莫名灯火   作:しラぬイ

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始めは、どこかにごはんを探しに行ったんだと思った。


─────夜になっても帰ってこなかった─────


きっと遠くまで探しにいったんだと思った。


─────朝になっても帰ってこなかった─────


どこかで待ってるかもしれないと思った。


─────どこにもいなかった─────


見上げれば満天の星空が視界いっぱいに広がっている。
雲一つない星の輝き、無限に続く空。
手を伸ばしても届かないほど遠い輝き。


─────『       』─────


見上げていた世界が、滲んで見えた。


/ ■■ 02




Emotion 恋 02

 

城の台所で行われた食事会。

机と椅子を並べて鍋は二つ。

その見た事の無い料理に驚きを見せる同居人以外の将たち。

そしてまるでどこかの高級店かと思い間違えるかのような美味。

 

見た目に驚き、味に驚き、そして自然と零れる笑顔。

今まで食べてきた食事が決して悪いというわけではないが、初めて食べた料理に箸が進む。

霞と華雄が持ち寄った酒を酌み、ゲストとして月に呼ばれた楼杏と風鈴も口をつける。

 

ここに部下はおらず、余計な気遣いをする必要もない。

共に今回の遠征に出た者同士ということもあり、それぞれが思い思いに談笑する。

 

『恋さんって、普段どんな風に過ごすの?』

 

その中で出てきた、何気ない質問。

風鈴は此度の遠征で恋の武を目の当たりにしている。

自身も将ではあるが、残念ながら恋ほどの武は持ち合わせていない。

故に普段どのような生活をしているのか、という疑問は別に出てきても不思議ではなかった。

 

 

 

 

暁方。

白み始めた夜空は昨日という日に別れを告げ、今日という日を迎える。

 

朝に強くない人であればもう少しばかり二度寝する時間に、恋は確実に一度目を覚ます。

別にこれは恋が早起きという訳でも、ましてや敵意を持った人物が近くに居る事を感じ取った訳でもない。

むしろ微睡みの中でもう少しこの心地良さを感じていたい、という欲求の方が上。

それでもそこから目を覚ますのは、その心地よさ“そのもの”が明確な意思を持って動くのを敏感に感じ取るから。

 

つまるところ、純粋に隣に眠る灯火が目を覚ましたのが理由である。

隣どころかいつの間にかねねと恋の位置が逆転し、ぴったりくっついていればそうなるのも必然と言える。

 

「…………恋?」

 

他の二人が起きない様な小さな声でも、余計な生活音が存在しないこの寝室では十分耳に届く。

ましてやこの距離ならば恋が灯火の言葉を聞き洩らす事は決して無い。

 

片目を閉じて、もう片方の目は半開き。

眠気に全力で戦いながら恋を眺めている灯火。

お互い寝起き直後でまともに思考が働かない、お揃いの状況。

 

 

「………ん」

 

恋の内側に情念が燻る。

こうして隣で一緒に目が覚めただけでも、恋にとっては幸せだった。

けれど、今はそれ以上のモノが溢れ出る。

触れたい、感じたい、抱きしめられて溺れたい。

 

「灯火─────」

 

焦がれるように名を呼ぶと、腕が軽く引っ張られた。

それに抵抗する事なく体も一緒に動かせば─────

 

「…………はふ」

 

仰向けの灯火の上に恋が覆いかぶさる様な体勢。

体が密着して、背中に腕が回されて、思わず小さく声が漏れて体が震えた。

 

 

 

 

 

 

─────少し昔の記憶を思い出す。

 

 

夜、眠るのが怖かった。

隣で眠る人がいなくなっているかもしれない。

 

朝、起きるのが怖かった。

隣に眠っていた筈の人がいなくなっているかもしれない、と。

 

言葉を閉じ、感情に蓋をして。

親がいなくなったのは自分の所為だと幼いながらに考えて、“いい子”であろうとした。

 

そうすれば村の人達は“いい子だ”と褒めてくれる。

優しい顔を向けてくれる。それが何よりも安心できた。

 

 

『恋、大丈夫?』

 

 

それでも。

たった一人だけ、心配して手を握ってくれる人がいた─────

 

 

 

 

 

 

心的外傷にも似た過去は、突発的な衝動となって時折恋の心を掻き乱す。

記憶の中に留まっていた、処理し辛い気持ちを一緒になって解いていく。

それに伴う感情も温かく受け止めていく。

 

即ち治療。

事例を知らぬ見知らぬ大人ではなく、無垢で何も知らぬ子供でも無い。

親がいない(同じ境遇)であり、同じ子供であり、村の誰よりもずっと聡明であった転生者(そんざい)だから出来たコト。

 

だからこそ、恋にとって灯火は救いだった。

 

話を聞いて、手を取って。

抱きしめて、温めて。

 

そんな幼少期での行為の、その延長線上。

お互いの熱を共有して、溶け合ってゆくどうしようもないほどの心地良さ。

恋の幸福は“大切な人”が生きて傍にいてくれるという事であり、それ以外に望むモノは無い。

 

それを何度も何度も再認識する様に。

髪を撫でられ、背中を撫でられて身体の内外に伝わる心地良さに、恋は小さく微笑みながら瞼を閉じた。

 

 

 

 

 

同じ部屋で眠ったのであれば絶対に行う朝の行為を経て、恋は二度目の起床を果たす。

同じ屋根の下にいて別の部屋で眠るという行為は、恋からすればあり得ないコトに該当する。

つまり遠征など物理的な距離がある場合を除き、毎日よろしくやっているという事になる。

 

『………ねぇ、風鈴。向こうでちょっとお酒を飲まない?』

 

『え、えぇ………。そ、それじゃあね、恋さん。お話ありがとう』

 

風鈴の肩を静かに叩く楼杏と、どこか困った様な顔で礼を言う風鈴。

そんな楼杏の様子にただただ首を傾げる恋。

まだ朝の出来事だけしか話していないというのに、そう言って二人は少し離れた場所に座ってしまった。

 

そのまま眺めていると、座った席でヤケ酒を決めている様にも見える。

きっと受けたダメージは戦場のモノよりも随分深いのだが、それを恋が理解する事は無いだろう。

 

『恋。お肉、出来たぞ?』

 

『………食べる』

 

まあいいか、と思考を終わらせる。

今はこの美味しい灯火の手料理を満足するまで食べるのが先である。

そう思う恋の髪はぴょこぴょこと揺れていたのであった。

 

 

◆◆◆

 

 

 

聞こえてくる鳥の囀り。

外から入り込む穏やかな朝日。

朝方の涼しい風。

包丁がまな板を叩く音。

恋のお腹を優しく刺激する朝餉の香り。

 

恋にとって幸福のワンシーン。

洛陽では残念ながら幸福の欠片である朝餉関係の要素を起床と同時に得られないからこそ、より一層改めて身に染みる。

 

即ちここは洛陽の城の一角ではなく、涼州の月が治めていた街にある恋の家。

 

しっかりと灯火が眠っていた場所を陣取って二度寝を果たした恋。

むにゅむにゅと恋に抱き着いてくるねねと、いつの間にか灯火の枕を抱き枕替わりにして眠っている香風を起こして、全員で朝食。

 

「「「「いただきます」」」」

 

無論恋の器は他よりも大きめ。

流石に朝は比較的簡単な料理で収まっているが、恋からすれば街で買う肉まんよりずっと美味である。

そこには“幸せ”という最高の調味料がある事に、恋は無意識に気付いていた。

 

「灯火。今日の予定はどうするのです?」

 

もぐもぐと口いっぱいに食べ物を含む恋。

その対面に座るねねが尋ねる。

 

昨日の夕方ごろにこの街に戻ってきたため、残念ながらまだ何も出来ていない。

まあ道中で川遊びをしたのが遅れる原因だったのだが。

 

「今日の昼過ぎに鶸と城で会う約束をしてるから、それまでは家の掃除と、時間があれば街の見回りかな」

 

「じゃーあ、シャンは見回りに行ってくる~」

 

「香風は俺と一緒に家の掃除の手伝い」

 

「………えー」

 

武において香風は恋に及ばないものの、それでも将として十二分な実力者。

一方で香風は文武両道という恋には出来ない事が出来る。

つまるところ恋から見ても香風は、非常に優秀であり頼りになる存在。

 

「えー、じゃありません。少しずつ掃除するクセを付ける様にしないとな」

 

「はーい………」

 

そんな香風が唯一苦手としているのが“掃除”である、というのはもはや恋もねねも知るところである。

 

「それではねねと恋殿で街の見回りです?」

 

「いや、見回りと言っても警邏っていう意味じゃない。詠に街の様子やら何やら確認して報告をくれ、って任務を受けてるからな。………ねねが俺の代わりに報告書を書いてくれるならいいんだけど?」

 

「それでは全員で家の掃除をして、全員で街の見回りですぞ。報告書は灯火が書くという事で!」

 

「知ってた」

 

そんな会話を聞きながら食を進める恋も、報告書は書きたくないと思うのだった。

 

 

 

 

 

 

香風はねね同行の元で掃除。

恋は動物達の餌やりと散歩。

灯火は香風らが掃除をしている所以外の掃除。

 

そんな役割分担のもと、恋は犬を連れて街中を散歩していた。

犬のセキトと他に数匹。

首輪と紐のリードでしっかりと手綱を握る。

 

「将軍、新しい肉まんが出来たんで一つ食べていきやせんか?」

「奉先様! 新しい衣装を仕入れたのでまた良かったら見に来てください!」

「わぁ、犬~。触ってもいい?」

 

“飛将軍”である恋が帰郷した事は昨日時点で伝わっている。

こうして街中を散歩すれば、その知名度も相まって必ずと言っていいほど声をかけられる。

子供はどちらかと言うと連れている犬に興味を示しているみたいだが。

 

「…………いま、散歩中だから。また、今度」

 

撫でられるセキトらを眺めながら、肉まんも衣服もやんわりと断りを入れた。

 

どこかの世界線であれば肉まんへの視線だけで店主に圧力を掛けたりしているかもしれない。

だが今の恋は朝餉で食欲は十分満たされているためお腹は空いておらず、お昼もまた手料理が振舞われる事が確定している。

しかも美味。

 

故に肉まんへの欲求なぞ今の恋には存在しなかった。

 

散歩とは言っても、それは恋の散歩では無くセキトらの為の散歩。

あまり家から離れすぎるのは恋の望むところではない。

そろそろ家への帰宅ルートを頭の中で描いていた恋の視界に、見知った後ろ姿を見つけた。

 

この街でも一番大きな書店。

決して普及しきっている訳ではない紙を本として扱う書店は、ピンからキリまであるがそこら辺の飲食店よりも売値は高い。

 

そんな書店の奥に居る後ろ姿は特徴的なポニーテール。

恋の記憶にはお昼すぎに会う約束をしていると灯火の言葉が残っていた。

 

「…………蒼」

 

「ひゃっ!?」

 

近づいて声をかけると驚いた声と共にその場から蒼が飛び退いた。

因みにセキトらは店の入り口で待つ様に命令している。

わんぱくな犬らではあるが、恋には忠実であるため問題は無い。

 

「恋さん………。なんだー、鶸ちゃんかと思ってびっくりしちゃったよ」

 

そんな蒼の様子に首を傾げる。

確かに背後からの接近だったから驚かせたかもしれないが、それにしては聊か反応が過剰だ。

ここが戦場だったならばまだ分かる話ではあるが、ここは平和な街中の書店。

 

「………………?」

 

「ああっ!そ、それは………」

 

蒼が咄嗟に飛び退いた時に床に落ちたと思われる本。

売り物なのだから本棚に戻すべきと恋が手に取ってたまたま目に入ったのは─────寝台で男同士が裸で抱き合いながら口づけをしているシーンだった。

 

「……………………」

 

「あー…………」

 

恋の趣味ではない。

何も言わずにそっと本を閉じて、蒼に手渡した。

流石にこの状況で今の反応だと、この本を蒼が手に持っていた事は恋でもわかる。

 

「バレちゃったぁ………。ね、恋さん。ここであった事は鶸ちゃん達に内緒にしててね? お願いっ!」

 

「………わかった」

 

「………うぅ、心なしか恋さんの視線が冷たく感じるよぅ」

 

そんな事は無く実際はいつも通り。

なのだが、蒼自身が若干の後ろめたさを感じていることもあり、元々口数が少なく表情もあまり変わらない恋が冷たくあしらっている様な錯覚に陥っていた。

 

「はっ………そうだ! 恋さんにはこれをあげる!」

 

そう言って手渡されたのは薄い本。

表表紙も裏表紙も黒色の紙のカバーが掛けられており、これでは何の本かが分からない。

或いはそれが目的なのかもしれない。

 

「蒼オススメの一品! 家でいっぱいやっているだろう恋さんには不要の長物かもしれないけど! では、蒼はこれで!」

 

恐らく鶸の同行として一緒にこの街にやってきたのだろうと当たりを付けた恋。

だが、当の本人は鶸の事を聞く前に逃げる様に離脱。

お会計を済ませて風の様に走り去っていく後ろ姿を呆然と眺めた恋の手には黒い本。

これをあげるから誰にも言わないでくれ、という意味なのだろうか。

 

蒼から半ば強引に受け取らされた本を適当に開いてみる。

そこに描かれていたのは─────抱き合った男女の口づけシーンだった。

 

「………………………」

 

パラパラと数ページだけ捲った後に、やっぱりそっと本を閉じた。

参考書にでもしてくれ、という意味だったのだろうか。

 

その真意は蒼のみが知る。

 

恋の頬が少しだけ紅くなっていたのは、誰も気付かなかった。

 

 

 

 

 

 

城から少しだけ離れた場所。

この辺りは民家が立ち並ぶ、いわば住宅街。

見栄っ張りな街であれば主要通りは見た目良く取り繕うが、こういう一本入った場所というのはボロボロの手つかずである事が多い。

また城の中央から離れれば離れるだけ、まるでスラムの様な街並みに変わる事もある。

 

しかしそんな事は一切無く、表通りと変わらない佇まいが続いている。

詠が主導による治安維持活動、月による貧民の救済措置。

この街には華雄や霞、恋といった武もあるため、騒動を起こす輩は大抵が余所者である。

 

また、ここまで街の治安が良いのは涼州という場所の特性もあった。

 

涼州は言わずもがな五胡と呼ばれる者達の領土と隣り合わせ。つまりはそれだけ異民族との衝突がある地域。

野蛮な情報が実しやかに噂されていて、田舎とも呼ばれていて、それでもこの地域へ移民しようと考える者は少ない。

それならば首都洛陽やすぐ隣にある治安が良い陳留、同様に豊富な海産資源が取れる呉や建業に向かうのが人の心情だ。

 

だが、逆に考える。

他所からの流入者が少ないという事はそれだけ家が足らずにスラム化する事も無いということ。

 

結果、貧民が居るとは言ってもそれはこの街における相対的な見方であり、他所の貧民と比べれば衣食住が揃っている分裕福という事だ。

街の規模や人の数は他に及ばずとも、治安の良さで言えばこの街は間違いなくトップクラスである。

 

但し、街の外に関しては評価対象外とする。

 

 

 

閑話休題(はなしをもどす)

 

 

 

そんな閑静な住宅街は、勿論この漢の時代に見合った建物が立ち並ぶ。

それも当然で家を作る者がこの時代に生きている者である以上、形や色彩が違えども建築内容が大きく変わる事は無い。

 

─────のだが。

 

つまるところ、閑静な住宅街を抜けた先にある一軒家………恋の家は、一言で言うと異質(・・)だった。

 

外との境界を明確に示す緑の生け垣は周囲からの視線を防いでプライバシー確保。

唯一外から丸見えになる入口も視線を遮る竪格子、靴を脱ぐ玄関。

縁側と軒天上が部屋と庭を一つに結び、部屋と部屋を区切るは欄間と光を通す障子。

石と木で作った風呂場と、そこへ湯を貯めるための巨大竈………つまるところ手製の薪風呂釜。

それどころか、敷地の地下に氷を保存するための氷室まである始末。

 

力仕事は全て恋が解決し街の大工にも一部手伝ってもらい、出来上がったのは外見和風の建物を増設した屋敷と呼ばれるよりかは少しだけ小さな家。

 

周囲から浮くのも当然だった。

 

元々この家は恋が灯火と住むため、そして保護した動物達の居場所を確保するために手に入れた。

恋にとって命題は動物達が動き回れるだけの庭と安全性の確保、そして二人が住む居住性があれば問題無かった。

 

そこにノリノリで乗っかった灯火がDIYよろしくリノベーション工事を開始。

興味深そうに眺めていた恋も誘われるがまま手伝いをし、いつの間にか一緒にセルフリノベーションを楽しんでいた。

 

 

「……………」

 

 

─────ふと、そんな事を思い出した。

 

庭で動物達と遊ぶ声が聞こえる。

その片隅で、お風呂に使う薪を大斧で割る音が聞こえる。

 

住人が一人増え、そしてまた一人増えた。

最初は二人きり(+動物)だったけれど、今では随分と賑やかになった。

 

「あ、おかえりー」

 

「あ、恋殿!お帰りなので─────わぷっ!? こ、こらセキト!顔を舐めるななのです!」

 

セキトらの首輪を外し、庭へ解放すると他の動物達と遊んでいたねねの元へ駆け寄っていく。

散歩も散歩で楽しいのだろうが、家族と一緒に遊ぶというのもセキトらは楽しいらしい。

 

ねねとじゃれつくセキトらを見て満足した恋は家の中へ。

手洗いとうがいを済ませ、迷うことなく恋は灯火の私室へ足を運び、部屋に入ってきた恋を見るや灯火は小さく笑う。

 

 

「おかえり、恋」

 

 

「…………ただいま」

 

 

─────そんなやりとり一つでも、恋は幸せだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ところで。

 

「…………これ、あげる」

 

「?」

 

手に持っていた黒い本を灯火に手渡す。

当然外見からでは何の本なのか全く分からない。

 

「珍しいな、恋が本を買ってくるなんて」

 

文官としての仕事がある灯火や、文官の適正も有する香風は書店に行って本を漁る事もしばしばある。

だが恋がこうして本を買ってくるのは非常に珍しい。

というよりも今まであったかどうか、というレベルだ。

 

「………恋は買ってない。蒼から貰った」

 

「貰った? 蒼から? というかもうこの街に来てたのか。はてさて、一体何の─────………」

 

パラパラと本の中身を見て、一瞬で凍り付いた。

変な表情のまま時間が停止したかのような灯火の姿を、恋はただ無言で見つめている。

 

「…………恋。この本の中身は、見た?」

 

無言で首を縦に振り、肯定。

 

「(………どうすればいいんだ、この状況)」

 

同居人の女性にR-18な本を手渡されて無言で見つめられるという空前絶後の状況に対して、流石の灯火の“知識”の中にも答えは存在していなかった。

これが元々灯火の持ち物ならばまだしも、他人から貰ったアダルトな本を男性に手渡すという謎の行為。

何も悪い事などしていないのに、まるでやましいことをした罪人の様な気持ちになっていく。

長年恋と共に過ごしてきた灯火の目を以てしても、恋が考えている内容に─────

 

「よしっ! とりあえず昼食作るか!」

 

一瞬“同居している男性に見える様にゼク〇ィを置いておく女性”という天啓が“知識”から発掘されたが、明らかなキャパシティオーバーになりそうだったので保留を提案した。

のだが─────

 

「………灯火は男の人の方が、好き?」

 

 

「ごはっ!!!!!」

 

 

戦場とは比較にならない致命的な一撃を受けた灯火が部屋に倒れ伏す。

 

同時に何となくだが恋が何を気にしていたのかをぼんやりと理解した。

いつぞやで香風に尋ねられた胸の大きさ云々とは比較にならない程の、致命的な勘違いをされてしまいかねない。

全身全霊をかけ、恋の誤解を解く灯火であった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

誤解が解かれなかったら自殺しようと割と本気で考えていた灯火だったが、何とか誤解は解けた。

恋の話を聞いて原因は複数あり、灯火自身にもその一端がある事がわかったのだが横に置いておく。

その後昼食を家で食べたのだが、恋と灯火の席の間が物理的に更に近くなった事も横に置いておく。

 

 

「あ、灯火さん。お久しぶりです」

 

「やあ、鶸。久しぶり。蒼もな」

 

「おっひさー。香風ちゃんとねねちゃんも!」

 

「おひさー」

 

城の一室で鶸と蒼に会う。

その理由は鶸と灯火、双方に存在する。

 

灯火は鶸たち………即ち馬家の現在の情報や西涼含めた涼州全体の正確な情報を得るためだ。

 

遠方とのリアルタイム通信の手段が存在しないこの時代、情報を仕入れる手段は人。

旅人や商人経由で情報を仕入れるか、或いは間諜を放ち意図的に情報を仕入れるか。

何にせよその情報を受け取る側からすれば、信頼できる人間からの情報が一番なのは事実。

 

せっかく涼州に帰るのだから街の様子や民の様子、政務、財務など含めて状況を確認して教えてくれとは詠の言。

彼女からすれば月が治めていた街が問題なく正常に統治されているかどうかは何時だって気になること。

 

休日に仕事を任された形にはなったが、現代の様な一瞬で遠方とやりとりできるような時代でも無いというは理解している。

快く引き受けて、今日か明日にでも報告書を纏める必要はあるだろう。

 

一方の鶸は、と言うと。

 

「………これが、件の?」

 

「はい」

 

机の上に置かれた四つの珠。

それは西域との交易によってもたらされた出自不明の宝石の様な珠。

 

「初めに二つ。二回目に一つ。三回目に四つ。………最初は純粋に向こうが何かの拍子に間違えて紛れ込ませてしまったのかと思ったのですが、向こうも見たことが無いと一点張りで」

 

「ふぅん………?」

 

手で持てる程度の大きさの球体。

全体的に青色であり、珠の中心には十字の模様が入っている。

 

「触っても?」

 

「どうぞ」

 

物珍し気に手にとって見る。

手触りは鉄球、或いは大きめのガラス玉で、軽く指で叩けば硬度もなかなかと分かる。

触れた瞬間に呪われる様な呪いのアイテムという訳でも無く、こうして見る分には………

 

「なるほど。綺麗な置物としては十分役割は果たせそうにも見える」

 

「はい。実際に中央からやってきた商人の方の御眼鏡にも適って、既に三つは買い取って行きました」

 

鶸の言葉に相槌を打つ。

鶸が会いたいと言っていた理由は即ちこれである。

 

此方側は勿論、相手側も出自不明。

誰が何の目的で相手側の荷駄に積み入れたのかも定かではなく、そして相手側が受け取りを拒否した理由も不明。

 

「初めはちょっと不思議に思いこそしましたけれど、特に気にしないで普通に商人に。二回目はまた入っていたと思って其方も気にすることなく。………ただ流石に三回目となるとちょっと気味が悪くなってしまって………。相手方が何か知っていればまだ良かったのですが、相手も知らないとなると」

 

「それで俺に見て欲しくて………って事か。うーん………けどなぁ」

 

正直に言って灯火も見覚えは無い。

いや、正確に言えばこの手の置物であれば“知識”の中に無数に存在する。

現代においてガラス玉の装飾品というのは決して珍しいものではない。

これもまたその中の一種である、というのであれば然したる問題は何も無い。

 

「香風は見覚えがあるか?」

 

「………ううん。シャンも見たのはこれが初めて。長安に居た頃でも見た記憶は無い」

 

「香風が見た覚えが無いって言うなら本当に無いんだろうけど………。恋とねねは?」

 

「ねねが知ってると思っているのですか?」

 

ねねの言葉に同調するように恋も首を振る。

それを一瞥し、掌の上で転がす青い球体を再度眺める。

同じ交易に携わった香風でも知らないのであれば、恐らくこの漢は存在しない外国(ソト)由来のモノ。

 

「灯火さんでも分かりませんか?」

 

「ああ、ごめん。ちょっと俺も見た事がないな。俺だって何でも知ってるって訳じゃないんだ」

 

「い、いえ! 別に灯火さんを責めてる訳じゃないですから」

 

或いはこの球体がオレンジ色で中に星のマークがあればそれは別の意味で取り乱していただろうが、残念ながらそんな代物でもない。

 

「とは言え、人の口に入ったり薬の類でも無い以上、神経質になる必要があるのです?」

 

「ねねの言う事も一理あるな。………けど、例えばこれが西域の国宝で、それが盗難されて行き着いた先がココ………なんて事も考えられなくもない」

 

「それを言いだしたらキリが無いと思う。シャン達の手元にまで来ちゃってる時点で回収は難しいんじゃないかな」

 

「と言いつつ別に国宝でも大切なモノでも何でもなくて、西域なら普通に手に入りそうな置物に蒼は一票~。鶸ちゃんと取引していた人達が要らないって言うんであれば、きっとその程度のモノだと思うんだけど」

 

灯火と鶸を中心に話し合いが進むが、その正体はどれも推測の域を出る事は無い。

その中でただ一人、話の輪に入らない恋はじっと灯火の掌の上にある球体を見つめ続けていた。

 

先ほど答えた通り、あの青い球体の事は何も知らない。

ねねや香風、ましてや灯火が知らないと言うモノを、恋が知っている訳も無い。

 

「? 恋、何か気付いた事があったか?」

 

じぃっと見つめてくる恋の視線に気づいた灯火が話を振る。

確証を持って内容を理論立てる事が出来ない以上、些細な事でも気付いたのであれば情報は欲しい。

 

「…………眠ってる」

 

「?」

 

「……………眠ってる?」

 

「ちょ、ちょ……ちょっと待ってください、恋殿。恋殿はこの球体が“生物”と言われるのですか?」

 

「…………わかんない」

 

ねねの問いに恋は首を振る。

恋自身直感的にそう思っただけであり、何か確証があった訳ではない。

ただ何となく(・・・・)そう思った

 

「お兄ちゃん。手に持ってるけど、そういう感じがする?」

 

「………流石にそれは。強いて言うなら手に馴染む、くらいか。まるで長年野球ボールを握って野球をしてきた様な。………いや、今のは忘れてくれ。例えが悪かった」

 

やきゅう? という全員の目線を受けて言葉を撤回する。

偶にぽろっとこうした事を言ってしまうのは、自分でも情けないと思うばかりである。

そのおかげで香風著書の辞書にまた一言が追記されることになるのだが。

 

「それともそれとも。実は呪われる道具だったりして………」

 

「………それは間に合ってる」

 

蒼の冗談の物言いに溜息をついた。

灯火からしてみれば“氣”という存在も十分SF要素だ。呪いのアイテムなどどこのゲームの話だと言うのか。

………太平要術の書なんて前例があるので、何とも反応に困るのだが。

その内武空術を使うヤツが出てこない事を切に願うばかりである。

 

「………鶸。この珠、近々商人とやり取りする事はあるか?」

 

「いえ、今の所は特にないです。さっき言った通りちょっと気味が悪いとも感じたので、新しく手に入ったこの四つについては今の所伏せています」

 

「そうか。じゃあもう一つ。三つは既に商人に売ったんだよな? その人の名前は控えてるよな?」

 

「ええ、それはちゃんと。灯火さんと香風さんに教えてもらった通りですね」

 

鶸の言葉に頷いた灯火は頭の中で今後の予定を組み上げる。

誰もこの球体の詳細を知らない、とあれば知っていそうな人が居る場所へ赴くのが一番だ。

 

「よし。じゃあ二つだけ俺に貸してくれないか? 知ってるかもしれない奴(・・・・・・・・)にちょっと見せてくるよ」

 

「え? 灯火さん、心当たりありそうな人を知ってるんですか?」

 

「いやいや、そう言うのじゃない。単純にこの漢の人間とは別の価値観を持っているであろう人物を一人知ってるから、ソイツに。………とは言え、解決するなんて期待はあまりしてないんだけど」

 

ちょうどいいことに灯火の頭の中に描いた人物がいるのは建業。

そこから更に東に進めば船での貿易を行っている呉郡がある。

この街とは全くの別ルートで外とのやり取りがあるあの地であれば、或いは情報の一つも手に入るかもしれない。

 

「………そこまで神経質になる必要は無いと思うのですぞ」

 

「まあアテが外れたときは俺も気にしない事にする。ねねの言う通り、別に食用でも薬の類でも何でもないんだから」

 

取り敢えずこの出自不明の球体の話はこれで終わり。

鶸も灯火の一報待ちという事で連絡があるまでは、月が治めていたこの街の城の倉庫にしまっておく事にした。

この街の防衛機能がそこら辺の街よりも優れているのが要因である。

 

 

 

その後、鶸と蒼にここ最近の涼州内での出来事や馬騰殿の体調を含めて馬家の近況などいくつか話を聞く。

この場に翠と蒲公英が居ないのは母親の部族集会の付き添いらしい。

日程が被ってしまったのは申し訳なかったが、遠方とのやりとりをする手段が限られる以上は仕方がない。

 

「部族集会っていうのは何日も続くのか?」

 

「偶にありますが、大抵は一日だけです。………今日の議題も、数日に跨る様な内容では無かったと思いますよ」

 

「そうか。………なら、ちょっと鶸………もっと言うなら馬騰殿含めた馬家の皆に、手伝ってもらいたいことがあるんだけど」

 

灯火の発言にきょとんとした表情を見せる。

ただ、ねね一人だけは漸くかと言わんばかりの溜息を吐いていたが。

 

 

 

 

「─────“人が空を飛ぶ”…………という光景、見たくないか?」

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

鶸たちとの非常に濃い話し合いが終わった。

今日話した内容を持ち帰ってもらう事もあり、鶸と蒼はさっそく自分達の街へ帰っていった。

 

「詳しい詳細は明日改めて話すけど、先ずは………試験飛行を兼ねたお試しの様なモノをやる。こっちについては鶸たちの合流は待たなくていい。所詮は試験飛行だからな。空高く飛ぶつもりもないし、地面すれすれでやるつもりだ」

 

「うん」

 

家についてから夕食。

その食事の席での灯火の話に、香風はこれ以上ないほど真剣に耳を傾けていた。

香風の記憶力ならば普段通りでも十分に覚えていられる内容なのだが、今の香風は一言一句違わずに記憶出来ているのだろう。

 

「試験飛行を経て器具及び香風の体調などに問題がなければ、その次が実際に飛ぶ。最初は短距離の低空から徐々に高度と距離を上げていく。好奇心が疼いてもっともっと、という気持ちになるかもしれないけど指示には絶対従ってくれ」

 

「わかった」

 

因みに洛陽でやろうとは思わない。

詠が月の為に色々と動き回っている中で、中央の連中に変な考えを抱かせたくないというのが一点。

“空を飛びたい”という香風の純粋な夢を政治利用されたくない、というのが一点。

 

「勿論悪天候では延期になるということは忘れずに。最優先は香風の身の安全。それが少しでもブレるのであれば飛行は中止。OK?」

 

「おっけー」

 

「ならばよし!明日に備えてご飯はしっかり食べて、お風呂に入って早く寝ること!」

 

「はーい!」

 

そんな元気な返事から、香風の気分が高まっているというのは十分伝わってくる。

本番飛行は馬家の協力が必要のため今日の明日、という訳にはいかないだろう。

一旦持ち帰る………と言ってはいたが、鶸と隣にいた蒼はかなり興味を持っている様子だった。

後は翠と蒲公英、そしてその母親次第。

霞や華雄といった協力者が洛陽に居る以上、馬家に協力を依頼するのは必然でもあった。

 

ワクワクを胸に夕食を食べ、灯火がその片付けをしている間にお風呂に入り、満腹感と久しぶりのお風呂に船をこいで夢の中へ飛んでいくというコンボ。

灯火が一息着こうとした頃には食事時に約束した通り布団で既に就寝。

夕食とお風呂を一緒にしたねねも同様に眠ってしまっていた。

 

「─────ふ」

 

そんな幸せそうな表情で眠る二人を見ていると、微笑ましく思う。

 

外は既に夜の帳が降りており、家の中を照らすのはLEDライトでも蛍光灯でもない蝋燭の灯り。

二人の眠りを妨げぬ様にと必要最低限だけ残して火を消して縁側に出た。

 

「…………いないと思ったら、お風呂にも入ってなかったか」

 

お風呂への通り道。

そこに腰かけていれば必ず出会う。

 

「……………」

 

じっ、と座る恋が見上げてくる。

言葉はないが、恋が求めている事はすぐに分かった。

恋のすぐ隣に腰を下ろし、庭先から見える夜空を眺めた。

 

「…………今日も、色々あった」

 

灯火が言葉を発するよりも先に恋が話しかけてきた。

 

「だな。昨日の川遊びから打って変わって仕事色が濃かったけど。………不満だったか?」

 

そう尋ねると、恋は首を横に振って否定した。

 

「…………恋は、一緒に居られるだけで、幸せだから」

 

「………む」

 

そう言われると灯火でも嬉しいものがある。

時折やるように恋の肩に手を置いて、自身の方へ優しく引き寄せる。

それに恋は抵抗することなく、むしろ自ら身体を密着させてきた。

 

「………香風が、空を飛ぶ?」

 

「ん? ああ、その予定。とは言っても流石にぶっつけ本番で高い場所から飛ぶ事はしないけどな」

 

見上げた空からの連想か、或いは元々抱いていたのか。

どちらであるかは定かではないが、恋もまた興味を持っているのだろうか。

 

「………灯火も、飛ぶ?」

 

「俺? 器具は一つしかないけど………香風の体重は軽いから一緒に飛べなくも無いか? けど二人で一緒に飛ぶとなると身体を固定する何かが必要になるし、その用意も無いから今回は飛ばないよ」

 

「…………そう」

 

「何か気になる事があったのか?」

 

問いかけに首を横に振って、灯火の腕に優しく抱き着いた。

気になる事、という点で恋が何かを言う事は無い。

言いたい事はもっと別のコト。

 

「………空は、“遠い”」

 

元より空を飛ぶなんて行為は恋から………否、この漢に住まう全ての人からすれば夢物語。それこそ魔法の領域。

誰も、灯火の頭の中に追いつける者は居ないだろう。

 

「“遠い”と、手が届かない。………こうして、触れられない。それは………悲しい」

 

 

─────かつて幼い頃に荒野を彷徨ったことがあった。

誰もいない荒野を、たった一人で彷徨った。

その時に見上げた光景を、恋は今も覚えている。

 

 

─────『 恋は独り 』─────

 

 

「………離れたくない。遠くに行くなら、恋も一緒。………離れずにずっと傍にいる………」

 

恋はあまり喋らない、無口なタイプ。

けれどそれは本心を言わないだとか、そういう意味ではない。

寧ろ恋の言葉はその殆どが直進的なモノばかりで、相手に良くも悪くも響く。

 

「………………………恋は、灯火のことが好き」

 

「─────」

 

Likeなのか或いはLoveなのか。

それを聞くのは野暮というものだろう。

 

いっそ惚れ惚れするほどの直球は、受け取る側を一瞬でもフリーズさせる。

 

「…………月が綺麗だな」

 

「………………?」

 

灯火の視線に釣られて恋も空を見上げてみれば。

 

「…………月?」

 

月は確かに出ているが満月より程遠い。

むしろそのほとんどが新月に近いうえに雲が掛かっており、残念ながら恋の感性を以てしても“綺麗”とは言い難い。

疑問符を浮かべる恋を見て微笑む様に笑う。

 

「恋、いい事を教えてあげる。こういう状況で“月が綺麗”って言うのはさ………」

 

恋と正面に向き合い、恋の瞳が灯火を映し出し─────

 

 

 

─────あなたを愛しています、と言うコトだよ─────

 

 

 

 

 

/ 消えない想い 02

 

 

 

 

唇が、触れる。

一秒か、十秒か、それ以上か。

正確な時間は、恋には分からなかった。

 

分かるのは今までにない程の“幸福”が胸を、身体中を駆け巡っているコト。

強く、優しく、このままお互いが混ざり合って一つになってしまうと思う程に抱きしめた。

 

夢幻の様な時間の末に、その感触が終わりを告げる。

それをどこか名残惜しく思うも、恋の胸の内には未だに灯火(ともしび)が残っている。

 

「俺はこれからお風呂に入ってくるけど、恋は?」

 

「………入る」

 

「─────じゃ、入るか」

 

お風呂場までの短い距離。

それでも二人は手を繋いで歩いていく。

 

雲の合間から顔を覗かせた月が恋の顔を薄く照らす。

 

 

見える表情は、今までで一番の笑顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




出自不明の青い球体:曰く宝石の様な見た目は綺麗な置物。
          中心部に十字模様が描かれている。
          現在7個が漢に存在している。7個全て同じ模様。


恋の家:恋と灯火の共同出資によって購入した家。
    灯火の手によって増改築されて、外見の一部が和風化。
    灯火がこの街に一気に馴染む様になった切っ掛け。
    街の大工のおっちゃんらとは酒を飲み合う関係。






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