エクラ「異世界召喚されたwww」   作:ソウキ

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 暗夜の異界へと足を踏み入れた特務機関のメンバーは森の先へ進む前に作戦の打ち合わせをしていた。

 偵察から戻ってきた仲間達の持つ相手の布陣をマップの上に敵将に見立てた石を置き作戦を立てる。

 今回もミネルバ率いる天馬部隊、そして遠隔からの攻撃を得意とするタクミ、レイは力を貸してくれてとても助かった。

 それと今回アンナに貰ったオーブから召喚されたのは封印の剣で仲間になるクレインとクラリーネの貴族の兄妹。

 ヒーラー狙いで白を意識したらやって来てくれた。治癒が使えるキャラが居ると戦略の幅も広まる。と、思う。

 ゲームのファイアーエムブレムは色んなシリーズをプレイしているが、実際の戦場で作戦を立てるなんてやった事ないし自身も無い。出来る事はメタ的な指摘くらいだ。いやはや歴代の主人公達と軍師は偉大だな。

 

 さて、今回の戦いの事を考えよう。

 マップの西側は森が広がっているがヴェロニカ達が布陣を敷いている扉まで近道だ。だが森から北に出れば暗夜の王子、マークスが率いる騎馬隊が迎撃準備をしていてかなり危険である。しかも森には弓兵が隠れる所も沢山有り、飛行部隊は近付けたくない。

 地図によると東側まで森の木々は広がっていない。しかしそこにはエイリーク率いる歩兵が待ち構えている。そして何より森を迂回するルートなので扉まで時間がかかる。戦闘中に機動力の高い騎馬に合流されたらひとたまりもない。難しいな...。

「まず歩兵で森へ進み敵の様子をみてみよう。弓兵の脅威がなければ飛行部隊には自由に動けるし」

「森の敵の配置情報が少ないね」

「今の特務機関の人間で偵察をやるのはこれが限界よ。そういう能力の居る人財が今は居ないわ」

 アンナが言う。確かに、特務機関の人材不足は城の中で生活しているとひしひし感じる。

 ゲームならその役所は密偵や盗賊職が当てはまるのだろうが、今の特務機関にそれを得意とする英雄は居ない。

「俺達自身の目で確かめるしかないか...予想するにエイリークがいるならエフラムもいる筈。何処かに潜んでいる確率が高いな」

「ああ、その事ならエンブラ兵が妙な事を言ってたわ」

 アンナが人差し指を自身の顎にそえる。

「兄妹の愛を皇女サマがご所望とか...、それで兄妹を競わせるんですって」

「おいおい戦争やってるんだぞ。そんな馬鹿みたいな話があるか」

 驚きを通り越し、冷静になる。そんな事の為だけに英雄を戦わせるなんて流石に暗愚過ぎるのでは。

 召喚された英雄以外にも戦場に立つわけで、その兵士達の生活や生命を巻き込んでまでお人形劇をするなんてちょっとおかしい。

(常識が全く通用しない...、彼女は何を考えているんだ?)

 ヴェロニカを取り巻く環境を少しだけ知り同情もするが、異界侵攻については納得出来ない要素が多すぎる。

 

「兄妹の愛か...」

 

 答えの出ない思考を繰り返す俺の側にいたミネルバがポツリと呟く。彼女には妹のマリア、兄のミシェイルが居る。

 だが思想の違い、抗えぬ歴史の奔流から最後は兄妹同士で殺し合いをしてしまった。...兄妹の愛には思う所があるのだろう。

 きょうだいと言えばレイにも双子の兄が居るし、タクミには沢山きょうだいが居る。意外と兄弟の英雄は多いんだよな。そういう時代に生まれてしまったからには仕方無いか。

 不意に実家より弟と独り立ちしている姉の事を思い出す。俺が突然消えた事を気付いているだろうか。

 ...いけない両親の顔まで思い出しそうになった。ホームシックになってしまう。生きて帰る為にも脳をフル稼働させて策を練らなければ。

 

「部隊を別けるよ。俺、アルフォンス、シャロン、クレイン、パオラで森へ進もう。敵が居れば偵察がてら倒す。...と言ってもパオラは分けた部隊の伝令をして欲しいのであまり目立たず敵とは交戦せずに俺達の少し後をついてきてほしい」

「わかったわ」

 頷くパオラ。

 その横でクレインが弓を持ち、進言する。

「森での狙撃や偵察に心得があるから任せて欲しい」

「願っても無い申しでだ。前哨狙撃は任せた。アルフォンスとシャロンを補助に回すよ。いいね、二人とも」

「はい!」「うん、任せて」

 シャロンが大きな溌剌とした声で、アルフォンスが落ち着きと緊張をはらんだ声で頷く。

「歩兵の英雄はアンナさんに引率をしてもらう。ミネルバ率いる飛行部隊も一緒に行動してくれ。森の全貌が解るまでエイリーク隊がある東の地で待機してほしい。エイリークが動けばマークスの騎馬隊も動くかもしれないので俺達と合流するまであまり戦わないでくれ。何かあったらすぐ連絡を!森が安全圏か解ったら合流するからね」

「ええ!」

「もし森から行けるようなら合流後飛行部隊でマークスの騎馬隊へ奇襲して戦力を殺ごう。エイリークは歩兵だし、駆けつけるまで時間がある筈だ」

 先の偵察の見立てでは森に潜伏している敵の数が不確かなのは気掛かりだが、布陣を見るに絶対にエンブラ兵ないしエフラムが居る可能性が高い。

 森から進撃が出来なければ東で合流し、エイリークから攻略する事になりそうだ。こちらは騎馬隊が加勢に来る前に迅速に片をつけたい。

 というかエイリークやマークスにかかってる契約を解放したいと言う気持ちがあるので、衝突は避けられないだろう。

「それで私は何をすれば宜しいのですか?」

 聞いてきたのはクラリーネだ。兄と一緒に召喚された時、とても嬉しそうにしていたのは忘れない。

 もっと気が強い女の子だった気がするが兄の手前、王国の貴族の娘らしく振舞っている。

「馬は森には不向きだし、アンナ隊長の所に行ってくれないかな」

「はぁ、やっぱりお兄様とご一緒は出来ませんのね。仕方がありませんわ」

「うーん、なんというかごめんね...」

「許して差し上げます。ですが、お兄様が危険に陥ったと聞いたら森の中でも飛んで参りますからね」

 本当にやりそうだな、この子。

 しかしクラリーネもただのお兄さん子ではない、戦場ともなれば作戦通りにちゃんと動いてくれるだろう。...たぶん。

「治癒以外にも少し魔法が使えますの。自分の身は自分で守れますのでお気になさらず」

 封印の剣では魔導将軍を後に目指す事になるんだっけか、クラリーネの機動力にはゲーム中何度も助けられたので魔法も使えるとなると心強い。

 

「よし、行こう!」

 

 それぞれの役割も決まった事だし、暗夜の異界を奪還しよう。

 

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