鍵をあけ、玄関の扉を開くと、リビングの扉からひょっこりと私の恋人が顔を出した。私が扉を閉めて鍵をかけてる間にトタトタと近づいてきた彼女は、柔らかい笑みを浮かべている。
「紗夜さん、おかえりなさ~い。料理できてますよ~」
「ただいま、モカさん。ごめんなさい、全部一人でやらせてしまって」
「いいんですよ、今日は紗夜さんが主役なんですから。それより冷めないうちに食べちゃいましょ~」
そう言って私の荷物を持ってリビングに戻っていく。私も靴を脱いで、彼女を追いかけてリビングに入る。テーブルの上には所狭しと料理が並べられていた。荷物を部屋の隅に置いたモカさんは、テーブルにつく。
「さあ、冷めないうちに食べちゃいましょう」
待ちきれないといった様子でこちらを見る彼女。彼女を待たせないためにもさっとコートを脱ぎ、彼女の対面に座る。そしてどちらともなく手を合わせる。
「いただきます」
「いただきま~す」
まずはシーザーサラダに手を付ける。みずみずしいレタスの上に半分に切られたミニトマトとパンの耳で作ったクルトンが散りばめれていておいしそうだ。口に含むとレタスのシャキシャキとした触感が私を楽しませてくれる。飲みこめば、口に残ったトマトのほどよい酸味とクルトンの香ばしい香りが食欲をかき立てる。
次にシチューに手を伸ばす。湯気を立てる真っ白なシチューは、パンと合わせるために具は小さめだ。スライスされて籠にまとめておいてあるフランスパンひとつ手に取り、シチューに浸して食べる。フランスパンの固い皮の食感は少し浸した程度では失われず、しっかりとした歯ごたえがある。そしてもっちりとした中にはシチューが染みこんでいて、しっとりとした優しいおいしさが口いっぱいに広がっていく。
「どうです~?美味しいですか~?」
食事の手を止めてモカさんを見る。どこか不安そうな表情で私を見つめる彼女は、いつものことながらとてもいじらしい。
「美味しいですよ、とても」
「そうですか、よかったです~」
私の言葉に安心したのか、ニコニコと嬉しそうに笑い、食事を再開する。幸せそうに食べるモカさんは誰よりも魅力的で、そんな彼女と付き合っていることがとても幸せだと改めて実感する。
「ふふっ」
「?どうかしました?紗夜さん」
突然笑った私に、コテンと可愛らしい仕草で首をかしげ、聞いてくる彼女に答える。
「いえ、なんでもありませんよ」
私の言葉に不思議そうにしていた彼女は、すぐに興味を失ったのか、再び食事を再開する。
私も止めていた手を動かし、料理を口に運ぶ。それはさっきよりもおいしく感じた。
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「ふう……」
あのあと、ささやかなお祝いとしてケーキを食べてから、先にお風呂をいただいている。身体を洗って湯船に浸かると、熱いお湯が心地よくて思わずため息がでてしまう。
今日でもう25になった。この25年間、いろんな事があった。風紀委員としての活動、日菜との冷え込んでいた関係、Roseliaに出会うまでに渡り歩いてきたバンドのこと、Roseliaの結成。他にもいろいろ、今となっては恥ずかしい記憶もあるけれど、どれもこれも今の私を構成する大切な記憶だ。
その中でもとくに輝く記憶は、やはり愛するモカさんとともに過ごした記憶だ。彼女と過ごした日々はキラキラと輝いていて、色褪せることがない。一緒にスタジオに入るようになってから一気に交友が深まって、すぐにライバル兼親友として気の置けない仲になった。そうして彼女に恋をして、交際を始めた。ケンカしたり、破局寸前までいったこともあったけれど、それが私たちの絆をより深くしてくれた。
彼女との思い出を思いだすたびに、彼女への想いが溢れてくる。ああ、私はこんなにも彼女のことが好きなんだ、と改めて実感する。もし彼女に愛想を尽かされてしまったら、きっと私は生きていけないだろう。無論愛想を尽かされないように努力するのだけど。
思い出に耽っているうちに、身体は十分に温まっていた。これ以上入っていてものぼせるだけなのでさっさと上がってしまうことにする。
服を着て髪を乾かし、リビングに戻ると彼女はソファーに座ってギターを弾いていた。彼女のとなりに座り、静かにギターの音色を聞く。最後の一音が空気に溶けたところで彼女を見つめると、それに気づいた彼女もこちらを向いた。
改めてじっくりと見ると、彼女は本当にキレイだ。長めのまつ毛に縁取られた深緑の瞳も、白銀に輝く髪も、陶器のような白い肌も、それに浮き出る鎖骨も、薄く朱がさした柔らかい唇も。
でもそれだけじゃなくて、彼女は内面もとても魅力的だ。普段のふわふわとマイペースだけど実は真面目で責任感が強いところも、細かいことに気づける優れた観察眼も、困っている人をさり気なく助けられる優しさも、結構寂しがり屋で甘えたがりなところも、自分から誘っておきながらいざ本番になると及び腰になるところも。
彼女とずっとこの幸せな日々を一緒に過ごしたい。来年も再来年もその先も、ずっと彼女に誕生日を祝ってほしいし、彼女の誕生日を祝いたい。小さなことかもしれないけど、それだけあれば私は生きていけると断言できる。
気が付くと、するりと口から言葉が零れていた。
「私たち、結婚しましょうか」
「……そしたら役所に行かないとですね~」
彼女は一瞬だけ驚いた表情をしたけれど、すぐに破顔して嬉しそうに言う彼女に釣られて私も笑う。
ロマンチックなプロポーズではなかったけれど、私たちにはぴったりだと思う。だって私が彼女と過ごしたい日々はありふれた日常であって、特別な日々ではないのだから。日常の延長のように、明日の夕食を決めるような気軽さでちょうどいい。
今回のガチャさよモカですね!嬉しくてずっと貯めてたスターを全放出しました
全部で130連して、モカちゃんを迎えることができました!
残念ながら紗夜さんは迎えられなかったので、来年こそはしっかりと当てたいです
お知らせ
4月から働き始めるので最低4カ月は投稿できなくなると思います
それでも書けたら上げていくつもりですのでよろしくお願いします