「き、祈祷隊長さんがやられた!」
「・・・ッ!見られた!?」
どうやら戦いを観戦していた者が居たみたいね。
闇の感知網は平常時は切断しているから気が付かなかったわ、迂闊ね。
「見ているなら話は早いわ、さっさと私をここの主の元まで案内しなさい」
「ひ、酷い事しない?」
「妙な真似さえしなければ誓って本当よ」
そう言うとぶっとい柱の影からオドオドしながら白いフリルの付いたふわふわした服を着た女の子が出てきた。
白くて長い髪を持っている彼女はどこかツクヨミに似ていて、良いわね。凄く、凄く素敵よ。
ん?ツクヨミに似てる・・・?ここは深海よ?どうなってるの?他人の空似かしら?
「どうしました・・・?」
視線を宙に向けて思案する私を不審に思ったのか、恐る恐るといった感じで彼女が話しかけてきた。
「いいえ、何でもないわ、さっ案内して頂戴」
ツクヨミに似た彼女と長く迷宮の様な廊下を進んでゆく。
白く光り輝く床に敷き詰められたタイルは・・・大理石かしら?
360度余す所なく光り輝く内装は少しばかり目が痛いわね。
空中を泳ぐ魚達が物珍しそうにジロジロと見つめる視線を浴びながら更に先に進む。
更にしばらく進んだところで私は足を止め、前を行く彼女の腕を掴む。
「・・・ねぇ」
「どうしました?」
「ツクヨミ・・・って知ってる?」
「私はツクヨミ様の子供です」
・・・ッ!ツクヨミの子供!これで全ては繋がったわ!クソッ!なんて事なの、もっと早くに気付くべきだったわ。
はっ!こいつらの魂胆は読めたわ。良いわ、全て私が潰してあげる。
「・・・???、どうしました?」
「道案内はもう良いわ、お疲れ様『時空凍結魔法』『Ⅰ型次元結界』『最上級隠蔽結界』『最上級撹乱結界』『最上級強制転移魔法』」
「待っ!」
ピンッ―――ツクヨミに良く似た彼女は最上級強制転移魔法により無間の闇の中部まで飛ばされてしまった。
時間と空間を固定され、無限次元の果てまで及ぶ絶対的な結界に閉じ込められ、外部から決して発見されない様に何重にも隠蔽、撹乱結界を張られた彼女を救出するのは事実上不可能に近いわ。
『タカミムスビ!カミムスビ!緊急よ!』
『どうしました?』
『なにかあったのか?』
『海底の神が私達の力の欠片を集めているわ、おそらく目的は自身が第二の主神に成り、私達を葬った後――――』
「――――寝ているアメノミナカヌシの力を吸い取って完全体となる。それが私の目的だよ、荒闇大妖之神。」
「ッ!」
背後から話しかけられ、驚き飛び跳ねた彼女の目に映ったのは杖を突いた初老の男性だった。