雄英高校サポート科 発目兄妹の日常 作:オティンティン大明神
ディスカッション、それは1つの問題に対して参加者達が各々の意見を交換しあい、1つの答えを出していくという作業。雄英高校サポート科1年、今日の授業は少し特別で警察庁からとある逸品をお借りし、それを見てグループ事に様々な視点から討論するという内容である。
入学してから2週間、教室に一切行かず実験室と作業室に引き篭る発目兄妹を遂に引っ張り出す事に成功したパワーローダーはある事を考えていた。
それは発目兄妹の他者への関心の無さである。無関心と言えば良いのだろうか、簡単に言えば彼等は自分達だけで世界が完結しているのだ。天才は他者に理解されないとは良く言われるが、彼等は理解されようとして失敗するのではなく、初めから自分達以外の他者に理解されるつもりがない。兄妹をこの2週間見続けたパワーローダーはそう結論つけた。
「(クケケケ……まだまだ青いな、最初から理解されないならって考えならここらで一変体験してもらうか)」
発目京、彼は実験室や作業室で人に遭えば挨拶や会話はするがそれ以上はない。それは良い、まだギリギリ社交性がある。あれくらい出来れば恐らく生きては行けるだろう。
問題は発目明だ。
病的なまでの自分本位、あらゆる全てを知った事かと言わんばかりの態度、自分の興味のある事と自分の肉親である兄にしか意識が向かない。
まるで幼児だ、もしも彼女に兄がいなければ彼女は全てに於いて自分本位な少女になっていただろう。
パワーローダーは出会って2週間だが、彼等の将来に早くも危機感を感じていた。兎にも角にも彼等に必要なのは他者との触れ合い、今までは自分達を理解出来ないと鷹を括っていたのかもしれないが此処は天下の雄英高校、才能溢れる若人の集まる場所。
「まぁ……今日は少しくらいの刺激にでもなれば良いか」
「何の話ですか? 興味があります! 」
「こっちの話だ発目妹。ほら、さっさと教室に入れ」
そうしてパワーローダーは彼等を教室にへと迎え入れる、雄英高校にて発目兄妹が初めて体験する授業がディスカッション。少し面白いものが見れそうだと内心で笑った。
「──正直、こうなるなんて何一つ想定してなかったな」
時は流れ無事ディスカッションが始まった。グループ事に別れ発目兄妹を適当なグループに放り込み様子を見守っていたパワーローダーの目に現在、信じられない光景が映っていた。
「発目ェ! テメェらクマがひでぇぞオラァ! ちゃんと寝てんのかアァン!? それに飯ちゃんと食ってんのか!? しかもお前ら泊まり込みもしてたらしいじゃねぇか! 正直実験室でゼリー飲料と携帯食料を接種して作業するテメェらを見るのは不安でしかなったぞ! ちゃんと米食いやがれ! 」
「ごべばッ! ごばばばっ! 」
発目兄。つまり京に向け、手元にあるおにぎりをこれでもかと言わんばかりに口に詰め込んでいく少年。ヤクザも思わず後ずさりしてしまう程の鋭過ぎる三白眼で京を睨み付けている様は正しく不良その物なのだが、言ってる事があまりにも善性が過ぎている。まぁ、他人の口におにぎりを詰め込んでいく姿は擁護出来ないのだが。
剃りこみのある坊主頭に黒人を思わせる黒色の肌、第三者が初めて見ればヤクザにしか見えない。そんな彼の名前は一場撃楽、このクラスの委員長を務める少年だ。
「HAHAHA! 一場氏、心配だからといってもそれは少しやりすぎですぞ! それに今は授業中、飲食は禁止の筈では?さてはて我々も警察庁からお借りしたヴィラン拘束器具についての議論を始めましょうぞ! 」
そんな二人の様子を見て笑いながら議論へと話題を移す少年が一人。独特な話し方と、肥満体型なのか全体的に恰幅の良い腹を大きく揺らしながら笑う。頬には栄養バランスの問題からか出来物が出来ており。掛けてある四角の厚めのレンズの眼鏡は、第一印象で大半の者が彼がナードと思う程に似合っていた。
そんな少年の名前は矢羽尾拓、ぽっちゃり気味のナード少年だ。
「して、灯子殿はこれに関して何か思う所はありますかな? 」
矢羽が1人の少女にへと意見を求める。矢羽から意見を求められた少女は眼前に置かれてあるヴィラン拘束器具を見詰め身体を震わす。顔を赤く染め上げ、恍惚を隠しきれないと言わんばかりに息を荒らげた。
「ハァ……ハアッ! 良い……凄く良い、この器具の中にある基盤を想像するだけで……あぁん! 」
「あー……既にエクスタシーに入っておられたか。正直、灯子殿は見目麗しいのですから、そんな姿を見せ付けられたら拙者の股間がカルフォニア山脈になってしまいますぞ」
机にへばりつくように倒れ込み身体を震わせる。灯子と呼ばれた少女は矢羽の言葉が聞こえていないのか恍惚の笑みを浮かべ、眼前にあるヴィラン拘束器具を見詰めていた。
光沢のある美しい黒髪、雄の本能を擽る肢体、見目麗しい顔の造形。全てにおいて女性が求める全てを手に入れている少女は今、眼前の機械を見て絶頂していた。
そんな残念な少女の名は光灯子、見ての通り機械に欲情する度し難い変態である。そんな変態から視線を逸らし矢羽はもう1人の少女に話し掛けた。
「あー……ミーシャ殿は」
「いやいや素晴らしい作りです! 設計図を確認しましたが全く無駄のない基盤と回路になっていますね! この作りは私の新たなベイビーの制作の際に使わせて頂きます! そして……手錠の形を損なわないようにしていて……更に機械部分のデサインも無骨ながらも近未来感を感じさせて大変素晴らしい作りとなっています! ん……兄さん! これをちょっと見てくれませんか! 少し確認したい事が! 」
「あっ……あの。すみません……ちょっと……すみません……すみません 」
矢羽がその少女に目を向けると、発目妹、つまり明が一人設計図に夢中になり独り言をブツブツと呟いている中、必死に話し掛けようとするも、全て無視されてしまい目に涙を溜めている少女の姿がそこにはあった。
その光景を見て思わず顔に手を当て天に祈りたくなる矢羽であったがそれを必死に耐え、今にも泣きそうになっている少女にへと声を掛けた。
「あー……ミーシャ殿? 恐らく明殿の眼中に我々は存在していないと云うかなんと言うべきか……取り敢えず一度落ち着いて見るのは如何であろうか? 」
「だっ……だって。あんないっぱい作ってる凄い人だから……少し話をしたいと思ってたのに……どうせ私なんていてもいなくてもかわらないんですぅぅッ! もう故郷に、ロシアに帰りたいですぅぅッ! 」
その言葉を最後に大きな声でミーシャと呼ばれた少女は泣き始めた。陶磁器の如く美しい白い肌、金細工の如く美しい金髪を大きく揺らし少女は涙を流す。
彼女の名はミーシャクロイツェフ、ロシアからの留学生であり、見ての通り心が恐ろしく弱い。
「……マトモなのが拙者だけとか本気で勘弁して欲しいので御座るが? 」
泣きたいのは自分の方だと小さな声で呟き矢羽はパワーローダーの方を見る。矢羽と目があったパワーローダーはそっと視線を外し、隠れるように胃薬を飲む。胃薬飲む担任を見てしまった矢羽は、思わずその姿を見て涙を流してしまう。味方が何処にもいない、先生すら此方から視線を外し現実から逃げ出した。
「兄さん兄さん! これ、どう思いますか!? 」
「テメェは発目妹か! テメェも目尻にクマ作りやがって! ちゃんと寝てんだろうなぁ!? 飯はちゃんと食ってんのか! アァン!? 食ってないならこれ食え! お前らが食ってるもんは食事の内に入らねぇんだよ! 」
「なっ……なんでこうなった……? 」
兄の背中に抱き着きながら設計図の一部分を指差す妹と、そんな妹を見て兄のように心配するような言葉を掛ける三白眼のガングロ男、そして何故こうなったのか理解出来ず困惑する兄。
「私なんてぇ……私なんてぇ……」
「嗚呼……好いぞ、昂る、昂る。あっ……はぅッ! 」
手で顔を覆い啜り泣く少女と、全身を震わせながら息を荒らげる少女。
「拙者もうしーらない! しらないったらしーらない! もう拙者が1人で全部やるし! ディスカッションとか灯子殿と発目兄妹殿とがいた時点でどう足掻いても無理無理カタツムリで御座るよ! 」
そして眼前の状況全てを放り投げ一人PCを立ち上げ自分の作業をし始めるぽっちゃり常識人少年。
発目兄妹の初めての授業は大惨事で幕を閉じた。
そしてそんな状況を眺めながらパワーローダーは白目を向き、他のグループのディスカッションが終わるのを待った。
いきなりいっぱい増えた人物設定
名前 一場撃楽
ミサイル好き ミサイル以外作りたくない 夢は思考停止フルバースト
坊主頭の剃り込みがある黒人肌
ヤクザも泡を吹く三白眼、中身はオカン体質
「あぁん!? てめぇらちゃんと飯食えや! 研究者だとしても基本は健康第一にきまってんだろうが! お米食べろ! 」
光 灯子
黒髪ロング、機械に欲情する変態
美人だがその性癖のせいで全て台無しの良い例
一番好きな武器はレーザー兵器
「ハァ……こんな悠然と美しい回路……あぁッ! もうだめ! 」
矢羽尾拓
最初は灯子を見て興奮してトイレに行く性犯罪者のような変態にしてたんですが、そうなるとマトモなキャラが足りなくなるので彼は普通になりました
因みに彼はバイです
「拙者の説明酷くないで御座るか?」
ミーシャクロイツェフ
泣き虫可愛いの為に産み出されたキャラです
ぶっちゃけいらない、けどオティンティン性癖的にそんな泣き虫が勇気を振り絞る姿とか最高なんでその為に産まれました()
「頑張ります!……はぅぅ」