莫名灯火   作:しラぬイ

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その日、帰り道に別の道を選んだ。
自分にしては珍しい、ほんの気紛れ。
見飽きた景色が少しでも変わればと思ってのこと。
山の中なのだから少し道を変えた程度で景色が変わる訳もないのに。

歩いているとほどなくしてアケビを見つけた。
この辺りでは珍しい、けれど知っている山菜。
甘味のある実はおやつに最適。

─────今日はツいている。
そう思いながら、村へと帰っていく。
代わり映えしない毎日に、ほんの少しだけ彩がついた一日だった。


/ 記憶 01




Interlude 01
Memories 音々音 01


 

 

 

陳宮。字は公台。

真名を音々音。

 

ごく平凡な、裕福とは言えない家に彼女は生まれた。

平凡な両親、どこにでもありそうな貧しい村。朝起きて森に入り、一日の糧を村に持ち帰る。

それは彼女を取り巻く変わらぬ日常であり、山に許されて生きてきた証。

 

その中で、彼女は確かに優秀だった。

村にいる同年代の子供と比べればその才能は明らかだった。

周囲はそれを微笑ましく、そして利用できるものとして日々を暮らしていた。

 

確かな屋根と飢えない程度の食事、決して悪くはない隣人との関係。

それは、後になってありふれた幸福であったと回顧した。

 

なのにどうして、そんなことになったのか。

貧しい村だったが、誰もが平凡に生きて、静かに息を引き取れる正しさがあった。

他の村人も子供であるねねと何一つ変わらず………だからこそ、今でも悔しいと瞼を閉じる。

 

何も狂ってはいなかった。何も間違ってはいなかった。

いつも通りの行動だった。生きる為に必要な行動だった。

 

そんないつも通り山に入って糧を得る日常の儀式は、いつの間にか下賤な輩を村に案内する愚行に成り果てていた。

 

不幸中の幸い、とも言うべきか。

賊によって酷く荒らされはしたが、村の若者が農具を手に取り賊を追い返す事には成功した。

傷を負った者はいたが、死者はいなかったことに人々は安堵する。

 

けれどそれは、ねねにとって地獄の始まりであった。

 

 

 

“─────お前があの賊を連れてきた─────”

  “─────せっかく育てた作物が台無しだ─────”

 “─────村を売った不届き者め─────”

 

 

 

恐怖した。

つい先日まで普通に話しかけてきた村の人々の視線が明らかに変わっていった。

 

そしてそれ以上に疑問の方が大きかった。

 

なぜ、と。

 

どうしてそうなるのか。

どうしてそんな事になったのか。

 

賊に尾行されていたのを気付かなかったのは確か。

その所為で賊に村の存在を知られたのだろうというのも理解できる。

 

しかしそれは遅いか早いかだけの違いではないのか。

山に入る事はあっても、遠く離れた場所まで行った覚えはない。

つまりあの賊は元々この近くにいたということであり、ねねが尾行されていなかったとしてもいずれこの村の存在はバレていた筈だ。

 

ましてや村を襲い、貴重な農作物を台無しにしたのは賊であって、決してねねではない。

村人の“それ”は、ねねからしてみれば見当違いも甚だしい言いがかり。

 

その判断が出来るくらいにはねねは優秀だった。

だからこそ訴えた。

 

 

 

─────そうして気付いた時には、周りに誰も………親すら居なくなっていた。

 

村八分。

村落の中で掟や秩序を破ったものに対して課される制裁行為。

この時代においてこの単語があったかどうかは定かではないが、少なくともそれを聞いた灯火が真先に思い浮かんだ言葉でもあった。

 

それは見せしめであり、そして村の秩序を守る為の犠牲でもあった。

 

しっかりとした学者が居ればそれに否を唱える事も出来ただろうが、そんなものを貧しい村に望むなど愚の骨頂。

一度決まった事が大多数に伝播した時、それは“正義”となる。

 

集団心理というものは決して黄巾党だけの特権ではない。

少数の意見は淘汰され、大多数の意見が押し通り、被暗示性が高まり、感情性が強まっていく。

読み書きも出来ぬ者が多い村で、それは致命的な効果であった。

 

 

 

 

 

親しい関係だと思っていた隣人も、己の親すらも、ねねに言葉をかける事は無かった。

 

全てが敵に回ったねねに居場所など無い。訴える気力すらも無くなった。

─────ここに、味方は居ない。

 

殺されなかっただけ温情だったのだろう、と下らない考えが浮かんで棄却する。

 

住んでいた村から絶交され、追い出されたねねは各地を転々とすることになる。

持ち前の優秀さで幾らかはお金を稼いで飢えを凌いでいたが、それも長くは続かない。

 

手持ち金はゼロ。食糧は底をつき、雨を凌げる居場所も無い。

こんな情勢だから知らぬ土地ではそういう事もあるだろう、と少し前に考えていた状況に自分がなっていた。

 

何が悪かったのか。何を恨めばよかったのか。

疑問も、この極限に追い詰められた状況ではどうでもよかった。

 

『…………?』

 

明確に目の前に“餓死”という二文字が垣間見えた中で、一つの影と共に差し伸べられた手。

 

その主こそが、恋であった。

 

恋とねねの出会いは、灯火と恋の出会いと同じである。

まだ何の力も無かった幼少期の恋に手を差し伸べたのが灯火であるならば、路頭に迷って力尽きそうになっていたねねを助けたのが恋だ。

最初は疑心暗鬼になりながらも、命を救われ、帰るべき家を得たねねが恋を深く敬愛し、従うようになるのは当然と言えるだろう。

 

それ故に灯火とねねが初めて出会った時は、それはもう大変であった。

 

『な、な、ななななな………何奴ーーー!?』

 

『っ!? とぉぉぉおあああっぶねぇ!?』

 

何せ恋と一緒にまったりとしていた所に強烈な飛び蹴りがやってくるくらいだったのだから。

 

恋が仲介役………主にねねを宥める役で場を収めて互いに自己紹介。

幼少期からの付き合いであるということを知ったねねだったがそれで攻撃を控える事にはならず、事あるごとに灯火へ突っかかってくる。

 

だと言うのに攻撃されている灯火は苦笑しながらねねの頭を撫でて宥めようとする。

それが余計にねねの攻撃をエスカレートさせていく。

何せ敬愛する恋が灯火に付きっ切りで、しかも同じ屋根の下。

 

『(恋殿はねねが守るのです!)』

 

そう意気込み目を光らせ、恋に灯火が触れようものなら即座に陳宮キックが炸裂する。

同じ寝台で寝るなんてもってのほかだし、一緒に風呂に入るなど論外。

 

そうして恋を守るねねであったが、恋からすれば不満が溜まる。

長安と自宅を行き来する灯火は当然ながら毎日家にいる訳ではない。

会えない日がある以上、恋としては少しでも長く灯火と一緒に居たい。

 

ねねとしては恋と一緒に居たい。

けれど肝心の恋がねねを見ずに灯火ばかりを見ている。

そんな状況は、ねねにとってどこか似た心傷を覚えた。

 

『(ふぐっ…………恋殿ぉ………)』

 

家出だった。

恋と灯火の関係性は出会った時に聞いていたし、だからこそ恋が自分自身へ向けるモノとはまた別の表情になることも理解していた。

 

理解していたが、受け入れられなかった。

ねねと灯火の関係性は恋という共通人物こそいるだけであり、それ以外の接点などなかった。

恋が持つ灯火への感情と、ねねが持つ灯火への感情にはどうしても差が生まれてしまう。

 

まだ心身ともに発達途中で、薄暗い過去もある。

まるで恋が取られた様に思うようになってしまったねねは、感情のまま家を飛び出してしまった。

 

家出自体は現代にもあったことだ。

思春期特有の感情で家を飛び出す事もあれば、大喧嘩をして家を出ていくこともある。

理由は多岐にあるが、現代と大きく違うのは治安である。

 

普段ならばそういった治安の悪い場所には過去の経験から近づかない。

だが、ぐるぐると思考が回っていたねねが気が付いた時には、既に周囲に数名の男。

腰には短剣が添えられており、ねねを見る目がどこぞの野犬と同じに見えた。

刃を向けられて抵抗出来る程の武を有していないねねでは、多対一はどうしようもなかった。

 

集団のリーダーはこの辺りでは比較的有名な無法者だった。

ドロップアウトした人間の中でも一際目立ち、遊び人達のリーダーのような存在として知られている。

気の合う連中を仲間に引き入れやりたい事だけをやってきた男は、ただ単純に娯楽の一環としてねねを脅して廃屋へ放り投げた。

 

理由はあまりない。

そこら辺の奴を襲って金目のものを奪い取り、目についた女を強引に連れ込んでヤりたいようにヤる。

野蛮で、省みず、我儘で、文字も読めない頭の悪い男とその類似品である連中は、自分達の手に負える相手かどうかという判断だけはそれなりに長けていた。

故にねねを狙ったのは自分達でも容易に制圧できるという安心と、日々とは少し趣向を変えてみようという惰性的な繰り返しを打破する為だった。

幸いな事にねねの様な身体に欲情する仲間が居たのでちょうどいいとばかりに決行した。

 

口元を抑えられ、力で成人男性に及ばないねねではどうしようも出来ない。

服が破かれ素肌が露になり、身を守るモノが無くなった。

恋に貰った服が台無しにされた悲しみ、それ以上にこれから起こる事への恐怖と絶望。

涙が止まらない中で嘲笑う男ども。

 

恐怖と、絶望と、それ以上に悔しさが込み上げて。

 

 

『  クズが。 死で償え  』

 

 

─────ねねの気持ちを代弁するかのような、聞き覚えのある声がした。

 

横合いから飛来した銀色の流星が寸分違わずにねねを押し付けていた男の横首へ突き刺さり、反動で男が倒れた。

苦痛の絶叫をあげることすらなく絶命した男だが、ねねはそんな奴の姿など見向きもせず廃屋入口へ視線を向けた。

 

そこに、男が立っていた。

 

いつも恋に近づく男。

ねねのキックを簡単に避け、時には防いだり、かと思えばたまに一撃を受けてしまう男。

だと言うのに大して怒らずに苦笑しながら頭を撫でてくる男。

 

何というか、緩い、という印象を持っていたその男─────灯火の雰囲気は、ねねの知るモノと酷くかけ離れていた。

 

手には月光が照らす銀色の刃。

背後から照らされている所為で顔が見えないが、眼光だけは絶対零度の冷たさが垣間見えた。

 

『なんだてめ─────』

 

最速、最短、最適解。

近づこうとした男の言葉が続くことは無く、代わりに袈裟斬りによって鮮血が舞った。

語る言葉は何も無く、聞く言葉も何も無い。会話をする価値が無い。─────故に問答無用。

 

あまりの短時間。

一人目は死んだ当人もさることながら、それを周囲で見ていた連中すらも何が起きたか一瞬理解できなかった。

その事実を確認するよりも早く現れた部外者が、一瞬で仲間を斬り殺した。

 

どちらも一瞬。

ことここに来てようやく二人の仲間が絶命した事に気付いた連中はすぐさま得物を持って─────

 

『『死ね』』

 

前方と背後。

酷く平坦な一言だけが響いて、四人が血の海に沈んだ。

 

『恋殿………莫殿………』

 

ねねの滲んだ視界はやはりそのままだった。

恋の武はねねも知る所であり、一連の動きを見て灯火もそれに近い武を有しているのは分かった。

7人いたグループはあっという間に首謀者である男一人だけになり、数的にも形勢は逆転する。

 

『な、何だ………何なんだてめぇらは!? それ以上近づくんじゃねぇ!』

 

男が咄嗟にねねを人質に、短剣を首筋にあてる。

一瞬で6人が悲鳴をあげる事なく物言わぬ屍と化し、相手二人は全くの無表情。

長らく悪事を働いていた男………いや、例えこの男じゃなくても目の前の二人がヤバイ奴らであるというのは完全に理解できた。

 

巨大な方天画戟と細い銀刃は対照的であり、しかし振り回すには余りに狭い室内をものともしていない。

明らかに自分が立ち向かって勝てる要素は無い。

人質として咄嗟に奪ったはいいが、今やねねが己の命綱であるということは学のない男でも理解できたし、命乞いをしても助からない事も理解できた。

 

『いいか………武器を捨てろ。捨てなかったらコイツの命はねぇぞ………!』 

 

息があがる。呼吸が浅くなる。

決して短くない人生ではあったが、これほどまでに“死”が目の前にあったことは今まで無かった。

 

二つの強烈な“死”。

相手は睨んでいる訳でも怒声をあげているわけでもない。

ただただ無言で、無表情で、己を見ているその瞳は人間らしさがまるで感じられない。

 

“人を見ていない”。

 

それが、何よりも恐ろしい。

生きた心地がしない。

 

『捨てろって言ってんだよっ!!!!』

 

叫んだ。

人質を取っているというのに人間らしい反応を一切見せない、その恐ろしさ。

それを払拭する様に。

 

その男の声がようやく届いたのか。

恋がゆっくりと方天画戟を振り上げていく。

 

『っ!? な、何する気だ!?』

 

『………捨てる』

 

その言葉に僅かばかり安堵する。

兎に角武器を捨てさせなければどうしようもない。

このガキは使えると、確認した時だった。

 

恋が方天画戟の先端を地面へ向け振り下ろし──────────轟音と共に床が木端微塵に崩れた。

 

『はっ!?』

 

一切の音が死んだ世界に突如耳を突く轟音に、男は一瞬肩を震わせた。

轟音もさることながら、たった一突きで廃屋とは言え床を粉々にしてみせた。

 

視覚、聴覚、触覚。

人間が持つ五感の内の三つを一瞬で叩きつける行為。

 

それはつまりもう片方から注意が逸れた意味でもある。

 

『──────────』

 

誰も声を発する事は無い。

銀刃による“突き”は男が反応するよりも早く、首を貫いていた。

 

圧倒的。

武の心得の無いねねが抱いた言葉だった。

 

突き刺さった刃を抜くように死体となった男を蹴り飛ばし、血濡れの刃を地面へ抛り捨てる。

その音にねねが我に返り、一瞬ですぐ傍までやってきた(様に見えた)灯火の名を呼ぼうとして

 

『陳宮』

 

その灯火に抱きしめられていた。

優しく、けれど強い抱擁。

 

『無事でよかった』

 

たった一言。

この惨状を作り出した本人とは思えない穏やかな声は、少し前まで家で聞いていた声と同じだった。

 

『う…………』

 

『ねね』

 

後ろから恋が灯火と同じように抱きしめて、それが我慢の限界だった。

 

『ひぐぅっ、ぅぐっ、えぐっ…………うわああぁぁぁぁぁぁん………!』

 

恋と出会う前は悲惨な生活を過ごしていた。

明日どころか今日食べるモノも覚束ない日々に、自分の身を案じてくれる人など誰も居なかった。

 

つい先ほどまでの恐怖。怖かったという気持ち。

それ以上に自分の事を探しに来てくれて、自分の為に怒り、敵を倒してくれたこと。

前と後ろから感じる温かさが、かつて離れて失った温かさと同じだったこと。

偽物ではなく、本物であると直感で分かったこと。

 

それが何よりねねにとって涙を流す理由だった。

 

 

 

◆◆

 

 

 

久しぶりの休日。

 

洛陽に来てからは自宅というモノは無く、城の一角にある一室に住み着いている。

中郎将である月が率いる将………というだけあって、広さは十分あり内装も充実でそれなりに絢爛。

帝の居る部屋をミシュラン五つ星とするのであれば、この部屋は二つ星くらいあるのではないだろうか、なんて下らない考えが脳裏を過る。

 

最初は落ち着かなかったこの状況も、恋やねね、香風が同室で生活を共にすることですぐに慣れた。

 

つまりは一室に四人が生活しているわけであり、それを窮屈と感じさせない程度の広さがあるのは良かったと素直に思う所。

必要なモノ以外は本来彼女達に割り当てられている部屋に収納しており、灯火の部屋がモノで溢れかえっていないのも一室四名の生活空間を確保出来た要因である。

現代の収納術を舐めてはいけない。

 

そんな下らない思考の連続も穏やかな時間だからこそ。

 

他の部屋とは違う、複数人が座れる長椅子に腰かけて優雅に茶を啜る。

割り当てられたはいいが使用する気のない恋達の部屋から布団やら枕やらを拝借して作り上げた疑似的なソファは、もっぱらこの部屋のリラックスゾーン。

寝台に行くほどではないが、少しゆっくりしたい時などは非常に重宝する。

 

そんな部屋に漂う香りは、日本茶とは異なって香りを優先させたお茶。

所謂中国茶と呼ばれるソレはその香りから精神を落ち着かせる。働き詰めだった身には程よい夢心地だ。

余談だが中には正露丸の様な香りを持つ茶もあるので、好みは人によって分かれるところだろう。

 

「………………んく」

 

灯火のすぐ隣。

恋は紅い触覚(つまりはアホ毛)をピコピコと揺らしながら茶請けを食べている。

 

「美味しい?」

 

コクコク、と首を縦に振りながら次の茶請けへ手を伸ばす。

そんな恋を見て頬が緩んで、頭を撫でる。

小さく首を傾げた恋に笑いながら、閉じていた本を手に取った。

肌ざわりが良い枕をクッション代わりに膝上において、その上で読書を嗜む。

 

先日の山積みの仕事とは雲泥の差である。

 

ここにはパソコンもインターネットもスマートフォン何もないけれど、だからこそこうしたゆったりした時間は精神的にも心地がいい。

時間に追われる事の無い休日の一時。恋と二人きりの穏やかな時間。

 

膝上に置いた枕に恋が頭を預け、お互いの視線が合った。

左手で髪を撫で、されるがままに恋は瞼を閉じる。

かくいう灯火も読書中にウトウトと眠気に襲われ始め、少しばかり眠ろうかと思っていた。

 

「…………?」

 

ピクッ、と恋が瞼を開けた。

遅れて灯火も気付く。

 

部屋の外から聞こえる音。

一瞬間諜か何かかと思ったが、それにしてはどんどん音が大きくなってくる。

それが単なる足音であり、隠す気もさらさらない時点で間諜の疑惑は消し飛んだ。

 

「誰だ、廊下を走っている奴………」

 

とは言ったが思い当たる人物は一人だけだ。

灯火に割り振られた私室は廊下の突き当りにあり、この部屋に用事がない限り他人がここまでやってくる事は無い。

この部屋に来るであろう人物の為に、机の上に置いていた茶器を手に取り茶を注ぐ。

 

「灯火ぁぁあああーーー!」

 

バン! と勢いよく開かれた扉の先にいたのはやはりというかねねだった。

若干涙目なのは一体どうしたことだろう。

 

「…………うるさい」

 

「むきゅ!?」

 

そんなねねに枕を投げつけて一撃撃沈。

恋からすればせっかくいい感じでウトウトとしていたのに目が覚めてしまったのだから仕方がない行動である。

 

「お兄ちゃん、ただいまー」

 

「ん。お帰り、香風。………それは?」

 

「街で桃まんがあったから買ってきた」

 

「へぇ。それじゃ、一緒に食べようか」

 

そんな光景も見慣れたモノ。

マイペース三姉妹の一人である香風も一緒に帰ってきたので、もう一度お茶会を開く事にする。

 

 

 

 

仕事の合間の休憩時間。

息抜きにと中庭の一角で詠とねねは盤上を睨んでいた。

 

『ま、まだです…………まだ終わらないのです………!』

 

『じゃ、早く打って』

 

『くぅ………!ねねを甘くみるなですっ………ここへ、こうっ!!』

 

『………!へぇ、そう来るワケか。ま、想定の範囲内………だけどねっ』

 

盤上の駒の数、配置。

見る者が見れば一目でどちらが優勢か分かるような状況。

例え知識が無くて一体何をしているのか分からなかったとしても、二人の表情からどちらに余裕があるのかは明らかである。

 

『へぁっ!? そ、そんな切り返し方が………!? で、ですがそんなモノ、将で取ってしまえば………!』

 

『いいわよ? その瞬間、ねねの負けだけどね』

 

『な……何をでたら…………め………』

 

『“鉄門栓”。将で取れば敗北。けれど逃げる事は叶わない。ならば士で防げば炮が将を射抜く。………この勝負、ボクの勝ちよ』

 

そして最後の一手で勝敗は決した。

所謂詰みであった。

 

『息抜きにはちょうどよかったわ。所々いい手は打ってきたけど、まだまだね。悪いけど、苦戦もしなかったわよ』

 

『うううううう………』

 

『ふっ………ボクは董卓軍筆頭軍師。いわば胸を貸してあげたのよ? 然るべき対応くらいはしてくれてもいいんじゃない?』

 

『………ありがとう、ございました………。ですがっ!これで勝ったと思うななのです! 次こそは必ず詠殿をけちょんけちょんに倒すのですぅぅぅぅぅ!』

 

『あっ、こらちょっと………!』

 

 

 

「見事なまでの台詞に草も生えないぜ」

 

「………草?」

 

「気にするな、香風」

 

まるでどこかのアニメによくある悪役捨て台詞に思わず笑いかけたがそこは耐えた。

ここに来る経緯を聞いた灯火はもう一度四人分の茶器に茶を注ぎ、枕顔面直撃から復活したねねは桃まんを頬張りながら茶を啜る。

香風が買ってきた桃まんはほんのり甘く、デザートとしては申し分ない。

 

「で、特訓する為に象棋(シャンチー)を持ってきたと………」

 

少なくとも今現時点でねねと詠の能力を比較すれば、間違いなく詠に軍配が上がるだろう。

先日の黄巾党討伐作戦も半分以上詠が考案したようなモノであり、董卓軍筆頭軍師の名は伊達ではないということだ。

 

「ふぐっ………いわば軍師と軍師の戦い。恋殿の名誉をも背負って挑んでおきながらこの体たらく………」

 

茶器を両手で包む様に持ってちびちびと茶を飲むねね。

負けたのが相当応えているようだ。

 

「とは言っても相手は我らが筆頭軍師。そうそう負けて貰っても困るんだけど」

 

「灯火はどっちの味方なのです! 灯火はねねを応援してくれるのではないのですか!」

 

ぷくー、と頬を膨らませて拗ねるねね。

大層ご立腹なお嬢様だが、灯火からすれば微笑ましいモノだ。

 

「勿論しているさ。ほら、象棋(シャンチー)をやるんだろ? 俺でよければ一局打とう。ねねが更なる成長を遂げる為に、特訓開始だ」

 

ねねの中で象棋(シャンチー)を気兼ねなくやれる知り合いは灯火しかいない。

彼が涼州にて仕官した際に、一度詠と灯火で対決していることはねねも知っている。

勝負の結果は詠の勝利で終わったが、それなりに出来るという事は承知していた。

というか、見知らぬ連中と打つつもりなど毛頭ない。

 

「………ならいいのです。ではっ、そんな鋭意成長中のねねの為に今からやるのですぞ! ねねの為にっ!」

 

 

 

一局打っては反省会。

基本はその繰り返し。

 

打っていく過程でたまたま定石に嵌る事はあったとしても、基本灯火には定石というものはない。

駒の動き、ルールだけ把握し、培ってきた囲碁や将棋の“知識”を参照しながら手を打っていく。

ねねからしてみれば意味不明な手も実は裏があったり、裏があると思って応じてみたら何も無かったりと、詠と打つ時はまた違った試合模様。

 

故にどちらか一方が勝ち続けるという事は無く、圧倒的に負ける時もあれば圧倒的に勝ったり、或いは接戦になったり引き分けたりと結果が一定にならない。

 

リアルの戦場であるならばそういう訳にもいかないが、これはあくまで盤上の出来事。

自身の打ち方の模索も兼ねて様々な手を繰り出していた。

 

駒を置く音は静かな部屋に響き、互いがそれに集中していることがわかる。

香風は灯火の膝枕でお昼寝中。恋は灯火とねねの対戦をボーっと眺めている。

 

「そういえば、恋は象棋(シャンチー)は出来るんだっけ?」

 

「……………」

 

首を横に振る。

かくいう灯火も恋が象棋(シャンチー)をやっている所は見たことが無かったので、それもそうかと思いなおす。

 

「………けど、覚えた」

 

「………俺とねねの対局を見て?」

 

灯火の質問に頷きで答えた。

別に説明しながら打っていたワケではないが、何局も打っていれば大体は掴めるモノだろうか。

 

「流石は恋殿ですなっ」

 

恋完全肯定派筆頭であるねねはご満悦である。

というよりかは象棋(シャンチー)を打ち始めた頃からずっとニコニコ笑顔である。

 

幾分か集中が途切れてきた灯火はその理由を問おうと口を開けた時だった。

コンコン、というノックと共に部屋の扉が開く。

 

「灯火、居る?」

 

入ってきたのは詠だった。

手には何やら紙が数枚掴まれており、何かしらの用事があったことは見て取れる。

が、そんな詠にじとーっと視線を送る灯火。

 

「………何よ。ノックとやらはしたじゃない」

 

「返事も待たずに入ってきちゃ意味ないと思うけどな。………それで、何か用事?」

 

やっぱり良く意味がわからない、とブツブツと言いながら紙を渡す詠。

受け取ってその内容に目を通すと、明日以降の予定が記載されていた。

 

「あれ、涼州に戻っても大丈夫なのか?」

 

「黄巾党の戦後処理も落ち着いてきたからね。アンタ達の申請は受理しておいたわ。帰るついでに向こうの様子と馬家の様子も見てきて頂戴」

 

「徐州の劉備の件は? あと曹操や孫堅への褒賞の件」

 

「徐州については向こうのゴタゴタがまだ収まってないから、もう少し先ね。褒賞についてもまだよ。流石に大将軍一人で決定できることじゃないから、今頃“上”に相談してるんじゃないかしら」

 

「ふぅん………」

 

大将軍の“上”となれば霊帝になるが、話を聞いている限りはそのやりとりも形式だけのものだろう。

何の因果かその妹と遭遇してしまったが、政治に全く関心のないよりは日々勉強しながら政治に興味を持っている彼女の方に相談した方がいいのではないだろうか、なんて思ってしまう。

 

「逆にこれから先、アンタはずっと政務に出ずっぱりなる。だから先に休暇を与えるから休んでおきなさい」

 

「うへ………休暇貰ったけど気が重くなりそうな言葉だ」

 

文句言わない、と灯火の戯言をぴしゃりとシャットアウト。

それに伴い香風、ねね、恋の三人も灯火と同様に休暇に入る。

どの道彼女らには護衛役も兼ねさせるつもりなので、纏まってくれた方がありがたかった。

 

「………で、何? 象棋(シャンチー)やってるの?」

 

「そう。………そういえば、詠」

 

「? 何?」

 

「ねねと「あーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」─────ってなんだ!?」

 

ねねから聞いた内容に対して少し話をしようと思ったら、対面に座っていたねねが突然大声を出した。

当然すやすやと眠っていた香風は体を震わせて目が覚めてしまった。

バタバタと椅子を下りて灯火の腕を掴み自分の顔まで引っ張り寄せる。

 

「(詠殿には黙っていて欲しいのです)」

 

「(? なんで?)」

 

「(それはそのー………そう!密かに特訓し、強くなったねねが詠を打ち倒し、それから─────)」

 

「(ああ、うん。言わんとすることは分かった)」

 

「(分かってくれたですか! ではその様にお願いするのです)」

 

やっている場面を見られた時点で大して意味があるとは思えないが、当の本人が言うなら黙っておく。

 

「ねねが………何?」

 

「ん? いや、ねねが偶には食事でもしたいなって。な?」

 

「そ、そうです。せっかく黄巾党のいざこざも終わり、文官仕事にも片が付いたなら、一日はこうパーっと!」

 

半目で二人を見る詠だったが、特に何も言うことなく息を吐いた。

ここまであからさまであれば逆に問い詰める気力もなくなるというもの。

 

「………ま、いいわ。確かに宴はやったけど月はいなかったし、ボクもほとんど参加してなかった。中央の連中がバカ騒ぎする中入る気力もなかったし。………それはそっちもそうなんじゃない?」

 

「仕事の飲み会でのセオリーは弁えてる」

 

「意味が分かんないわよ………」

 

人間誰にだって得手不得手があるように、相性のいい人間とそうではない人間というのも存在する。

咄嗟に出た言葉だったが、董卓軍の将らだけ集まった食事会もいいのではなかろうか。

 

「別にそれはいいけど、食事は誰が作るの?」

 

「俺だな」

 

「…………なら安心か」

 

そうと決まれば先ずは食材を買いに行かなければならない。

幸いここは洛陽。

東西南北様々なところから物が運び込まれてくる物流拠点。

流石に鮮度が命である海の幸は呉郡など沿岸部に行かなければありつけないだろうが、それ以外であれば大体は揃う。

 

「じゃあ買い物だな」

 

「………恋も行く」

 

「恋殿が行くならねねも行きますぞ!」

 

「シャンも行くー」

 

少し前までは静かだったこの部屋も出かける準備のためにバタバタと騒々しくなる。

相変わらず仲がいいと思う詠。

 

「じゃあボクは月に声をかけてくるわね」

 

「了解。─────と、三人は門前で待っててくれ。茶器を洗い場に置いてくるから」

 

「「はーい(です)」」

「…………」

 

三者三様の返事(一人は頷き)を確認して、詠と共に部屋を出る。

目的地は異なるが途中までは同じ道。

 

「ところで、詠。ねねとの象棋(シャンチー)の勝敗ってどのくらいだ?」

 

何気ない質問だった。

いずれ詠を驚かせようとするのであれば、特訓するのは当然として彼我の差が一体どれだけあるのかは知っておいて損はない。

まあ知ったところで効果的に鍛えられるかと言われるとそうでもないのだが、知らないよりはマシな筈だ。

 

「勝敗?………そうね、今の所ボクの全勝よ。とは言っても数える程度しかしてないし、最後にやったのだってだいぶ前よ(・・・・・・・・・・・・・・・)

 

だというのに、詠からの解答はその思惑を吹っ飛ばす内容が含まれていた。

 

「………だいぶ前?」

 

「ええ。というか少なくともこっちに来てからは色々やってるんだから、そんな時間なかなか取れないに決まってるでしょ」

 

横顔を見る限り嘘を言っている様には見えない。

というか詠が嘘をつく理由もない。

 

「……………」

 

「? 何、どうしたの?」

 

「ん。いや、何でもない。じゃ、月に伝えといてくれ。あと見つかればでいいから霞と華雄にも連絡頼む。酒を飲みたいなら自分で持って来いってな」

 

分岐で詠と別れて茶器を洗い場に置く。

ねねと詠との証言で食い違いが起きている事が気になって、洗い場にいた女官の返事も上の空だった。

普通に考えればねねが嘘をついていることになるが、何故嘘をついたのかがわからない。

 

が、深刻な理由があるわけでもないだろう。

それに嘘をつかれたから傷ついたわけでもなく、何か損害を被った訳でもない。

深く考える事をやめた灯火はそのまま門前で待つ三人と合流を果たす。

 

「よし、行くか」

 

おー、という掛け声と共に門の外へ。

声こそ出していないが恋の顔にも喜色が混じっている。

 

この漢には衣服もさることながら、食についても随分発展している。

小麦粉や卵、油は勿論牛肉や鶏肉などの肉系、ジャガイモや人参などなど。

流石に欧米諸国の品は精々西から流れてくる程度のモノしかないが、これだけあればいくらでもレシピは思いつく。

 

餃子やワンタン、肉まん、麻婆豆腐といったいわゆる中華料理が一般的である外食に対し、灯火は主にそれ以外の料理を作る。

それは例えばコロッケだったり、オムライスであったり、親子丼だったり。

つまるところ、恋達にとって灯火の作る料理はどこに行っても食べられない絶品。

夕食時が近づくにつれて三人の胸が期待で溢れていくのも自然なことであった。

 

「お兄ちゃん、今日は何を作るの?」

 

「んー………月や詠、霞や華雄も来るだろうから皆でつつけるモノがいいか。………さて」

 

客引きの声が響く街で偶然視界に入った卵。

人数もそうだが何より恋が満足いくまで食べられる料理であるべきだし、かといって調理に追われる様なモノでは自分が食べられない。

灯火自身は別に構わないのだが、今一緒にいる三人がきっとそれを許さないだろうというのは日常の経験から簡単に推測できる。

加えて霞や華雄は酒も飲むだろうし、逆に月や詠は霞達ほど飲む事は無く、食事を楽しむタイプにも見える。

 

「─────すき焼きにしよう」

 

そんな言葉を聞いて、どんな料理かを理解できた者は誰も居なかった。

 

 

白菜、ネギ、人参、春菊、しいたけ。

豆腐、牛肉、牛脂、卵、砂糖、醤油。

それらを大量に買い込んでいく。

 

何せ此方には恋がいる。

恋をお腹いっぱい食べさせ隊の隊長である灯火がそこを自重する事は無い。

 

そうなれば必然荷物の量は多くなり、灯火一人で持ち切れる量ではなくなってしまう。

だからこそ香風と恋が荷物持ちとして同行し、ねねもまたその手伝いに参加する。

各々が今夜の食事に思いを馳せながら帰路につく中、灯火はねねに先ほどの事を尋ねてみた。

 

「ねね。詠との象棋(シャンチー)についてなんだけど」

 

「………なんです?」

 

「ここ最近で象棋(シャンチー)はやってないらしいな。部屋に来た時に言ってたあの話は何だったんだ?」

 

「う…………」

 

ばつが悪そうな表情を見せる。

その表情からやっぱり嘘だったというのはわかったが、別に糾弾したいワケではない。

その旨を伝えると、ねねはチラチラと此方を伺うように言葉を零した。

 

「その………灯火は文官で、帰って来てからもずっと仕事をしていたのです」

 

「うん、そうだな」

 

「で、今日はせっかくの休日。ゆっくりしたいと言うのも理解できるのです。ですが、その─────」

 

もごもごと言いづらそうにする。

それで、言いたい事は大体理解出来た。

 

「なるほど。つまり遊びたかったと」

 

「………そうです」

 

あの時は恋も灯火も部屋でゆっくりしていた。

そこはねねも配慮したのだろう。

結果、室内でも出来る象棋(シャンチー)を持ってきた。

しかもそれらしい理由まで添えて。

 

「馬鹿だなぁ、ねねは」

 

「なっ………馬鹿とは何です、馬鹿とは!」

 

ぷんすかと怒るねねに笑いかける。

 

「ねねは俺や恋と一緒に遊びたかったんだろ? なら、遠慮せずに『遊ぼう』って誘ってくれていいんだよ。それらしい理由も要らない。一緒に遊びたいという気持ちがあるなら、ただそれだけでいいんだ」

 

空いている右手でねねの頭を撫でた。

それを掃う事もせず、少しだけ拗ねたような表情のねね。

 

「何です。せっかくねねが灯火の為に、負担になりにくいモノを選んだと言うのに………」

 

「そこのところはありがとう。けど、別にねねが我慢する必要はない。俺も恋も、香風だって。ねねを邪険に扱ったりしないんだから」

 

な? と話を聞いていた二人に問い掛ければ頷きが返ってくる。

 

「それに舐めるなよ? 室内向け遊具なんぞ、象棋(シャンチー)以外にいくらでも作れるぞ」

 

「な、なんですと!?」

 

「トランプか? UNOか? 将棋、囲碁でも構わないぞ。人生ゲームやモノポリーでもいいだろう。少し製作時間は必要だがダーツやボーリングでもいいな。…………ふふふふふ、想像すると楽しくなってきた」

 

「聞いた事の無い名前ばっかりです。………そしてなんでそんなに気分が高揚しているのですか」

 

「娯楽が無さすぎるのが悪い」

 

無論、“知識”の中にある物と同じクオリティで作れるワケではないが、そもそもそんなモノが存在していないのであれば手製でも十分に楽しめる。

 

「─────と、まあねねが知らない楽しい事はいっぱいある。だから遠慮するな。俺もねねといっぱい遊びたいからな」

 

「………わかったのです。─────後悔するなですよ。ねねが遊びたくなったら容赦なく叩き起こしていくのです!」

 

「や。時と場所と場合は考慮してほしいかなぁ」

 

「そこは『どんと来い!』と言うところなのですっっ!!」

 

─────しかしねねのあの演技には騙されなあ

─────ふふん。ねねは恋殿の専属軍師!相手を騙せずして何が軍師ですか!

 

笑い声と共に城の中へ消えていく四人。

容姿は違えどもまるで仲のいい家族の様だった、と目撃した人々は揃って口にしたという。

 

 

 

 

 

 

 




◆後書き
お気に入り登録、評価、感想、指摘ありがとうございます。

所謂日常編。

音々音の過去についてはアニメ版の説明にあった
「元々住んでいた村を言いがかりによって追い出され」より捏造作成。


これまで読んできた読者の皆様ならばある程度感じておられると思いますが、
この作品は恋姫夢想に二種類の風味を加えております。
露骨ですね、はい。

劉旗の大望は楽しみに待っています。


あと陳珪さん、真恋天下参戦おめでとうございます。
引けなかったけどね………。





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