Choose thy LOVE.Love thy choice 作:ぴぽ
千聖は激怒した。必ず、かの邪智暴虐のマネージャーを除かなければならぬと決意した。そんな冗談はさておき、千聖は本当に、急いで走っていた。インタビューを終え、事務所に戻った時は既に20時になろうとしていた。流石に待ってないだろうと、ため息をつきながらスマホを見た千聖は着信履歴とLINEを見て、千聖は驚いた。内容を要約すると光はまだ待っているとのことだった。それを確認した千聖は鞄を持ち、走り出したのであった。
「はぁ。はぁ。ま、まだ待ってるなんて…。」
千聖は自分がスマホを忘れた事を悔やんでいた。走りながら、光に電話をかけてみたが繋がらなかった。
「早く、早く行かなきゃ。」
千聖は一生懸命、足を動かすが、元々、マラソンは苦手な為、息はすぐに苦しくなり、足も、縺れそうになっていた。
「光君!…光君?」
やっとの思いで到着したがそこには光はいなかった。必死に走っていたせいで気付かなかったが雪がチラチラと降っていた。
「(…LINEを見た限り、まだ待ってると思ったのだけど、入れ違いになっちゃったのかしら。はぁ。私とした事が…。)」
千聖は全力疾走をしたのもあり、壁に手をついた。
「(まだ、胸が苦しいわ。はぁ~。光君…。この寒さの中、何時間、待っていたのかしら…。)」
千聖は光の事を考えていると、鼻がツンとなるのを感じた。
「(私、泣いてる…の?)」
自分の感情に思考がついて行かず、涙を流している事に、千聖は驚きを感じていた。
「(な、何で、泣いてるの!?ひ、光君の事を考えたら…。)グスッ。」
鼻を啜りながら涙を指で拭う。既に指先は冷えていた。絶えず流れ出てくる涙を拭い続ける。
「光君…。会いたかったよ…。」
「僕も、会いたかったですよ?千聖さん。」
千聖はビックリして顔を上げると、そこには暖かい紅茶のペットボトルを持った光が立っていた。そして光は泣いている千聖を見て、驚いていた。
「ち、千聖さん!?どうしたんですか!?」
「光君?本当に…ごめんなさい。」
千聖はギュッと光に抱きつきながら言った。
「ち、ち、ちちちちちち、千聖しゃん?」
突然の出来事に光は顔を真っ赤にして叫んだ。しかし、千聖は焦っている光を無視するように、言葉を続けた。
「本当にごめんなさい。急に仕事が入ってしまって…。移動する間に連絡しようと思ったのだけど、スマホを忘れてしまって…。グスッ。」
「だ、大丈夫ですよ。気にしないで下さい。」
光は泣きながら謝る千聖を見て、少しだけ冷静になっていた。未だに抱き締められており、心臓はあり得ないスピードで動いていた。
「大丈夫なわけないじゃない!何時間待ったの?身体、とっても冷たいわ。」
「服が冷たくなってるだけですよ。ぼ、僕は寒くないですよ。それと、僕もごめんなさい。スマホの充電切れちゃって。連絡つかなかったですよね。」
「本当に寒い中…雪の中、待たせてごめんなさい。」
光の肩にしがみつき、千聖は泣きながら何度も謝っていた。
「そんなに泣かないで下さい。僕は全然平気なので、それより、千聖さんの時間があったら何処かに食べに行きませんか?僕、お腹ペコペコで。」
光が言うと、千聖は光から離れた。
「ええ。良いわよ。」
目に涙を溜め、鼻を赤くして、千聖は言った。
「どこに…い、行きましょうか。」
光は千聖を見て言ったが、途中でプイっと横を見てしまった。「(千聖さんの泣き顔も綺麗だなぁ。)」と意識した瞬間、恥ずかしくなってしまったのだった。
「グスッ。ひ、光君。私の家で良いかしら?」
「千聖さんの家ですか?…えっと、こんな遅くに平気ですか?」
「大丈夫だと思うわ。それに、本当に申し訳ないのだけど、こんな泣き顔では、お店に入れないわ…。」
千聖は俯きながら言った。
「そうですよね。ごめんなさい。配慮が足りなくて…。」
「光君は謝る必要なんてないわ。私が悪いの!本当にごめんなさい。」
「…分かりました。なんか話が終わらなそうなので、行きませんか?…それと、千聖さん?」
光が言うと、千聖は顔を上げた。すると首回りが暖かくなった。
「首元、寒そうなので使って下さい。」
光はマフラーを取って、千聖の首に巻いたのだった。
「ひ、光君!?悪いわ!あ、貴方はずっと待っていたのに…。それに、自分のを持っているわ?」
千聖は慌てて、鞄の中を探した。ちなみに、マフラーをつけていなかった理由は、急いで走っていた為である。
「いやいや。千聖さんのマフラー、冷たくなっているでしょ?僕のマフラーはまだ暖かいはずなので。」
「ダメよ。光君、風邪をひいてしまうわ。…そうだわ。」
千聖はマフラーを外すと、自分と光の首に巻いた。つまり、1本のマフラーを2人で共有していた。
「こ、これは…は、恥ずかしい…です。」
「確かに、恥ずかしい…わね。でも暖かいわ。」
光はともかく、千聖も頬を赤く染めていた。
「で、でも、長いマフラーね。これって、手編み…かしら?」
「あっ。はい。幼馴染みが編んでくれたんです。」
光が説明すると、千聖は小さく「そう。」と呟いた。
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「やっと、着いたわね。」
千聖が自分の家を見上げて言う。しかし、光は俯いたままであった。1本のマフラーを2人で使っていた為、2人の距離はとても近い。更に、歩きにくいという理由で、千聖は光の手をとり、腕を組んでいた。今までの2人を見たら多くの人はその関係性を「仲の良い姉弟」と答えるであろう。しかし、今は完全にカップルにしか見えない姿に光はずっと緊張していた。
「ほ、本当に、お邪魔しても良いんですか?」
光が再び、千聖に確認する。
「ええ。母に話したら良いよと言ってたわ。遠慮しないでくれると嬉しいわ。」
ちなみに、千聖は母親に電話をしており、これまでの経緯を説明した。すると母親は料理を作って待っておくとのことだった。
「ほら、光君、早く入って?風邪ひいたらいけないわ。」
「は、はい。…お邪魔します。」
2人は玄関のドアを開いた。
「ただいま。」
「お、お邪魔します!」
2人は部屋の暖かさにホッとしていた。
「光君。いらっしゃい。今日は千聖がごめんなさいね。」
「い、いえ。僕が勝手に待っていただけなので…。」
ちなみに、先程の「カップルみたいな姿」は玄関に入る前に解いていた。
「光君。私の部屋に行きましょう?お母さん?夕ご飯持ってきてくれるかしら?」
「分かったわ。出来たら持って行くね。」
千聖の母がニコニコしながら言うと、2人は千聖の部屋に向かった。
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2人が部屋に入ると、既にエアコンがついており、暖かくなっていた。
「…タイマーにしてたのよ?帰宅時間はだいぶ遅くなってしまったけど…。」
千聖は光のなんでエアコンがついているんだろ?という表情を読んで、言った。
「なるほど。そうなんですね。」
最早、読み取られただけでは、光は驚かなくなっていた。
「光君、立ってないで座って?」
千聖が言うと、光は「分かりました。」と言い、前に来た時に座った所と同じ場所に座った。そして千聖も、この前と同じ場所に…とはいかず、光の真後ろにあるベッドに腰掛けた。
「…ん?千聖…さん!」
「やっぱり…。嘘ついてたのね。」
千聖は後ろから光を抱き締めた。そして部屋が暖かいこそ分かる光の体温に千聖はため息をついた。もちろん、光に対してのため息ではなく、自分自身の失態に対してだった。
「ち、千聖さん…ほ、本当に恥ずかしい…です。」
「光君。私の質問に正直に答えて…。」
「…はい。」
「何時間、外にいたの?」
「17時前に着いてからずっと…です。」
「本当は寒かったのよね?」
「それは…。はい。寒かった…です。」
「本当にごめんなさい…。」
「もう謝らないでくだ…。」
「そのまま動かないで。」
光は千聖の方を向く為に、身体を動かしたが、千聖に遮られた。千聖が光を後ろから抱き締めた理由の1つは泣きそうになっている顔を見られないようにする為だった。2度もあんな顔、見せられないと、更に強く抱き締めた。
「…千聖さん。待っている間、本当に心配でした。事故にあったのではないかと本当に心配でした。だから、千聖さんが仕事で遅くなっただけと聞いた時は本当に安心しました。なので、もう謝らないで下さい。僕なら大丈夫なので…。」
「…なんで、そんなに…優しい…の?」
千聖は我慢していた涙を流していた。
「ふ、普通ですよ。な、涙拭いて下さい。」
光が机に置いてあったティッシュの箱を千聖に渡した。千聖は光を抱き締めるのを止めて、ティッシュを受け取った。
「…ありがとう。…待っててくれて、申し訳ない気持ちと同時に本当に嬉しかったわ。…光君に会えないって思ったら本当に寂しくなっちゃって…それで泣いちゃったの。…恥ずかしいところを見られちゃったわね。」
「誰にも言わないので…。安心して下さい。…今は何故泣いてるのですか?」
「光君の言葉が嬉しかったからよ。」
千聖は涙を拭きながら言った。
「えっと…。そう言われると恥ずかしいです。」
自分の発言を思い出し、光は頬を赤く染めた。話しているうちに身体が暖まってきた光はマフラーを外し、コートを脱いでいた。
「ところで、そのマフラーなのだけど。」
「はい?これですか?」
光は黒と青の毛糸のマフラーを持って言った。
「幼馴染みから貰ったのよね?」
「はい。そうですよ?」
「そう…なの。」
先程の涙は何処へやら、千聖は顎に手を持って行き、考え始めた。
「ち、千聖さん?どうかしましたか?」
「いえ。なんでもないわ。…その幼馴染みってどんな娘かしら?」
「う~ん。男勝りで、気が強い…ですかね。」
茜が聞いたら怒るだろうなと思いながら光は言った。
「好きだったりするの?」
「とんでもない!ただの腐れ縁です。」
光が苦笑いしながら言った。その後、千聖の母親が作った夜ご飯に舌鼓をうちながら、他愛ない話を夜遅くまでするのであった。
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「やっぱり…か…。」
光は小さく呟いた。体温計を見ると38.0℃と表示されていた。
昨晩、夜遅くに帰った光は、両親にすぐにリビングに呼ばれた。連絡は千聖の充電器を借りてしていたが、夜遅くまで帰らなかったので怒られると思っていた。しかし、見事に、その考えを裏切り、ニヤニヤした両親に色々と聞かれて終わったのだった。その時から何か体調がおかしいと感じていた光はすぐにお風呂に入り、すぐに寝たのであったが、朝、起きた瞬間から身体がダルく、視界がぼやけていた。
「これは、学校無理ね。朝一で病院に行くから準備して。…出来る?」
「来年から高校生だよ?流石に手伝って貰うのは、恥ずかしいよ。」
光はフラフラっと立ち上がりながら言うと、着替えて、母親と病院に向かった。結果から言うと、ただの風邪と診断を受けた。
「(千聖さんは平気かな?)」
光はそう思うと、千聖にLINEをするのであった。自分の体調不良を、伏せたまま、文を作成していた。時計は長い針と短い針が90度になっており、病院にある鳩時計の鳩が9回鳴ったところだった。
それから数十分後、休み時間になり、千聖は学校でスマホを見ていた。ちなみに、沢山泣いたので目が腫れていた。
「光君からLINE。何かしら?」
スマホをタップし、LINEを開く。
“おはようございます。
昨日はありがとうございました。
本当に楽しかったです。
またお話ししましょうね。”
「千聖ちゃん。光君から?」
「そうよ。花音。一応、聞くけど、なんで分かったのかしら?」
「ふふっ。千聖ちゃんの表情だよ。とっても嬉しそう。なんだか、私まで嬉しくなっちゃうなぁ。」
花音がニコニコしながら言うと、千聖は頷いた。
「花音、この間はありがとうね。」
「良いから!ほら、早く返信しないと。…後で、なんで目が腫れているか教えてね?」
「…そうね。分かったわ。」
千聖は、スマホを操作し、文章を作成した。
“おはよ。
私も楽しかったわ。
光君、風邪ひいてないかしら?
あと、授業中にLINE送ってたでしょ?
あまり感心しないわ。
私もまたお話ししたいから、会いましょうね。”
千聖が送ると、すぐに既読になり、返信がきた。
“あー。
確かに、授業している時間でしたね。
すみません。
風邪ひいちゃって、学校休んでるんです。
でも、心配しないで下さい!
元気なので。”
文を読み終わった瞬間に、授業を開始するチャイムが鳴った。千聖はガタッとスマホを握りしめたまま立ち上がった。
「花音!適当に、私がいない理由言っといて!すぐ、戻ってくるから。」
「え?ち、千聖ちゃん!?」
千聖は花音の返事を聞く前に教室から飛び出していた。教室では「ふぇぇ~。」と叫び声が響いていた。
☆4りみキター!!!
一発で引けました。しばらく歓喜でずっとガッツポーズしてました笑
話数が10話まで来ました。
実は半分も終わってないです…。
思いのほか長くなるかも??
感想と評価お待ちしています!