Choose thy LOVE.Love thy choice   作:ぴぽ

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第11話

「バン!」と屋上のドアを思いっきり千聖は開けた。

「(私のせい…よね。私のせいで光君が…。)」

千聖は辺りを見回し、誰もいない事を確認すると、屋上の入り口から死角になるところに隠れた。そして、スマホを取り出し、光に電話をかけた。数コールで「もしもし。」と光が電話に出た。

「…あっ!もしもし!光君!?」

「はい。そうですよ?千聖さん、どうしたんですか?今って…授業中ですよね?」

「そうだけど…。そんなこと、どうでも良いのよ!光君、大丈夫!?」

「大丈夫ですよ?ちょっと熱があるだけです。」

元気そうな光の声に千聖はホッとした。

「確かに、声、元気そうね。ちなみに、熱はどれくらいあるの?」

「熱ですか?…言わなきゃダメ…ですよね…?」

「そうね。何℃だったの?」

「病院で測った時は39.5℃でした…。」

「え?」

「39.5℃です。」

申し訳なさそうに言う光に、千聖はビックリしていた。

「本当なの!?何で電話なんかしてるの!?寝てないとダメじゃない!」

「え?電話したのは…千聖さんから…じゃないですか。」

「え…?あ、そ、そうだったわね…。光君…。ごめんなさい。風邪ひいたのは私のせいよね。本当にごめんなさい。」

「千聖さんは…悪くないですよ。待ってたのは僕の勝手ですし…、こんな事で風邪をひく僕が悪いんですよ。」

あははと笑いながら言う光だが、だんだんと声に覇気が無くなっていっていた。

「病院には行ったの?」

「はい。今、病気に行って、その帰りです。インフルエンザじゃなくて…良かったです。千聖さんは…体調は大丈夫ですか?僕の風邪が…移ってないと良いのですが…。」

「私は元気よ。本当にごめんなさい。お見舞いに行きたいのだけど良いかしら?」

「い、いえ。千聖さんに風邪を移したら大変なので大丈夫ですよ。寝てたら治るので、本当にに気にしないで下さい。」

「…分かったわ。また治ったらお詫びさせてね?…本当にごめんなさい。またね。」

「はい。本当に気にしないで下さい。では、また。」

電話を切ると光は「ふーっ。」と息をついた。

「電話お疲れ様。無理して明るくして…大丈夫?」

光の母は苦笑いを浮かべた。

「あんまり…大丈夫じゃないかも。」

光は後部座席でゴロンと転がった。そのまま目を閉じて、深い眠りについた。

 

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丸山彩は焦っていた。昼休みになり、千聖と花音とご飯を食べようと誘い、そして「良いよ。」と言ってもらった為、彩の教室で食べ始めたまでは良かった。

「(ど、どうしよ…。凄く雰囲気が重たいよ~。ち、千聖ちゃんどうしたんだろ…。)」

わたわたする彩に花音は苦笑いしていた。当の本人は紙パックのカフェオレを一点を見つめ、チューと飲んでいた。

「ち、千聖ちゃん?彩ちゃん困ってるよ?落ち込むのは分かるけど…。」

「花音ちゃん。何があったの?」

「えっと…。千聖ちゃん話しても良いかな?」

花音が千聖に聞くと、千聖は小さく頷いた。ちなみに、花音には全ての話をしていたのであった。

「えっとね?彩ちゃん…。」

花音は千聖と光の事を説明した。説明を聞いている間、彩は驚いたり、照れたりと様々な表情を浮かべた。

「ち、千聖ちゃん?大丈夫?」

彩が言うと、千聖はゆっくり顔を上げた。

「…大丈夫よ?」

千聖はニコッと笑うも、しかし、腫れた目で笑う千聖には無理があった。

「(絶対に大丈夫じゃないよ~。)」

心の中で彩は叫んだ。助けを求める為に、花音を見たが、花音も「ふぇぇ~。」と言って困っていた。

「2人とも…。気にしないで。私は大丈夫だから。」

ふぅ。とため息をついて千聖は言った。

「ぜ、絶対大丈夫じゃないよ!ねぇ?花音ちゃん!」

「う、うん。私も心配かな…。千聖ちゃんは光君の事、結局好きなの?」

「…分からない…わ。」

千聖は再びため息を「はぁ~。」とついた。千聖の心の中はグチャグチャになっていた。光に対しての申し訳なさ、待っていてくれて、とても嬉しかった事、そして、光の事が好きなのかどうかなど沢山の感情が出たり入ったりしていた。

「(これが好き…なの?…分からないわ。)」

千聖は再び大きくため息をついた。彩と花音は千聖の反応にワタワタしていた。

「白鷺さん…何が分からないのですか?」

3人は声のした方向に顔を向けた。そこにはRoseliaのキーボードの白金燐子が文庫本を持って座っていた。

「ご、ごめんなさい。たまたま話が聞こえたもので…。」

燐子は申し訳なさそうに、俯きながら言った。

「大丈夫よ。燐子ちゃん。何が分からないのかって話だったわよね?こんな事言ったら元も子もないけど、分からないものは分からないのよ。」

「…それは…好きという感情…ですか?」

燐子は千聖の発言に真剣に聞いていた。

「そう…ね。悩んでも、悩んでも答えが出ないのよ。確かめる為に会ったりもしたし、自分の感情も整理したわ!」

千聖は話しているうちに声が大きくなっていった。その声に燐子は「ビクッ」となった。

「ご、ごめんなさい。驚かせるつもりはなかったわ。」

「い、いえ。し、白鷺さん。そうやって…悩む理由が…他にあるのでは…ないですか?…私には…そう見えます…。ご、ごめんなさい!知った風な…口を聞いて…。」

燐子は目を泳がせながら言った。燐子の発言に千聖はキョトンとしていた。

「他に悩む…理由?」

千聖は呟いた。

「はい…。そんな風に見えます…。」

燐子が言い終わると同時に昼休みを終えるチャイムが鳴った。千聖は心の中がグチャグチャのまま花音と自分の教室に戻って行った。

 

─────────────────────

ベッドの上で光は苦しんでいた。熱が高く、早く寝てしまおうと考えていたが、咳が止まらず、睡眠を妨害していた。

「(あぁ~。キツいなぁ。薬効いてるのかな。)」

そんな事を考えながら過ごしていた。少し微睡んだと思えば、咳で覚醒するというのを繰り返していると、日が傾きかけている事に気づいた。意識がしゃんとしない中で、部屋に誰かいることに気づいていた。

「…千聖…さん?」

「悪かったわね。千聖さんじゃなくて。」

そう言われ、光は意識を無理矢理戻し、状況を確認した。

「茜?」

「そうよ。光君、とうとう好きすぎて千聖さんの幻覚まで見えるようになったの?」

「そんなに言わなくても…ゲホッ!」

光は咳をしながら身体を起こそうとした。

「良いから寝てなさいよ。はぁ~。お見舞いに来てみたらここまで重傷とは…。」

光の身体を押し、横にしながら茜は言った。

「風邪、移ったらどうするの?受験近いのに。」

「大丈夫。私、光君と違ってバカじゃないから。」

「(病気してても…お構いなし…だなぁ。まぁ、今に始まった事じゃないけど…。)」

光は「はぁ~。」とため息をつきながら目を閉じた。

「寝る?寝れそう?」

「あぁ~。分かんない。何回も寝たり起きたりしてるから。目を開けてるのが辛いだけだよ。」

「本当に重傷ね。風邪引くような事したの?例えば、この雪の中、何時間も外にいたとか。」

「…ご名答です。」

光が呟くと茜は「はぁ~。」と派手にため息をついた。そして「なんで?」と光に理由を聞いた。光はここ最近の千聖との出来事を茜に話した。

「…千聖さんと知り合いになったって、どうやら本当みたいね。なら、夜にあんたが一軒家から出てきたのって、あれは千聖さんの家だったんだね。」

「…見たって言ってたね。」

「そう。塾の帰りにね。…で、千聖さんの事、好きなの?」

「…ただのファンだよ?」

以前、花音に同じ質問をされ、同じように答えた事を思い出していた。

「ふ~ん。まぁ、ファンと異性として好きって紙一重だと思うけど…。とりあえず、ファンって思ってるなら安心だわ。」

「なんで?」

「だって、フラれて傷つかなくて良いじゃない。まぁ異性として好きって言ったら、現実に私が引き戻すだけなんだけどね。」

「今だって、LINEするだけでもドキドキするのに、付き合うのを想像するだけで無理だよ。…ゲホッ!ゲホッ!」

光は言い終わると激しく咳をした。

「分かったわ。それじゃあ、私は帰るからね?ちゃんと寝るのよ?」

「言われなくても分かってるよ…。お見舞いに来てくれて、ありがとう。」

「いえいえ。」

茜は部屋から出ると、光の母親に挨拶をし、帰宅した。そして、部屋に着くと、ベッドにダイブした。

「何が、ファンよ…。何年、幼馴染みやっていると思っているの?気付かないわけないじゃん!」

茜は千聖の事を話すときの光の姿を思い出した。

「前と全然、表情が違うじゃない!大好きなくせに!光君のくせに!」

茜は飾ってあるぬいぐるみを乱暴に掴むと壁に向かって投げた。床に転がるぬいぐるみを拾うこともせず、枕に顔を押し当てるのであった。

 

─────────────────────

「本当に…私…どうしたのしら。」

学校が終わり、私は練習の為、事務所に向かっています。午前中に光君が風邪だと聞いてからずっと、モヤモヤしています。明らかに、風邪をひかしたのは私のせいです。でも、電話でちゃんと謝ったので、少しはスッキリするかと思っていました。…実際は違いました。より、落ち込んでしまってます。いつもなら仕事になれば切り替わったりしますが、少なくとも今日は無理そうです。でも、練習を休む訳にはいきません。

「本当に大丈夫…かしら。」

「大丈夫ですか?」

「キャ!」

千聖は考えながら歩いていた為、後ろに人がいることに気付かず、驚いてしまった。

「ご、ごめんなさい…。」

「り、燐子ちゃん?どうしたの?」

声をかけたのが燐子と気づき、千聖はホッとしながら言った。

「た、たまたま帰っていたら…白鷺さんが…いたので…。」

「そう。燐子ちゃん。少し、話を歩きながら聞いてくれるかしら?」

「はい…。もちろん…です。」

千聖と燐子は肩を並べて歩き出した。

「あまり燐子ちゃんとはお話ししたことないわよね?」

「…はい。なので…今日は急に…話に入って…すみませんでした…。」

「大丈夫よ。あんな大声で喋っていた私達も悪いし、それに内緒の話って訳ではないわ。」

千聖はそう言うとニコッと笑った。普段、話さない燐子と会話をして、少しだけ気が紛れていた。しかし、そんな事は許さないと言っているかのように、燐子は千聖が今、1番悩んでいる事に触れてきた。

「えっと…。光君…でしたよね?…好きかどうか分からない…ですよね?」

「…そうね。凄く良い子で可愛いのだけど…。本当に好きなのかどうか分からなくて…。」

「昼間に言いかけた事…ですけど…本当は分かっているのではないのですか?好き…なんですよね。」

「だから、分からないって…。」

「こ、これも…聞こえてしまったのですが…白鷺さんは好きでもない異性に…抱きついたり…するのですか?」

燐子の問いに、千聖は黙ってしまった。

「白鷺さん?」

「ごめんなさい。考えてしまって…。確かにそうよね。私、行動と考えている事が矛盾しているわね。」

「…はい。なので、他に理由があるのでは…と思ったんです。…あの、アドバイスをするなんて…おこがましい…ですが…。」

「良いわ。何でも言って!」

「あ、あの…。1度、好きって言うことをみ、認めてみたら…どうでしょうか…。ち、違う角度から…考えてみたら…何か、わ、分かるかも…知れません。」

燐子の発言に、千聖は驚いた。先程、言ったように、千聖は燐子とあまり会話した事が無かった。そして、勝手なイメージとして、あまり自分の意見を言わない、大人しい子と思っていた。しかし、今はどうだろう。千聖が欲しかった答えのようなものをくれた気がしていた。

「そう…ね。燐子ちゃん、ありがとう。背中を

押してくれて…。なんだか心が軽くなったわ。」

「い、いえ…。よ、良かったです…。では…私はこっちなので…。」

燐子はそう言うと、ペコリとお辞儀をし、別の方向に歩き出した。

「…本当にスッキリしたわね。」

千聖は呟きながら、考えながら事務所に向かう。

「(考えてみたら、光君からLINE来ただけで喜んだり、会えないって思っただけでがっかりしたり…。それに、後ろから抱きついた時、泣き顔を見られたくないって気持ちと同時に、光君にずっといて欲しくて抱きついたのよね。これって…。)」

千聖は立ち止まり空を見上げた。

「私、恋…できたみたい…ね。」

そっと、呟いた。風はまだまだ冷たいが、太陽が一生懸命、千聖の心まで照らしているようだった。

「…でも、私って…。可愛い人がタイプ…みたいね…。」

千聖の容姿を思い出し、「ふふっ」と笑うと、LINEを開き、文書を作成するのであった。燐子が言っていた「他の理由」の事など、今の千聖は思い出すはずも無く、宙ぶらりんになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




燐子登場です。
僕の中で、燐子って、相談したら1番きちんと返ってきそうと思っています。
人見知りで大人しいので、なかなか相談とかされないだけで…。
この相談相手…めっちゃ悩みました…。


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