原初の大妖ルーミアの旅   作:小鳥

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龍宮城Ⅳ

「・・・それで?主神の力を奪った末にお前は何を見るのかしら」

 

「恐怖に歪んだ神々の面、見て見たくは・・・ないようだね」

 

若干の笑みを浮かべる彼の瞳には今にも飛び出しそうな少女の姿が映っていた。

 

「うふふ、私。今、すっごく怒っているの分かるわよね」

 

「だからどうしたのだい?」

 

「死ねッ!」

 

召喚魔法で神鉄を鍛え上げた剣を呼び出し、弾丸の様な速度で老人に斬りかかる少女。

 

対する老人は苦も無く手に持つ杖で防ぎ切り、反撃とばかりに魔法を行使する。

 

「三重スペル『火・電・水』」

 

「迎え撃て、三重スペル『豪炎・虐雷・玉水』」

 

二人の魔法弾丸は真正面から衝突し、より強力な魔法を行使した少女の弾丸が老人の弾丸を貫き、そのまま彼の体に突き刺さる。

 

だが少女の凶弾は彼の体に触れた瞬間に彼が隠し持っているお札の効果により消し飛ばされる。

 

「虹の橋を駆け抜けろ、『天の采配』」

 

「絶望しろ『超広域撃滅魔法』」

 

龍宮城とその周辺に住む海の魚達が強力な加護を纏って少女に襲いかかる。

 

その勢いは凄まじく、数、質、速度と共に天を守護する七兆の天使群に打ち勝てる程であった。

 

だが数を積んだ所で所詮は魚、少女の『超広域壊滅魔法』により海水ごと纏めて吹き飛ばされてしまう。

 

「驚いたわね、私がこれだけ暴れてもこの城は平然としているのですもの」

 

「お褒めに預かり光栄だね、造化の四神の一柱に褒められたのだからこの城も誇らしいだろう」

 

「ええ、今から滅びゆく愚か者を主としていた城にしては過ぎた名誉だわ」

 

海水が吹き飛び、大気に晒された城の中で二人は戯言を掛け合いながら対峙する。

 

一瞬でも隙を見せれば殺される――――両者の唯一の共通理解であった。

 

「・・・『三昧の真火』『天の炎幕』『極大火炎魔法』『アビスの怒り』」

 

先に動いたのは痺れを切らした少女であった。

 

水の枯れた城を焼き払おうと火攻めの魔法を多量に行使する。

 

「どう?錚々たるラインナップでしょう?」

 

「ええ、いい加減後手にまわるのも飽きてきた。次はこちらから攻めていこうかね・・・?」

 

「好きにしなさい。でもまずは私の魔法を片付けてからよ」

 

「簡単な事さ」

 

そう零すと老人は突いていた杖を素振りがしやすい様に持ち変え、軽く振った。

 

それだけで賑やかな少女の魔法は全て消え失せ、場には茫然と立ち尽くす少女と笑みを浮かべる老人だけが残った。

 

「そんな・・・そんな・・・あれだけの魔法が、ど、どうして・・・」

 

動揺を隠せない少女に老人が杖で斬りかかる。

 

「ッ!この・・・魔法が無くても私は負けない!」

 

身体強化の魔法が外れ、格段に力が落ちた少女であったが、それでも幾重に強化を施された老人の杖を真正面から受け止める事が出来ていた。

 

元々の身体能力が圧倒的に世界最強のそれを誇っていたからだ。

 

「ッ・・・流石は荒闇、やはり尋常ではないな」

 

老人の渾身の一撃を受け止め、そのまま力技で押し返し、反撃に彼の体を一度斬り付けた。

 

一瞬で頭から股まで両断された老人であったが、次の瞬間には少し離れたところに何でもない様子で佇んでいた。

 

「復活するなら何度だって切り刻んでやる。それが私達、造化の者に謀反の心を懐いたものの末路よ」

 

「これは怖い。私もそう何度もやられる趣味は無いのでね、そろそろ遊びは止めようか」

 

「戯言を、吐くなッ!」

 

老人の言葉を遮り、猛烈な勢いで斬りかかる少女。

 

だがその凶刃は彼に傷を付ける事は適わなかった。

 

「なッ・・・こ、これは!!!」

 

「光と生命の創造神、カミムスビの力だよ」

 

少女の一閃は彼の全身をグルリと覆う光の障壁に遮られ、その先にある彼の肌を裂く事が出来ずにいた。

 

「闇を封じられた君と、光と命、更に法則に概念の力までもを得た私。どちらがより優秀か・・・試してみようではないか!」

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