今までの話のようにイチャついてません。甘いのを期待していた方はごめんなさい
デートの帰り道。夕日が照らす街を彼女とふたり並んで歩く。
彼女は何も言わず、私も何も言わない。ただただふたり分の足音が響くだけ。
別にデートが楽しくなかったというわけじゃない。ただデートの帰り道はいつも沈黙が支配していて、そしてそれが私たちの最低な関係の微妙な距離感を表している。
互いに無言のままに歩をすすめ、やがて訪れる分かれ道。彼女は右で私は左、いつもは一言二言交わして別れるだけだけど今日はそうしない。彼女と付き合い始めて1年以上経った。そろそろ彼女との関係を変えようと思う。
「青葉さん、私たち別れましょうか」
「……そうですか。よかったですね」
彼女は寂しそうに、静かに笑った。
私と彼女の関係は失恋から始まった。
私は羽沢さんが好きで、彼女は美竹さんが好きだった。けれど羽沢さんと美竹さんはお互いに好き同士で付き合っていた。想いの実らなかった私たちはやがて互いに傷をなめ合い、慰め合うように付き合い始めた。
今思えばあの時の私はどうかしていた。きっと失恋のショックで正常な判断が出来ていなかったのだと思う。そうでなければ彼女の言葉に応えることはなかっただろう。それでも彼女の手を取ったことを後悔はしていない。そうしなければ当時の私は耐えられなかったし、きっと今も立ち直れていないだろうから……。
そうしてかなりの時間を彼女と過ごすようになったけれど、心はただの一度も一緒になることはなかった。でもそれも当然で、私も最初は彼女に羽沢さんを重ねていたし、彼女はずっと私に美竹さんを重ねていた。デートの時は当然のように、身体を重ねたときでさえも互いのことを見てなかった。
でもそんな関係でも私は羽沢さんを忘れることができた。今はもう羽沢さんへの恋慕を抱いていない。彼女との関係も私にとってはもう不要なものだった。それでもいままで付き合い続けていたのは、まだ彼女にとって必要だったから。
学校も同じでバンドも同じ、いまさら幼馴染としての距離を変えられないというのもあるだろう。どうしても美竹さんと接してしまう彼女はどんどんと傷ついていく。そんな彼女を放っておくなんてことはできるはずがなかった。
ではなぜいまさら別れ話を切り出したのか、それは私が新たな恋をしたから。『どちらかに好きな人が出来たら別れる』付き合い始めた当初からの約束だった。でも約束だけが理由じゃない。
私はこれ以上誰かの代わりになるのが嫌だ。
そう。私は彼女に恋をした。
「いままでありがとうございました」
そう言って踵を返す彼女を引きとめる。まだ帰ってもらうわけにはいかない。
「青葉さん、あなたのことが好きです。私と付き合ってください」
あなたは私と本物になってくれますか……?
1/10に電◯文庫から発売された小説版 BanG_Dream!を買いました。
ガルパから入った私には香澄ちゃんの性格が衝撃的でした。でも正直小説版の香澄ちゃんの方が好きです。
もし小説版 BanG_Dream!読んだことが無い人で気になった人がいたら読んでみることをお勧めします。ラノベなので値段も手ごろですし