【再建中】気まぐれビルダーのコメディ風、~剣神の記憶を添えて~ 作:シイナ リオ
暗い世界、自然と夢の世界だと分かった。
-私の声が聞こえますか?-
-私の名前は精霊ルビス-
暗闇に浮かぶは赤い髪にエルフ耳のように長く尖った耳の女性。
-ロトの血を引く心優しき少年よ……あなたの手元を見るのです-
一本の剣……赤い宝石が嵌められ、どこか神々しい。
-あなたの手にしているその剣こそ闇を払い、希望を切り開くロトの剣-
-さあ、今こそ旅立つときが来ました。 あなたに神の守りあれ……-
そして夢が覚めていく感覚が……。
-……あら? ……間違った子を選んでしまった気が……-
きょうで6さい、オレはゆうしゃになる……。
-や、やっぱり間違ってました!? 10年早いです!! あなたが旅立つのは16歳からー
-お待ちなさい!! ちょ、まだ夢から覚めてはいけません!!ー
そんな慌てた彼女の声が遠のいていき……
それからは激闘の日々だった。
勇者に憧れる『ももんじゃ』のモモたんを旅の友に、俺は旅を続けた。
あらゆる剣術を習得し、あらゆる魔法を覚えた。
……そして、竜王の力で変り果てた親友《モモたん》との死闘……。
親友を斬ってしまった、親友を失ってしまった……
あの胸を貫くような深い悲しみと煮えたぎるような怒りが込み上げてきたあの時……。
俺は決心した、“竜王《あいつ》”を絶対に許すものかと……!!
赤い絨毯を敷き詰められた暗い部屋。
その奥の玉座に“仇《ヤツ》”はいた。
「よくぞ来た!! わしが王の中の王、竜王である。
わしは待っておった。 そなたのような若者が、現れる事を」
ただ王座に座っている……それだけなのに伝わるゾッとするような気迫《オーラ》。
「もし、わしの味方になれば、世界の半分をおまえにやろう。
どうした? 世界の半分を欲しくないはないのか? 悪い話ではあるまい」
邪悪なるカリスマ性、甘美なる問いをかけるその声に……俺は……。
………………
…………
……
――ようやく見つけました、あなたの事を……うっかり平行世界に声をかけて剣を渡してしまいましたが、なんとかなりました――
それはいつの日に聞いた女性の声。
――今は一つの忌まわしき選択が生んだ、闇に覆われた世界。
この世界は空の光を失い、力なき人々はただ、滅びの時を舞っています――
――全てが失われた世界を新しく作るには、あなたの力が必要なのです。
さぁ、時は来ました。 さぁ目を、お開けなさい……
水の滴る音。
目覚めるとそこは暗い地下、目の前には……墓!?
――目覚めたのですね――
――あなたは覚えていますか? 自分が何者で、自分がどんな存在であったか――
「俺は……思い出せない。 何もかも、名前すらも……」
――……そうですか、眠りにつく前の事は何も覚えて……今、何と?――
「名前すら、思い出せないです」
――おお、なんという事でしょう……名前すら忘れてしまうとは……亡くなった後、剣と一緒に連れ帰ったのが原因でしょうかね?――
なんかとんでもない事を言われた気が……それより名前が無い……自分が何者すらも分からないし……俺は一体誰なんだろうか……?
「というか身体もずっと寝たきりみたいで変な感じがします……まぁ、ちゃんと動けはするけど……」
――よかった、あなたは自分の役割を果たす事ができるでしょう――
「役割?」
――長き眠りから覚めたあなたには果たすべき重大な役割があるのです――
「それより、凄く身体が怠いんですけど……」
――確かに、体力が減っているようですね、長い眠りで奪われていたのかもしれません――
「薬草はありますか?」
――残念ながら……現代にはもう生えてはいません――
「え……?」
当たり前のように売っていて、一般人には割高ではあるが傷が一発で治る……
土地によっては道端で雑草のように生えている事もあるあの薬草が……失われた?
「じゃあ『きずぐすり』に使う『白い花びら』を摘もう」
周囲に生える何本かの白い花から『白い花びら』を3つ摘み取り、近くにあった『木の作業台』で『きずぐすり』を作ろう。
その瞬間だった。
手が勝手に動き出し、魔法か何か分からないが容器が現れて中に白い花びらがクリーム状になって入る。
『きずぐすり』が完成した。
身体の怠い原因……脇腹の傷に『きずぐすり』を塗ったくり、体力を回復させる。
「ふぅ大分楽になった」
――この世界に生きる人々はとある切欠で、今のように物を作り出す力も失われました――
「こんな家庭の知恵もか!?」
薬草を使う程じゃないような傷を治す家庭の知恵だ。
※吉崎観音先生作の『ドラゴンクエストモンスターズ+』にて、ぶちスライムに噛まれた傷に薬を塗る第1話のシーンイメージ※
――そうです。 そしてあなたの責務は……――
「責務はともかく、早くこの地下から出たいのですけど」
――おお……それもそうですね、ではこの穴倉から出る為に足場を作りましょう。
まず、土を“壊す”のですが、『ひのきのぼう』を作りなさい――
「『ひのきのぼう』って作れるのか?」
そう呟きながらも、落ちている『ふとい枝』を先ほど同様、切り株の作業台で『ひのきの棒』を作り出す。
――今はもう……その武器を作り出すという事も、そして物を壊すという事も人間たちは失ってしまった力です。
世界が闇に閉ざされ、人々は力を失っても、ずっと待ち続けていました……その物を作る力を持つあなたを。
あなたは人々の願い、夢、希望、そして未来を背負っているのです。
貴方が果たすべき任務、それは……――
「zzz……」
――……あなたまさか、眠っているのではないでしょうね? 起きなさい!!――
「っは!! っき、聞いてますよ!?」
聞いてなかったけど……
――……はぁ、仕方ありません……やはりまずはここから出た方がよさそうですね。 ではまず土を10個……――
「土が……ブロック状になった!? いや待て、ひのきのぼうが勿体ないし手で掘ろう。
お、切り株も簡単に持ち運べる!? ここの拾えるもの、全部持っていこう!!
ん? がいこつの山があるし、鎖まで……文字は掠れて、読めないな……おお、ここから外に出られる!!
石の階段!? これは新しい素材だ!! っしゃぁ持ってけるもの全部持ち運ぼう!!」
――って全然聞いてない!?
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――よくやりました。 上手く外の世界に出る事ができましたね。――
――これからあなたが目にする世界、アレフガルドはとある切欠で光を失い、闇に覆われた世界……。
光り無き世界に生きる人々は物を作る力を奪われ、今や文明も知恵も無くしてしまっています。
あなたに課せられた重大な使命……
それは、あなたが持つ物作りの力で人々を救い、アレフガルドの世界を復活させる事なのです――
「急に人々を救え、世界を復活させろって言われても……ピンと来ないんですが?」
目覚めたら墓だし、突然そんな色々言われても……。
――……確かに、目覚めたばかりの貴方には少し、急な話なのかもしれません。
貴方が持つ物を作る力で、あなたの自由に思い描いた世界を作り出してください。
そうすればおのずと自らの使命も果たすことができるでしょう。
そして自分自身で確かめるのです。 世界に何が起きたのか、そして……自分の役割がなんなのか――
「世界に何が起きたのか……? 俺の役割……? それにあなたは一体……」
――私は大地の精霊ルビス。 全ては精霊の、導きのままに……――
精霊ルビス……それは知っている。 記憶にある大きな宗教の一つだ。
――最後に一つだけ、あなたに忠告しておきます。
あなたは勇者ではありません。 この事だけは、忘れないでください――
その瞬間、“誰かの言葉”を思い出す
(凄いモジャ!! 流石、勇者だモジャ!!)
(勇者、助けてモジャ!!)
(ごめん勇者……僕はもう、君とは一緒に行けそうにないモジャ……)
――どうしました? なぜ、泣いているのです……?――
「えっ?」と思わず頬に触れると、熱いものが流れていた……いつの間に流れていた涙。
「何でもないです、さぁ、シャバの空気だ!!」
――出所ですか!?――
死体の近くに鎖があったからそう変わらない気がする。