間違いなく強者である紫と戦えると言う事で喜んでいたのだけど、まさかここまで成長しているとはね・・・
何より恐ろしいのは能力を完璧に使いこなしているところね。
剣を振り回して光速の攻撃を仕掛けるも、スキマで吸収。
無数の氷の暴風雨を全方位に降らせるも、スキマで吸収。
一級の大妖怪でも対処しようの無い攻撃を大した力も消費せずに躱し続ける実力は確かに本物ね。
でも、それだけだと次の攻撃を避けられる道理は無い筈だった。
超高速、超高威力の予備動作なしの体当たり、これも避けられてしまった。
ギリギリだったみたいだけど、マッハ5000を軽く超える速度の予備動作なしの攻撃をどうやって避けたのかしら?
まぁ良いわ、次の攻撃で決めれば良いのだし。
次の魔法は凄いわよ、魔方陣から巨大な熱光線を発射する魔法よ。
膨大な熱量を持つ光線は近づくだけで自然発火を誘発する程の代モノ、しかも魔方陣は魔力の及ぶ限り、何処までも何処までも引き延ばす事が出来るから・・・あはは、流石に結界全域は勘弁してあげましょう、距離にして直径ジャスト500メートルの熱光線、避けられるかしら?
「あーはっはっは!!あーはっはっはっはー!!!コレが避けれたら本当に褒めてあげるわ!・・・・・・避けれたら、ねっ!」
直径500メートルはある魔方陣が燦々と光り、一秒後に巨大な熱線が結界の天井を焦がす。
「余裕ですわよ?」
大妖怪八雲紫は余力でを残して攻撃範囲からの離脱を試みる、スキマでの瞬間移動はやはり流石で、あっと言う間に結界の端まで移動してしまった。
「そんな事許すはずが無いでしょう?ここからが本番よ!」
地面より魔方陣が浮き、ゆっくりと自転を始める。
それに従い魔方陣より伸びる熱線がジリジリと移動を始める。
初めはノロノロと非常にゆっくりとした動きだが、途中から滅茶苦茶に加速し始める。
動きも複雑化し、単純な回転だったものが今では滅茶苦茶な乱回転をしながら、結界内を縦横無尽に行ったり来たりを繰り返している。
「冗談じゃないですわ!」
大妖怪八雲紫はスキマ移動と妖力噴射による加速を駆使して全力で逃げ回る。
「まるでハエみたいにすばしっこいわね、じゃあもう一本追加」
「本当に冗談は程々にしてもらえませんこと?」
「そうね、更にもう一本追加しましょうか」
合計三本の熱線が荒れ狂う。
適当に操作する少女と必死に避け続ける紫、もしこの掛け合いが永遠に続くとしたらどちらが先に尽きるだろうか?
少女の魔力が尽きるのが先か?
紫の体力が尽きるのが先か?
もはや自明の理だろう、全力回避など早々長続きなどせず、紫の体力は底を尽き、体は地に落ちてしまった。
「ハァ、ハァ、ハァ、・・・・・」
「もう良いでしょう?妖力も体力も限界な筈よ、素直に降参しなさい、傷は治してあげるし、妖力も分けてあげるから」
少女は地上に降り、紫の元へ歩み寄り、手を差し伸ばす。
傷だらけ、火傷だらけの紫はその手を弾き返し、少女の目を睨む。
「冗談ではありませんわ、この私が降参?高々お前如きに?笑えない冗談は程々にして貰えませんこと?」
紫は『始と現の境界』を操り、戦闘開始時の状態、つまり全力全開が出せる体を取り戻す。
「私の体力が限界?妖力が限界?何の事やら分かりかねますわ」
紫はすくと立ち、微笑み返す。