Choose thy LOVE.Love thy choice   作:ぴぽ

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第1話

「恋って何?」

そう聞かれて、答えれる人はどれくらいいるのかしら?ここで言う答えれるというのは私が納得する答えをくれた人を指します。私は恋なんて出来るの?私に好きな人が出来るのかしら?

そんな事を考えながら白鷺千聖は学校までの道程を歩いていた。吐く息は白く、マフラーが必要な季節になっていた。少し、行儀は悪いがコートのポケットに手を入れる。白鷺千聖は今、人気が鰻登り中のアイドルバンド、Pastel*Palettesのベースを担当している。Pastel*Palettesに入る前は子役として活躍して来た。現在も女優としての顔も持つ。

私が何故、こんなにも「恋」について考えているのか…。それはこの夏に見たカップルに関係しています。自分の周りに、しかも後輩に彼氏が出来るなんて考えもしなかった…。その後輩は牛込りみちゃん。別に、彼氏が出来たから羨ましいとは思ってません。彼女は引っ込み思案で緊張強いと認識してました。私と話した時もオドオドしていて、それは可愛かっ…。今は置いときましょう。そう、私と話すだけで緊張するような子でした。なのに、彼氏が出来てからはその性格も変わってきて、少しずつ明るい子になっています。この前、廊下で会った時も「千聖先輩!おはようございます!」と笑顔でハッキリと言ってました。つまり、何が言いたいかと言いますと、彼氏が出来る事で、私にとってメリットがあるのではないかと言うことです。私にとってのメリットは何かしら?一般的には彼氏がいたら楽しいだろうと思いますし、優越感にも浸れるかしら?私の場合は実際に恋をする事で演技の幅が広がるかしら?

「ふふっ…。メリットって…。もし、彼氏が出来た時に失礼…かしら…?こんなことを考えるなんて私らしくない…。でも…。最近こんな事ばかり考えてるわね。」

と、呟いてみたが、千聖の考えはまとまらない。

「(私らしくないわね…。)」

と苦笑いをする。

まぁ、実際に好きな方がいるわけではありません。私が通っているのは女子校ですし、出会いがそうそうあるわけではありません。それに…。

「(私はアイドルです…。もし、恋人が出来て、写真集に載るような事になれば…。)」

千聖は「はぁ~。」とため息をついた。吐く息が白くなり、空に浮かんだと思ったら、段々と消えていった。

 

─────────────────────

「戸山さん!何回言えばギターを弾きながら登校するのを辞めて頂けますか!?」

「紗夜先輩!?ご、ごめんなさい!ギター弾きたくなっちゃって!」

「全く…。って、花園さんも!ギターを出さないで下さい!」

花咲川学園で定期的に行われる風紀委員による服装検査である。最近は香澄とおたえの為に開かれているのではないかと思っている生徒もいるくらいだが…。

「(ふふっ。相変わらずね。)」

それを横目に見て、千聖は校舎内に入った。

「おはよう。」

教室に入ると暖かさからホッとし、マフラーをはずす。

「千聖ちゃん。おはよ。」

千聖が自分の席に座ると水色の髪を揺らしながら話しかける生徒がいた。

「花音。おはよ。迷わず学校まで来れたみたいね?」

千聖に話しかけたのはハロー、ハッピーワールド!のドラム、松原花音である。その細い腕からどうやったらあんなパワフルなドラムが叩けるのか。何度か質問したが「ふぇぇ~。ふ、普通じゃないかな?」と返ってきた。ちなみに、かなりの方向音痴である。

「さ、流石に家から学校までは迷わないよ。多分…。」

「本当かしら?」

ふふっと千聖が笑った。

「そういえば、今日から体育マラソンだね。」

「…花音?嫌な事を思い出させるわね。」

「そ、そんなつもりは無かったよ?」

千聖はあまり運動が得意ではない為、「はぁ~。」とため息をついた。

「だ、大丈夫だよ。ゆっくり私と走ろ?」

「そうね。あまり悲観してもしょうがないわよね。」

「ところで、千聖ちゃん?何か悩み事?あまり元気がないみたいだけど?」

いつもより表情が固い千聖に花音が気付いた。

「悩み…まではいかないかしら?でも、考え事はしてたわ。」

「わ、私で良ければ話聞くよ?」

花音が話を聞く体勢になった瞬間に「キーンコーンカーンコーン」とチャイムが鳴った。

「花音、昼休みお弁当を食べながら聞いてくれるかしら?」

「もちろんだよ。千聖ちゃん。じゃあ、また後でね。」

花音は微笑みながら自分の席に戻っていった。

 

─────────────────────

午前中の授業が終わり、千聖と花音は弁当を開いていた。

「…やっぱり、マラソンは嫌いだわ。」

「千聖ちゃん、本当に苦しそうだったね?」

花音が苦笑いする。

「ところで千聖ちゃん?話を聞く約束だったね?」

「そうね。花音は恋したいって思う?」

「ふぇ?」

花音は頬を赤らめながら驚いた。まさか恋愛相談とは思っていなかったのだ。

「急にこんな事言ったら驚くかしら?」

「う、うん。凄く驚いたよ。こ、恋…。わ、私にはまだ早いかな?」

花音が「あはは…。」と困ったように笑いながら言う。

「花音!ダメよ!?花音は可愛いんだら言い寄ってくる男性は多いはずよ?ちゃんと意識して見極めないと!」

「ち、千聖ちゃん?」

「…話がそれたわね。私が何故、こんなに考えてるのか話すわね。」

千聖は朝、登校時に考えていた事を話した。

「…私らしくないでしょ?」

「そうかな?」

罰の悪そうな表情をする千聖に対して花音は微笑みながら言った。

「千聖ちゃんは恋がしたいんだね!」

「花音違うわ。」

「え?違うの?」

「えぇ。私はアイドルだから恋愛なんて出来ないわ。」

「それは芸能人の千聖ちゃんの話じゃないかな?今、私の前にいる千聖ちゃんは恋がしたいんじゃないかな?」

尚も微笑みながら花音は言った。

「そ、そんな事ないわ…。」

千聖は目を逸らす。

「でも、今の千聖ちゃんの考えていた事を聞いたら、きっとみんな千聖ちゃんが恋をしたいって思うはずだよ?」

「…分かったわ。花音がそこまで言うならそうかもね。」

「千聖ちゃん。私の言う事信じてないでしょ?あっ!あそこにいるのはたえちゃん!おーいたえちゃん!」

「か、花音!?」

花音はたまたま歩いていた花園たえに声をかけた。声に気付いたたえはスタスタと2人のところにやって来た。

「花音先輩、千聖さん。こんにちは。」

「たえちゃんこんにちは。ちょっと時間良いかな?」

「はい。どうしました?」

聞く体勢になるため、たえは腰を下ろした。ここまでされると話さない訳にはいかなくなった千聖はたえにさっき花音に話した内容と同じ話をした。

「…って訳なの。こんな話してごめんなさい。」

「いえ。つまり、千聖さんはりみに感化されて恋をしてみたいと思った訳ですね。」

「たえちゃん!?違うわ!?」

爆弾を落としたたえに千聖は驚き叫んだ。爆弾を落とした本人はいたって真面目な表情だった。

「いえ、千聖さん分かります。りみを見てると私もますます好きになっちゃいましたから。」

「え?たえちゃん?好きな人いるの?」

たえのさらに追加された爆弾に花音も千聖も驚きっぱなしだった。

「はい。ウサギのオッちゃんに!」

たえが高らかにそう言うと、花音は「あはは…。」と笑い、千聖は額に手を当てた。

 

─────────────────────

「はぁ~。なんだかいつもより疲れたわ。」

学校を終え、Pastel*Palettesのレッスンに千聖は向かっていた。今日は他のメンバーは他の仕事だった為、千聖は1人でレッスン予定だった。

「(私1人って珍しいわね。)」

そう思いながらもレッスンの予定を立てる。

「(新曲の練習しなきゃね。それに、苦手なフレーズもあるから、そこもちゃんと出来るようにならなきゃね。)」

「あ、あ、あ、あ、あの!す、す、す、すみません!」

「はい?」

考えている最中に声をかけられ、千聖は顔を上げる。

「し、し、白鷺千聖さん…ですよ…ね?」

「はい。そうですよ。」

「あ、あの!だ、大ファンなんです!さ、さ、サイン下さい。」

千聖は手を震わせながらサイン色紙を出す人物を見た。身長は千聖と同じくらい。顔を真っ赤にしている。正直、年齢が分からない程、童顔だった。それに、性別もイマイチ分からない。男の子にも見えるし、女の子にも見えた。

「(…小学生かしら?それに、女の子…よね?)」

千聖が相手を観察して思った。

「あ、あの?め、迷惑…でしたか?」

今にも泣きそうな表情を浮かべた事に対して千聖は焦った。

「ごめんなさい。ちょっと考え事をしてて…。サイン良いですよ。」

「あ、あ、ありがとうございます!」

色紙を受け取りサインをする千聖。サラサラと書きながらチラッと見ると、嬉々とした表情で千聖を見ていた。

「(ふふっ。さっきまで泣きそうだったのに。可愛いわね。)」

「あ、あの!ち、白鷺さんの大ファンで…。べ、ベースを弾いてる姿、格好いいのに、普段は可愛いくてっ!」

「ありがとう。はい。これで良いかしら。」

千聖は色紙を手渡した。

「は、はい!ありがとうございます!」

色紙を受け取ると目をキラキラさせていた。

「貴方は名前はなんて言うの?」

「へ?た、橘です。橘光(たちばなひかり)と言います。」

「そうなの。教えてくれてありがとうね。」

ニコッと笑いながら言うも、心の中では「(橘光…ね。名前も男の子でも女の子でもいる名前ね…。)」と思っていた。

「い、いえ。な、名前まで聞いてくれてう、嬉しいです。って、今、お喋りしているだけでも…や、ヤバいです。」

「ふふっ。ありがとう。えっと、小学生…よね?」

千聖が自信無さそうに聞くと、相手はあきらかに落ち込んだのが分かった。

「中学生です…。中学3年生…です。」

「ご、ごめんなさい。失礼だったわね。」

「だ、大丈夫です!よく言われるので…。」

「いえ。本当にごめんなさい。…女の子…よね?」

「…男です。」

さらに落ち込みながら光は答える。小さい頃から芸能界にいる千聖はそれなりに人を見る目に自信があったが、ことごとく外し、自信が無くなりそうだった。

「…本当にごめんなさい。」

「い、いえ。だ、大丈夫です。それもよく言われますので…。」

光は手を前でブンブン振りながら答えた。

「お詫びと言ったらあれだけど…。これ良かったらどうぞ?」

千聖はポケットからベースのピックを出した。

「い、い、良いんですかっ!あ、あ、ありがとうございます!」

ニッコリと笑って、ピックを受け取った。

「ええ。どうぞ。…本当に間違えてごめんなさい。気にしているのよね?」

「…はい。自分の容姿に自信無くて…。身長も低いですし…。し、白鷺さんも、やっぱり男らしい人の方が良いですよね?」

さっきまでニッコリしていたがまた泣きそうな表情に戻った。「(表情がよく変わるわね。)」と光をみて千聖は思った。

「そんな事ないわよ?確かに、男らしい方も素敵だと思うけど、貴方は貴方でとても可愛いと思うわ。」

「か、かわっ!」

千聖が言うと光は顔を真っ赤にした。

「えぇ。可愛いわ。」

続けて千聖が言うと、光は口をパクパクさせ、更に顔を赤くした。

「あ、あ、ありがとう…ございます…。」

「いえいえ。では、私はレッスンがあるので…。また見かけたら声をかけて下さいね。」

「は、は、ハイ!あ、ありがとうございました。応援しているので、頑張ってください!」

「ありがとう。では。」

光は千聖が見えなくなるまで見送った。サインを大事そうに抱えてながら…。

 

─────────────────────

「(どうしてあんなに質問したのかしら?)」

千聖は再び考えながら歩いていた。

「ちーさとちゃん!」

「キャ!」

千聖はいきなり後ろから呼ばれながら抱き付かれてビックリした。

「そ、そんなに驚かなくても!」

千聖の反応にビックリしたのはPastel*Palettesのボーカル、丸山彩だった。

「あ、彩ちゃん?貴女、仕事じゃなかったの?」

「うん。そうだよ!事務所でインタビューだよ!千聖ちゃんはレッスンでしょ?一緒に行こうよ!」

彩はニコニコしながら言った。千聖は「ええ。」と答えた。

「それにしても千聖ちゃんは流石だなぁ!」

「どうしたの?藪から棒に。」

「さっきファンの人にサインしてたよね?凄く丁寧に対応してたよね!私も見習わなきゃ!」

「彩ちゃんはまず、ファンの人に気付かれないとね。」

痛いところを突かれた彩は「頑張るもん…。」と小さく言った。

「でもね、彩ちゃん。私、いつもはあんなにファンの方とお喋りしたりはしないのよ?」

「え?そうなの?」

「うん。あの方は何故か気になってしまって。私らしく無かったわ。」

「え?女の子だったから…とかじゃなくて?」

「あの方は男の子よ。しかも中学生の。」

「え!?」

彩は驚き、「本当に女の子かと思った。」と呟いた。

「私も間違えちゃったわ。でも、本人はその事を気にしてるみたいだったから次は気をつけなきゃね。」

「千聖ちゃん?あの子とまた会う約束でもしたの?」

彩は不思議そうな表情をした。それを見た千聖は「(彩ちゃんも表情がコロコロ変わるわね。)」と思っていた。

「いえ?そんな約束はしてないわよ。」

「え?なら、なんで次は気をつけようって思うの?」

彩の発言に千聖はハッとした。彩の言うとおり、光とはたまたま声をかけられ、たまたまサインしただけ。次があるとは限らない。いや、次が無い可能性の方があきらかに高かった。

「(なんで、また会うって思っているのかしら?)」

千聖は再び、考え出した。その間、「おーい。千聖ちゃん?」と彩が呼ぶも、千聖からの返事は無かった。

 

 




第二弾となる小説です。
ヒロインは白鷺千聖さんです。
あらすじにも書きましたが時間軸は処女作の「日常の中にチョコより甘い香りを」が夏の話で、今回のお話しが冬になります。
前作を読まなくても大丈夫な内容にするつもりなので、前作を読まなくても平気ですが、作者的には読んで欲しい笑
時間のある方はよろしくお願いします。

評価&感想もよろしくお願いします。
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