妖力を加速爆発させ、目の前の少女を吹き飛ばす。
「んぐっ・・・私にかすり傷でも付けるなんて、やるじゃない!」
血塗れの少女の称賛が微かに聞こえる。
景色が遠退き、頭が澄んでゆくのが何と無く分かる。
集中とはかけ離れた、されど自身の頭脳が最高に働く状態―――無我
自身がより高みへ至った事が分かる。
「私を舐めていると・・・死にますわよ」
今なら何でも出来る気がする。そんな心地よい全能感が紫の脳を支配する。
「結構結構!それでこそ私の娘よ!」
「貴女の娘になった心はなくってよ」
「心だけなのね、随分と酷いじゃない」
「我が身が天然産の妖怪でない事ぐらいは分かりますから」
「賢いのね」
「ええ、その様に作ったのでしょう?」
「初めは神を虫けらの様に蹴散らせる程の妖力を持ち、真数を操る程の頭を持った化け物だったのよ」
少女は小声で、タカミムスビの修正が入ってね、と補足を入れる。
「貴女はそれより強いのかしら?」
少女は不敵な笑みを浮かべて――――
「けして退かぬ闇の力、そして原始の大妖の大妖力・・・・・・試してみる?」
月が隠れ、雲が隠れ、世界は完全な闇に包まれる。
「ええ」
言葉一つで闇は紫に牙を剥く。
(『闇と光の境界』を――――否、闇の陣取り合戦では絶対に私は勝てない。少し無茶だけど、『光と万物の境界』を操作して周囲を光で埋め尽くすしかない!)
闇を完全に消しさるには光を用いるか、自身には欠片も理解出来ない程の超高等の術式を用いるしかない。
その為闇を打ち消すべく、大地を、大気を、魂を、とにかく思いつくものを全て光に変え、闇に対抗する。
「良く思いついたわね!そんな突破口!」
少女は大層嬉しそうに紫の戦術を褒め称える。
「当然ですわ、さぁ闇の力を剥がれた貴女はどうするのかしら?」
「そうね・・・・・・更に濃い闇で光を殺しても良いんだけど、止めとくわ」
周囲の闇を納め、地上に降り立つ少女。
紫は眉を顰め、次の一手を探る。
「私の大の力を破り、妖の力を破り、荒の力を破り、闇の力を破ったのですから、私の負けよ。おめでとう」
「は?」
「おめでとう、紫。あなたは私に勝ったのよ」
現状が掴めず唖然とする紫。
「勝ちましたの?」
「ええ、私の負けよ」
そこまで言われて漸く紫は、
「そう、私は勝ったのですね・・・・・・ところで、勝者には敗者を好きにする権利がありますよね」
嬉しそうに少女は頷く。
「何でも良いわよ!この荒闇大妖之神があなたの為に何でもしてあげるわ!なにせ、私に勝ったんだから!!」
荒闇大妖之神、つまり
荒、荒れ狂う熱線(避けられる)
闇、世界を覆い尽くす闇(光で相殺される)
大、超高速体当たり(避けられる)
妖、埋め尽くし弾幕(スキマで防がれる)
之、カミムスビの剣(避けられる)
神、未登場
私の負けとは言っているが、まだ奥の一手を隠していたり。
最後に間があったのは奥義を出すか出すまいか本気で悩んだから。