あと、自分ところの女子達(桜&ツツジ)に弱い、男達(雁夜&バーサーカー)。
あと、バーサーカーが雁夜おじさんをブッ刺しちゃいます。
注意。
ガツ…、ガツガツガツガツ…
「……おい。」
「…お代わりを……。」
「はいはーい。」
ガツガツガツガツ…
「おい…。」
「…お代わりを……。」
「はいはーい。」
ガツガツガツガツ…
「おい…!」
「…お代わりを……。」
「はいはーい。」
ガツガツガツガツ…
「…おかわ…。」
「食い過ぎだーーーーーーー!!」
雁夜がついにキレて絶叫した。
バーサーカーが朋友ランスロットだったという事実に凄まじいショックを受けていたセイバーが…、間桐家の夕飯のカレーを食べ続ける様に、どうしてこうなった!?っと雁夜は、頭を抱えた。
「サーヴァントって、飯必要ないだろ!? 魔力供給がしっかりしてるなら! それともなにか? もしかして魔力が切れ気味なのか!? さっきバーサーカーと戦ったからか!?」
「落ち着いて、間桐雁夜。」
まくし立てる雁夜に、落ち着くようアイリスフィールが言った。
さっきからガツガツとセイバーは……、ごはん特盛り&ルーたっぷり&トッピングの具(揚げ物や茹で野菜など)たっぷり乗せたカレーを、延々と食い続けていたいたのだ。その細くて、ちょっと小柄な体からは想像も出来ない食欲である。何があったと言わずしてどうするっというぐらいの勢いだ。
「だいじょうぶだよ、雁夜さん。雁夜さんの分はちゃんと取ってあるから。」
「ああ、そうかありがと。って、そういうことじゃない!」
「まあ、落ち着いてくださいな。間桐雁夜。それにしても初めて食べる味だわ。とっても美味しい。」
「ありがとうございます。」
「……もういい! ツツジ、俺にもカレーお代わり! トンカツ乗せて!」
「あ、トンカツ無くなった。セイバーさんに取られちゃった。」
「俺の験担ぎーーーー!! てめぇぇぇ、セイバーーー!!」
まだトンカツを食べてなかった雁夜が泣いて怒った直後、霊体化していたバーサーカーが実体化した。
「おーい! 待て! 敵じゃない! 敵じゃないから、やめろ!」
食卓ごとセイバーを切ろうとするバーサーカーを止めるのに必死になり、その後エビフライまでセイバーに取られることになった雁夜だった(※大皿に盛ってあって各自取るようにしてた)。
***
「ふう…、ひとまず落ち着きました。」
「お粗末様で…。」
結局、数日分あったカレーのほとんどを食い尽くしたセイバーだった。
場所を客室に移し、食後のお茶と共に会話に移った。
「しかし…、まさか、あんたと縁のあるサーヴァントだったとはな…。どうする? これから?」
「ランスロットが、なぜこの聖杯戦争の召喚に応じたのか…、その内容によると思うわ。間桐雁夜、ランスロットの狂化は解けないの?」
「……すまない。死んだジジイなら分かっただろうが、俺には解き方は分からないんだ。」
「令呪は?」
すると桜が言った。
「あ、そうか。令呪を使えば……、って、バーサーカー?」
なら早速と、令呪を使おうとしたら、いきなり実体化したバーサーカーに右手を掴まれて止められた。
「な、なんだ? 狂化を解かれたくないのか?」
っと聞くと、バーサーカーは、ブンブンと首を縦に振った。
「狂化って…、言葉通り理性を吹っ飛ばすんなら、今の状態ってだいぶ狂化が解けてるんじゃないの?」
「犬猫程度じゃ、理由は聞けないぞ?」
「あ、そっか…。じゃあ、バーサーカーには、狂化を解いて欲しくない理由があるんだろうね。例えば…、なんていうか…自分で自分を狂わせたかったとか?」
「自分からあえて狂ったって事か?」
「なるほど…、そういう見方も出来るわね。そうやって、ひとつずつ解いていけば、彼がなぜバーサーカーのクラスに収まったのか分かるかもしれないわ。」
ツツジの言葉に、雁夜とアイリスフィールは、なるほどっと納得した。
「…でも、やっぱり本人の口から喋らさないといけなさそうね。いくら騎士王の元忠臣とはいえ、なぜ狂化した状態で戦いを挑んできたのか。」
「おい、セイバー、おまえ心当たりは……、あ、すまん。聞かない方がよかったか。」
セイバーを見た雁夜は、思わず謝った。
セイバーは、キノコ生えそうほど、ズーーンっと暗くなっていた。こっちもこっちでまともに口がきけそうにない。
「私は……、救いたかった。」
すると、セイバーが口を開いた。その声は、威厳を失っており、騎士王たる彼女からは想像も出来ない弱々しい物だった。
「だが、そのあり方は……間違いだったか…。」
それからセイバーは、ランスロットとの間に起こった、悲運と結末を語った。
それは、アーサー王の物語においてよく語られている、アーサー王の妻・ギネヴィアを交えたランスロットとの間に起こった不義が、自分が王として性別を偽っていたことがすべての軋みだったとも語った。
信じていたと言った。朋友であるランスロットだから、責任を背負って分かち合えると信じていたのだと。事実、ランスロットは、正道を踏み外す苦悩に身を焦がしつつ、陰ながらギネヴィアを支え、王である自分を支えてくれたのだと。
しかし、そのことが醜聞として暴露され、二人は袂を分かつしかなくなり、ランスロットは、愛する女性を見殺しに出来ず、そして王であるセイバー…ことアルトリアは、断罪するしかなかったのだと。
誰も間違ってなかったのだと、誰も正しくあろうとしたが故の悲劇だったのだと、そう思えばこそ、最後まで王として自分は戦えたのだと語った。
だが……、現実はどうだ?っと…。
今や雁夜のバーサーカーとなったランスロットが纏う、怨嗟の魔力と、アーサー王が握るエクスカリバーと対を成す剣、アロンダイトが、黒く、そして血管のような赤が入った有様を。
そしてその剣が自分に向けられる。
狂化によって狂い、その狂気に身を委ね、貴様が憎い…、貴様を呪う…、そうむき出しの感情を込めて振られていた、朋友の…完璧なる騎士のなれの果ての剣。
自分は、その剣を否定することも、打ち砕くことも、できないっと、セイバーは、肩を震わせて語った。
救うばかりで、導かなかった
道を失った、臣下を捨て置いて、自分だけが聖者であろうとした
貴方は、人の気持ちが分からない
それはアーサー王たる、セイバーを苦しめる誰かの言葉。
そして聖杯を求める理由。
正しい道を貫いて、正しい結末に至らぬとしたら、齟齬があったのだとしたら天の運気だと。
ならば、願望機(聖杯)の奇跡さえあれば、その運命を覆せると。
そう信じるから今まで戦ってこれた、誇りを貫けた。
だが、その信じてきた自らの誇りが、そして国体が、誰よりも志と理想を懐いたはずだった朋友を、このような姿(バーサーカー)に堕としてしまうほど怨嗟を持たせてしまった。
「ランスロット。貴方にだけは解って欲しかった。貴方こそが理想の騎士だったのだから。私の在り方を正しいと。是非もないと頷いて欲しかった……!」
「あぁぁぁぁああぁああああさあぁぁああああああああああああああ!!」
「バーサーカー! やめろおおおおおお!!」
セイバーの嘆きを打ち破るように、バーサーカーが、雁夜の命令を振り切って、セイバーに襲いかかった。
そして、セイバーの顔に大量の血がかかった。
「ぐっ…。」
「間桐雁夜!!」
「雁夜さん!」
「おじさん!」
バーサーカーの手にする剣が、雁夜の胸を貫き、雁夜はバーサーカーに抱きつくような形になった。
セイバーは、目の前で起こった事に呆然とした。
「うぅ…ぐぅ…。」
ギリギリと鋭くなっていく爪でバーサーカーの胴体の鎧をひっかくように掴み、更に強く抱きついた。
すると、ジワジワと、雁夜の体にバーサーカーの鎧がまとう黒い魔力が染みだした。
「い…言いたい…こと…が……ある…んだ、ろ?」
「ぁぁぁあああぁぁぁあ…。」
「だ、った、ら…!」
バリ、バリ…っと、雁夜の体から放電が走った。
「目の前に…、いる、んだから……! 狂って…、逃げ…ずに…、喋ればいいだろぉぉぉおぉおおおおおおおおおお!!」
強い魔力を帯びた放電が、バーサーカーの黒い魔力を吹き飛ばすように強く輝いた。
客室のふすまが吹き飛び、放電の爆発により煙が晴れていく。
「……スター…、マスター!」
聞き覚えがあるが、響きが違う男の声が聞こえた。
魔力を帯びた放電による輝きの眩しさに、腕で顔を隠したり、目を閉じるなりしてた、全員がそれを見た。
見ると、そこには、兜が取れたバーサーカーが、胸に剣が刺さって倒れた雁夜を介抱していた。
その顔は、セイバーとの決闘の時に見せた怨嗟によって歪みきったものではなくなっていた。
ぐったり動かない雁夜は、うめき声を漏らしながら、口から血を垂らしていた。
「バーサーカー! いや、ランスロットさん? どっちでもいいや、早く剣を抜いてあげて!」
「しかし!」
「だいじょうぶ! 抜いてあげた方がいいってことは、あなた、何回も見てるでしょ! 心臓ぐらいじゃ死なないから!」
「は、はい!」
ツツジに急かされ、バーサーカーは慌てて雁夜から剣を抜いた。一瞬大量の血があふれるが、すぐに傷が閉じた。
「…うぅ…。し、死ぬかと思った…。」
雁夜は、口元の血を腕で拭いながら上体を起こした。
「なんてムチャなことを!」
「そうよ! 普通だったら死んでたわ!」
正気に戻ったセイバーと、アイリスフィールが怒った。
「あ、すんませんでした…。ほら、バーサーカー、いや…、ランスロット、喋りたいことあるなら言えよ。ほら、アーサー王が目の前にいるんだから。」
「っ!」
雁夜に促され、バーサーカーがビクッと震えた。
「朋友よ…。」
「……このような形で、再びお顔を合せてしまったことを、お許しください…。」
「なぜ、そういうのだ? 私は…。」
「私がなぜ、バーサーカーとして座からこの地へ参じたのか…、その理由を…お話します。」
バーサーカーは、セイバーの前に跪いて語り出した。
「私は、貴方の手で裁かれた。王よ…、他の誰でもない、貴方の怒りによって、我が身の罪を問われたかった。」
それが、ランスロットがアーサー王たるアルトリアを狙い続けた理由。真っ先に剣の矛先を向け続けた理由。
「貴方に裁かれていたならば、貴方に償いを求めていたならば、きっとこんな私でも、贖罪を信じて、いつか私自身を赦すための道を、探し求めることができたでしょう。王妃もまた……、そうだったはずです。」
「ランスロット…。」
「どうか。どうか私に裁きを…、その剣(エクスカリバー)で、私を罰してください!」
「そんなこと…!」
「どうか、どうか、お願いします! 我が王よ!」
「こらっ。」
シリアスな空気を一刀両断したのは、ツツジだった。
ツツジが、ペシーンっと、バーサーカーの頭を後ろから手で叩いたのだ。
途端、場の空気がシーンっとなった。
「つ……ツツジ! 何やってんだよ!?」
「罰して欲しいってことは、死にたいってことでしょ? 殺されたいんでしょ?」
ツツジは、雁夜の言葉を無視して言葉を綴った。
「え、ええ…。そ、そうですけど…?」
「まだ、死んじゃダメ。」
「えっ!?」
ズイッと顔を近づけられ、睨まれたバーサーカーは、ツツジの迫力に困惑の声を漏らした。
「まだ、桜ちゃんのお父さんを引っ張り出せてない。サーヴァントと戦うのは、サーヴァント。桜ちゃんのお父さん、時臣さんのサーヴァントのアーチャーが残ってるんだよ? 一応形だけとはいえ、あなたと雁夜さんのタッグで戦うって約束もしてるんだし。あなたがいなくなると、こっちはとっても困るの。」
「は…、はあ…。」
「気持ちは分かる。とっても分かってるつもり。あなたの気持ちを尊重はしたい。でも、今、死なれちゃ困るの。ねえ、桜ちゃん。」
「うん。とっても困る。だから、死んじゃダメ。」
「えっ…。そ、そんな…。」
「もちろん! 時臣さんを見事に捕まえられたなら、あなたの好きにしていいから! 煮るなり焼くなり、死ぬなり、好きにしていいから!」
「おーい…、一応、俺がマスターなんだけど…。」
「雁夜さ~ん。まさか今この場で死んでもいいぞって言わないよね?」
「……い、言わない…。」
「そんな! マスター! 後生です! どうか、どうか、私に、王に罰せられる権利を!」
「…やらんぞ。」
「王!?」
するとセイバーが泣きそうだった顔をキリッと改めて、ドッシリと座り込んで、腕組みしてキッパリと言ったので、雁夜に泣きついていたバーサーカーがセイバーを見た。
「ランスロット…。貴方の気持ち…しかと聞きました。ですが、まだ約束した戦いが残っている以上、貴方はマスターたる雁夜殿達のためにその剣を振るうべきです。」
「そ、そんな…!」
「貴方は、一応は雁夜殿の呼びかけに応じてバーサーカーとして、この聖杯戦争に参じた身でしょう! ならば、理由はどうあれ、ちゃんと相応に戦うのです!」
「ですが!」
「ですもだってもありません! しっかりと! 雁夜殿達の戦いに応えてから! 私に正々堂々挑んできなさい! じゃないと、私は貴方に剣を向けませんよ!」
「……はい…。」
セイバーからのお叱りを受け、バーサーカーは、正座して俯き、小さくなりながら弱々しい声で返事をしたのだった。
「ごめんな、バーサーカー…。俺みたいなのが、マスターだったばっかりに……。」
「……いいえ…、貴方のせいではありません、マスター…。その前に…、私の狂化の呪いを解いてくれて、こうして王との話し合いの場を設けてくれたこと、感謝します…。」
「ほんと、ごめんな…。」
大きな図体を小さくしているバーサーカーの背中を、雁夜は、慰めるようにポンポンと叩いた。
俺じゃあ…、ツツジと桜ちゃんを止められないんだ…っと、密かに心の中で雁夜は、泣いたのだった。
バーサーカーの狂化を解いて、バーサーカーがなぜバーサーカーになり、なぜセイバーを狙っていたのか、その理由を知るにはどうするか…。それを考えながら書いたらこうなりました。
なにせ、雁夜おじさんが元気すぎるから魔力が尽きて狂化が解けることがないので、バオーの力プラス雁夜おじさん自身の魔力を使って強制的に無理矢理、狂化を解かせました。
剣で胸を貫かれてもバオー化しなかったのは、雁夜がバオーの制御を自力でできるようになり始めている証…かな?
感想欄でもあったけど、バオーより目立つ、二人(桜&ツツジ)。強いのがいけなかったかな…?
アーチャー対策のためもあるので、今ココで死なれちゃ困るというのを言わせたかった。