三秒転生   作:サカキ様

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はじめまして。楽しんでもらえたら幸いです。


プロローグ

「綾香お前が好きだ。付き合ってくれ」

 

 

男、龍崎(りゅうざき) 夕日(ゆうひ)は今、告白をしている。

相手は小さい時からずっと一緒だった幼馴染の椎名(しいな) 綾香(あやか)

彼らは共に大学生の18歳で、2人とも家が近いこともあり一緒に帰る約束をしていた。

夕日は小さい頃から綾香のことがずっと好きで、いつもと変わらぬ、いつもと同じ様子で夕日を待っていた綾香に、遂に告白を仕掛けたのだった。

 

 

「っ!? えっ、えっと⋯」

 

 

綾香はいきなりの告白に動揺し、あたふたした。

顔が赤くなる綾香と同じように、夕日の顔もまた赤くなる。

そんな綾香は落ち着きを取り戻す為、大きく息を吸い、ゆっくりと吐いた。

そして、綾香は心が落ち着いたのを確認し夕日へと返事を返した。

 

 

「⋯うん。こちらこそよろしくね」

 

 

その返事は肯定を示すものだった。

本来告白を受け入れてくれたことに対し狂喜乱舞しそうだが、逆に夕日は固まり、自身の予想とは全く違う返事に夕日は耳を疑っていた。

 

 

「⋯えっ、今なんて?」

「これからよろしくねって」

「それって、つまり⋯俺と付き合うってこと?」

「うん。そうだよ。さっきから言ってるじゃん」

 

 

未だ現実感が乏しい夕日はまだ信じきれていなかった。

 

 

「夢じゃ、ない、よな?」

「ほら、夢じゃないでしょ」

 

 

綾香はこれが夢ではなく現実だと気づかせるため、夕日の頬に手を当てた。

 

 

「冷たい」

 

 

今の季節かなり冷え込むため、手袋をしていない綾香の手はかなり冷たかった。

だが、夕日にはその冷たさが、逆に温かく感じられた。

これで晴れて二人は恋人。

綾香と恋人という事実に気分が高鳴るなか、夕日はふと疑問に思うことがあった。

(即答だったけど、普通はじっくり考えるものじゃないのかな? ⋯いや、嬉しいんだけどさ)

なぜ即答だったのか答えは1つしかないのだが、今まで綾香はそういう素振りを見せたことがなかった。

だから夕日が疑問に思ってしまうことも当然と言えるだろう。

 

 

「いきなりだったのに即答だったな」

「なんで? だって私も好きだし。夕日のこと」

「ほ、本当に? いつから?」

「小さい頃からずーっとだよ」

 

 

(小さい頃からって本当かよ。そんな昔から両想いだったなんて)

フラれる覚悟で抑えきれなくなった想いを打ち明けた夕日だったがその覚悟はあまり意味をなさなかった。

そもそも二人は昔から両想いだったのだから、フラレるわけがなかった。

その事実に夕日はもっと早く告白すればよかったと強く後悔し、告白が成功して嬉しいはずなのに苦笑いをするしかなかった。

 

 

「でも、よかった。ずっと俺の片想いだと思ってたからさ。綾香からそんな素振り全然見れなかったし」

「それは夕日もだよ!!夕日からそんな素振り全然見れなかった」

「だってそれは、綾香が俺のこと好きじゃないと思ってたから、あんまり好き好きやるのも、ね」

「え、夕日も?夕日は私のこと好きじゃないと思ってたから。それにフラれるのが⋯怖かった」

 

 

うつむき加減に話していた綾香は視線を夕日に向ける。

自然と互いの視線が重なっていき、そして、二人の間を静寂が支配した。

だが、その静寂は2人の笑い声によりかき消された。

 

 

「ぷっ!! なんだよそれ」

「くすっ!! 本当、なんだよそれ、だね」

 

 

互いの事を思った結果こんなにも遠回りになってしまった。

そのことに夕日も綾香も笑わずにいられなかった。

 

 

「こんなことならもっと早くに言うんだった」

「本当そうだね」

 

 

夕日はより一層早く告白すべきだったと後悔していた。

それは夕日と同じ年月、いやそれ以上の想いを今の今まで打ち明けてこなかった綾香は、より強く後悔しているに違いない。

 

 

「あ、でも私、夕日に言わなくちゃいけないことが」

 

 

笑った後の緊張感の取れた緩い空間の中、綾香が何かを思い出す。

その何かは綾香の張り詰めた表情からとても重要な何かだということが見て取れた。

 

 

「きゃー」

「来るなー」

 

 

だが、綾香の言葉の続きはどこからともなく聞こえる悲鳴によって遮られた。

 

 

「なんだ!?」

 

 

夕日は悲鳴の聞こえる方向に視線を向ける。

 

 

「なんだ⋯あれ」

 

 

夕日の視線の先には見たこともない巨大な物体。

突然の異常事態に夕日はここにいるのは危険だと綾香の手を取りその場から離れようとした。

だが、夕日の手は綾香の手を掴むことはなかった。

 

 

「綾香?」

 

 

空を切る手をおかしく思い綾香へと振り返る夕日。

当然振り返るとそこには綾香はいた。

 

 

「綾香、早く逃げるぞ!!」

 

 

そう綾香を急かし再び腕を掴みにかかる夕日。

夕日が綾香の腕を掴む。

その前に、綾香の腕は夕日の手を交わし夕日の胸へと伸びていた。

 

 

「えっ!? ⋯な、んだよこれ。どう、してだよ」

 

 

突然のことに驚きの声を上げる夕日。

夕日の胸にはナイフが刺さっていた。

それは幾何学模様の入ったナイフ。

そのナイフは一人の人間の手に握られていた。

 

 

「あ、やか」

 

 

夕日の心臓にナイフを刺していたのは綾香だった。

夕日が刺された場所は心臓。

夕日は確かに刺された。

だが、不思議と血は1滴たりとも出てくることは無い。

 

 

「ごめんね。夕日」

 

 

ナイフを刺した張本人の震えた声。

その声を聞き、夕日は闇へと誘われていく。

そして、夕日の意識は闇に溶けていった。




お読み下さりありがとうございます。
プロローグから衝撃的でしたね。
果たして夕日は死んでしまったのか?
綾香は一体何者なのか。
真実は神のみぞ知る
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