機械いじりとドラムと恋愛   作:JOKER1011

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第7章 麻弥 決戦は日曜日編
第10話


今日はパスパレのラジオ収録で月に2回ある全員参加の日ッス。

 

麻弥「なんとか靴擦れは治ったッス。」

 

千聖「靴擦れの事は考えてなかったわ。ごめんなさいね?麻弥ちゃん。」

 

麻弥「いえいえ、デート自体は楽しかったッスから!」

 

日菜「それにしても私のアロマがやっぱり効いたのかな〜」

 

麻弥「ホントにその通りだと思いますよ!ま、まぁ、きっかけは違うところでしたけど……」

 

それでもあの時、届けに行かなければ、こうしてデートなんてあり得なかったッスから‥日菜さんには感謝です!

 

イヴ「私の大和撫子は!どうなりましたか?」

 

麻弥「ああ‥残念ながら使う機会がなかったッスね」

 

イヴ「そ、そんな〜」

 

彩「まあまあ、イヴちゃんのは少し特殊だからね?」

 

麻弥「なんにしても!皆さんにはとっても感謝してるッス!本当に!本当に!ありがとうございましたッス!」

 

千聖「まだゴールじゃないわよね?」

 

麻弥「もちろん!」

 

彩「応援してるよ!」

 

麻弥「はい!」

 

 

そして‥

 

待ちに待った日曜日。今日のおかげで、今週の小テストやら、課題は鬼のようなスピードで終わっちゃいましたよ!

 

今日の天気も前回と同じく、綺麗な快晴!!もうすぐ、お昼とだけあってかなり気温も上がってきていますね。

 

とはいえ、今日の予定は、全て室内。前回の反省も活かして、仮ではありますけどプランを立ててみました。だから、天気もなにもないんですけどね?

 

それで、今、ジブンがいるのは駅前の時計の下。拓弥さんとの待ち合わせ場所です。今日は1日全て、拓弥さんからお時間を頂いたんで、思う存分遊べますよ?

 

拓弥「お待たせ〜。また、待たせちゃってた?」

 

麻弥「あ、拓弥さん!今日はそんなに早く来たわけじゃないですし、ものの3分くらいなんで、大丈夫ですよ」

 

拓弥「おぉ〜〜、よかったぁ〜〜。2連続で長時間待たせるのは申し訳ないからね〜」

 

 

 そう言って、拓弥さんは胸をなでおろすように息を吐く。

 

拓弥「それで、それで、大和さん。今日はどこ行くの?個人的には体力使うところは避けてほしいなぁ〜……なんて……、思ってたり、思ってなかったり……」

 

麻弥「お任せ下さい!!今日は完璧です!!今日はですね……、ここに行きましょう!!」

 

スマホにブックマークしておいた、ネットのページを拓弥さんに見せつけます。ここはデデンとかジャジャーンとか付けたらいいですかね?と、とにかく、今日はここに行くんです!!

 

ジブンのスマホに表示されていたのは、とあるイベント会場のホームページ。目的はもちろん……、ここでこの週末限定でやっているイベント、【Keion Boys&Girls Festival】

 

前から男性だけのバンドや男女混合バンドはありましたけど、最近、ガールズバンドが流行りとだけあって、いくつかのメーカーが集まって、大きな会場で初心者にむけた、ギターやベースからエフェクターやアンプなど細かいところまで紹介してくれたり、有名なアーティストさんのものを見せてくれたりするみたいです。一応、パスパレも参加はしているのでマネージャーさんから一人二枚チケットを貰ったんですよ。

 

拓弥「おぉ〜〜、どこでやるの?それ」

 

麻弥「御茶ノ水でやるみたいです!ここからも近いですし、行ってみませんか?」

 

拓弥「行こう、行こう!丁度新しいキーボードが欲しくなってた所なんだよね〜」

 

それから、すぐに電車で御茶ノ水へ。電車と言っても本当にすぐだったので五分も乗ってなかったんですけどね。

 御茶ノ水で降りると、やはりイベントをやってるとだけあって、楽器を持っている子やピックのストラップを付けてる、いかにもバンドが好きそうな人達がたくさんいました。

 

 

拓弥「す、すごい人だね…」

 

麻弥「そ、そうですね。予想はしてましたけど、ここまでとは…」

 

拓弥「大和さん、見つかっちゃったりしない?」

 

麻弥「見つかっちゃったら大騒ぎですね。でも、ジブンは地味なんでそうそう見つかるわけが……」

 

 

「あれ‥?あの子、パスパレの麻弥ちゃんじゃね?」

 

「マジで!?」

 

 

「逃げますよ!」

 

「ああ!とりあえず二手に分かれよう!あとで合流しよう!」

 

 

とりあえず二手に分かれてジブンは路地裏に逃げたッス!

 

こんな大きなところで見つかったりしたら、千聖さんに絶対叱られるッス!それで、彩さんからジト目で見られます!!あの目になったら彩さんはとてつもなくめんどくさいんですもん!!それに……、拓弥さんを巻き込みたくないんです!

 

ハァ……、ハァ……

 

「あれ……?ここは……?」

 

周りに見えるのは見たこともない建物と人ひとりがすれ違えるほどの通路。人もあまり通りそうになく、完全に寂れたような風景。ここって一体……?ス、スマホで現在地情報を見れば……!!……え?携帯はこのポケットに入れておいたはず……、あれ?あれ?あれ!?……落とし、た?

 

最悪ッス‥

 

「大丈夫ッスよ‥記憶が正しければ、そこまで遠くないッスから‥」

 

内心分かってました。言葉に出すのは、プラス思考の言葉でも、気持ち的にはマイナスの感情で支配されていたこと。空元気なんていくら出しても、意味が無いこと。

 

けど、歩かなければ始まりませんよね……、

 

麻弥は、そんな少しだけ残っていた、プラスな気持ちを振り絞り、大通りへ向かった。

 

泣きたくなるような、そんな気持ちをぐっと我慢して、進んだ先に、ようやく見えた大通り。しかし、そこも‥見覚えのないところだった。

 

 

通りかかる人に道を訪ねようとしても、声をかけられず‥

 

見たことがない景色が更にジブンを攻撃するッス。

 

あっ……。ジブンの中の何かがプツンと切れました。頬に涙が流れかけましたが、腕でふき、ジブンは泣いてなんかないと誤魔化そうとしました。けど、1度切れてしまえば、残りを壊すのは一瞬で、その切れ目から一気に噴き出させるだけ。ジブンの頬には、流れ出てくる涙のあとが次々とついていきます。

 

 

「携帯もないですし……、拓弥さんともはぐれちゃいますし……、おまけにどこにいるのか分からないなんて……」

 

 

マイナスの言葉しか出てこず、気持ちもそのまま急降下。もう、いいです……。

 

拓弥「やっと見つけた‥!」

 

声がして振り返るといたッス。

 

ジブンが今一番会いたかった人が‥

 

拓弥「心配したよ‥探そうと思って電話したら、スマホだけ落ちてんだもん。一瞬何か良からぬことに巻き込まれたのかなって思っちゃったよ。」

 

顔中に汗をかき、ゼェゼェ言いながらでもジブンに笑顔を見せてくれる人。

 

 

ああ、こういうことなんスね。今まで、こんな風な気持ち味わったことなかったッス。

 

この気持ちの正体が何なのか分からなかったッスけど、今なら分かります。

 

 

 

ジブン‥この人の事が好きッス。

 

ギュッ!

 

無言でこっちに走ってきてくれた、拓弥さんの胸に飛びこむジブン。今度の頬を濡らした涙はさっきとは全く別物。拓弥さんに見つけてもらえたという安堵と喜び、拓弥さんの胸に飛び込めたという喜び。全てが涙となって溢れだしました。

 

拓弥「すぐ、見つけてあげられなくて、ごめんね?」

 

首を拓弥さんの胸に埋めながら大きく横に振るジブン。声に出そうとしても、出せない。今出したら、大声で泣いてしまいそうで……。

 

そんなジブンを拓弥さんはゆっくりと背中をさすってくれて、ジブンが落ち着くのを待ってくれます。

 

 

「ねぇ、大和さん。はい、これ。」

 

「あ、あり…、が…どう、ございます。」

 

 

嗚咽を零しながら、ようやく拓弥さんの胸を離れ、携帯を受け取るジブン。なるほど、途中でこれを拾ってくれたから、電話に出ないって分かって、必死に探してくれたんですかね?

 

そんなことを思いながら、ジブンは画面が割れてないかや、故障していないかを確認するために画面をつけました。

 

そこには何件もの不在着信。どれだけジブンの事を心配してくれたのかがよく分かるッス。

 

拓弥「ちょっと、こっち来て。」

 

拓弥さんがジブンの腕を掴んで路地の奥に連れて行ったッス。

 

それから拓弥さんはジブンに向き合い、深呼吸をしたッス。

 

 

 

拓弥「僕は‥今まで‥誰かに対して特別興味を持つなんてなかった。君の事もただ熱心なファンとしか思ってなかった。でもいつしか僕の中でファンを超えた特別な存在になってたんだって‥スマホを拾った時に初めて気づいた。」

 

拓弥「君はアイドルだ。みんなに笑顔を届ける立派なアイドルだ。本来ならこんな事言うのは間違ってるかもしれない。でも言わないと僕は一生後悔する!」

 

拓弥「大和さん。いや麻弥さん!」

 

 

 

拓弥「僕は君が大好きだ。僕とお付き合いしていただけますか?」

 

麻弥「ジブンでよければ!」

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