原初の大妖ルーミアの旅   作:小鳥

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地獄編Ⅷ

前方1000メートル程に張られていた結界が自動的に解ける。

 

魔王自らが結界を解き放ち、三神と一騎打ちを試みようとしているからだ。

 

その凶像と言えば、右手に膨大な魔力を撒き散らす燃え盛る魔剣、左手に禍禍しい猛毒蒼呪を撒き散らすの骸剣を持ち、全身に金を蒸発させる程の猛烈な呪いと猛毒を纏い、6対の翼は上から順に赤、紫、黒に妖しく輝き、双眼は地を崩し、天を焼くほどの魔力を放つ、天殺の化け物である。

 

「・・・・・・ねぇ、タカミムスビ」

 

「・・・・・・言いたい事は分かるが、一応聞いておく、なんだ?」

 

一拍置いてから、

 

「どう考えても強すぎるでしょう!何よあれ、確実にツクヨミの100倍は強いでしょう!」

 

「俺もまさかあそこまで強くなるとは思わなかったんだよ・・・・・・地獄の時の流れは速いからな」

 

あさっての方向を向きながら適当な事をほざくタカミムスビ。

 

「・・・流石にそこまでツクヨミは其処まで弱くないですよ」

 

さすがに比較対象にされたツクヨミを哀れに思ったのか、補足説明を付け加えるカミムスビ。

 

「・・・・・・まぁ良いわ、で、誰が戦うのよ?」

 

「下手を打つと私は負けてしまいますので辞退します」

 

「俺がやると解呪、解呪、また解呪の繰り返しで勝てるから面白くないぞ」

 

んー、あの魔王は接近戦が得意みたいだけど、まともにやったのでは面白くないわね、力が強すぎて私が一発殴っただけで挽肉になってしまうわ。

 

じゃあこうしましょう、純粋な技量を競うという事で私と魔王の身体能力を同じにしてしまいましょう。

 

どうも予想以上の武芸者そうだし、楽しめそうね。

 

「じゃあ私が接近戦やるわ、良いでしょう?」

 

「構わんぞ」

 

「構いません」

 

二柱の快諾を得て少女は、右手に神力を撒き散らす聖剣、左手に妖しく変化を繰り返す闇剣を持ち、体には流れる闇の衣を纏い魔王に近づく。

 

言葉要らず、二柱は魔眼で睨みあいお互いを攻撃しあう。

 

当然、お互いの防具の前に分解され意味など無いが、少女はともかく、魔王は遠距離の攻撃手段が限られているので仕方なく魔眼での攻撃に出た、と言う訳だ。

 

そして魔王はともかく、少女は遊び半分なので手加減を加えた戦い方なので防具を貫通させる様な魔眼は使わない、相手と全く同じ威力の魔眼攻撃という訳だ。

 

 

そして少女が前方へ跳ね跳び、聖剣を前へ振り下ろす。

 

対する魔王は左手に持つ骸剣で迎え撃ち、そのままの勢いで少女を跳ね飛ばす。

 

少女はかかる力に身を任せ、そのまま上方へ飛び、落下ざまに聖剣での一撃。

 

魔王はギリギリ右に躱わし、右の魔剣で少女の隙を鋭く一撃。

 

少女は必殺の一撃を寸で回避された事に目を丸くし、やがて口元に笑みを浮かべて、心の中で相手の神技を褒めちぎる。

 

相手の実力をようやく認めた少女は今は邪魔になる闇剣を手放し、拳で剣を殴る事で穂先をそらして攻撃を防ぐ、そして右手に持つ聖剣で魔王へと斬り掛る。

 

魔王は残る骸剣で少女の剣を弾き飛ばし、魔剣で斬り掛る。

 

内心嬉しくてたまらない少女は歓喜の笑みで両手を広げる。

 

少女は能力により闇剣を手繰り寄せ、防御と同時に続け様に片手三十八連撃、魔王もそれに答え、両剣三十八連撃。

 

ガンッ、ギンッ、ガンッ、ゴンッ、ギンッ、ゴンッ、ガンッ、ガンッガンッガンッガンッゴンゴンゴンゴンガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ

 

徐々に加速してゆく連撃、打ち合いその最中に少女は闇の魔力で聖剣を左手に納め、ステップを踏み、片手のリズムから両手連撃のリズムへ切り替える。

 

その隙を逃す程、魔王は弱者ではなく、一瞬で攻撃速度を最大まで引き上げ、少女の胴体を引き裂くべく両剣で挟み込む。

 

対する少女は足をカクンと折り曲げ、下に倒れ込む様にして回避し、股下をくぐり抜け、振り向き様に背を切り裂く。

 

背を切り裂かれた魔王は一瞬だけ怯み、その後全身から濃密な魔力を放射する事で少女を弾き飛ばし距離を取る。

 

一瞬だけの睨みあう、その内に背の傷は塞がり、何事も無いように打ち合いを続ける。しかし、

 

ガアンッ!!!ギィィィンッ!!!

 

少女の神技やはり見事、凄まじい剛撃を正面から受け止めた事により、魔王の骸剣が破壊されてしまう。

 

カッッ!!!!

 

多大な呪いと毒を抱え込んだ剣が破壊された事により、呪い、毒、闇の魔力その他諸々が混ざり合い、黒い幻光を持って、もっとも忌まわれるべき穢れの頂点、瘴気が生まれ落ち、たちまちあたりを包み込む。

 

さて、のんきに観戦中の化け物二柱はとりあえず置いておき、戦い真っ最中の二柱に再注目する、闇そのものである少女は瘴気如きの穢れは勿論平気、しかし、生身の凡体を持つ魔王はそうはいかない、いくら最強の魔王とは言え、瘴気の穢れには流石に勝てはしない、瘴気に魂の底の底の底まで犯され、もはやどうしようも無くなってしまった。

 

ゾンビさながらの狂気を発しながら少女に猛撃を繰り出す。

 

しかし、理性を失った分、神業とも言えたあの武芸は影も無く、ただ下品な攻撃を繰り返すのみであった。

 

少女は怒りに任せ、相手の体を武具諸共粉砕し、汚染された魂の修復を始める。

 

「タカミムスビッ!カミムスビッ!瘴気に侵された魂を修復するから手伝いなさい!!」

 

タカミムスビは、やれやれ、やはり面倒事が起こったな、といった表情でゆったりと少女に近づく。

 

カミムスビは、やれやれ、やっと出番が来たか、とばかりに顔を輝かせて少女に近づく。

 

 

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