青白く光る魔方陣が世界を埋め尽くす。
初めは単純な魔法陣だったものが、時と共に複雑化して行き、今ではもはやペンキか何かで塗りつぶした様な姿となっている。
「・・・凄まじい、凄まじいとしか言えません」
「魔法の極地ね、魔法陣の密度が厚すぎて見分けがつかなくなっているわ」
「属性の構築は終わった、後は破壊光線に対結界属性を付加するだけだな」
言うが速いか、行うが速いか、今度は赤い、赤い魔方陣が光と共に現出し、煌く青の魔方陣に絡め付き、全陣を一本の直線にまとめ上げる。
紫電ともでも言うべきか、絶烈な陣光は破壊光線へと取り込まれ、その全性を大きく変える。
「全ての準備は整ったわ!!さぁ準備は良いかしら?結界を一気に突き破るわよ!!!」
造化の三神の力を束ねた光線は、ついに数えるのも億劫に成程の数の多層結界を突き破り、主神の体へと突き刺さる。
程無くの静寂、だかそれはすぐさま破られる。
主神が結界内に溜めに溜めた神力がカオスを押し返し、その一部が至高天の裂け目を通して世界に押し掛けてきたからだ。
「あぁ!こうなるとは分かっていたが、余力なんぞ何処にも残っていないぞ!」
「まだです!『天沼矛』分裂しなさい!更に『強制命令:別天津神、神世七代召喚』」
カミムスビの命令により至高天に十四柱の神々が集結する。
すなわち――――幸福と水の神『宇摩志阿斯訶備比古遅神』、安息と平和の神『天之常立神』、永遠と不滅の神『国之常立神』、豊穣と繁栄の神『豊雲野神』、砂の神『宇比邇神』、岩の女神『須比智邇神』、芽の神『角杙神』、萌えの女神『活杙神』、島の神『意富斗能地神』、土の女神『大斗乃弁神』、大地の神『淤母陀琉神』、自然の女神『阿夜訶志古泥神』、男の神『伊邪那岐神』、女の女神『伊邪那美神』
以上『別天津神二柱』、『神世七代十二柱』が祝光と共に現れ、恭しくカミムスビの背後に控える。
「全柱ただちに『天沼矛』の複製体を持ちカオスを分解しなさい!」
天の神々は無言のままに矛を手に持ち、世界の枠の裂け目から溢れるカオスに向けて突き刺してゆく、
カオスは矛の先端に触れただけで、世界にとって安全で、正しい枠に収まる存在へと分解されてしまう。
神々の必死の奮闘を目にした闇神はカラリと笑い、
「はははっ!、そのまま抑えてなさい、主神は勝手に戻って来るでしょうし、今から枠の修復をするわよ!」
「枠の解析は何億年も前に終わっている!術式を構築するから適当に魔力でも神力でも何でもかんでも好きなだけぶち込め!」
タカミムスビは、神の持つ八億の色、悪魔の持つ六兆の色、人の持つ三の色、闇神の六百六十六色、そして起源の原色、これら全てを含む色、すなわち、世界全ての色を使い深真球陣を組み、その極深神秘を惜し気も無く現出させ、世界を支える枠の骨組みを作りだす。
そのあまりの神技に惚れる時間こそ少なく、大急ぎで諸々の力を深真球陣に注いでゆく。
力を注げば注ぐほど、輝きを増す深真球陣を盗み見しながら、闇神は思考網を広げてゆく。
(ふふ、不幸中の幸いとでも言うか、棚から牡丹餅とでも言うべきか、思わぬところで収穫ありね、私の力では世界の修正力に勝てるほど―――否、主神の防衛術式を打ち破れるほどの演算能力は無いからね・・・・・・ここで世界の極地を盗めたのは幸と言わずして何と言うのかしら?)
彼女はなんと、大胆にも世界の神秘、それも主神が作り上げた最高領域を全て自分のものにしてしまったのだ。
他の神々ではこう簡単に枠を自分の物にする事は出来なかっただろうが、彼女もまた、タカミムスビに幾らか劣るとは言え、大概な頭の持ち主なのである。
(まぁ、主神が勝手に解析された枠を更に高難度かつ複雑化して作り変えるでしょうけど・・・この術式単体でも私には十分よ)