原初の大妖ルーミアの旅   作:小鳥

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飛翔龍Ⅲ

永遠の時の果てにすり減った魂がかつて以上の輝きを取り戻す。

 

龍の魂と化した海神の魂は喜びの声を上げ、力を放出する。

 

大自然の全てに祝福される僕の体、精霊は踊り、妖精は楽器を搔き鳴らす。

 

だがそれでも、目の前の少女は僕より格上だ。

 

本気の彼女に僕は手も足も出ずに負けてしまうかもしれない、惨めな思いをしてしまうかもしれない。

 

だがそれでも、この心の底から湧き上がる好奇心は止められない。

 

無限のアイデアを全て試してみたい、龍の力よ、僕の理論を現実に――――!

 

 

 

 

 

 

 

 

パンッ!

 

少女の振るう魔法剣が龍の鱗を切り裂く。

 

一瞬遅れ、小惑星ほどはある龍の肉体がバラバラに崩壊していく。

 

「崩壊速度は光速、その程度の大きさなら一瞬もあれば素粒子まで分解できるわ」

 

「私の・・・勝ちよ!」

 

龍の体がすべて飛散するのを見届けたのち、

 

魔法剣を手放し、両手を上げて喜ぶ。

 

「跡形もなく消し飛ばすのはやっぱり綺麗じゃないわねー、倒すなら首を切ってこそ勝ったって実感が得られるものよ」

 

興奮覚めぬ内に飛び交う精霊に自然に帰るように命令を出す、大空洞に永久属性は宿らないからだ。

 

無属性空間では精霊は衰弱し、やがて消滅する。少女なりに精霊の身を気遣った命令だったのだが――――、

 

「・・・?精霊が帰るどころか集まっている?」

 

少女の命令を無視し、大空洞に次から次へと精霊が集まってくる

 

無数の精霊により大地が生まれ、空が生まれ、生命すら生まれる。

 

「どういう事なのかしら?」

 

少女の顔に警戒の色は無い、ただ造化の身である自分の命令を精霊が無視するこの現象に興味を抱いているだけだ。

 

少女の目線が精霊達に釘づけになっているその時、少女の背後に衝撃が走る。

 

「何かしら?小さな点衝撃・・・撃たれたのかしら?」

 

冷静に自らが受けた攻撃を分析しつつ、後ろを振り返る。

 

ズダダダダダッ

 

後ろを振り返った少女に銃弾が浴びせられる。

 

それも一方向からではない、あらゆる方向からあらゆる威力の銃弾が浴びせられる。

 

「私の皮膚を貫通するほどの威力はないみたいだけど、痛いわねぇ」

 

皮膚に食い込む銃弾を手で弄りながら、周囲を見渡す。

 

龍神が復活して再戦を挑んできたのかと思ったが、辺りには精霊しかいない。

 

「この弾、精霊が宿っている?」

 

手のひらの弾丸を解析しながら、もう一度周囲を見渡す。

 

だがどれだけ見つめても、相変わらず出所不明の弾丸と精霊しかいない。

 

ただ徒に時が過ぎ、少女に激突し、減速した弾丸が少女の周りに山というほど積もるだけだ。

 

 

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