機械いじりとドラムと恋愛   作:JOKER1011

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第6章 麻弥 実践編
第9話


二日後

 

うー、緊張するっス。時刻は10時。待ち合わせ場所は最寄りの駅。拓弥さんが午前は用事があるからという訳でこの時間なんです!

 

絶対に遅刻だけはしたくなかったから早めに家を出たら1時間早く来ちゃったっス!

 

早く来すぎた為、近くのベンチに座り機材でも見ようかとスマホをつけた瞬間、声をかけられた。

 

拓弥「お待たせ!」

 

顔を上げると、そこには拓弥さんが!

 

拓弥さんの服は黒のボーダー、下は七分丈のズボンに白いスニーカー。

 

爽やかでカッコいいっス!!!

 

拓弥「このくらいの時間だったらまだいないだろうと思ったけど、ごめんね?待たせちゃったみたいだね。」

 

麻弥「いやいやいやいや!!!ぜんっぜん!全然待ってないっス!はい!」

 

拓弥「ふふ、やっぱり大和さんは面白いや。」

 

その後、電車に乗り隣同士に座るジブン達。

 

拓弥「それで今日どこ行くんだっけ?」

 

麻弥「湊川自然公園っス」

 

フヘヘ、それにしても周りから見たら何に見えてるんスかね?やっぱり‥カップル‥とか?

 

あ、肩‥当たったっス‥

 

目的地は二駅先だった為、すぐに電車でのひと時が終わる。

 

もうちょっと肩が触れ合ったままなら良かったのにと電車を降りながら思う麻弥であった。

 

拓弥「さて!大和さん。今は11時だけど時間的にどうする?」

 

ちょっと早いっスけど‥昼食っスね。

 

麻弥「ランチがいいっス!」

 

拓弥「じゃあ、決まりだね。さて、どこにするかな〜」

 

へへん、こういう事もあろうかと彩さんがこの近くの洋食屋を見つけておいてくれたんスよ!

 

麻弥「この近くに‥美味しい洋食屋があるみたいっスよ!」

 

拓弥「へ〜よく知ってるね。来たことないんでしょ?」

 

麻弥「はい、お友達から聞いて‥」

 

拓弥「なるほど。」

 

私はオムライス、拓弥さんはハンバーグを注文して料理を待つ。

 

その間、無言になってしまい気まずい空気が流れる。

 

麻弥「そ、そうだ!」

 

麻弥「この前、うちのバンドメンバー五人でオレンジケーキ食べてたんですよ。オレンジの素材の味を楽しめる少し高いケーキだったんですよね。その時、ボーカルの彩さんが風邪気味で鼻が詰まってて味があまり分からなかったらしいんですよね。その時にボソッと言ったんですよね。」

 

麻弥「みかんが、みっかんないって。」

 

拓弥「‥‥‥」

 

ああああああああ!!!!!!やっちゃった!!!!!!!!!スベった!!!!!!!!

 

 

拓弥「ああ、なるほどね。」

 

麻弥「忘れてほしいっス‥」

 

拓弥「いや、今度駅前ライブの時の繋ぎに使わせてもらうよ。この話。」

 

 

その後、私達は昼食を食べ終わり、一緒に林道を歩いたっス。

 

小鳥のさえずりや風になびく木々のさざめきを感じながら歩けたらいいっスけど、甘かったっス。

 

考えてなかったっス。普段インドアの私達が、こんな所を歩いたらどうなるのか。

 

 

拓弥「はぁ‥はぁ‥死ぬ……ウェッ‥」

 

麻弥「大丈夫ですよ…、ハァ……、ここは三途の川ではありませんし……」

 

 

 このザマなんです。なんで、こんな肉体的にくるものを選んでしまったんでしょうか……?景色だけで判断したジブンに説教してやりたいです……。しかも、こういう時に限って、普段履かないヒールを履いてくるという失敗……。

 そう思った刹那でした。

 

 

麻弥「………痛っ!!!」

 

拓弥「???大和さん、どうかした?」

 

麻弥「い、いや、何でもないっス!なんでも!!」

 

 

 足首下の方のの後ろ側、アキレス腱の当たりに痛みが走りました。先程からヒリヒリとはしていたんですが……。七宮さんが前を向いた瞬間に見てみると赤いシミが肌色のストッキングに付いています。アハ、アハハ……、靴擦れですか……。こ、こんな時に……、

 

拓弥「あ!やっぱりなんかあったんじゃん。」

 

麻弥「え!?」

 

拓弥「あらら、それ靴擦れだねー」

 

拓弥「ごめんね。僕なんかの為‥?か、どうかは分からないけどおニューの履かせちゃって。」

 

麻弥「いえいえ、大丈夫っス!このくらい」と言いながら立ち上がろうとしたジブンに拓弥さんは手を差し出したっス。

 

拓弥「やせ我慢はダメだよ。それにアイドルの子に無理させられないよ。」

 

麻弥「いや、でも‥」

 

拓弥「無理はダメだって。ね?」

 

うう‥なんでそんなに優しいんスか。

 

拓弥「もうそんなに悲しい顔しないでよ。僕は充分楽しいよ。デートだったらまた行くし。」

 

そう言いながらジブンを立ち上がらせるとジブンに背を向けてしゃがみこんだっス。

 

拓弥「ほら乗りなよ。」

 

‥え?ええええええええええええ!!!!!

 

お、おんぶ‥!?

 

麻弥「いいんですか?」

 

拓弥「いいよー。ほらほら早く。」

 

つまり、これは拓弥さんの背中に密着!いやいや、そんなやましい気持ちなんてないっス!これはジブンが怪我して、拓弥さんのご厚意に甘えるだけっスから!

 

麻弥「し、失礼します。」

 

拓弥「どうぞ〜」

 

それからおぶられながら歩くこと、5分。

 

拓弥さんの方から話しかけてきてくれたっス。

 

拓弥「僕さ、次はありのままの大和さんが見たいな。」

 

麻弥「あ、ありのまま?」

 

拓弥「うん。さっき僕は、そのヒールをおニューって言ったけど普段はヒール履いてないでしょ?それにその服も今日のために新しく買ったやつでしょ?」

 

麻弥「気づいてたんスね。」

 

拓弥「うん。気づいた理由はあるよ。一つはいつもお客で来てくれてた時の服装はTシャツばっかだったじゃん。仕事終わりの時でも。いつ見てもそれだからね。じゃあ普段から着てたり所持してる服は大体その系統なんだろうって思った。」

 

拓弥「二つ目はヒールでの歩き方かな。普段からヒール履いてる人はもうすこしまっすぐ歩けるんだよね。うちの里佳はよくヒール履くんだけど歩き方が違うんだよね。」

 

ううっ‥バレてるっス‥

 

拓弥「それよりさ!!次はいつ遊ぼっか?」

 

麻弥「…………しゅう、……よう」

 

拓弥「え?」

 

麻弥「来週の日曜もお願いします!!ジブンだけ恥ずかしいことばっかでズルいですから!!!覚悟しておいて下さいね?」

 

拓弥「もちろん!楽しみにしとくよ!」

 

 


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