原初の大妖ルーミアの旅   作:小鳥

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飛翔龍Ⅰ

「時の聖霊よ、我が声を聴け、そして働け、闇の神が命じる、時を戻せ」

 

青色の光が弾け、辺りを包み込む。

 

「なんとも荒っぽい聖霊魔法だね」

 

「こちらの方が上位の存在なのだから小間使い同然の扱いで良いのよ」

 

「成程、それにしても時の聖霊か・・・」

 

龍神は顎髭を撫でながら必死に働く聖霊を眺める。

 

「どうかした?」

 

「世界の時は法則に従い自動的に流れる。聖霊とは世界の秩序を保つために造りだされた、いわば世界の修理システムの様な存在だ。管理する必要のない時に聖霊がいるのはおかしいのだよ」

 

青い羽根を持つ小さな彼らの存在意義とは――――世界を乱す要因である彼らは何故造られたのか。

 

世界を解き明かす探究者としての炎がジリジリと焚きあがる。

 

死んだ眼に光が戻った気がした、凍りついた心がとけていく気がした。

 

限り無い好奇心、探究の果てに忘れ去られた原初を思い出した。

 

俺は・・・・!

 

「すまないね」

 

「?」

 

龍神の突然の謝罪に首を傾げる少女。

 

「お前ともう一度戦いたい。この力、試してみたくなった」

 

「ふふ・・・いいわよ!場所を移しましょう、闇神と龍神の戦いは地上規模ではなく宇宙規模だもの」

 

 

 

 

 

 

タカミムスビが大規模戦闘の為に用意していた宇宙の大空洞。

 

龍の瞳を持ってしても一筋の光を見つける事さえ困難な程の圧倒的空白空間。そこに彼らは居た。

 

「大空洞を使う程の戦闘は初めてね。・・・良いところでしょう?」

 

「ここは概念が存在しない中立空間かい?」

 

「ええ、正確には『枠』そのものかしら。初期の初期の世界、アメノミナカヌシが最低限の『枠』を創造した時はこの世全てが無かったのよ」

 

「無い?」

 

「そう、時や空間はもちろん、光や法則、カオスや『無』すら存在しない完全なる零だったのよ」

 

「その口ぶりからすると、闇は存在していたのかい?」

 

「ええ、だって闇は人々の『認識』から出来ているもの、主神が意図せずに持ち込んだ、原始的なそれよ」

 

「・・・世界は一つではないと?」

 

「そゆこと、世界は無限に存在するわ・・・私は世界を超越する闇よ、たかが一軸神如きが敵う相手ではないわよ?」

 

「君は全てに触れる事が出来るのか、ますます欲しくなってきた・・・」

 

「欲しいなら奪いなさい、貴方の手で!」

 

声を引き金に龍神と闇神が動く。

 

「遊んであげるわ!」

 

無限次元的に広がる空間に闇神を中心に弾幕が展開される。

 

強烈に発光するそれは見るだけで判る、バカげた魔力をいたずらに放り込まれた事が!

 

「下手をすれば初手から詰んでいたな・・・」

 

星程はある龍神の体が豆粒の様に縮み、僅かな隙間に余裕をもって入りこむ。

 

「便利ねぇ・・・」

 

「龍としての力、試させてもらう『界』!」

 

青白い網が展開され、二人の周りを限定的に塗り潰す。

 

「次元の閉鎖、もっと言うなら絶対的隔離かしら。自らの思考速度が追いつく単位まで次元数を減らす方針?ふふ、乗ってあげるわよ」

 

無限の数を持つ次元軸は限定的に閉鎖され、広がる空間は3次元にまで減らされた。

 

「格上相手に不慣れな場で戦う愚は犯さないさ。さぁ準備は調った、いくぞ!」

 

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