Choose thy LOVE.Love thy choice 作:ぴぽ
光が目を開けると既に暗闇に包まれていた。光は怠い身体を動かして、時間を見る為、スマホを操作した。
「19時半…。よく寝たなぁ。」
「よく寝れたかしら?」
「わぁぁあぁあぁああ!」
暗闇の中から突然声が聞こえれば、いくら体調が悪くても驚くであろう。その状況になった光はバサッと起き上がり、壁に背中を預けた。
「だ、だ、だ、誰ですかっ!」
光が叫ぶと、光の部屋の電気が煌々とついた。急に眩しくなり、顔を顰めたが、だんだんと目が慣れる。そこには照明のリモコンを持ち、床にちょこんと千聖が座っていた。
「こんばんは。体調は大丈夫かしら?」
「ち、千聖さん!?」
尚も驚きながら光は叫んだ。
「えぇ。千聖よ?お邪魔しているわ?」
「え?は、はい。って!か、風邪が移っちゃいますよ!?」
光は慌てて、枕元に置いていたマスクを付けた。
「ふふ。大丈夫よ?それより、まだ熱あるのよね?寝てなきゃダメよ?」
「わ、分かりました。でも、薬が効いてきたのかな?だいぶ楽になりましたよ。」
光は布団を捲り、大人しく再び、横になった。
「光君。本当にごめんなさい。」
「え?あぁ。電話でも言いましたが、千聖さんのせいではないですよ。僕は元々、風邪とか引きやすいみたいで、冬には必ず風邪とかひいちゃいますから。」
光は「あはは…」と苦笑いしながら言った。
「それでも、謝らせて欲しいわ。本当にごめんなさい。」
「わ、分かりましたから。顔を上げてください。…こんな話じゃなくて、出来たら楽しくお話ししたいです。ダメですか?」
布団を被り、顔を半分だけ出して喋っている光。本人は気付いてないが、熱のせいか、目を潤ませていた。そんな状態の光を見て、光に恋する千聖は「(可愛い…。)」と思っていた。
「千聖さん?」
「え、ええ。大丈夫よ。光君が寝るまでお話ししましょう。そうだ。光君、食欲あるかしら?」
「ありがとうございます。そうですね…。少しだけお腹が空きました。」
光が布団の中でお腹を擦っていると、千聖の側から「ガサゴソ」と音がなった。光の位置からはそれが何なのか見えなかった。
「ヨーグルト食べれそう?あと、プリンとか栄養ドリンクとか買ってきたわ。どれが良いかしら?」
「ありがとうございます。えっと、ヨーグルトにしますね。」
光が起き上がろうとすると、千聖の手が光に向かって伸び、軽くトンと押した。押された光は再び、横になってしまった。
「起きたらダメよ?食べさせてあげるから。」
「へ?」
光が間抜けな返事をすると、千聖はヨーグルトの蓋を開け、スプーンで掬っているところだった。
「はい。あーん?」
「ち、ちょっと待って下さい!じ、自分でた、食べれますよ!」
「…そうよね。私なんかが食べさせてあげても迷惑よね…。」
千聖は目線を下に向け、ため息交じりで言った。
「め、め、迷惑だなんて…。う、嬉しいですけど…。」
「だったら良いじゃない?はい。あーん?」
千聖の分かりやすい演技にあっさり引っかかった光は「(恥ずかしいよ~。)」と思いながらマスクを取り、口を開け、千聖が持つ、スプーンにかぶり付いた。
「美味しいかしら?」
「は、はい。とても美味しい…です。」
光の言葉に、千聖は喜んでいたが、光は恥ずかしさのあまり、味が分からなくなっていた。熱があることを除いても、尋常ではないくらい顔を赤くしていた。
「はい。どうぞ?ゆっくり食べてね?」
余程、嬉しかったのか、千聖は再び、スプーンでヨーグルトを掬っていた。光は諦めて口を開けた。その後も、千聖は光が食べ終わるまで、ヨーグルトをスプーンで掬い続けた。結局、ヨーグルトが空になるまで食べ続けたのであった。
「…ご馳走様でした。」
「全部食べれて安心したわ。」
「は、恥ずかしかったけど…。美味しかったです。」
光は恥ずかしさのあまり、布団を被った。
「体調はどう?」
千聖に声をかけられ、光は布団からもぞもぞと顔を出した。
「は、はい。昼間に比べたらだいぶマシです。」
「電話した時は元気そうだったけど…。無理してたの?」
「は、はい。ごめんなさい…。」
「責めてる訳じゃないわ。心配させたく無かったんでしょ?」
千聖は微笑むと、手を伸ばし、光の頭を撫でた。光は一瞬ビックリしたが、あまりの気持ち良さに、安心した表情を浮かべた。
「ふふ。こんな時も、光君は色々な表情をみせてくれるわね。」
「そんなに表情変わってます?自分では分からないです…。あっ。そう言えば、表情で思い出したのですが、千聖さんの悩みはどうなりました?」
光が何気なく千聖に聞いたが、千聖からは返答が無かった。更に、頭を撫でていた手も止まった。光は「(あれ?マズいことを聞いたのかな?)」と思い、恐る恐る千聖を見た。すると、顔を赤くした千聖がモゾモゾとしていた。
「千聖さん?」
「…その話ね。あの時は相談に乗ってもらってありがとうね。」
「い、いえ。」
「色々考えて解決したわ。…私は貴方が好きよ。」
「え?あ、ありがとうございます。」
千聖の言葉にキョトンとした表情で光は答えた。
「光君、分かってない…かしら?これでも結構緊張しているのだけど…。」
「な、何がですか?」
「私は貴方の事が好きなの。異性として。likeじゃなくてLOVEで…。」
千聖が言い終わると、光はキョトンと表情のままだった。しかし、たっぷりと間をあけて、段々と驚愕の表情に変わっていった。
「ち、ち、千聖さん!?ほ、ほ、本当に言ってますか!?」
「…いくらからかって来たからって、こんな事、冗談では言えないわ。」
千聖は再び、手を伸ばし、光の頭を撫でた。
「え、え、えっと…。へ、へ、返事は…し、し、した方が…良いですよね…?」
「…そうね。」
千聖は微笑みながら言ったが、緊張しているのが手に取るように分かった。その証拠に、光の頭を撫でる手が少しだけ雑になっていた。
「…えっと…。保留…で。」
「…理由を聞いて良いかしら?」
「し、正直な話、今、テンパってて、冷静じゃないので…。だ、大事な事なので…ちゃんと考えたい…です。僕は、千聖さんの大ファンです。でも、い、異性として好きかと言われると、わ、分からないので…。」
たどたどしく光は答える。
「分かったわ。返事、待つわね?でも…。」
「でも…何ですか?」
「ううん。何でもないわ。突然、告白して、驚かせてしまって、ごめんなさい。」
「ぼ、僕の方こそ、すぐに返事出せなくて…ご、ごめんなさい。」
光が言い終わると、気まずい雰囲気が光の部屋を包み込んでおり、静寂から時計の秒針がカチカチと、いつも以上に大きく聞こえていた。
「ち、千聖さん、ひ、1つ聞いても良いですか?」
「何かしら?」
「ぼ、僕のどこが好き…なんですか…。」
「優しい所、癒してくれる所、コロコロ可愛く変わる表情、それから…」
「す、ストップ!は、恥ずかしい!無理!」
光はガバッと身体を起こした。身体は熱くなっており、最早、熱があるのか、恥ずかしいだけなのか、分からなくなっていた。
「ふふっ。光君から聞いて来たのに。」
千聖はそう言うと、立ち上がり、光のベッドに腰掛けた。そして、そのまま光の胸におでこを当てて、腰に手を回した。
「ほ、本当に風邪、移っちゃいますよ?」
「分かっているわ。でも、少しだけこのままでいさせて頂戴。」
千聖は目を瞑りながら言った。
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「モカちゃん参上~。たっくん、生きてる~。」
「生きてますよ。」
千聖からの告白の翌日の夕方、すっかり熱が下がった光だったが、大事をとり、もう1日休んでいた。そして、部屋で趣味の推理小説を読んでいると、バイト前のモカが光の部屋に現れたのであった。
「おぉ~。意外と元気そうじゃん~?お見舞いにコロッケパン持ってきたよ~?」
「風邪のお見舞いにしては重たくないですか!?」
病み上がりの光は食欲はまだ戻っておらず、モカが差し出した袋を苦笑いしながら受け取った。
「パンなら熱があっても食べれるよ~?」
「それって青葉さんだけでしょ?」
ニヤニヤしながら言うモカに対して、光はため息をついた。
「ところで、たっくん?たっくんの部屋って~こんなに千聖さんのポスター、あったっけ~?」
モカがキョロキョロすると、壁のあちこちに千聖がいた。
「えっと、ポスターは元々持ってましたよ。でも、汚れるのが嫌で大事にしまっていたはずなんですが…。」
「ほうほう。それで~?」
「昨日、千聖さんがお見舞いに来て頂いて、気付いた時には全部飾られていました。」
光が言うと、モカがポスターに近づいた。
「でも、凄いじゃん?全部サイン入りじゃん?千聖さんって、意外にお茶目なんだねぇ~。」
ニヤニヤした表情を崩さないまま、モカが言うと、光は「ですね。」とだけ返した。昨日、お見舞いに来た千聖は、自分のポスターを見つけると部屋に飾り出し、サインまで書いたのであった。
「忙しい千聖さんが~お見舞いに来てくれて良かったねぇ~?風邪の原因は千聖さんだったりするのかなぁ~?」
「…青葉さんは本当に鋭いですよね。そう言えば、今井さんはどうしましたか?今日、シフト入ってましたよね?」
光がため息をつきながら言った。
「たっくん~?話題変えたも無駄だよ~?リサさんなら…」
モカが言いかけると、ノックが光の部屋に響いた。光が「どうぞ」と返事をする前に「ガチャッ」とドアが開き、「光!?大丈夫!?」と言いながらリサが慌てながら入ってきた。
「はい!スポーツドリンク!今、光のお母さんに聞いたけど、食欲ないんだって?だから、アイス買ったから後で食べてね!?冷凍庫にあるから!熱はまだあるの?起きてて平気なの?」
「今井さん!僕なら大丈夫ですから!落ち着いて下さい!」
リサは光のおでこに手を当てたり、脈をとったりと、ワタワタと動いていた。
「あ、あはは☆もう平気…みたいだね?」
「リサさん慌てすぎですよ~?ねぇたっくん。私、お腹空いたから~、コロッケパン頂戴~。」
「はい!?まぁ、良いですけど…。」
光がさっきモカに貰ったコロッケパンを手渡すと袋を開けて、食べ始めていた。
「さっきまで何の話をしてたの?」
「え~とですね。たっくんが風邪をひいた訳に~、千聖さんが関わっていると言う話ですよ~。」
モカは千聖のポスターを指して言った。リサがチラッと確認した。
「なるほど~☆何となく察したよ!光?何があったの?お姉さん達に話して!」
リサが床に座り、聞く体勢をとった。光は諦めて、寒空の中、千聖を待った、2日前の出来事を話した。掻い摘まんで話すつもりだったが、途中でリサの質問が入り、結局、詳しいことまで全部話してしまった。
「ち、千聖…光にベタ惚れじゃん。」
話を聞き終わり、リサは顔を赤くして言った。
「…みたいですね。」
光が呟くように肯定する。
「あれ~?たっくん、冷静じゃん?千聖さんがたっくんの事が好きって知ってるみたい~?普段なら~、そんな訳ないって言いそうじゃん~?」
モカが言うと、光は「(しまった!)」と思っていた。
「何?どういう事!?」
「…まぁ…相談もしたかったので、丁度良かったかも知れません…。実は、千聖さんに…その…。す、す、好きと告白されちゃいました…。」
「えぇぇぇ!!」
「おぉ~。モカちゃん、驚いた~。」
光が言うと、リサは本当に驚き、モカは驚いたとは言ったが本当に驚いているか分からなかった。
「へ、へへへ返事はなんて言ったの!?」
「…保留です。」
光が苦笑いを浮かべると、リサは力が抜けたのか机に伏せた。
「なんで~、保留にしたの~?千聖さんのファンなんでしょ~?」
「えっと…。ファンですけど…。付き合うとなるとまた別の話ですし…。それに、僕じゃ千聖さんに釣り合わないでしょ?だから、なんて断ったら良いか悩んで…」
「ち、ちょっと待って!ひ、光、断るの!?」
リサは光の言葉を遮って叫んだ。
「え?はい…。そのつもりですけど?」
「釣り合わないって、何で決めつけちゃうの!?千聖がアイドルだから!?」
リサは叫びながら光に詰め寄った。
「えっと…。あ、アイドルとかは関係なくて…。」
「まぁまぁ。リサさん~?落ち着いて~?たっくん。返事保留にしてるならもうちょっと考えたら~?答えを出すのは早いと思うよ~?リサさん~?バイトの時間ですよ~?行きましょう~?」
いつものように間延びした、独特な口調でモカが言った。ピリッとした雰囲気が緩和されるようだった。
「マジ?あっ!ホントだ。…光?モカの言う通り、もうちょっと考えてみて?光の本心じゃない気がするから…。まぁ、また悩んだらお姉さんに相談して☆」
「じゃあ、たっくん~。お大事に~。」
台風一過の如く、静になった部屋の中で、光は頭を抱えてしまった。
「考えて…って言われてもなぁ…。」
光は小さく呟き、何日か前の雪が嘘のように晴れ渡った空を部屋から眺めた。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
急展開でしたね。
まさかの千聖さんの告白でした。
何故、このタイミングで告白したのか…。
そして、光は本当に断ってしまうのか…。
次回以降、お楽しみに!
バンドリ2周年、おめでとうございます!
これからもバンドリで楽しく遊んで行きます!
アニメ、久々に号泣しました…。