「暇ッ!」
暇よ!紫と別れた後、ふらふらと地上を徘徊して早々数世紀、適当な土着神を転がしたり、妖怪を回して遊んでいたけどもう限界よ!
めぼしいモノも見つからず、ただ過ぎる時間がむなしいわ・・・・・・
「暇なのよぉー!!!!」
空に向かって特大のビームを放つが応答なし。
なんだか益々空しくなってきたわ・・・・・・
「ああ、暇よ暇よ暇よ!」
永遠と続く花畑の中で私は蹲る。
花に頭から突っ込んでいる所為で鼻を刺すような微妙な香りが漂って来るのは私の気のせい~。
「あらあらあら、そこで何をしているのかしら?」
背後から女の人の声が聞こえる。
「う~暇潰しー」
「そう・・・・・・ところでつい最近、ここから物凄い妖気が放たれたのけど、何か知らないかしら?」
背後の女の人からチラチラと妖気が零れて来る・・・って事は妖怪なのね、お花畑だし、幽香かしら?
「それ私、暇すぎて空にビームを撃ったのよ」
そう言うといきなり女の人は私の頭をむんず、と掴み、思いっきり握り潰してきた。
いや、その位じゃあ私の頭は潰れないけどね、こう・・・気分的に。
「なにするのよ」
「ほら、反撃してみなさい?あなたは強いのでしょう?」
見なくても分かる、絶対に幽香はニヤニヤしてる!幽香は戦闘狂だもんね、この時代に強い妖怪なんて紫ぐらいしか居なさそうだし、溜まっているのね。
「私はねー暇なのよ」
「・・・?それがどうしたのよ?」
わけが分からない、とでも言いたげな雰囲気の幽香。
「だからね、とこッッッとん付き合って貰うわよ!!!」
私は妖気を膨らませて周囲の花ごと幽香を吹き飛ばす。
「そうこなくっちゃ始まらないわ!」
起き上がり幽香の顔を見てみると、凶暴な笑みを浮かべて私を見つめ返して来る。
「とりあえず小手調べよ!喰らっときなさい!」
今回は妖力オンリーで戦いましょう。
私は針の様に尖った妖力弾を乱射する。
「ッ!」
幽香は傘を妖力で強化して盾にしたみたいね。
・・・あの傘欲しいなぁ、頑丈だし、デザインも良いし、良い匂いがしそうだし。
「ハッ、光に飲み込まれて消えなさい!」
幽香は傘の先端をこちらに向け、傘から極太の光線を放ってきた。
「アハハ、面白いわ、その術式!じゃあ私と妖力勝負でもしましょう!」
私は幽香の妖力光線に全く同じ術式で構成された妖力光線で立ち向かう。
「!・・・面白い事をするのね、良いわ、受けて立ちましょう!」
そう言うと幽香は一気に出力を上げてきた、やっぱり手加減していたのね。
そっちがそうなら私だって出力上げちゃおうかしら?
「妖力10倍よ、耐えられるかしら?」
「ぐっ・・・私をなめるな!」
幽香の光線は出力を一気に10倍まで引き上げた私の光線に潰されそうになるが、幽香は更に出力を上げて対応してきた。
やっぱり流石の大妖怪ねー、大妖怪ならもっとイケるわね、更に出力を上げましょう。
「妖力100倍、まぁ頑張りなさい」
「ゴフッ、ガハッガハッ、やってやろうじゃない!」
幽香は血を吐きながら私の光線に対応すべく出力を上げていく。
血に濡れたその顔は笑っており、心底楽しそうに自身の体が壊れるのを眺める幽香。
・・・うわぁ、これは流石に引くわ、そこまでして戦いたいのね。
あ、そうだ!試しに幽香に妖力を注いでみようかしら?
幽香だって妖怪なのだから私の配下なはずだし、イケるわよね。
私は幽香に妖力のラインを引いて、そこから幽香に山程の妖力をドカドカ注いでいく。
良し!これで幽香は妖力使い放題になった筈よ!・・・体が持つ範囲で。
じゃあ試しに出力を跳ね上げて幽香の反応をみましょう。
「妖力100万倍!さあ頑張んなさい?」
「・・・ッ!・・・ッ!」
口をパクパクさせながら何かを呟く幽香。
何言ってるのか分からないけど、多分強がりでも言ってるのじゃないかしら?
まぁ、それは兎も角、実験は見事に大成功し、私の前には尋常ではない量の妖力を放出する幽香が居る。
周囲の花畑は見る影も無く、辺りは見渡す限りの更地となり、濃密すぎる妖力が地面に染み込んで大変な事に成っている。
「妖力100京倍、死にたくなければ頑張るのよ?」
「・・・ァ・・・ァァァ・・・」
幽香は口から涎を垂らし、虚ろな目でこちらに合わせて出力を上げる。
ってコレヤバいんじゃないかしら?
あれよあれ、妖力は無限でも受け皿は無限では無かったって事ね。
幽香とのラインを切断して妖力合戦を止めないといよいよもってヤバいわね、主に幽香が。
「おーい、へろへろだけど大丈夫かしら?」
「・・・・・・」
あ、ダメだこれ。
じゃあ適当に切断切断っと・・・あ、その前に私の光線を止めとかないと。
私の光線を止めると邪魔するモノが無くなった幽香の光線が私の体をこんがり焼いてゆく。
「良かったわね、勝負は貴女の勝ちよ」
「・・・・・・」
立ったまま気絶している幽香は放置し、さっさとラインを切断する。
妖力のラインを切った瞬間あのとんでもない光線は勢いを失い、私を止めに焼いてから止まった。
「まるで日焼けサロンね」
少女は『日焼けサロン幽香』っと小さく呟き、一人で吹き出した。