Fate/zero×バオー来訪者 ネタ   作:蜜柑ブタ

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もう、一気に終わらせることにしました。

時臣達の断罪については、R18になっちゃうので、読者のご想像にお任せしますわ。
決して面倒くさかったわけじゃないので、お願いします。


感想欄でもありましたが、秘密機関ドレス壊滅のため、旅に出た雁夜達の最後の物語です。

微グロ注意。


最終話  旅路

 

 美しい月の光が窓から入ってくる。

 その豪邸の部屋の隅に、一人の男が、今まさに死の淵に立たされていた。

「うぐぐ…。」

「痛い?」

 そんな男の前には、男を見おろす、場違いな声色を発する、少女がいた。

 凜々しい顔立ちは、ともすれば少年のように見える中性的なこの少女こそ、目の前で尻餅をついて呻いている男を死に追いやろうとしている張本人だ。

「でもね……、もっともっと痛い思いをした人達がいるんだよ?」

「わ、私は…、確かにドレスに研究資金を、提供していた!」

 男は血を流しながら許しを請うように叫びだした。

 この男は、秘密機関ドレスを支えていた研究資金などの金を提供していた者の一人であった。

 寄生虫バオーなどの生物兵器を生み出した、霞の目という科学者すらその正体を知らなかった仮面の男であるが、なぜかその正体を知られていて、そして、今、断罪を受けていた。

「だ、…だが、だが! 私は、誰も殺してはいないぞ!」

「あなたは、自分の手を汚してないけど。あなたの出したお金が、たくさんの命を奪ったことは知ってたはずだよ?」

「私は、私は! 関係ない! ただ金を出しただけだ!」

「地獄で、あなたの仲間のヒトと一緒に裁かれなさい。」

「ま、待て! 私をここで殺せば、貴様もただでは済まんぞ!?」

「みーんな、そう言うよね。でも、あなたは、知らないでしょう? そもそも、あなた、他の資金提供者がもうこの世にいないことだって、知らないでしょう?」

「な…!?」

「何をやったのかなんて、教えない。何も分からないままでいい。」

「待て、待ってくれぇぇぇぇ!!」

「だから、死んで?」

 喚き散らす男の顔に少女が手を添えると、男の顔が頭ごとジュッと解けて、ドロドロになった。

 男が絶命したのをしっかりと匂いで確認してから、少女は手を離した。

 フウッと腰に手を当てて背筋をただし、息を吐く。

 

「終わったのか? ツツジ。」

 

 そこへ、やってきたのは、雁夜だった。

 その傍らには、幼い少女が一人。

 彼女は、桜である。

 そして、二人の後ろから、ちょっと遅れて現れたのは……、先ほどツツジが殺した男だった。ただし無傷で。

「うん。終わったよ。ありがとう、ご苦労様、雁夜さん、桜ちゃん。」

「バーサーカー。もういいぞ。」

 先ほど死んだ男に姿を変えていたサーヴァント、バーサーカーが変身を解いた。

 この変身能力は、バーサーカークラスであるランスロットの、他人に扮して武勇を重ねたという伝説から得られた能力だった。対象の姿を完璧にコピーする。

 ツツジが、先ほど殺した男に話した、他の仲間がすでにこの世にいないことを男が知らなかったのは、このバーサーカーの能力を使って変身させてすり替わり、更に桜が使う魔術の催眠などによる情報網の操作で本物を闇に葬ったからだ。

 ……なぜ、あの時冬木の市民会館でエクスカリバーの力で葬られたはずのバーサーカーがいるのか。それは、雁夜の右手に残った最後の令呪によるものだ。

 冬木市で起きたあの惨劇の日から、少し経った頃、右手に残った最後の令呪と、バーサーカーがまだパスが繋がっていて、消えたバーサーカーが少しずつ復活していることに気づいた。そして、半年後、バーサーカーは、戻ってきたのだ。

 バーサーカーがこの世界にいる理由はもうないので、あとは令呪を適当に使って雁夜のマスターとしての権限を失わせれば、バーサーカーは消えるはずだったが、雁夜が、バーサーカーのこの変身能力に着目し、秘密機関ドレスを壊滅させるため、少しの間でいいから手伝ってくれと頼んだのだ。

 バーサーカーはこれを受け入れ、こうして変身能力を使って、秘密機関ドレスの資金源だったスポンサー達を次々に秘密裏に暗殺する手助けをした。

 匂いで感じ取っていることだが、秘密機関ドレスは、バーサーカーが扮したスポンサー達が資金提供の打ち切りを言い出したことに混乱し、資金繰りに困り果てているようだ。

 科学の力でその地位を築き上げてきたドレスは、魔術という不可解な力には疎かったらしい。

 ツツジは、魔術師の力を求め、冬木市で聖杯戦争参加者から魔術の力を求めようとしたことが、こういう形で成功につながったことを喜んだ。

「ありがとう、雁夜さん。」

「なんだ、急に?」

 最後のスポンサーを殺し終えて、現場から退却する途中で、ツツジがお礼を言った。

「あなたに会えて…、本当によかった。」

「何言ってんだよ。まだ終わってないだろ? スポンサーは潰したが、肝心のドレスがまだ健在じゃないかよ。」

「うん。分かってる。」

「ねえ、ツツジさん。」

「なぁに?」

「どうして、あなたは、ドレスをそんなに倒したがってるのか…、もう教えてくれてもいいでしょう?」

 夜道を走る車の中で、桜がツツジにそう尋ねてきた。

 実は、まだ全然自分のことを話していなかったツツジだった。

「内緒。」

「なんだよ、ここまで来て、まだ話さない気か? けど…、前のスポンサーの奴がなんか言ってたな…。お前…、誰かにそっくりだってな。……い………なんちゃらって言ってたような?」

 うろ覚えであるため、そのスポンサーだった者が、ツツジが誰に似ているのかと言っていたことを覚えてなかった。

「フフフ…。」

 ツツジは、ニコニコ笑った。

「……こんなこと、きっとあの人達は、望んでいなかったと思うから、これはあくまで私の自己満足なの。」

「っと言うと?」

「私は、私の自己満足のために、力を欲して、結果、雁夜さん達を巻き込んだ。こんなことに巻き込んだ私は、きっとあなた達から殺されても仕方ないと思ってる。」

「……馬鹿言うなよ。」

「そうよ。」

 ツツジの自虐の言葉に、二人は否定の言葉を吐いた。

「俺は感謝してるぞ? 俺が今ここで桜ちゃんと生きているのは、お前のおかげなんだからな。」

「私も感謝してるよ? ツツジさんと出会えたこと。」

「……ありがとう。じゃあ…、ちょっとだけ、昔話でもしようか。」

「おっ?」

「私はね…。親の顔を知らないの。生まれたときに、もう孤児院にいたから。でも、たったひとつだけ…、親に関する情報があった。それは苗字だった。孤児院の院長さんから、聞いて直感した。これが、お父さんの名前だって。それからかな? 私が他の人と生まれた時から違うんだって理解し始めたのは……。そして、秘密機関ドレスとの深い因縁も……。きっと、私の中に、生まれたときからずっと一緒に育ってきたモノが教えてくれたんだ。」

 ツツジは、車の窓から見える美しい月を眺めて、懐かしむように目を細めた。

「『マザー・バオー』。最初に出会ったドレスの奴らは、私をそう呼んでったっけ。」

 

 三人、プラス、サーヴァント一体を乗せた車は、夜の長い道を、走り抜けていった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 それから、更に、五年後……、秘密機関ドレスは、決してその存在を表沙汰になることなく、闇の世界にいるまま、滅んでいった……。

 その滅びの裏で、暗躍していた三人と一体の英霊の存在もまた、永遠に表沙汰になることはなかった……。

 そして、時を同じくして、長らく明かりが消えていた寂れかけた間桐邸に、住む者がいる証である明かりが点ることになる。

 そこには、何年経っても、容姿を変えていない男が一人と、十代半ばから同じく姿を変えていない少女と、美しく成長しつつある少女がひとり。立場や年齢を超えて、仲良く暮らしていたいう。




勢いのまま終わらせないと、グダりそうだったので、最終回にしました。

序盤で殺されてたドレスのスポンサーは、バオー来訪者の漫画で仮面を付けてた人です。犬バオーを見学してた。

ドレスが、霞の目に替わる科学者を立てて、魔術師という人種の研究も始めていたという捏造も書こうかな?って思いましたが、それだとややこしくなりそうだったので止めました。この捏造設定だと、魔術協会とかも絡んでて全面戦争なんて起きそうだったので。それは、それで面白そうだが…、魔術によって隠蔽されていたことが表沙汰になると世界が大混乱になりそうだったし……。主に願望器がらみで。


一ヶ月弱で、終わりましたが、たくさんのお気に入り、感想、評価までしていただきありがとうございました。
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