品の理解者はフェイトのみのようだ。その事に悲しむべきか、喜ぶべきか。いや喜ぶべきだろう。一人もいなかった前に比べれば大きな進歩であるんだから。
そうして今日もフェイトがやって来る。チャイムの音がなる。彼女しか僕の部屋には訪れない。学校では仮初めの友人たちには家に越させないようにしてるから。とすればフェイトしかないわけだ。ゆっくりと腰をあげて玄関へ向かい、そして鉄のドアをあければそこにはフェイトが立っている。最早これも日常の一つだ。
「こんにちは、今日もよろしくお願いします!」
「はい、いらっしゃいフェイト。まあゆっくりとしてね」
彼女を部屋に招き入れて、自分は飲み物を取りに冷蔵庫、フェイトはアルバムを取りに部屋の奥へ。そうして二人でお菓子でも食べながら僕が作品を解説する。そんなゆったりとした時間。これが僕らの日常になってた。
そうしていつものようにアルバムを眺め、話していたときだった。
「私も……作ってみたい」
フェイトがそんなことをこぼしたのは。僕は直ぐ様確認をとった。聞き間違いじゃなかったか知るために。回答は僕の聞き間違いでないことを証明した。フェイトは頷いた。作品を作りたいのかと言う問いに。
嬉しくて穏やかな気持ちでいられなかった。理解者であるフェイトが、僕と同じ制作者になる。それも僕の作品に感化されてだ。ファンが同じ目線で創作をしてくれるんだ。仲間ができたみたいでとても嬉しかった。言葉に表現できない喜びだ。
だが、この作品作りで苦労してきた僕は、すぐに人間で作ろうとは言わなかった。人間で作品を作る大変さを知っていたから。痕跡は消さなきゃならないし、人数はいるし、片付けは大変だし、何よりかさばる。この小さな部屋には直しきれない。だからまずは粘土で作ることを教えてあげた。
粘土はいい。安いし片付けも楽だし、着色も簡単だ。失敗しても、人間や大理石と違ってやり直せる。
その利便性を伝えたら納得してくれた。フェイトもいきなり人間からやろうとは思ってなかったみたいだし、良かった。
だが僕はこの件であることを思うようになるのであった。速く質のいい人間を見つけなきゃ……と。