【再建中】気まぐれビルダーのコメディ風、~剣神の記憶を添えて~   作:シイナ リオ

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スライムのスラタン

 早朝、朝っぱらから敵が攻めてくるが……。

 まぁ、慣れたもの。

 ロッシが直ぐに警報を鳴らしてくれて、ロロンドのおっさんが考えてくれた『はがねのまもり』で足踏みしてる敵を倒す簡単な仕事だった。

 眠気も吹っ飛ぶ良い運動になった。

 

 そんな中、ショーターが新しい『旅のとびら』を見つけたらしくこちらに来た。

 

 「おお、ビルドさん!よく魔物たちを追い払ってくれました!

これは素晴らしい!新しい旅のとびらも手に入れたのですね!

……私もロッシさんから聞きました。 やはりメルキドを滅ぼしたのはゴーレムだったのですね……。

 ああビルドさん、ようやく……ようやくですっ!!

ようやく流浪の旅人だった私が、皆さんのお役に立てる時が来たようです!」

 「いやいや、ショーターの情報力はいつも役に立っているけど?」

 「いえいえ、大した情報ではありませんよ……。

さて話を戻します。 私は以前、旅の途中である発明家に会い『まほうの玉』なる物の製法を聞いたのです。

この『まほうの玉』があれば、来るべきゴーレムの戦いにも役立つでしょう。

あなたにその製法を教えます。

 『ばくだんいし』『鉄のインゴット』『ひも』です」

 「『ばくだんいし』? もしかして【ばくだんいわ】から手に入るのか?」

 「はい、ですがお気を付けてください。 【ばくだんいわ】は爆発魔法……メガンテを使います。

使われたら辺り一面木端微塵!! まともに喰らったら命を落とします。

しかし爆発する前に倒さないと『ばくだんいし』は落としません。 見極めて戦ってください。

 そうですね……【ばくだんいわ】の中にはよく寝ているものがいるので、回転斬りで後ろから攻撃すれば一気に体力を減らせるのでは無いでしょうか?」

 「ああ、ありがとう」

 シューターに礼を言い、俺はピリンとゲレゲレを連れて緑のとびらへと向かう。

 

 

 すっかり暗くなっているが、部屋効果『ファイアーフロア』のおかげか、松明の炎は大きくて暗さはあまり影響にならない。

 だが夜とは即ちゴーストが出るということ。

 

 馬鹿なゴーストが【ばくだんいわ】を怒らせて……大爆発を起こした。

 周囲一帯が木端微塵……。

 

 どうするか……

 そう思っていたらゴロゴロと進む【ばくだんいわ】だが、二段目を超える事はできない様子が見て取れる。

 ……そうか、余裕を持って9マス程度の3段低い落とし穴に『トゲわな』を敷き詰め、そこに落とせばいいんだ!! おっと、自分が昇る1段は忘れずに……。

 副産物で【アルミラージ】から逃げる時にも役立った。

 それとアルミラージからとれた『上質な皮』から、ついに『はがねのよろい』を思いついた。

 

 岩山を登って先を進んでいると森が見えて来た。

 森には……小さなスライム? まだ小さいな。

 

 「ぷるぷる……ぼくはわるいスライムだよ……」

 悪いスライム? そんなに悪そうに見えないけど……

 そんな風に思ってるとピリンが声をかけた。

 

 「ねぇ、どうしたの?」

 「わぁ、ニンゲンだ!! ぼくはスラタン!! きみのなまえは?」

 --僕はももんじゃのモモたん!! よろしくね!!--

 なぜかそんな言葉が頭をよぎった。

 

 「私はピリン、この人はビルドだよ」

 「ピリンとビルドかぁ! すてきななまえだね!! 名前だってりりしくてかっこいいや!」

 「あはは、よく間抜けな顔って言われるからちょっと照れる」

 「……ねぇビルド……。じつはぼく……とっても悪いスライムなんだ。

ぼく、ニンゲンのことがだいすきで、ニンゲンとトモダチになりたくて……。

なかまたちにその話をしたら、ぼくは竜王さまにさからう、わるいスライムだって……。

それからぼく、みんなにいじめられて、なかまはずれにされているんだ」

 そんな話をしていると、周囲にスライム達が現れる。

 

 「うわぁっ、気を付けてビルド!! ぼくをいじめるスライムたちだ!!」

 「ケッケッケ、ニンゲンだ!!」

 「今までいたぶってやってたけど、とうとうこいつはニンゲンに味方しやがった!!」

 「ブッコロセー!!」

 かなりの量だ、しかも周囲のスライムは少々強い……。

 

 「ピリン、こっちに!!」

 「うん、分かった!!」

 俺が掘った穴をピリンはジャンプしてこちらに来る。

だがスライムどもはジャンプできず、穴の中に落ちる。

 

 「「「ぎゃああああ!!」」」

 どんなに強くても正規法で戦わなければ、大したもんじゃない。

あまり苦労せず全て倒し切り、スラタンに声をかける。

 

 「すごいやビルド、きみってとっても強いんだね!!

たすけてくれてありがとう。 ここはつよいマモノもおおいから気を付けてね!

……それじゃ、さよならビルド」

 「おいちょっと待ってよ。 俺の作った町に来ないか?」

 「え? ビルドが作った町だって?

ぼくもいっしょに住んでいいの? うわぁ、ほんと!? ほんとにほんとなんだね!?

やったあ! ありがとうビルド! それじゃあぼくもビルドの町に行くよ!!」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 「うわぁ!すごいや、すごいや!

ここが、ビルドが作った町なんだね!

……だけど、ぼくはマモノだよ? ほんとに、ここに住んでいいの?」

 「もちろんだよ。 友達だろ?」

 「……え? トモダチ? ビルド! ぼくとトモダチになってくれるの!?」

 「もうなってるだろ?」

 「うゎあ! ありがとう! ありがとうビルド!」

 さて、みんなを呼ぼう。

 旅先で魔物と仲良くなった話はよくしていたからきっと受け入れてくれるだろう。

 

 「みんな、新しい仲間が増えたぞ!!」

 「お帰りビルド!! 新しい仲間ってその子?」

 「なんと仲間と……ってスライムだと? だが素晴らしい、魔物との共存もまた一つの未来である。

ピリンもゲレゲレを連れ帰っておるしな」

 「おいおい、今度の仲間はスライムか。 まぁ、あんたのことだ、何も言わねぇよ」

 「ビルドさんは魔物とも仲間になれるんですね」

 「世の中には人間に好意を抱く魔物がいると聞きますが、まさか仲間になるとは……」

 「ほう、スライムか。 ……流石にスライムに武器は持てねぇな」

 「ふぅん……となるとこの子は私の後輩なのね」

 それぞれがそれぞれの思い。

 だけど険悪な空気は無くてよかった。

 

 「な? 大丈夫だろ」

 「うん。 ぼく、町の人ともなかよくなりたいな!!

みんなにもはなしかけて、トモダチになるんだ!」

 

 

~~~

 

 「おーいショーター、『まほうの玉』を100個作ったぞ」

 「おお、流石はビルドさん!!

……ゴーレムに勝てば空の闇も晴れる……負ければメルキドは再び滅びるでしょう。

来たる戦いの勝利を祈っています。 どうか、その『まほうの玉』をお役立てください!」

 「だが、どれぐらい『まほうの玉』を量産すれば良いんだ?」

 「そうですね……20個もあればゴーレムだってきっと……!!」

 「作りすぎたかな? まぁ備えあって憂いなし、大丈夫だろ」

 そんな中、ロロンドのおっさんが大声を上げてこちらへ向かってくる。

 

 「ぬおおお! ビルドよ! ついにメルキドシールドの素材が分かったぞ!!」

 「本当か、ロロンドのおっさん!!」

 「これで城塞都市メルキドを復活できる! 来たるべき魔物との決戦にそなえられよう!

思えばここまで長い道のりだった……。

メルキド録が読み解けず、何度枕を濡らしたか。

さぁビルド、いよいよこの時だ! メルキド録に記載された最強にして最大の防壁、

『メルキドシールド』を作り、きたる魔物との決戦に備えるのだ!

……って寝てる!? 今、大事なところなのだが!?」

 「おっさん、長い……」

 俺は長い話が苦手なのを忘れてたか? 寝るぞ?

 

 「う、うむ。 素材は『緑のとびら』の先に『オルハリコン』の鉱石が埋まっておる」

 「……あ、もしかして【ばくだんいわ】の爆発でも壊れなかったあの金属か!?」

 「思い当たりがあるようだな」

 「だが、どうやって採掘するんだ?」

 「お前さん、ショーターに『まほうの玉』を教えてもらったであろう?」

 「そうか、あれならぶっ壊せるって事か!」

 「そしてもう一つは巨大な【ストーンマン】より採取できる『ゴーレム岩』だ」

 「【ストーンマン】なのに落とすのは『ゴーレム岩』……?」

 「それは元々【ストーンマン】を人間の言うことを聞くように作り出したのがメルキドの守り神である【ゴーレム】なのかもしれん。

 そこはメルキド録に欠片もなかったわ」

 「そか……しかし『オルハリコン』も『ゴーレム岩』も『まほうの玉』は必要そうだな」

 「さぁビルドよ! 貴重な素材を集め、最強の防壁『メルキドシールド』を作るのだ!!」

 

 それから~~~

 

 「ぬぉおおおおおーーーーっ!! ビルド!!

ついに『メルキシールド』を完成させたのだな!!

 これで、これで、これでっ!! もう魔物たちの襲撃を恐れずに済む!

あとはこの地の魔物の親玉を倒せば、城塞都市メルキドを完全に復活できるのだ!

 素晴らしい!! 素晴らしすぎるぞ!!

ぶわーっはっはっは! ぬわーっはっはっは!」

 「なぁ、ゴーレムが攻めてこないか……?」

 俺は、ロッシやゆきのへのおっさん、シューター……そしてあのシェルターの惨劇を思い出して問う。

 

 「うむむ……おぬしはまだ、

ロッシの言う戯言を気にしておるのか……!

ビルドよ……吾輩からひとつ、大切な話がある……

この町をさらに発展させるには、町に住む人間はしっかりと選ばねばならん。

町の発展の邪魔するもの、みなの気持ちを削ぐもの……町には不要な人間だ。

意味することはわかるな? ビルドよ……よくよく考えておいてくれ」

 「おいふざけんなロロンド!! 不要な人間なんて誰一人居ねぇ!!

あんたの言うことは分かるよ!! 直に見たことも無いんだからな。

だけど、だからってロッシを不要だなんて_」

 おっさんに叫ぼうとしたその時だった。

 

 大地が揺れる。

 それは単なる地震じゃない、何かが動くような……恐ろしい地響きだった。

 

 「うぐぉぉおおおおおーーー!? ななななんだ!? この地響きは!?

いいいいったい、吾輩の町に何が起きようというのだ!?」

 狼狽えるロロンドのおっさん。 そしてドアが開かれた。

 

 「大変だビルド!! やっぱりこの時が来た。

さっきの地響き……メルキドの守り神、ゴーレムが目覚めたんだ!!

まぁ、まずはゴーレム本体じゃなく、ゴーレムの配下の魔物が迫ってるみてぇだけどな」

 「わ、吾輩たちは、勝てるのか……?」

 「……勝てるかどうかはともかく、魔物を倒さなきゃ町に未来はねぇ。

さぁ……最後の戦いのはじまりだ。 どうだ? 戦いの準備はできてるか?」

 「ああ、大丈夫だ」

 「……ぇえい!! 一先ず先程の言葉は置いて、とにかく町を守るぞ!」

 「ふん、おっさん。 謝罪だろうが、文句だろうがそれは後で聞く。

ビルド……お前はどうして守り神だった筈のゴーレムがメルキドを滅ぼしたと思う?

どうして、竜王軍からメルキドを守るはずだったゴーレムが寝返ったと思う?」

 「……分からない」

 「ゴーレムが滅ぼしたのはメルキドじゃねぇ……メルキドにいた人間なのさ」

 「「!?」」

 「ゴーレムは壊れちまった訳でも、魔物に操られた訳でもねぇ。

……ま、続きは生きていたら話してやるぜ。

とにかく今はやってくる魔物を蹴散らすんだな!」

 そして、戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 

 

 俺とロロンドのおっさんは合流し、ロッシのもとへ向かう。

 ロッシはケッパーと次の戦の話をしているところだったらしい。

 

 「おおビルド。 よく魔物たちの攻撃を防げたじゃねぇか。 ……ロロンド、あんたも来たか。

まだまだゴーレムの配下の魔物がこの町に迫っているみてぇだ……」

 「……それより先程の続きだ。 聞かせてくれ」

 思い詰めた様子のロロンドのおっさん、やっとロッシの話をまともに聞くようになったようだ。

 

 「ああ……メルキドの守り神だったゴーレムがどうしてメルキドの人間を滅ぼしたのか……。

それはな、ゴーレムが人間こそメルキドの敵だと判断したからなんだ。

お前も何度か行ったんだろう? おおきづちの里の向こうの、あの壊れた城に」

 「そこのケッパーと一緒にな」

 「はい、あの城塞の事ですね」

 そういえばケッパーと出会った時に興味本位から向かったんだったな。

 

 「世界が闇に支配され、竜王軍がメルキドの町に迫った時、

人間たちは最後の力で城塞を作り、シェルターとしてあそこにたてこもった。

 閉鎖された城塞で長い時間暮らすうちに、人間たちは最低の争いを始めた。

限られた食料を奪い合い、些細なことで憎しみ合うそのありさまは

まさに地獄絵図だったって話だ……」

 「ああ、死体は散乱していたな」

 「はい、僕が全て埋葬させていただきましたが、物凄い量でした」

 「なんと……」

 「……そんな時だった、守り神だったゴーレムが人間を襲ったのは……。

……おっと、話が長くなっちまったな。

さぁゴーレムの配下の魔物たちのお出ましだ!!」

 

 「おっと、ロロンドのおっさん、今まで集めた『本』と『メモ』だ」

 俺は小屋のメモ、ガンダルの本、奪った男のメモ、子供のメモを渡した。

 ガンダルはともかく、他のメモはみんなおっさんと同じように文字を奪われながらも書いている、

だから3つのメモは軽々と読めるだろう。

 

 

 

 「竜王軍に怯え、城塞に隠れた人々は人間同士で醜く争った……

それを見たゴーレムは人間こそがやがてメルキドを滅ぼす敵だと考えたんだろう。

 ロロンドも言っていただろ?『ゴーレムはメルキドの守り神』ってな。

つまり人間は、そして人間が営む町は大切《メルキド》じゃねぇって事だ。

竜王軍と目的が同じになった以上、ゴーレムは竜王軍をメルキドの一部として認識したのかもな。

 ……そして今だ。

ゴーレムはメルキドの地で再び発展しようとしている人間を見て、

もう一度、人間を滅ぼそうとしているのさ……メルキドを守るためにな」

 「……吾輩が、やろうとしていたのは、正にゴーレムが滅ぼそうとする原因そのものだったのか……」

 「それよりロッシ、あんたは何でゴーレムの脅威を知っていながら、どうして町から逃げないんだ?」

 その瞬間、ロッシは固く口を閉じ……。

 

 「……へへ、もちろん分かってたんだ。

町にいたら、危険だってことは。

……けどな、お前やピリン、それに町のみんなと一緒に暮らしてみて、俺は知っちまったのさ。

人と暮らすのが、めちゃめちゃ楽しいことだって」

 「ロッシ……」

 「なぁ頼む……頼むぜビルド!!

魔物を……ゴーレムを倒してくれ!!

俺たちの町を、守ってくれよ!」

 「当たり前だ、ロッシ……」

 「……負けるなよ、ビルド」

 最後にロッシの言葉を背に、俺は戦いへ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 「素晴らしいぞ!! よくぞ魔物たちを追い払ってくれた!」

 「なぁ、おっさん……ゴーレムは……」

 「……ビルドよ、もう吾輩にはわかっておる……いや、わかっておった。

このメルキドを支配する魔物の親玉が嘗ての守り神であるゴーレムと……

吾輩は認めたくなかったのだ。 かつての守り神が、人を滅ぼしたなど……。

 吾輩も聞いておったのだ……そして、吾輩が間違っていたようだな……。

ロッシも、吾輩も、町を愛する気持ちは同じであった。

 吾輩はな、ビルド……なぜかピリンの言葉を思い出したぞ……。

あやつはよく言っておった、『わたしはただ、みんなで楽しく暮らせる町を作りたいだけ』だと」

 「ああ……なぁ、おっさん……みんなを、集めてくれるか?」

 それから数分も経たぬうちに町人全員が集まる。

 

 「なぁ、みんなに言いたいことがある……

ピリン、ロロンドのおっさん、ロッシ、ケッパー、ショーター、ゆきのへのおっさん、チェリコ、そしてスラタン。

 俺はみんなを守るため、ゴーレムを倒すことに集中する。

俺は全力で勝ちに行く……【まほうの玉】は危険だから、一人で戦わせてほしい。

だから……町は守れないと思うんだ。 跡形もなく、無くなるかもしれない」

 「壊れたら直せば良い」

 ロロンドのおっさん……

 

 「無くなったら、また作れば良いさ」

 ロッシ……

 

 「ゴーレムを倒して、それから作ればいいんです」

 ケッパー……

 

 「あなたがいればみんなが集まります、みんながいればまた町は作れますよ」

 ショーター……

 

 「ふん、せっかくだから全部ぶっ壊してもらって、一からまた作るってのもあるぞ」

 ゆきのへのおっさん

 

 「私はまだ来たばかりだから何も言えないけど、あんたが死んだらピリンが悲しむんだからね?」

 チェリコ……

 

 「僕、ビルドが勝つって信じてるよ!!」

 スラタン……

 

 「大丈夫だよビルド……町が例え壊れても、みんながいるからこそ町なんだよ。

……だから、頑張ってね」

 ピリン……

 

 「行ってきます」

 俺は完全武装で、最後の戦場へ降り立った。

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