Choose thy LOVE.Love thy choice   作:ぴぽ

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第13話

「これでよし!」

光が千聖に告白をされてから数日経っていた。光の風邪も、すっかり良くなっており、今は以前、リサにチケットを貰ったRoseliaの主催ライブに出掛ける為に準備をしていた。勿論、光の1番の楽しみはシークレットゲストのPastel*Palettesである。

「サイリウムよし、チケットよし!さて!出発しますか!」

光はニコニコしながらカバンを持った。

「今から行くのか?」

「そうだよ。」

光がリビングを通ると、光の父親に声をかけられた。

「今井さんのライブだろ?これ持って行って。差し入れだから。」

「分かったよ。ありがとう。」

光はビニール袋を受け取り、家を出た。そして、歩くこと2分10秒、光は別の家のドアを開けていた。

「あーちゃん~?来たよ~!?」

そして、玄関で叫ぶ。すると、その家の2階からドタドタと大きな音を立てながら、茜が降りてきた。

「ちょっと!あーちゃんって呼ばないでって言ったじゃん!」

「別に良いじゃん。学校では呼ばないようにしてるし。」

「もう高校生になるんだよ?あーちゃんは恥ずかしいから!」

「そんな事、言ってるけど、あーちゃんはずっと僕のこと、光君って呼んでるじゃん!」

ギャーギャー玄関で、2人は騒ぎ出していた。以前にも説明したが、2人は幼馴染みで保育園からの仲だ。その頃から光は茜の事は「あーちゃん」と、茜は光の事を「光君」と呼んでいた。

「はぁ。叫んだら疲れるよ。あーちゃん、ライブに遅れるから行くよ?」

「だから、あーちゃんって呼ぶな!もう、Roseliaのライブに遅れたら光君のせいだからね!?全く、いじめられてるのを助けてあげてたのは誰だと思ってるの?感謝して欲しいわ。」

「小学校低学年の頃の話をしないで!」

喧嘩するほど仲が良いとよく言うが、2人はこういうやり取りをよくしている。初見の人には本当に喧嘩をしていると勘違いされるが…。

「この間だって、一緒に買い物してたら、店員さんに「お姉さんとお買い物が出来て良かったねぇ~。」って言われてたじゃない?光君はまだまだお子ちゃまだね~。悔しかったら身長伸ばしてね~。」

「なっ!い、1番気にしてる事を!」

靴を履きながら言う茜に対して、「ぐぬぬ…。」と唇を噛みながら光は悔しがっていた。2人はあーだこーだ言いながらRoseliaのライブに向かうのであった。

「まだ時間あるよね?」

言い合いのネタが切れたのか茜は急に話題を変えた。

「え?30分くらいあるよ。」

「ちょっと、喫茶店寄ろうよ。目の前にあるし。」

2人が歩いている数十メートル先にコーヒーカップがデザインされている看板があった。

「良いけど…。大丈夫かな?」

「何が?良いから行くよ!」

茜はそう言うと、店内に入って行った。光は店の名前を見て、ため息をつき、茜について行った。コーヒーカップがデザインされている看板には「山猫亭」と書かれていた。

 

─────────────────────

「千聖!今日はヨロシク☆」

「ええ。招待してくれてありがとう。よろしくね。」

現在、CiRCLEではライブの最終チェックが終わったところで、出演者達はそれぞれ、準備をしていた。千聖も、ベースの確認をしていた所にリサに声を掛けられたのである。

「今、ちょっといいかな?」

「ええ。大丈夫よ?どうかした?」

千聖はライブについての話だと思い、ベースを置いて、聞く体勢になった。

「えっと…。光に告白したって…。ホント?」

「本当よ。光君に聞いたのかしら?」

「う、うん。いやぁ~!ビックリしたよ~。でも、返事は保留らしいじゃん?なんか光らしいよね~!」

「リサちゃん?言いたい事があるなら、言って貰って大丈夫よ?」

千聖がニコッと笑うとリサは苦笑いをした。

「あ、あはは~☆千聖には適わないなぁ…。あのね、なんで告白したの?」

「好きだからよ。」

困ったようにリサが言うと、すぐに真顔で千聖は答えた。

「…まぁ、嫌いな人に告白はしないだろうけどさ。千聖、大丈夫なの?」

「何がかしら?」

「いや、千聖はアイドルじゃん?恋愛とかって厳しくないの?」

「心配してくれてありがとうね。でも、大丈夫よ。それに、光君の返事は保留なのだから、付き合えると決まった訳では無いわ。」

リサを安心させようと千聖は笑顔で言うも、リサの表情は困ったままだった。

「…気を悪くさせたらゴメンね☆何回か話したことあるだけで、千聖の事、全部わかってる訳じゃないけど…。千聖らしくない…かな?」

「…どういう事かしら?」

「なんて言うか、ほら!千聖って、ちゃんと計画とか立てて行動するタイプじゃん?でも、光に告白は勢いで…みたいな感じがして…。」

言っているリサも自信はないのか、しどろもどろになりながら言った。

「リサちゃんの言いたいことは分かったわ。…だいたい、合ってるわよ。」

「え?そうなの?」

「ええ。告白は勢いで言ったわ。正直、普段、彩ちゃんに言っている事がブーメランになって帰ってきてるわ。」

千聖は自虐的に言うも、表情は柔らかいものであった。

「そっか。光の事、ホントに好きなんだね☆つまりは、我慢出来なくなって言っちゃったって事だよね!」

「そうね。自分でも私らしくないって思ってるわ。」

「良いんじゃない?リハから思ってたけど、とっても楽しそうな顔してるよ?恋は人を強くするってホントなんだね☆でも、千聖はアイドルだから、バレないようにしないとだね☆」

「まずは光君からOKを貰わないとだけどね。」

2人は「あはは~。」と笑った。

「(千聖マジだなぁ~。光が断るつもりでいるって知ったらヤバいよね?さて、どうするかなぁ~?)」

リサは笑いながらも、そう思っていた。それと同時に、ライブ前に余裕を持っている自分に少しだけ成長を感じるのであった。

 

─────────────────────

「良いお店だったね!」

「そうだね。名前以外は。」

2人は山猫亭で化け猫に化かされて、食べられそうになることもなく、無事にCiRCLEに着いていた。CiRCLEでは既に、Roseliaのファンが今か今かとライブの開始を待っていた。

「Roseliaまだかな?楽しみー!」

茜が言うと、光から奪ったサイリウムを持って色を紫へと変えていた。

「本当にRoselia好きだよね。」

茜はたまたま見たライブに出ていたRoseliaの虜になっていた。

「湊さんの歌声最高だし、氷川さんのギターも痺れるし、もうヤバいよ!1番ヤバいのはドラムのあこちゃんだよ!私達と同級生だよ?なのにドラムすっごい上手なんだから!」

「分かったから、何回も聞いたから。てか、そんなにRoseliaが好きなら今井さんに会いにコンビニに来たら良いのに。」

「無理!緊張しちゃう!」

2人が談笑していると、照明が落とされ真っ暗になった。そしてステージに明かりが灯ると、地響きのような歓声が上がった。誰もが、Roseliaが出てくると思っていた。しかし、ライトに照らされて出てきたのは色鮮やかな衣装を来た少女だった。

「みなさーん!こんばんはー!Pastel*Palettesです!」

ボーカルの彩が叫ぶと、観客は始めはキョトンとしたが、人気が鰻登り中のグループが出てきたと分かると、すぐに歓声に包まれた。

「では、1曲目、聞いて下さい!もういちどルミナス!」

「うおおおお!!」

回りの観客に、負けないくらい光は叫んだ。横にいる茜は突然叫びだした光に「ビクッ」となっていた。

「(やっぱり、千聖さん、凄い!)」

光は自然に千聖を目で追っていた。そして改めて、自分とは住む世界が違うなぁと感じていた。

「あの人に告白されたんだよなぁ…。そりゃ、付き合いたいけど…。やっぱり無理だよ…。」

光の呟きはライブの音声に紛れて、誰にも聞こえる事はなかった。

 

─────────────────────

「本当に凄かった!」

茜は光の服を掴み、左右に激しく振りながら興奮冷めやらぬように言った。

「分かったから!止めて!凄いのは分かったから!」

茜が光は離すと、目が回った光はその場に座った。

「ご、ゴメン!大丈夫?」

「うん。平気。てか、父さんから預かったけど、差し入れって持って行って平気なのかな?」

「さぁ?最悪、スタッフの人に渡したら持って行ってくれるんじゃない?」

光が回復すると、2人は立ち上がり、スタッフを探した。すると、受け付けに「一宮」と書かれてある名札をつけた男性の店員を発見した。

「す、すみません!」

「はい?なんでしょう?」

「あ、あ、あの。Roseliaの今井さんと知り合い何ですが、差し入れを持って行きたいのですが…良いでしょうか?」

「すみませんが、お名前は?」

「す、すみません。橘光と言います。」

「橘さんですね。今井さんに確認しますので、こちらでお待ち下さい。」

一宮という店員は受け付けから駆けて行った。そして、3分後、また駆け足で戻ってきた。

「お待たせしました。控室に来て欲しいとの事だったので、ついてきて下さい。」

光と茜は控室に向かった。茜は憧れのRoseliaに会えるということでガチガチに緊張していた。 

「ここが控室です。ゆっくりお過ごし下さい。では。」

店員が言うと、2人は「ありがとうございました。」と言い、扉をノックした。中から「どうぞ?」と聞こえた為、光は扉を開けた。

「光~!今日はありがとうね☆」

「いえ。こちらこそ、最高のライブでした!これ、うちの父親から差し入れです。」

「ありがとう~!店長にもありがとうって伝えといてね!」

「リサ?その人は?」

「紹介するね!私と一緒にコンビニで働いてる橘光君だよ!可愛いから仲良くしてね!えっと、その横にいるのは?」

「は、は、初めまして!中野茜と言います!こいつとは幼馴染みで…。今日は最高でした!ありがとうございます!」

「こちらこそありがとう☆これからもヨロシクね!」

リサは茜の手を取って握手をした。茜は顔を真っ赤にしていた。

「今井さん。本当に凄かった…で…す?」 

光が言いかけたが、途中で背中に衝撃を感じた。

「光君。来ていたのね。嬉しいわ。」

「ち、ちちち千聖さん!」

千聖は光の背中に抱きついていた。

「あ、あはは~☆千聖、大胆だね~。」

「ち、ちょっと!今井さん!た、助けて!」

「光君?嫌なのかしら?」

「い、嫌じゃないけど…は、恥ずかしいです!」

光は言うも、千聖はお構いなしに更にギュッと抱き締めていた。

「白鷺さん?光君が嫌がっているので、止めて頂けませんか?」

「あら?貴女は?」

「光君の幼馴染みの中野茜です。初めまして。」

「初めまして。さっき自己紹介してたの聞こえてたから知ってるわ?」

光を挟み、茜と千聖は笑顔で話していた。お互い、目は笑っていなかったが…。

「なら、なんで聞いたんですか?」

「別に聞いてないわ?」

「ちょ、ちょっと2人とも落ち着いて!」

光が2人を止めようとするも、2人の間には火花が散っていた。

「あはは~☆光、モテモテじゃん!」

「い、今井さん!本当に助けて!」

楽しんでいるリサに対して、光は睨むように言った。

「白鷺さん?手を離して貰えません?いつまで抱き締めているんですか?」

「あら?いつまででも良いじゃない?ねぇ、光君?」

「え?…えっと…。」

「あんたが、ハッキリしないからいけないのよ!」

「え?え~…。」

まさかの飛び火に光は困った表情を浮かべた。

「茜ちゃんの方が光君を困らせてるじゃない。」

千聖はそう言うと、光の肩に顎を乗せた。そして、自分の頬を光の頬にくっつけていた。その状況に、光の頭は完全にショートしてしまい、口をパクパクとしていた。

「ち、ちょっと!白鷺さん!!」

茜は千聖を引き離そうと、光と千聖の間に入った。

「茜ちゃんは光君の事、好きなのかしら?」

「へ?な、な、なんで!?」

「だって、一生懸命になっているもの…。可愛いわ。」

「ち、ちょっと…。そ、そういう、千聖さんはどうなんですか!」

「大好きよ?だから抱き締めてるんじゃない。癒しを貰っているわ。」

ふふっと笑いながら言う千聖に茜まで顔を赤くした。控室がカオスな状況になったが不思議と回りのメンバーは止めなかった。なかなか見れない修羅場を楽しんでいるのであった。ただ、燐子だけはあこの目を塞いでいるのであった。

 

 

 

 

 

 




光と茜が寄った喫茶店、気付きましたか?
有名な文学小説に出てきます。 
「注文の多い料理店」に出てくるお店が「山猫亭」です。入りたくない店名ですね。

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