艦娘×ライダーシステム エボリューション‼︎ 作:よく燃える葡萄酒
◯月◯日 天気曇
日が完全に隠れ 昼になっても相変わらず暗い
そんな状態でも遠征に行ってくれる彼女らには頭が上がらない
今日は彼女らに任せ 他の艦娘達は今日の出撃は控え 次の出撃に備えよう
◯月◇日 天気嵐
天龍を見失った 他の皆は大破寸前で戻ってきた
嵐で無線が使えず 心配していたがこんな事になろうとは
龍田が1人で出撃しようとしたがこの嵐だ みんなで説得し 嵐が過ぎ去ってから捜索をするように説得した
私としても探しに行きたいが 他の艦娘達まで危険に晒すことは出来ない すまない 天龍
◯月△日 天気晴
捜索を始めてからもう数日が経つ 未だに見つからない しかも天龍を見失った周辺では深海棲艦の姿も確認した
みんなあの日からずっと暗く 龍田はもう限界が近い
頼む 生きていてくれ
□月◯日 天気雨
天龍が帰ってきた 雨に濡れ 大破状態でぼろぼろながらも生きて帰ってきてくれた 帰還直後 龍田や大半の駆逐艦が駆けつけて彼女に飛びついて
龍田のあのような顔は初めて見た 泣きながらも喜んでいた
他の駆逐艦達も同じ様に天龍を迎えた
天龍の人望の厚さがよくわかる
天龍はすぐに入渠してしまい 話は出来なかったが またすぐに話せる
よかった 本当に
□月◇日 天気晴
天龍の様子がおかしい 龍田にそのように言われた
前にも増してネガティブな発言が増え 性格も暗くなっているという
駆逐艦達は元気を出させようと明るく接しているがあまり効果がないようだ
もしかしたら今回の一件で心が消耗し過ぎたのかもしれない
しばらく彼女を休ませよう みんなとも意見が一致した
早く元気になってくれることを祈ろう
雨が身を叩き 風が身を切るように荒ぶ
寒さで身が震え 全身の傷に痛みが走る
そして孤独感と死の恐怖が身包み込むようにを支配している
他のみんなは俺を探しにはこないだろう 当然だ
時代遅れの艦 戦闘面では完全に他に劣り 唯一マシなのは燃費が少ないことによる駆逐艦達との遠征のみ
こんな中古品をリスクを負って助けにくるやつなんているわけがない
どうせ俺なんて
そうぼやいて逃げ込んだ穴蔵の中で寝転んだ
外では深海棲艦の姿が見えた 弾薬も燃料も殆どない今見つかりでもしたら そう考えるとまた絶望感が上から重く 降ってくるかのようなプレッシャーを感じる
目を閉じて 身を両手で抱いて 小さく丸まった 見つからないように願いながら
けど 運命は優しくない
不意に ガシャ ガシャ
と
そんな音がした
音の間隔的に足音だろう 予想通りの最悪
目は開けれなかった 顔を上げることも出来なかった 結末はわかりきってる それでも直視は出来なかった
怖い 嫌だ 死にたくない 虚勢や強がりなんて言うんじゃなかった 助けて欲しかった
そんな祈りや後悔を無視するかのように 確実に近づいてくる足音
容赦なく近づき 頭のすぐそばに止まった
そして そいつは
「天龍ちゃん、朝よ〜」
「んあ…」
霞んだような頭が覚醒していく 龍田に布団を剥がされ寒さで目が覚めた また数ヶ月前の夢を見ていたらしい あの日からこの夢ばかり見ている
「大丈夫かしら? またあの夢?」
龍田が心配そうに顔を覗き込んでくる
あぁ また俺は迷惑をかけている
「龍田、俺なんか気にするな、飯行ってこい。」
面倒はかけさせたくない
そういってまた布団を被った
剥がされた 寒い
「天龍ちゃん?ご飯、食べに行きましょう?」
怖い 笑顔なのにとても怖い
一応俺の妹はずなのにどうしてこんなに迫力に差があるんだ
「…少し待ってろ。」
とりあえず着替えて飯を食いに行こう これ以上龍田に迷惑をかけさせるわけにはいかない
…これ以上 龍田を怒らせるわけにはいかない
「てんりゅう‼︎龍田さん‼︎おはよう‼︎」
「やぁおはよう、天龍、龍田さん」
朝飯を食いに行く途中 暁と響に捕まった 飯に行く途中だろうか
ていうかお前ら どうして俺は呼び捨てで龍田がさん付けなんだ一応俺が姉だぞ
一応
「あら おはよう〜」
「あぁ…朝から元気だな」
本当に 特に暁はどうして朝からこんな元気なんだ
「当たり前でしょ‼︎一人前のレディーは朝でも元気なんだから‼︎」
レディーは関係ないな
「天龍や龍田さんも今からご飯かい? よければ一緒じゃダメかな?」
さんを付けろデコスケ
「私は構わないわ、天龍ちゃんは?」
「どっちでもいい、俺のことなんか気にすんな。」
別段 本当にどうでもよかった
飯を喋りながら食うか 黙って静かに食うか
人の顔見ながら食うか 壁を見ながら食うか
それだけの差
一人で先を歩きながら ぼやいた 近くで聞きすぎて口癖になっちまった
「どうせ、俺なんて。」
食堂は ちょうどピーク時だから配膳周りが混み合っていた
人混みは 前まではどちらかというと好ましい方だったが 今では騒々しいだけだ
おはよう と 俺の顔を見てみんなが言ってくれる
みんな数ヶ月前のことだというのに心配してくれている
優しい きっと本心なのだろう
けれど未だに俺は心の中では疑っている
実は助けは出さなかったんじゃないか 見つけるのが面倒で捜索をまともにやらなかったんじゃないか 俺を計画的に孤立させて深海棲艦をおびき出す囮に使ったのではないか と
相変わらずみんなは優しい けれどそれを疑わずにはいられない
そんな猜疑心を抱く自分に対する嫌悪感と皆に対する罪悪感で食欲が出ない そんな俺を見て龍田達がまた心配する
そうして俺は今日も飯を残した
あの時以来 俺は出撃をしていない 提督が配慮してのことらしい
調子が治ってからでいいと 言ってくれた
もし 別の提督なら良くて普通に連続で出撃 酷いところなら即解体もあり得るだろう
提督もきっと俺のことを心配してくれてのことだろう そう思うとまた情けなさで苦しくなってきた
だから俺もいつまでもずっと寝転がってばっかではマズイ
なので今は 提督に頼んで秘書艦の補佐擬きをさせて貰ってる
「おはようございます、天龍さん。」
部屋に入ると秘書艦の大和が声をかけてきた
提督とのケッコンカッコカリをしている唯一の艦娘 練度は凄まじい上書類の仕事もこなす 俺なんかとは真逆の人だ
「あぁ 悪い、迷惑かけるな。」
そう言わずにはいられなかった 大和からすれば俺なんかいない方が早いだろう
「いえいえ、お手伝いはとても嬉しいです!」
明るい笑顔でそう言ってくれた
そんな純真な笑顔を向けないで欲しい 仲間を信じれない俺にそんな風に接してはいけないだろうに
提督も部屋に来て仕事の開始
俺は提督や大和が目を通した書類に印鑑を押していく
というかそれ以外やれることがない 他は全部大和がやった方が速い
正直 2人の時間を邪魔してるだけのように感じて 非常に申し訳ない
そんなこと思いながら手伝いをしていると 机の上の電話が鳴った
大和が電話を取ると 少し顔を顰めたのち 提督に電話を渡した
気になりはしたが俺の仕事はまだまだ溜まっている とりあえず印鑑をズレないように押していった
ちょうど今まであった書類に印鑑を押し終えた所で提督が電話を切った
横から掻い摘んで聞いたレベルの話だが どうやら演習の話だったらしい しかし何故か提督も顔を顰めているのが気になった
「どうした、なんかあったのかよ。」
思わず聞いてしまった 聞いたってどうしようもないのに
提督は少し苦笑いをしながら言った
まず相手は少し身分の上の人間であること
自分よりも小さい鎮守府に演習を申し込んで楽しみ人間であること
前の演習で大和を出した所ボコボコにしてしまったこと
今回も演習を申し込んできたが予定日が大和の出撃予定日であること
今回は相手も全力でくるだろうからどうしようかなと困っている
そう言ってまた困ったように笑った
うちは大和だけではない 他にも強い艦は幾らでもいる けれど大和に実力が近い人たちは大和と一緒に出撃
さらに相手はジュウコンもしてるらしく 全力でくるとなると最低でも大和がいないと敗北は必然だろう
少しとはいえ身分が上の相手 断るとネチネチ言われてまた面倒らしい
「提督、どうされましょう?私の出撃の時期をずらしますか?」
大和がそう提案したが 提督は首を横に振った
せっかくだから 他の子達に強い人との経験を積ませたい
そう言って 2人で編成を考え始めた
もう仕事は終わったし 編成に関して言えることは俺にはない
2人に声をかけて 部屋を出て行くことにした
「んじゃ出て行くから、後は2人でイチャイチャしてもいいぞ。悪かったな 2人っきりの時間を邪魔して。」
2人は顔を赤らめて黙ってしまった
おい 生娘と童貞みたいな反応すんな もうお前ら一線ぐらい超えたろ なんだっていつまでたってもそんな初々しいんだ
夢だ
しかし今度は前見た夢より少し後の夢
結局 死ななかった
そして隣の変な格好したよくわからないし如何にも関わってはいけない様な雰囲気を醸し出す男が横に座ってきた とりあえず声をかけた
「誰だ…?どうしてこんなとこにいんだよ…」
救助や援軍だとは思わなかった ていうかこんなのに助けに来られても困る 俺とおんなじくらい遭難してそうな見た目をしてる
そういうと男は喋り出した
「お前、いい目をしてるな…地獄を味わった目だ…。」
今思うと 第1声がこれって不審者を通り越して犯罪者にしか思えない
しかし その時俺はなんも思わなかった 実際今まで地獄のようなものだったし そういうもんかと何故か受け入れていた
「自分は地面に舐め、這い蹲る。皆は天に向かっている。」
表現の仕方にいささか含みがあったように思えたが おおよそ事実なので特に反応せず黙っていた
「自分は失い何もない、皆はなにかを手に入れ成長していく。お前はずっとこれからも最底辺にいる。」
そうだ 元より乏しい性能だ 仲間からも見捨てられた俺にはもう何もない
諦めようかと思った時だった
「だが、いやだからこそ見えてくる光がある。」
そういうと男は俺に何かを投げつけてきた
手にとって見てみると バッタのような形をした変わった機械
けれど 俺は不思議とこの機械の使い方を理解した 手に取った途端スッっと頭に浮かんできた
これは一体なんなんだ
そう聞こうとして横を見ると
まるで何処かへ飛んで 跳んで行ったかのように男はいなくなっていた
そして 俺は
また寒さで目が覚めた
「おはよう〜天龍ちゃん♪」
相変わらず容赦ない けどこの心配せずに接してくれる龍田が一番気楽だ 対等に扱ってもらえる 今の俺にこれほど心地よいことはない
「あぁ…」
怖い妹を何度も怒らせる勇気は今も昔もない
さっさと飯食って 提督の手伝いでもしに行こう
「天龍さん‼︎ おはようっぽい‼︎」
飯を食ってると後ろから夕立に大声で言われた 叩かれた
めっちゃむせたクッソ苦しい
それを見て龍田が少し笑っている そこは心配してくれ
「天龍さん、今日私強い相手との演習っぽい‼︎だから応援してほしいっぽい‼︎」
どうやら演習に抜擢されたらしい 確かに実力はそれなりあれどまだ経験が少ない 沈む危険がない演習で経験を積ませたいという提督なら納得のいく選出だ しかし声が大きい
「夕立…うるせぇ、周りのことを考えろ。応援は他に頼め。」
「いいから‼︎応援して欲しいっぽい‼︎」
このスピーカーは音量を下げるということを知らんらしい
自分の戦ってる所を見て元気を出して欲しい とかそんなとこだろう 演習を見て元気になるかは知らんが
「はぁ…気が向いたらな…。」
「やった‼︎約束っぽい‼︎嘘ついたら天龍さんの大事なぬいぐるみのことみんなにバラすっぽい‼︎」
してもいない約束をさせられた挙句に嘘もついていないのに食堂のみんなに秘密をバラされた
周りがクスクスと笑う
おい夕立 お前は俺を辱めて楽しいか
恥ずかしくなった俺は食ってる飯をさっさと片して提督室に向かった
今日も飯を食い切った
部屋でいつも通り手伝いをしていると ノックが聞こえた
「提督、朝潮です。 演習のお相手の提督のお方がいらっしゃいました。」
どうやら相手さんが来たらしい 提督が席立ったので俺もついてくことにした
大和は不在だし 一応秘書官補佐カッコカリみたいな俺もついていくべきだろう 後提督が居ないと俺はやる事がない
「ぬふぅ、今日はよろしく頼むよぉ。」
相手の少し太り気味の男がニヤつきながら挨拶をしてきた
提督は挨拶の後 お手柔らかに と言ったが
「いやいやぁ、前は僕達が負けちゃったし、胸を借りるのはこっちだよぉ。」
随分と間抜けな 苛立つ喋り方をする男だ
「と、こ、ろ、で、今日はお得意の大和君は、いないみたいだね〜 大丈夫かいぃ?君のとこ大和君がいないとなにもできないじゃないかぁ〜?」
本来 演習は練度が高いもの同士でやるものではなく 経験の浅い艦を育成するためにある
少なからず俺や提督はそう思っている だが
相手の編成を見ると 平均的にこちらより遥かに練度が高く 中にはケッコンしてるやつも混ざっている
どうやら大和に負けたことをまだ根に持ってるらしい
提督は少し機嫌を悪くした 仲間を馬鹿にしたんだ 当然だろう
俺もだいぶん頭にきていた 俺のことを馬鹿にするのはいい 幾らでもすれば良い だが俺の仲間を 誇りを馬鹿にされたのは許しておけねぇ
提督がいなければ多分殴ってた
そんな態度を見て男はニヤリと
「むっふっひっふ、いやいや悪かった悪かった。まさかここまで釣れるとは思わなかったよ。」
ふひひ と笑った
「……」
あの男はは弟を大事にしたそうだ
組織に捨てられ 職を失い 仲間に手を切られ 名誉を失った
そんなあいつでも 弟だけは大事にしていた
俺にとって それは仲間だ
仲間を馬鹿にするやつを 許しておけるのだろうか 俺が地獄を経験し やさぐれ 前までずっと疑っていた俺を受け入れてくれた仲間をどうして笑えるのか
こいつは 地獄を知らない
「今、俺の仲間のことを笑ったな?」
味あわせてやろう 温い優しい地獄を
準備してる俺に提督が焦って駆け寄ってきた
演習の旗艦の書き換え バレたのが遅くて助かった
「あぁ悪いな、書類書きミスったか。 だがまぁもうしょうがないな。」
などと適当に言ってたら少し怒られた
「出たかったからな、悪いな。」
提督は 少しため息を吐いた後 無理はしないように とだけ言った
「へーい、了解さん。」
嘘ついたらブラックコーヒーが飲めないことをみんなに言うと言ってきた
なぁ どうして知ってんだ
「天龍ちゃん今日の演習に出るの⁉︎」
龍田が焦った様子で声をかけてきた
「あぁ、まぁ久々に肩慣らしにな。そろそろ印鑑押すのにも飽きてきた。」
「天龍ちゃん相手の練度わかってるでしょ⁉︎しかも旗艦だなんて…」
相手は練度でいえば遥かに高い が 反応が少し過剰すぎないか?
「龍田、別に死にに行くわけじゃない。ただの演習だ。そこまで心配する必要ないだろう。」
事実 演習で轟沈とかはありえない ていうかあったら不祥事どころか首が飛ぶ 運が悪けりゃ物理的にも
「私は天龍ちゃんにこれ以上傷ついて欲しくない。」
まっすぐ俺を見据え言った
「私は天龍ちゃんに出撃して欲しくないの。安全にずっと部屋にいて欲しいし、今からでも天龍ちゃんを部屋の引き摺り込んで閉じ込めたい。」
まっすぐ俺を見据えなんかやばいことを言い始めた
提督がボソリと 天龍がいなくなる前と後で龍田の様子が少し変わったとは言っていたが これは少しではないだろう 妹が怖い
が今回は俺も譲れない 龍田達の事を馬鹿にしたあいつらを地中に叩きつける 仲間を侮辱した奴は絶対に許さない
「龍田、悪いが今回は俺も譲れない。それだけの理由がある。」
龍田と目があった
驚いた
俺が地獄を見た時と同じような 目をしていた
「天龍ちゃん?行きましょう?」
少しその目に見惚れているとゆったりと近付いてきた
同じ目をしていた妹の事が気になったが 後回しだ
「約束だ、龍田。今回の演習で俺は無傷で勝利する。」
ピタリと龍田の動きが止まった
「…」
約束をしよう
「傷が少しでも付いたらしばらくの間俺の自由はお前の勝手にしてくれてもいい。」
強気に だけどほんの少しだけ保険をかけて
「…わかったわぁ。約束よ?今日少しでも怪我したら捕まえるわね。そうねぇ、嘘ついたら天龍ちゃんがこっそり夜やってた決めポーズのことみんなにバラすわ♪」
なぁなんでお前ら 俺の秘密をそんなに知ってんだ
何か月ぶりの感覚 久々に艦装をつける
そして あいつから貰った機械の一つ アンカージャッキを 足首 膝 太ももを支点に 足に沿うようにして 左足の外側につけた
歩くたびにあいつみたいに ガシャ ガシャ となる
正直 あのくそ野郎に地獄を見せたいだけで あいつの艦娘自体に恨みはない だがまぁ連帯責任ってやつだ ブチのめす 悪く思うな
「天龍さん、どうしてだい?」
演習の開始場所への移動中 時雨が後ろから顔を覗き込んできた
「どうして演習に出ようなんて思ったんだい?」
とても心配そうにしている
「俺じゃそんなに心配か?」
「心配だよ。天龍さんすごく変わってしまったし…」
変わった もしかして胸が少し大きくなったことか
あれか 大きくなったから身体のバランスとかなんかそこらへんを気にしての配慮か
しかし龍驤辺りにバレてないだろうな バレると面倒だぞおい
「あー時雨それは、みんな知ってるのか?」
時雨が顔を顰めた
「何を言っているんだい?僕のことからかっているのかい?」
なんか急に機嫌を悪くし始めた
いや 確かに平均よりは まぁでかいが だからと言って成長に文句言ってもしょうがねぇだろ 後 まだ時雨は子供だし
「天龍さん、気づいていないのかい?それともわざとかい?」
鬼の形相をし始めた もしかしたら違うことか だが心当たりがない
やばい どうしよう
「その、まぁあれだ、みんなに俺のことなんか気にすんなって伝え「それだよ。」
「俺のことなんか、前までの天龍さんなら絶対に言わない、そんな自分を落とすような事はしなかった。だから、だから心配なんだ。」
少し目が潤んでる 手も思いっきり握りしめ震えている
「僕達はあの日天龍さんを助けれなかった。孤独にさせてしまった。変わってしまった。僕達のせいで‼︎だから僕はもうこれ以上天龍さんに戦って欲しくない‼︎1人にさせたくないんだ‼︎これ以上変わって欲しくない‼︎」
泣いている彼女に 何を言う言葉はなかった
昔の俺は 死んだといってもいい
技術もポテンシャルもなく 自信過剰で甘ったれ
そんな俺では あの地獄は到底生き残れない
俺が殺した
今の俺に この子を慰める資格はない
「時雨、俺が今回の演習に出たのは変わったからだ。」
本当は腹が立っただけだが まぁついでだ
「変わった…」
「あの地獄を生き残るために今の俺に変わらなければいけなかった。 俺がお前らの天龍を殺した。」
「…」
「どうなったか見せてやる。だから」
だから 俺みたいになるな
「作戦は、どうしましょうか?」
演習直前の打ち合わせ 朝潮から聞かれた
一応 今回は全部俺に任せてもらうように提督に頼んではある
「あー、そうだな…。」
さて どうするか 相手は駆逐艦3 空母1 戦艦1練度も高いのなんの
こっちは駆逐艦 4と俺 練度が軒並み低いわけではないが まぁ厳しい
「朝潮と秋月が対空、時雨と夕立と俺で叩く。そんな感じだな。」
「対空だけに専念すればいいと?」
「あー、回避優先。どーせ俺狙うだろうから落ち着いてから打て。」
「だ、大丈夫ですか?その方法ですと天龍さんの負担が高すぎると思いますが。」
真面目だなぁ テキトーにやればいいのに
「問題ない。あいつらなんかじゃ俺を沈めれない。」
「…わかりました。」
ちょっと諦めたような けど嬉しそうな顔
あー 今の 昔の俺みたいに虚勢張ってるように見えるのか
なんか恥ずかしいな おい
「私達はどうすればいいっぽい?」
んあ 忘れてた
「敵陣に向かって砲撃、以上。」
「適当すぎるっぽい‼︎」
いや 割と重要なんだが
「敵艦を狙わずにその周辺に砲撃、ただし時雨と同時に同じ場所に砲撃すること。」
「?敵艦を狙わずにってどういうこと?」
「とりあえずそうしとけ、というかむしろ狙うな。戦艦落とすにはお前らの火力も重要なんだよ。」
夕立が?マークを頭の上に浮かべてる 狙っても回避されるのがオチだからな だから当たりに行ってもらわないと
「…天龍さんはどうするの?」
黙り込んでいた時雨がきいてきた なんか龍田みたいで怖い
その時ちょうど届いた 海の上をまるでバッタの跳ねてきた機械が手の中に入り込んできた
それを変形させ頭の左の艦装に上から重ねるようにはめる
その行動に驚いてる時雨に対して
「任せた。」
そういって先行した
演習が始まった 俺は1人ゆっくりふらふらと真正面から進んでいる あいつらには攻撃が始まるまで後ろにいるように伝えてある
時雨に直接言う勇気はなかったから 秋月に言伝を任せた
敵の姿が見える 距離は遠い
多分訝しんでる感じだろう 少し動きが止まったように見える
まぁ 旗艦が真正面でゆっくり進行してるのに他の艦が後ろの方で待機
とりあえず何かある疑うだろうな
相手の艦載機が見える あれは 偵察機だっけか?
そろそろ始めるか
フェイクに持ってきておいた砲を海に投げ捨てる どうせ当たらんし いらん
頭の機械 ホッパーゼクターのスイッチを入れ
俺は左脚を軸に 思いっきり跳んだ
敵の偵察機の近くまで接近した 軍刀で叩き落としてもいいが 壊れて色々言われたら面倒
取っておいたペイント弾のインクをすれ違いざまにかけてやった 視界が狭くなって慌ててるように見えたが まぁ大丈夫だろう
これから攻め込む
相手からすればいきなり敵艦が空まで飛んできてインクをかけられたとかいう意味わからん情報が入ってるはずだからな 叩けるうちに叩く
空中で見えない壁にへばりつくように脚と片手を置き もう一度 今度は前に進むように跳ねた
敵のすぐ近くで着地し まずは敵駆逐艦の前に飛び降りた
着地時 水飛沫が凄い勢いでそいつを飲み込む
怯んでるこの今が好機
そいつに軍刀を叩き込んだ
手応えは十分 水飛沫の上から軍刀の峰で殴ったから気絶したかわからないがすぐに起き上がってこないから放っておく
別の駆逐艦が砲を向けて撃ってきた
とりあえず跳んで躱し また空中に張り付くように滞空する
「なんなんですかあなた⁉︎」
「天龍だよ。天龍型一番艦天龍。」
「その動きと装備はなんなんだと聞いているんです⁉︎」
「装備は拾った。動きは慣れた。」
「っあなた‼︎旗艦なのに単独での行動、ふざけているのですか‼︎」
「勝つための作戦だ、口出しされる覚えはない。」
相手の駆逐艦が更にヒートアップしていく 面倒な会話をさせられる
しかし何故か怒られてる 敵の駆逐艦に
「あなたは艦としての誇りはないのですか‼︎」
「誇りで生き延びれたなら喜んで誇るが、誇りは飢えも寒さも孤独にも意味がなくてな。そこら辺のバッタより役に立たないゴミは捨てたよ。」
「この‼︎」
敵駆逐艦が砲撃をしてきた 硝煙で少しは見えないだろう
滞空してる状態からまず真下に跳ね 着地してもう一度敵に向かって跳んだ
相手の砲は間に合っていない 他からも同士討ちを避けてか速さに戸惑ってか砲撃してこない
「寝てろ。」
同じように軍刀の峰で殴った 思ってたより吹っ飛んでいった
まぁ再起不能になれば流石に潜水艦が回収してくれるだろう
後3人
いや 2人か
相手の空母が焦り始めた 俺に気を取られ艦載機に指示を怠ったお陰で秋月と朝潮が落としてくれたらしい やっぱあいつら優秀だな
駆逐艦と戦艦がこちらに睨みを利かせている
「よぉ、そろそろ提督に謝る準備はできたか?エリートども。」
「っ‼︎」
最後の駆逐艦の腰が引けてる 他のみんなの姿を見て動揺してる
まぁ 俺はこのままサレンダーでもいいんだが
「落ち着いて、確かに相手の動きは早い。でも動きは単調で直線。2人で一緒に戦えば大丈夫よ。」
「う、うん‼︎ 僕頑張る‼︎」
相手の戦艦が駆逐艦を宥めた
割とまずいほんとに 2人がかりだとどうしようもないんだよな
「さぁ、覚悟しなさい‼︎」
戦艦の砲撃 威力もあるがあの砲撃の衝撃や硝煙だと突っ込んでも分が悪い 一旦距離を取るように跳んだ
「えいっ‼︎」
駆逐艦の砲撃 着地地点に砲撃
着地する前に滞空して上に跳ねる
「ちっ。」
こうなってくると俺1人じゃどうしようもない 夕立と時雨次第になってくるが…
思ってると後ろから砲撃音 よし
相手に突っ込むように跳ねる 狙いは駆逐艦
「っしゃ‼︎」
「ふんっ‼︎」
殴り込む所に戦艦が割り込んで艦装で軍刀を受け止める
強い衝撃 手が痺れるが敵戦艦にダメージはない
「護衛艦を削ってから全員で叩く。あなた1人では私は倒せない、そんな所でしょう。」
そうだ 当たり前だ 幾らこいつをつかいこなしても性能自力根性どれを取ってもこいつには勝てないだろう
どうせ俺なんて
だがな 今回は俺だけではない
押し込まれそうになるのを右腕で刀を押し込みならが堪え 左手でホッパーゼクターの足の部分を弾いて畳む
ギョン と変な稼働音の後 機械音声が鳴く 左脚に力がこもる
「俺はライダーではないがな。」
「⁉︎」
相手を足場にして思いっきり跳ねた さっきより より高く
もう一度 今度は足を伸ばすように弾く また鳴く機械音声
そしてさっきよりの倍以上の速度で突っ込む
「下がりなさい‼︎」
戦艦が駆逐艦の前に出で 構え 砲撃する
軍刀を思いっきりぶん回し砲弾を破壊 恐ろしい衝撃走るが支障はない
ペイント弾が多少かかるが こんくらいなら中破判定だろう
「嘘⁉︎」
刀で破壊されたのが予想外だったのか腕を交差させ 防御態勢をとった
刀を振った反動を使って2、3回くるっと回って左脚を相手に向けるように伸ばし 姿勢を保ちながらそのまま突っ込む
スカートでくるんじゃなかった
勢いのままに左脚から相手に着撃 勢いですぐには離れず相手に張り付いた状態 俺はゆっくり左脚を縮めていく
相手は勢いで後ろに滑りながら未だ倒れない 衝撃によって少なくないダメージはありそうだが未だに堪えてる このままだと無理だ
だが位置は完璧 流石は時雨と夕立 俺とは違う
後は タイミングだけ
今
勢いが衰え始めそうなところで俺は左脚ごと縮めてあったアンカージャッキに蓄えられていた力を解放 密着している状態から普通ではありえない勢いで今度は相手だけを吹っ飛ばした
海の上を弾いて転がって吹っ飛んでいく さぞかし驚いているだろう
勢いはまた衰え 失速し海に弾かれず着水する だが相手はまだゆっくりだが立ち上がろうとしている
すごいタフネスだ 俺には到底出来ない がそこで立つなら 俺らの勝ちだ
「上⁉︎」
空母が気づいて声をかけ 戦艦が虚ろ虚ろ上を向くが遅い 既に目前に
時雨と夕立が放った砲弾が迫っていた
着弾 ノーガードのところにヒットした
そしてついに倒れた
まぁ戦艦が2回吹っ飛ぶほどの衝撃 意識が朦朧としてる所にあの2人の砲撃が2発 これで立ってたらもうお手上げだ
震え 怯えている駆逐艦の首元に後ろから刀を当てる 戦艦が再起不能になってるのをみていて こっちの事を意識の外に置いてたみたいだ
「ひっ‼︎」
「動くなよ、今当ててんのは触れたらば痛いが振り抜けば痛くなくなる方だ。」
固まってる駆逐艦を抑えながら 空母に言う
「お前達の主力は潰れた。まだ戦うってならこいつを盾にしながらやるが、どうする?」
選択肢は与えない これ以上長引くのはかなりまずい
キックホッパーの能力は強力だ 誰にでも扱えるわけではないと思うが俺が戦艦を吹っ飛ばすほどの力を得る
問題は 恐ろしく燃費が悪い
壁に張り付くように対空 跳ぶ時のエネルギー 左脚のアンカージャッキに溜めたパワー 全部燃料を使ってる
今は燃料なしのガス欠状態 ぶっちゃけると今目の前の駆逐艦に暴れられたら抑える力がないから吹っ飛ばされる
相手は諦めたように信号弾を上に打ち上げる 降参の合図
はっ あのクソ提督はさぞかし驚いただろう
旧式の練度も低いこの俺にご自慢の艦隊が負けたんだからな
「天龍さん⁉︎今のは一体なんでしょうか⁉︎」
近づいてきた中秋月が代表として聞いてきた まぁ気になるわな
けどとりあえず
「とりあえず運んでくれねぇか、もう燃料がねぇんだ。説明は帰りながらしてやる。」
ここに 帰りのことを考えずに燃料をたらふく使い 駆逐艦に担がれて帰る
恥さらし軽巡洋艦がいるらしい はぁ
どーせ俺なんて
港に帰るとみんながむかえてくれた 駆逐艦に支えられてる俺を見て笑ってる奴もいる 顔は覚えた
「天龍ちゃん、お疲れ様。怪我はない?」
龍田が海から俺を引き上げながら聞いてきた
「あぁ、ペイント弾では傷はつかないからな。ちゃんと約束は守ったぞ。」
演習はペイント弾 要は非殺傷武器だ もろに食らえば別だが 基本的にペイントが付着するだけだから怪我はあまりするわけでは無い 分が悪い約束ではないのだ
龍田が俯く おい怪我してないことを残念がるな
「あら?天龍ちゃん、首元にゴミが付いてるわ。」
ゴミ? どこらへんだ 適当に首元をさするが特には出てこない
「取ってあげるから動かないでね。」
後ろに回ってうなじあたりに手を当ててきた
「痛っ。」
首元にチクっと痛みが走る 後ろを見ると龍田が細い針を持っていた
「あらぁ?天龍ちゃん怪我してるじゃない?嘘はいけないわぁ。」
「おいちょっと待て。演習での怪我ではないから関係ないだろ⁉︎」
「あら?別に私は演習中になんて一言も言ってないわよ? 怪我したら ってちゃんと言ったわ〜。」
嘘だろおい
「ちょ、おい狡いぞ‼︎」
「約束、守って貰うわね?」
目がやばい あの時の俺よりやばい しばらくの間と保険はかけたが今の龍田だとやばい
逃げるか
そう思って行動に移そうとした直後 何かにガシッとつかまった
見ると腰あたりに時雨が両腕をお腹にまで回してがっちりしがみついていた
「天龍さん」 「天龍ちゃん」
「「私(僕)がずっと守ってあげるわね(あげるからね)。」」
似たような目をした2人が俺を引きずっていく
「ちょ、おい誰か‼︎」
提督の方を見た 見たらすぐに逃げ出した テメェ
大和の方を見た 申し訳なさそうに頭を下げた ちょっと
みんなの方を見た みんな目を背けた 嘘だろ
龍田に何か飲まされた 直後に強い酩酊感
時雨と龍田にグルグルに拘束されて目隠しに猿轡までされて運ばれていく なんでかすごく2人とも手際がいい
ふわふわした思考と真っ暗な視界の中 俺はゆっくりと意識を落とした
はい どうも最後まで読んでいただきありがとうございます
まず描写不足で というより分力的なことでわかりにくいところを
彼女は 地獄兄弟の兄 矢車とは結構違います
まず仲間には多少嫉妬はしているけれどそれ以上にずっと疑って冷たく当たっていても優しく接して受け入れてくれたことへの感謝が大きいです ぶっちゃけそこまでやさぐれていません せいぜい自己評価の低下ぐらいでしょうか
次に龍田 彼女は天龍が変わってしまったのを 1人にしてしまったことと戦いへの恐怖だと思っています 実際的を射てはいますが
それに対する責任感といなくなる恐怖によって天龍を管理したい と思っていました しかし天龍は帰ってきた直後は周りを疑って 出撃も積極性をなくしたが それはそれで傷つかないならあり と思っていました がみんなの優しさによって疑うことをやめ 天龍にとって仲間が自分より大事なものになって そこで煽られ爆発
傷ついて欲しくない龍田としては引き止めたいが天龍は止まりそうにない そしてこのまま出撃を再開したら失う恐怖でたまらない
そう思ったので 考えた結果 今回に演習で沈むことはない なので最悪無傷で帰ってきてもチクッとすればいいや監禁できる となりました こっちのがやさぐれてるな
最後に時雨 遠征の一員です 天龍を見捨てて帰還してます メンタルヤバめ 龍田さんと出撃前に同調 拘束に至る 以上です
戦闘描写が詳細に出来てないのはまだ出来ないからです ほんとすみません
次の艦娘とライダーシステムはもう思いついてます が 今回書いてみてめちゃくちゃ難しかったのでもしかしたら書けないかもです
なのでもしよろしければ文章や話の作り方などのアドバイスをお願いしたいです