Fate/zero×バオー来訪者 ネタ   作:蜜柑ブタ

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バーサーカーの正体が明らかに。
でもあんまり意味ないか?

雁夜おじさんが元気すぎて、序盤ちょっと空回りしてます。


SS22  正体

 

 雁夜は、その場にしゃがみ込んで、頭を抱えていた。

「おまえな……。」

「なに? 何か問題あったかな?」

「問題ありだ、馬鹿!」

 急に立ち上がった雁夜が、冷蔵庫に食品を詰めているツツジに向けて叫ぶ。

「実質、アーチャーとの決闘を約束したようなもんだろうが! なんでそんなことしやがる!」

「ああでも言わないと、ずっとつけられそうだし、私と桜ちゃんの首を門に飾られるよりは……。」

「よし。アーチャー。殺す。」

「切り替え、早いね。」

 っというわけで、雁夜は、アーチャーへの殺意を固めたのだった。

「おじさん…、戦いに行くの?」

「だいじょうぶだ、桜ちゃん。ちゃんと帰ってくるから。」

 トトトッと近寄ってきた桜に目線を合わせ、雁夜が微笑んだ。

 桜は、俯き、キュッと雁夜の服を掴んだ。

 雁夜は、その手をやんわりと離させ、立ち上がった。

「じゃあ、ちょっと行ってくる。」

「今日の夕飯。カレーだから。」

「おまえは、マイペースだな。ツツジぃ…。」

「無事に帰ってきたら、トンカツ乗せるよ。」

「そういうのは、食わせてからにしろ。」

 などと軽口を言い合いながら、お互いに笑い合い、雁夜は、ツツジと桜に見送られて出発した。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 さて、出発したはいいが、雁夜にアーチャーの居場所が分かるわけもない。

 なので、バオーの能力である、“匂い”を探知する能力を使うことにした。

 すると、近場にサーヴァントらしき匂いがいるが分かった。

「近いぞ! バーサーカー!」

 かなり近距離だったため、バーサーカーを実体化させ、雁夜は走った。

 そして曲がり角で歩いてくる人影二つを見つけ、一息吸って叫んだ。

「来たな、アーチャー! 俺に喧嘩を売ったことを後悔……って…。」

 しかし、雁夜の口上は最後まで続かなかった。

 

 曲がり角から現れたのは、セイバーとアイリスフィールだったのだ。

 

 お互いに、お互いの姿を見て、固まったが、その空気をぶっ壊したのは、バーサーカーだった。

 バーサーカーは、セイバーを認識するや否や、襲いかかった。

「バーサーカー、よせ! 止まれ!」

「ーーーーーっ!!」

 セイバーの眼前でバーサーカーは止まった。

 そして後ろから雁夜が、兜に付いている毛を引っ張ってセイバーから引き離した。

 ハーッと息を吐いた雁夜だったが、すぐにセイバーとアイリスフィールの視線に気づき、赤面した。

「さ…、さっきのは忘れてくれ……。」

 顔を両手で押さえて背中を向ける雁夜であった。

 セイバーとアイリスフィールは、お互いに顔を見合わせてから雁夜を見た。

「いきなりですまないが、話をしませんか? 私達はそのために来ました。」

「はっ?」

 顔をあげた雁夜は、キョトンッとした。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 その後、間桐邸から離れた場所にある公園に来た。

「間桐の家でも構いませんのに…。」

「いや…、ついさっき行ってきますって言ったばっかりだったから…。」

 出発したばかりですぐに帰るのが気まずかったので、雁夜がそうしたのだ。

「で? 話ってなんだ?」

「単刀直入に聞くわ。あなた…、桜という女の子を匿っているわね?」

「…それが、なにか?」

「今日、遠坂から同盟を求められたわ。」

「知ってる。」

「あら? 盗聴でもしてたの?」

「いや…、家にすごい地獄耳がいて…、そいつから大体のことは聞いた。」

「バーサーカーのマスター。あなたは、桜という娘を監禁しているわけではないのですね?」

「そんなことするわけがないだろ。」

 セイバーの問いに、雁夜は心外だと言わんばかりに答えた。

「桜ちゃんは、帰りたがってないんだ。何を今更……。」

「まったくもってその通りね。」

「はあ?」

「遠坂の当主は、桜という子を連れ戻すつもりよ。あなたを殺してでも……。」

 アイリスフィールは、ヤレヤレという調子で言った。

「時臣が何を考えているのか分からないし、分かりたくもないが、桜ちゃんを渡す気はないぞ。」

「私達は、その子を連れて行くつもりはないわ。」

 僅かに身構える雁夜にアイリスフィールが安心してくれという意味で言った。

「ただ、あなたと話をしたかっただけです。バーサーカーのマスターたる、間桐雁夜。」

「…はあ。」

「それともう二つ……。」

「なんだ?」

「一つ目、あなたは、この聖杯戦争において、何を願うのかしら?」

「それは……。」

 それは、ライダーからも問われたことだ。

 だが、今の雁夜は、ライダーと対談した時よりも意思はハッキリしていた。

「何もない。」

「まあっ。」

 アイリスフィールが意外だと声を漏らした。セイバーも驚いて目を僅かに見開いている。

「俺は、時臣に聞かなきゃならないことがある。そして、桜ちゃんが、時臣に対して報復を望んでいる。俺は、その助けをするだけだ。聖杯の取り合いは、あんた達だけで勝手にしてくれ。」

「……それで、本当にいいの?」

「構わない。俺達は、俺達の戦いをして、時臣を引っ張り出すだけだ。それが終われば、俺はこの戦争から降りる。」

「なるほど。分かったわ。じゃあ、最後にひとつ……。あなたは、バーサーカーの真名を知っているかしら?」

「…いや。俺は知らない。バーサーカーは、見ての通り、狂化で言語がほとんど喋れないんだ。だから真名はおろか、他のことだって分からないんだ。」

「初めの戦いの時からずっと気になってたのよ…。どうしてセイバーを見た瞬間、急にセイバーだけを狙ったのかを。」

「それは、俺にも分からない。……さっきから、セイバーを見て襲いかかりそうな状態だしな。」

 雁夜は隣にいるバーサーカーが、プルプルプルと震えて命令通り止まっているのを見た。

「……バーサーカーのマスター。私から頼みがあります。」

「なんだ?」

「バーサーカーと戦わせてくれますか?」

「はあ!?」

「セイバー? 何を言っているの?」

「バーサーカーの、憎悪と殺意でまみれたこの魔力…、これは私に向けられているモノです。だから、確かめたい。そして、なぜこれほどに憎しみを私に向けるのか、憎しみに囚われているのか知りたい。」

「……間桐雁夜。騎士王の頼み。聞いて頂けますか?」

「………分かった。けど、ここじゃマズい。場所を変える。」

「分かったわ。行きましょう、セイバー。」

「はい。」

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 そして、雁夜は、間桐邸に二人を連れて帰ってきた。

「おかえりー、雁夜さん。あれ? お客さん?」

「雁夜おじさん、おかえりなさい。」

「ただいま……。ちょっと離れの庭の方で、一戦するから、近づくなよ。」

「ん? もしかして……。」

「ちょっとな…。」

「ところで、バーサーカーのマスター。」

「なんだ?」

「この…良い匂いはなんですか? 腹の底に響く…。」

「? カレーの匂いだけど…?」

「カレー…、なんとも魅惑な響きを感じます。」

「あ、じゃあ、戦いが終わったら、一緒に食べます?」

「おおい、ツツジぃぃ…。」

「まあ、いいのかしら? 急に押しかけたのに…。」

「たくさん作ってるから、だいじょうぶ。」

「まあ、そうなの? ありがとう。セイバー、聞いたでしょ?」

 桜と目線を合わせたアイリスフィールが、セイバーの方に顔を向けて言った。

「ええ…。では、速やかに用事を終わらせ、カレーを食しましょう!」

「なんか、目的変わってないか!?」

 カレーという魅惑の存在に期待を膨らませている様子のセイバーに、雁夜はたまらずツッコミを入れたのだった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 そして、決闘をする場所を、アーチャーによっておあちこち破壊された部分の庭にした。

「ずいぶんと、荒れてますね…。」

「アーチャーにやられたんだ。」

「アーチャーが?」

「いきなり襲撃してきたんだ。おかげで、家も一部壊された。」

 雁夜は、壊された間桐邸の部分を指差した。

「色々とあったようですね……。では、始めてもいいですか?」

「ああ。バーサーカー! 戦っても良いぞ。」

 その瞬間、バーサーカーがすぐに動いた。

 セイバーが手にする剣と、バーサーカーが手にする剣がぶつかる。

 そして両者の凄まじい剣戟がぶつかり合う。

 それは、まさに英霊達にしかできない、この世ならざる戦いの光景だった。

 剣戟の最中、バーサーカーが体を回転させた間際にF15の機関銃を出現させた。

 セイバーは、そのスピードで、放たれてる機関銃の弾を避け、身を低くし、F15の機関銃を手にするために防御が疎かになったバーサーカーの頭部めがけて、剣を振った。

 バーサーカーが後ろにのけぞり、剣を避けようとしたが、避けきれず頭を覆う兜に接触した。

 ピシリッと、バーサーカーの兜に亀裂が入った。

 バーサーカーは、F15の機関銃を捨て、その辺に落ちていた瓦礫の棒を拾った。瞬間、ただの瓦礫の棒に過ぎなかった物が、魔力を帯び、宝具となる。

 二刀流となったバーサーカーが凄まじい攻撃をセイバーに繰り出した。

 セイバーは、それを両手で握った一振りの剣で迎え撃つ。

「その武練…、さぞや名のある騎士と見込んで問わせてもらう!」

 お互いにいったん距離を取った瞬間、セイバーが声をあげた。

「この私をブリテン王アルトリア・ペンドラゴンと弁えた上で、挑むのなら、騎士たるものの誇りをもって、その来歴を明かすがいい! 素性を据えてまま挑みかかるは、騙し討ちに等しいぞ!」

「ーーーーっ!! ぁぁあ……。」

「バーサーカーが…。」

 セイバーの口上に反応したのか、バーサーカーが声を漏らした。

 すると、バーサーカーは、剣の柄で自らの鎧の兜を砕いた。

 

 そして現れるのは、長い黒髪。

 凄まじい美貌。

 しかしその美貌は、いまや、憎しみと殺意によりやつれ果てている。呪詛の果てに全てを失った、まさに生きる亡者の顔だった。

 

 その顔を見て、セイバーは、剣を落としかけた。

「貴方は……、そんな…!」

「セイバー?」

「そんなにも、貴方は……。」

 震え、崩れ落ちそうになる膝を叱咤して立ち上がる。

「そんなにも私が憎かったのか! 朋友(とも)よ……、そんな姿になり果ててまで! そうまでして私を恨むのか、サー・ランスロット!!」

 

 バーサーカーの正体…それは、湖の騎士にして、裏切りの円卓の騎士、ランスロットだった。

 

「ランスロット!?」

 雁夜とアイリスフィールの声が重なった。

 それなら合点がいく。アーサー王たるセイバーに執着していたのも。

「ぁぁぁああ、さぁぁあ……。」

 狂化により狂い、そして抱えている怨嗟によって濁った声が、セイバーの名を呼ぶ。

 ビクリッと震えたセイバーは、棒立ちになった。

「セイバー? セイバー!? しっかりして!」

「バーサーカー、やめろ! 止まれ!」

「ぐぅぅぅ…。あぁぁあ、さぁぁああ…。」

 棒立ちになっているセイバーに向けて剣を振ろうとしたバーサーカーが、雁夜に命じられてすんでの所で止まった。

「うぅ…うううう!」

「セイバー…。」

 剣を握る手をダラリとさせ、地面に膝をつくセイバーの呻きに、アイリスフィールは心配そうに声を漏らした。

 そして、まるでセイバーの涙の代わりのように、ポツポツと雨が降ってきた。

「……決闘は中止だ。バーサーカー、霊体化してろ。…家に入ろう。」

「ええ。セイバー…、行きましょう。」

「……。」

「セイバー、立つのよ。泣くのはその後でいいわ。」

「………アイリスフィール…、私は…。」

「いいからセイバー。今は雨宿りしましょう。」

「……はい。」

 セイバーは、なんとか立ち上がり、アイリスフィールと共に間桐邸に入った。




腹ぺこ王の片鱗が……って感じで書きました。
でも、バーサーカーの正体を知った時の衝撃には食欲は敵わなかった……。

原作小説のように、途中で雁夜が尽きないのでセイバーがやる気無いと一方的に負けるだけなので止めさせました。
けど、このままだとバーサーカーの狂化がそのままなので、どうしようかな?
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