煉獄?そんなものは無い!
少女の拳が門を殴った瞬間、門の上に座っていた俺の視界は暗転した。
一瞬の混乱の後、門は粉微塵に破壊され、その余波で自分が死んだ事に気が付いた。
恐らく単純な物理攻撃だったのだろう、精神依存体の大悪魔は物理攻撃では滅びない。
個人の実力ではなく、種族としての特性に救われた事に苛立ちを覚えつつ、周囲を確認する。
門から町までの距離は凄まじく離れているので確認は出来ないが、恐らく被害は無いだろう。
何せ衝撃が強すぎて門が砂粒にまで分解されたのだからな、地上の軽く一万倍はある敷地を進む間に余波も撹乱されて消えてしまうだろう。
とりあえず魔王様に危険信号魔法を送り、時間稼ぎをするのが俺の役目っぽいな。
次こそは魂まで滅ぼされるだろうが、魔王様の役に立てるなら後悔は無い、どの道門を守れなかった時点で死刑だしな。
魔力で肉体を復元させ、消し飛ばされた俺の武器『
撃破など微塵も考えてはいない、唯、少しでも時間を稼げればそれで良い、さあ魔王様を守る為の一歩を踏み出そうか。
「‥‥‥凄まじい威力ですね、正に星を砕く拳でした」
「流石としか言いようがないな、あれの直撃を正面から防ぐのは中々骨が折れそうだ」
「素の身体能力最強+魔力無限だからね、そりゃあ星位簡単に砕けるわよ、理論上無限にドーピング出来るのだから」
ふふ、みんな驚いているわね、称賛と驚愕の目が心地良いわ、最高の気分よ。
でも町は随分遠くにあるのね、私じゃないと見れない位遠いわよ、これ。
「さて、さっさと行くわよ、見た感じ町まで7000万キロって所よ、精神体に変化して光速移動しましょう」
「いっそ転移魔法を使われては?転移の秘術でも良いですが」
「いや、ここに主神の力が少しだけあるからそれで諸々の概念を弄るのもありだぞ」
やっぱり私達はどうしても意見が噛み合わないのね、まぁそりゃそうか、違う生き物なんだし、ん?生き物?私って生き物なのかしら?
「ねぇタカミムスビ、私達って生き物の枠の中に入るのかしら?」
「お前は妖怪の概念も司っているからそこが入るな、カミムスビは聖なる命、つまり天使や精霊、その他地上の生き物を司っているからその部分が入る、俺は法則だから生き物の法則の部分が入る」
妖怪の部分ねぇ‥‥‥そう言えば私は全ての妖怪に力を注いでいるのだったわね、今の地上は人間がいないから生き残った妖怪もいずれ妖力が枯れて消滅しちゃうからね。
紫とか強者が折角生き残ったのに餓死なんて寂しすぎるわよ、と言うか惨めすぎる。
そして闇の部分は完全に生き物の枠から外れているのね‥‥‥まぁそりゃそうか、うん、当たり前だったわね。
「やっぱり実体飛行しましょう?物理法則弄って亜光速で飛んで行きましょう、中々乙なものよ」
「ではタカミムスビ、任せましたよ」
「ん、‥‥‥出来たぞ」
物理法則を自分の都合の良い様に改変するには凄まじい量の演算が必要なのだけど‥‥‥ほぼ秒殺とは流石ね。
やっぱり、時間加速で得られる兆年単位の努力よりも個人の特性の方が前に出て来るのね、今なら初期の私を秒殺出来る自信があるのだけど
まだまだこの二柱には勝てる気がしないわ、もっと努力が必要ね、帰ったら星の時間加速を激化させましょう。