やっほー、今井リサだよ♪
今アタシは紗夜とふたりでファストフード店に来てるんだ。何か相談したいことがあるんだって。まあ内容はだいたい予想ついてるんだけどね。
「それで、相談なんですが……」
「うん」
「その、青葉さんともっと仲良くなりたいのですが、どうすればいいのか分からなくて……」
やっぱりモカのことだったか~、モカのこと好きだもんね、紗夜。今も恥ずかしそうに俯いて赤くなってるし。可愛いなぁ~♪
あ、何で紗夜がモカのこと好きなの知ってるかというと、前にも相談されたことがあったからなんだよね。まあそれが無くても普段の様子見てれば分かるけど。ずっと目でモカのこと追ってるし、モカと練習した後はすっごい上機嫌だし。
「モカと仲良くなりたいか~。うーんそうだなぁ……」
いくつか思いつくけど、紗夜って結構ビビりっていうかネガティブだからなぁ。紗夜でもできそうなことだと……。うん、これくらいなら出来るんじゃないかな?
「名前で呼んでみるのは?ほら、いつまでも名字呼びだと距離感あるし」
「えっ!?名前でですか!?」
「うん。名前で」
そんな驚くようなことじゃないと思うんだけど……
「で、ですがいきなり名前で呼んでも大丈夫でしょうか……?なれなれしいとか思われるんじゃ……」
いやいや初対面じゃないんだから名前呼びくらい大丈夫でしょ……。アタシなんかモカと初めて会った時から呼び捨てだよ。
「名前呼びくらい大丈夫だって!それにモカがそれくらいでなれなれしいなんて思うわけないって」
モカの方がなれなれしいからね。
「ですが……」
ああもう、めんどくさいな!ぶっちゃけ両想いなんだから大丈夫に決まってんじゃん!でもさすがに言うわけにはいかないしなぁ……そうだ。
「じゃあさ、私を名前で呼んでみてよ」
「今井さんをですか?」
「うん。紗夜って普段からみんなを名字で呼ぶじゃん?だから名前呼びに抵抗あると思うんだ。だからアタシで慣れればモカのことも名前で呼べるようになると思うんだよね」
「なるほど、たしかに一理ありますね」
あ、ついでにRoseliaのみんなも名前で呼んでもらえばバンドの雰囲気ももっと良くなるかも。
「というわけで、紗夜はこれからRoseliaのメンバーも名前で呼ぶこと!」
「え!?」
「名前呼びに早くなれればそれだけモカと距離が近づくのが早くなるんだよ!モカと仲良くなりたいんでしょ!?」
「そ、そうですね。分かりました。これからはみなさんのことを名前で呼ぶようにします。ありがとうございます、今「リサ」……リサさん」
「紗夜さんとリサさんが楽しそうに話してる……。それになんか紗夜さんの顔赤いような?」
――――――――――――――――――――――
どーも今井リサです☆
この間ついに紗夜がモカのこと下の名前で呼ぶことに成功したんだって!わざわざ電話で報告してきたよ。よっぽど嬉しかったんだね~♪
それで今回も紗夜の相談を聞いていくよ!
「それで今度はどんな相談なの?」
「そのですね……、今度の休みにモカさんと遊びに行くことになりまして……」
「マジで!?」
いきなりビックリなんだけど!?紗夜にデートに誘う勇気なんてあったの!?ていうか紗夜の表情!!恥ずかしそうにしつつも隠し切れない嬉しさが滲み出てて幸せで堪らないってのがひしひしと伝わってくるんだけど!!!
「モカとデートなんてやるじゃん紗夜!」
「ででででで、デート!!!???」
うわ、凄い顔真っ赤。今更だけど紗夜ってピュアすぎない?デートくらいでこんなに動揺してたら付き合ってもキスとかできないんじゃないかなこれ。
「好きな人と遊ぶんだからデートでしょ?」
「それはそうかもしれませんが……」
そういえばデートに行くのは分かったけど相談の内容は聞いてないな~。まあ私が途中で遮っちゃったからなんだけども。
「デートに行くのは分かったけど、相談って?」
「恥ずかしいんですけれど、これまで誰かと遊びに行く経験がほとんどなくて……、それで着ていく服とどういったところへいけばいいのかを相談したいと思いまして」
「ん~、服はあとで良いとして、まずはどこへ行くかだね。ここらへんで遊ぶとなるとショッピングモールか遊園地かなぁ。電車を使えばもっと他にもあるけど。
個人的にはショッピングモールがいいと思うよ。いろんなお店があるからいろいろ見て回れるし、買い物に飽きたら映画とかカラオケとかもあるし、疲れたら喫茶店で休憩も出来るし。初めてのデートでも困らないと思うよ」
「ショッピングモールですか。ちなみに他はどういったところがあるんですか?」
「さっきも言ったけど遊園地だね、紗夜も小さい頃行ったことあるんじゃない?スマイル遊園地。前は微妙だったけど、ハロハピがパレードしてから結構いい感じみたいだよ。
最近人が増えてるらしいけどそれでも待ち時間少なくてサクサク周れるみたい。イベントとかもやってるみたいだし、結構楽しめるんじゃないかな?ただペース配分を考えないとすぐに全部周りきってやることなくなっちゃうかも。
他には水族館とか動物園とかいいんじゃないかな?」
「なるほど、ありがとうございます。今回はショッピングモールに行ってみたいと思います」
「それじゃあ今度は服を見にいこっか!アタシがしっかりコーディネートしてあげるよ☆」
紗夜をコーディネート出来る機会なんてそうそうないからね!張り切っちゃうぞー!
「ええ、よろしくお願いします」
「リサさん、まだ周るのですか……?」
「当たり前じゃん!紗夜の勝負服をそう簡単に決められるワケないでしょ!!!次はこれとこれ、あとこれも!早く着替えてきて!」
「わかりました……すぐ着替えてきます……」
「リサさんと紗夜さん?ふたりで買い物かな?」
「おーい、何してるんだー?置いていくぞー」
「あっ待ってよー!」
――――――――――――――――――――――
いえい!アタシだよ!リサだよ!
今回も紗夜の相談……じゃありません!紗夜とモカのデートをこっそりつけちゃいます♪
いやぁ、こんな面白そうなイベントを見逃すアタシじゃないよ!場所もわかってるしもし見つかっても偶然で済むからね!え?紗夜からすれば偶然じゃないって?大丈夫大丈夫!紗夜ギターと勉強以外はわりとポンコツだから何とかなるって!
ちなみに紗夜の服装はライトブルーのシャツに紺青のジーンズ、アクセントに黄色のスニーカー。同系色でコーデしてみたよ!アイテムはハナミズキの髪飾りにネックレス。ネックレスは紗夜がよく付けてるやつだね。
今はだいたい10時前で約束の時間は10時だったはず、紗夜とのデートだしモカも遅れてくることはないと思う。というか紗夜がそわそわしてめっちゃ挙動不審だから早く来て!
「紗夜さ~ん、すみません待ちましたか~?」
「いえ、今来たばかりなので大丈夫ですよ」
噂をすればモカが来たね。そして紗夜、アタシが来た時にはすでにいたよね?最低30分は待ってるよね?
あ、モカの服装は黒いパーカーにダボッとした織部色のズボで靴は明るい赤、アイテムにピアス。全体的に暗めの色が多いけど、靴の赤とモカの髪と肌が白いから全体を見ると結構似合ってる。さすがはデザイナーの娘なだけはあるね。
「モカさん、その服……えっと、とても似合ってますよ」
「ありがとうございます~、紗夜さんも似合ってますよ。全体的に青でまとめられていてクールな感じが紗夜さんのイメージと合ってますし、でもそれだけじゃなくて、靴の黄色がアクセントになって全体を引き立ててます。それに足元に持ってきてるので快活で明るいイメージも同時に感じますね。花の髪飾りもピンク近いので柔らかさや優しさを感じますね~。とってもキレイですよ」
「っ!?」
うわぁ、紗夜真っ赤になっちゃった。というか感想の質が違い過ぎる、これ絶対わざとだよね。
「え、えっとその、モカさんも……き、綺麗ですよ」
「えへへ~、ありがとうございます」
やり返そうと思ったけど何も浮かばなかったのかな?感じたことをそのまま言葉にすればいいんだけど。というか完全にモカに遊ばれてる……。
「じゃあ、行きましょうか」
「そ、そうですね」
「!!?」
おおお!?さらにモカが仕掛けた!!!手を繋いだよ!しかも恋人繋ぎ!紗夜はもう耳まで真っ赤になっちゃってなんかあわあわしてる!
「人が多いしはぐれないように手を繋いだ方がいいと思ったんですけど、ダメ……ですか?」
「!そ、そうですね。はぐれないように手を繋いだ方がいいですね」
モカすごい責めるなぁ。今のたぶん紗夜から見たら上目使いでしょ。もう完全にモカが主導権握ってるね。ちょっと赤くなってるけど。でも紗夜も満更でもなさそうなんだよなぁ……。
っと、移動し始めたね。アタシもぼちぼち行きますか!
場面は変わって今はフードコートにいるよ!
大体3時間くらい色々な店見て周ってたけど、その間ずっと手を繋いでたよ。そのせいかここについて手を離した時に紗夜がめっちゃ寂しそうな顔をして、それを見たモカがすごい焦ってて面白かった。
で、今はランチタイム。紗夜はパスタでモカはモール内のパン屋で買ったパン。ふたりで仲良く食べてるね。
「紗夜さんのパスタ美味しそうですね~」
「よかったら食べてみますか?」
「えっ、いいんですか~?」
「ええ、構いませんよ。どうぞ」
紗夜があーんした!?モカも予想外だったのかびっくりして固まってるし……。それにしても紗夜にナチュラルにあーんする勇気があるなんて思わなかったなぁ……。いや、自分がしてることに気づいてないだけっぽいな。
「食べないんですか?」
「た、食べますよ~。んっ」
お、モカが覚悟を決めて食べた。でもやっぱり恥ずかしいのか俯いて赤くなってる。
「どうですか?」
「美味しいです~、ありがとうございま~す」
「そうですか。よかったです」
モカの返答に満足したのかまた食べ始めようとする紗夜。でも口に運ぶ途中で止まっちゃった。アレはようやく自分が何したのか理解したのかな?うん、そうっぽいね。どんどん赤くなってくし。
「「……」」
うわぁ、なんだあの甘酸っぱい空間。見てるこっちが恥ずかしくなってくるよ。
「……食べないんですか?」
「た、食べますよ。んっ」
お、食べた。勢いよく2口、3口とどんどん食べてる。顔は相変わらず赤いけど。たぶんさっさと食べてさっきのことを忘れるつもりなのかな。てかすごい勢いで減っていくんだけど、さすがに早すぎない?もうパスタほとんどないんだけど。
「さて、これからどうしましょうか?」
「う~ん、紗夜さんはどこか行きたいところあります?」
あっという間にパスタを平らげちゃった。そしてこれからどこに行くか話あうみたいだね。ちなみにモカはいつの間にか食べ終わってたよ。
「私は特にないのでモカさんが行きたいところでいいですよ」
「そうですか~、じゃあゲーセンでも行きます?」
「ゲームセンターですか、分かりました。行きましょう」
どうやらゲーセンに決まったみたいだね。ゲーセンは色々あるから面白いこと起こりそうだなぁ♪
ゲーセンに到着したよ♪
で、今は入口近くに設置されてるクレーンゲームで遊んでるよ。プレイしてるのはおもにモカで紗夜は横で見てるだけだけど、結構楽しそうだしいい感じにデートっぽい。
あれ?モカが退いて紗夜が筐体の前に立った。紗夜もやりたくなったのかな?それともモカが誘ったのかな?あ、ゲーセンは音がうるさくてふたりの会話は聞こえないけど我慢してね。会話が聞こえるくらいに近づくとばれちゃうから。
紗夜のクレーンゲームは1回目は普通に失敗。2回目も失敗。3回目はちょっと持ち上げたかな?でもバランス崩して落ちた。4回目5回目も失敗。6回7回8回目も。あれ、紗夜だけどっか行った。何かモカが困った顔してるけどどうしたんだろ?あ、戻って来た。そして何事もなくプレイを再開した。
それから黙々とプレイし続けて早20回目。その20回目もあっけなく失敗した。悔しそうな紗夜にモカが何か言ってる。そしておもむろにお金を入れると紗夜の後ろに回って抱きしめるように紗夜の両手を取った。え!?
戸惑う紗夜を無視してアームを操作するボタンに紗夜の手を誘導するモカ。紗夜の手がボタンに触れると背伸びして紗夜の肩から顔を出し、紗夜を通してアームを操る。そして見事に景品をゲットした。しかも2つ。
景品を取り出したモカは片方を紗夜に渡した。景品を渡す時に何か言ったのか紗夜はまた赤くなっちゃった。いったい何を言ったのかな?
それにしてもモカめっちゃ積極的じゃん。モカも結構臆病なのに。可愛い後輩が頑張っててアタシは嬉しいよ。ふたりには絶対幸せになってもらいたい。
「あ!リサ姉だ!お~いリサ姉!」
アタシを呼ぶ声がしたから振り返るとあこが駆け寄ってきた。あこも遊びに来たのかな?
「あこ?」
「リサ姉もゲームしに来たの?!」
「いや、アタシは……」
ここでふとホントのことを言っていいのかと思う。ホントのことを言った場合あこは多分誰かに話すよね。そこからどんどん話が広がって紗夜の耳に届いたらアタシが尾行してたのがバレる。うん、ホントのこと言うのはナシ。
「うん!たまにはゲーセンで遊ぶのもいいかなって思って!」
「そうなんだ!じゃあじゃああこと一緒にゲームしよ!」
「え?」
あこに構ってあげたいけどそしたらふたりの尾行ができなくなるんだよなぁ……。これからも絶対面白いこと起こりそうだし出来れば見てたい。でもあこをひとりにしとくのは心配だし。……しょうがないか。
「いいよ!一緒にあそぼっか☆」
「やったぁ!じゃあまずはあれやろ!」
あのふたりはなんだかんだしっかりしてるし大丈夫でしょ。それにここまでで結構楽しめたし、今回はここで尾行終了かな。
「リサ姉早くー!」
「あこー?そんなに急ぐと危ないよ」
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はいどーも!Roseliaのベーシスト、今井リサです!
あれからふたりは何回かデートしてるみたいだよ!みたいっていうのはあれからデートで相談を受けることがほとんどなかったから。デートプランはともかく最近はコーデとかも自分でしてるって日菜が言ってた。もっと紗夜をコーデしたかったなぁ……。
それで今回は久しぶりの紗夜の相談だよ!さっきも言った通りデートのことじゃないだろうからどんなこと相談してくるのか楽しみ♪
ちなみに今回はCiRCLEのカフェだよ!このあとRoseliaのバンド練があるんだよね。まあまだ1時間くらい余裕あるんだけど。
「すみません、待たせてしまいましたか?」
どうやら迷える子羊が来たみたいだね。今回も張り切っちゃうよ!
「アタシもさっき来たばかりだから大丈夫だよ。とりあえず何か頼んで来たら?」
「そうですね、少し待っててください」
注文をしに一旦席を離れた紗夜が戻って来たところで本題に入る。あまり時間かけると友希那に怒られちゃうからね。
「それでー?今回はどんな相談なの?モカとえっちしたいとか?」
「ッ!ゴホッ、ゴホッ……」
「わっ、大丈夫?」
思いっきり
「リ、リサさん!突然何を……!!」
「あはは、ゴメンゴメン。冗談だって~☆」
1割くらいはね。
「はぁ……はぁ……。まったく、そういう冗談はやめてください」
「ゴメンってば紗夜~」
ところで顔赤いの咽たのだけが原因じゃないとおもうんだよね~?いったいナニを想像したのかなぁ?♪
「コホン、それで相談……なんですけど……」
「うん」
「その……」
そこから何も言わなくなっちゃった。口を開いたり閉じたりして言おうかどうか迷ってるって感じ。うーん、そんなに言いづらいことなのかな?
アタシが相談に対する意識を引き上げてると、ようやく話し始めた。
「…………です」
「え?」
「……したいんです」
「ごめん、よく聞こえないからもうちょっと大きな声で喋ってほしいな」
「だから、モカさんに告白したいんです!」
なるほど、告白ね。告白。告白?………………え?
「えええええええええええええ!?告白!?あの紗夜が!?」
「そ、そんなに驚くことじゃないでしょう!というか『あの』ってどういう意味ですか!?」
さあ?どういう意味だろうね?リサ分かんない。
「そんなことより、いつ告白するの?」
「……次一緒に遊ぶときに、そのときに告白するつもり……なんですけど」
「?」
「……自信が持てなくて」
これはあれだね。告白したいけど悪い方にばかり考えちゃってる感じのやつだね。でもまあ今回は告白だから誰でもそうなるか。
「そっか。じゃあさ、練習しよう」
「練習ですか?」
「うん、告白の練習すれば自信つくかなって。というわけでアタシをモカだと思ってやってみてよ。『練習は本番のように。本番は練習のように』でしょ?」
「……分かりました。やってみます」
そう言って目を閉じ深呼吸する紗夜。やがて覚悟を決めたのか目を開き、アタシをまっすぐに見てくる。
「す、す、すきです」
ただそれはあまり長続きしなかったらしく、目をそらしちゃった。声も震えて小さかったし、何より恥ずかしがってるばかりで全然気持ちが伝わってこない。
「そんなんじゃダメ。ちゃんと目を見て声も大きく。せめてしっかり聞こえるくらい」
「好きです……」
今度はしりすぼみになっちゃった。
「ダメダメ、全然声出てないよ。本気で付き合いたいならもっとしっかり声ださなきゃ伝わらないよ」
「好きです!付き合ってください!」
おお、ちゃんとできんじゃん。ちょっとやけくそ気味だったけど、気持ちは伝わってきたし良かったと思う。アタシに言われてる訳でもないのに照れちゃったし。
「うん、いいよ」
多分これで最後の相談だろうし、激励くらい送ってあげようかな。
「紗夜、ファイトだよ!応援してる!」
「!……ええ、ありがとうございました」
「はわわ!?紗夜さんがリサさんに告白するところ見ちゃった!みんなに教えなきゃ!」
――――――――――――――――――――――
リサです。今ちょっとマズイことになってます。
そう。アレは30分前のこと……。
~回想~
放課後、学校でモカを見かけたからいつものように話しかけたんだ。
「やっほーモカ☆」
「……リサさん」
そしたらモカすっごい暗い顔でさ、アタシめっちゃ驚いちゃったんだ。
「モカ?どう……」
「……なんの用ですか?あたしを笑いに来たんですか」
「へ?」
どうしたの?って聞こうとしたら突然そんなこと言うもんだからこれまたビックリ!変な声が出ちゃった。それに多分そのときアタシは結構間抜けな顔してたんじゃないかな?まあそれはいいとして、アタシ全然モカの言ってることに心当たりなかったんだよね。
「それってどういうこと?何かあったの?」
「ッ!あたしが知らないとでも思ってるんですか!?今までもそうやって優しいフリして陰であたしのこと嗤ってたんでしょう!?リサさんのこと信じてたのに!どうして……」
で、どういうことか聞こうとしたんだけど、モカの琴線に触れちゃったみたいで言うだけ言って走って逃げられちゃったんだ。
そりゃいきなり意味わかんないことで責められてワケわかんないまま逃げられて怒りを感じたよ、でもそれ以上に心配だったんだ。だってモカ泣いてたんだよ?先輩としてほっとけないじゃん。それにアタシに原因があるっぽいからなおのこと。だから何か知ってそうなひまりたちに聞いてみることにしたんだ。
「ひまりいるー?」
「リサさん?どうしたんですか?」
「いやそれがさっきモカと会ったんだけどさー、なんか様子がおかしかったんだよね。それで何か心当たりないかなーと」
「うーん、そういえばモカ昼休みから元気がなかったです。今日スタジオで練習なんですけど体調悪いから休むって言ってましたし」
「昼休みから?それ以前は普通だったの?」
「はい。お昼食べてる時に急に元気がなくなったんです」
モカが食べてる時に元気がなくなるなんてただ事じゃないよね。ただアタシ今日は昼休みずっと教室にいたからモカを怒らせるようなことできないんだよ。だから方向性を変えて聞いてみたんだ。そしたら――
「モカアタシのこと何か言ってなかった?」
「リサさんのことですか?とくに何も言ってなかったと思いますけど……。そういえば」
「なになに?何か思い出した?」
「モカが言ったんじゃないですけど、リサさんと紗夜さんが付き合ってるって話しを昼休みにしました。そういえばその話をした辺りからモカ元気がなかったかも?」
「………………え?」
アタシの知らないところでとんでもない爆弾が投下されてたんだ。
~回想終了~
というわけでモカに勘違いされちゃいました☆
いや勘違いされちゃいました☆じゃないよ!マジでマズイよ!モカの視点だとアタシモカの恋を応援するとか言いながら横からかすめ取った最低な女だよ!そりゃモカ怒るよ!というかこのままじゃアタシが嫌われるのはともかく紗夜にまで被害が及んじゃうよっ!
とりあえず紗夜には話したほうがいいよね……。ひまりに事情を話したら青ざめて明日誤解を解くとか言ってたけど、なんか失敗しそうだし。
というわけで紗夜にコールする。3コール目が鳴り終わったあたりで紗夜と繋がった。
「……あ、もしもし紗夜?今大丈夫?」
『リサさん?大丈夫ですけどどうかしたんですか?』
「モカのことでちょっとね……」
『?何かあったんですか?』
「いやぁ、モカにアタシと紗夜が付き合ってるって勘違いされちゃって」
『!?……どういうことですか?』
「昨日告白の練習したじゃん?それをひまりが見てたみたいで、アタシと紗夜が付き合ってるって勘違いしたのをモカにも伝えたみたいなんだ」
『そんな……』
「ゴメン紗夜!アタシがあんな場所で練習させたばかりにこんなことになっちゃって……」
『起きてしまったことは仕方ありません。それよりも何とかモカさんの誤解を解かないと』
「それなんだけど、ひまりに事情を説明したら明日モカと話して誤解を解くって言ってたよ」
『……もしかして私の気持ちを話したんですか?』
「う、それはゴメン、でも告白するなら遅かれ早かれバレたことだし……」
『はあ、それはいいです。いえよくはないんですけど今は置いておきます。それでモカさんは私とリサさんが付き合ってると勘違いしてるんですね?』
「うん、そうだよ。でもアタシが誤解だって言ってもモカ信じないと思うんだ。ちょっと今モカの信用失ってて」
自分で言ってて悲しくなってきた……。なんだかんだモカとはいい関係築いてきたからなぁ……。
『?モカさんと何かあったのですか?』
そうだよ。今回のことでモカとの関係が最悪なものに変わりそうなんだよ……。
「まあちょっとね、それよりモカの勘違いをどうにかしないと」
『そうですね、それなんですがちょっと考えがあるので商店街近くの公園まで来てもらえますか?』
「へ?そりゃいいけどなんで?」
『いいから来てください。ただ来てくれるだけでいいので、お願いします』
「……わかった、商店街近くの公園だっけ?すぐに行くよ」
『ありがとうございます』
通話を終了してポケットに入れる。こんな強引な紗夜珍しいんじゃないかな。それだけ自分の考えに自信があるってことなんだろうけど、いったい何をするつもりなんだろ?ちょっと不安だけれど、アタシに何かできるならやりたいし紗夜の考えに乗ってみようかな。
公園につくとすぐに紗夜とモカを見つけた。モカと会うのは気まずいけれどももう紗夜とバッチリ目が合ったから逃げることができない。
モカもアタシの気づいたみたいで一瞬目を見開いたあとすぐに視線をそらされた。分かってたことだけど傷つく……。そしてモカあの後泣いたんだろうなぁ、目充血してるし腫れてるし。罪悪感が……。
「リサさん、来てくれてありがとうございます」
別に来るのはいいんだけど、なんでアタシ呼ばれたの?モカと話すだけならアタシいらなくない?アタシの登場でモカも暗い顔するし、めっちゃ居心地悪いんだけど……。
そんなアタシをよそに目を閉じて深呼吸し始めた紗夜。10秒くらい深呼吸した紗夜は目を開けてしっかりとモカを見据えてその言葉を紡いだ。
「モカさん、あなたが好きです!私と付き合ってください!!!」
「え……」
顔赤いけどしっかりとモカを見つめて気持ちを伝える紗夜。練習した甲斐があったのかしっかり声が出てる。一方告白されたほうのモカは混乱している様子。そりゃそうだよね。アタシと付き合ってると思ってた人から告白されたんだから。ちなみにアタシも超☆ビックリ!
しかし紗夜も考えたねぇ。アタシの前で告白することでアタシとの関係も同時に否定するとは。もしホントにアタシと付き合ってたとしてもこの告白で破局は必至で関係は続かないと。ただ来るだけでいいってつまりアタシがこの告白に立ち会うことに意味があったんだね。……帰っていいかな?
「紗夜さんってリサさんと付き合ってるんじゃ……」
「それは勘違いです。私とリサさんがそういう関係であるならこの場に呼びません」
「でもひーちゃんが告白してるところ見たって……」
「それはその、告白の練習です。リサさんに相手役になってもらっていたんです」
「それじゃ、ほんとうに……?本当にあたしを……?」
「はい。私はあなたが好きです」
あらら、モカ泣き出しちゃった。まあ無理もないよね。一度は失恋したと思ってたんだから。
「も、モカさん!?すみません、なにか嫌なこと言ってしまいましたか?!」
いやなんでそうなるの、どう考えても嬉し泣きでしょ。今の流れでどうしてそういう考えに至るのか。
「ちがうんです……嬉しくて……」
「嬉しい……?」
何で理解できないのか理解できない。紗夜ってもしかしてバカなの?
結局モカが泣き止んだのは5分くらい経ってからだった。時間確認してないからもしかしたらもっと長いかもしれないし短いかもしれないけど体感ではそれくらい。
「それで、その……返事は……」
そういえば告白の途中だったね、すっかり忘れてたよ。……うわ、紗夜めっちゃ緊張してんじゃん。まあこれから返事を貰うんだから当然か。アタシはモカの返事分かりきってるけど。
「あたしも……紗夜さんのこと好きです」
「それじゃあ!」
「でも……」
喜色満面だった紗夜の顔が一気に不安そうなもの変わった。アタシもここで否定的な言葉が出て来るとは思わなかったから驚きが隠せない。お願いだからここでもう一波乱とかやめてよ……。
「怖いんです。ホントにリサさんと付き合ってないのか。あたしを好きでいてくれてるのか……。だから、あたしのことちゃんと好きだって証明してください」
「証明……ですか?」
「……」
モカは何も言わずに瞳を閉じ、上を向いて唇をつきだした。これって……!?
紗夜もモカが要求する行為に気づいたのか赤くなってる。ってなんでこっちを見るの!?
とりあえず目で促してみる。紗夜はまたモカを見て、覚悟を決めたのか一歩近付きモカの両肩を抱いて、真っ赤な顔を近づけていく。
そして、ゆっくりと唇を重ねた。
……いやぁ、一時はどうなることかと思ったけれどこれで一件落着でいいのかな?とりあえずアタシ帰ってもいいよね?ほら、誤解解けたからもうアタシ必要ないじゃん?それにアツアツのふたりの邪魔をしちゃいけないと思うんだ。
「リサさん!」
というわけで帰ろうと踵を返すとモカがアタシを呼んだ。振り返るとアタシを見つめるふたりが。
「リサさん、さっきはひどいこと言ってすみませんでした」
「気にしないでいいって、アタシもモカの立場だったら怒ってたと思うし」
「でも……」
「いいんだって、それよりも紗夜と幸せになってよ。それがアタシに対する贖罪ってことで」
「リサさん……。分かりました。絶対紗夜さんと幸せになります」
モカの宣言を聞き届けて踵を返す。さて、今度こそ帰りますか。
「リサさん、色々と相談に乗ってもらってありがとうございました。リサさんがいなければ告白することもなかったと思います」
帰ろうとしたら今度は紗夜が話しかけてきた。そろそろ本気で帰りたいんだけど……。
「いいっていいって、それよりせっかくアタシが手伝ったんだから必ずモカを幸せにしてよ。アタシのカワイイ後輩を泣かせたら許さないからね~?」
「……はい!」
今度こそ踵を返して公園を出る。今日は夕飯はお赤飯で決定だね♪