Choose thy LOVE.Love thy choice   作:ぴぽ

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第14話

今、僕はとんでもなくピンチを迎えています。罪人ではありませんが、高瀬舟に乗っている気分です。一緒にライブに行った幼馴染みの機嫌が今まで見たことないくらい悪いのです。さっき、1回話しかけてみましたが無視されました。機嫌が悪い理由は明らかです。千聖さんが僕に…その、引っ付いてきてからです。あぁ…。思い出すだけで恥ずかしい…。ってそんな事、言ってる場合じゃない!あーちゃんは、機嫌が悪いと絶対、僕に当たってきます。1度、絡まれると正直、かなり面倒くさい…。どうにかして切り抜けなければ…。

「あ、あーちゃん?寒くない?平気?」

「…大丈夫。てか、あーちゃん言うな。」

「…ご、ごめん。でも、あーちゃんが1番呼びやすくてね…。」

「は?」

「い、いえ。な、何でもないです。」

すごく睨まれました。すごく恐いです。あーちゃんは僕よりも10センチくらい身長が高いので上から見下ろされて睨まれるので凄く恐い…。

「光君、いつも白鷺さんとあんな感じなの?」 

「…いや。最近だよ。告白されてから…だよ。」

「は?」

また睨まれました。しかもさっきより殺気を感じます。…ダジャレじゃないです。

「いつ告白されたの!?私、聞いてないんだけど?」

「あーちゃんがお見舞いに来た後…だよ。」

「だから、あーちゃんって…まぁ、今はいいわ。あんた、白鷺さんって言う彼女がいるのに、私とライブに行ったの?」 

「ま、待って。付き合ってないよ。」 

「は?」

更に睨まれます。このままじゃ、僕は家に着く頃にはボコボコにされそうです。

「だから、告白はされたけど、返事は…その…保留にしてる。」

「バカじゃない。」

今度は睨まれるだけではなく、罵声まで浴びさせて来ました。流石にここまで来ると、僕でも腹が立ってきます。

「なんだよ?さっきからイライラして!おまけにバカとか言って!」

「はぁ~。バカにバカって言って何が悪いのよ。おまけにバカなのに風邪とかよくひくから救いようのないバカね。」

「バカバカ言って!いい加減にしろよ!」

昔から口の悪い幼馴染みに向かって、思いっきり叫んでしまいました。流石にあーちゃんは言い過ぎです。

「うるさいわね。光も白鷺さんの事、好きなんでしょ?なのに、なんで返事保留にするの!?」

「はぁ?確かに、千聖さんの事はファンだし、そういう意味では好きだよ!?でも、異性として好きかって言われたら違う!第一、僕と千聖さんでは、釣り合わないよ!」

売り言葉に買い言葉とはこういう事を言っているのでしょうか。僕もあーちゃんも、足を止め、お互いに言い合いが止まりません。

「バカじゃないの!?」

「またバカって言っ…」

「最後まで話を聞いて!釣り合わないって何?じゃあ、あんたと釣り合う女性って誰なの?」

「そんなの分かるわけないじゃん!でも千聖さんはアイドルだよ?無理に決まってるじゃん!」

「分からないって言ってるのに、白鷺さんは無理っておかしい…じゃない!あんたは…そんなに…自分に自信がないの?私の…初恋の…人はこんなにヘタレなの?」 

今、何て言ったの?初恋?マジで?え?あーちゃんの初恋の人が…僕?

「え?マジで?」

「マジよ!大真面目よ!好きだから…ずっと一緒にいたに決まってるじゃない!バカ!どうせ…あんたは幼馴染みだから一緒にいただけでしょう?」

あーちゃんは泣きながら叫んでます。あまりのことに僕はまた頭の中がショートして、何も言えなくってしまいました。

「何か言いなさいよ!バカ!」

「え?…その…。全然気がつかなくてゴメン…。」

「別に良いよ。今更だもん。はぁ~。こんな事なら早く告白すれば良かったなぁ。」

あーちゃんは僕に背を向けると空を見ながら言いました。その言葉には棘があり、チクチクと僕の心に刺さっていきました。

「…ゴメン。」

「謝らないでよ。フラれたみたいじゃない。良い?私から見て、あんたは…光君は白鷺さんの事が大好きよ。勿論、異性としてね。じゃなきゃ、あんなに嬉しそうに白鷺さんの話、しないでしょ。でも、光君の言ってた通り、白鷺さんはアイドルよ?もし、付き合ったとしても、並大抵な覚悟がなきゃダメだからね。」

あーちゃんは振り返りながら笑顔で言いました。頬には涙が通った後があり、こんな表情の幼馴染みを僕は初めて見ました。初めて見る表情は月に照らされ、涙が反射して、とても綺麗に見えました。

 

─────────────────────

「いや~。あんな千聖ちゃん初めてみたよ!るんってした!最近、機嫌が良かったのはあの子のお陰なんだね!ホントにるるるんだよ!」

「でも、千聖さん?やり過ぎじゃないですか?相手の方をあんなに煽って…。」

「あれが決闘ですね!ブシドーです!」

「い、イヴちゃん?ち、違うよ?でも、ち、千聖ちゃん、いつ光君と付き合うことになったの?」

私は今、ちょっとだけ後悔しています。光君の幼馴染みを見て、ついカッとなってしまいました。光君には幼馴染みがいると前に聞いてました。聞いた時からその子は私の知らない光君を知っているのかと思うと不安でいっぱいになりました。まさか今日、会うと思ってもいませんでしたが…。

「やり過ぎたとは思っているわ。…でも、彼とは付き合ってないのよ?告白はしたのだけど、保留されているのよ?」

私がそう言うと、日菜ちゃんが驚いた表情をしました。そんな驚いた表情をする日菜ちゃんを初めて見ました。

「へ?千聖ちゃん、返事も分からないのにあんなに楽しそうだったの?」

確かに、そうです。私も感じてました。光君に恋をしたと自覚してから毎日楽しいのです。告白をした日は本当に緊張しました。それから返事が保留になりました。普通なら告白の返事があるまで、緊張しそうなものですが、全然してません。

「楽しそうに見えたかしら?私は普通のつもりだったのだけど。」

この場を乗り切る為にとっさに嘘をつきました。日菜ちゃんが言ってる事は正解です。そして、なんで私は嘘をついてしまったのでしょうか。

「千聖ちゃん。大丈夫?」

「大丈夫よ?彩ちゃんは何に心配しているのかしら?」

「へ?な、なんとなくだけど、千聖ちゃんが変な気がして…。う、上手く言えないんだけど。」

彩ちゃんはしどろもどろしながら言いました。とても焦っているようで、目も泳いでいます。

「彩ちゃん!千聖ちゃんはずっと最近変だったじゃん!まぁ、それは恋をして浮かれてただけって今、分かったじゃん!」

「それは…そうなんだけど…あぁ~!説明出来ないよ~!」

彩ちゃんは目をウルウルさせながら叫びました。正直、可愛…。今は置いときましょう。彩ちゃんが言っていることは間違っていません。私は気付いてしまいました。いえ、その言い方だと語弊があるわ。私も、混乱しています。恋なんて初めての経験だから仕方がない。そう自分に言い聞かせましょう。私は本当に光君が好き…なはずです。彼に会うと楽しいですし、幸せな気分になります。でも、冷静になると思ってしまうのです。光君を好きなのではなくて、恋をしている自分が好きなのではないかと…。恋に憧れていただけなのでは無いかと…。 ちゃんと光君の事が好きと思った後に、またこうして考えているから彩ちゃんは私の最近様子に違和感を持っているのでしょう。彩ちゃん、ごめんなさい。彩ちゃんが言っていることは多分、正しいですが、今は嘘をつかせて下さい。

「彩ちゃんは何を言っているのかしら?私はいつも通りよ?」

 

─────────────────────

ライブの翌日、あと数日で冬休みに入るということもあり、学校全体がフワフワとした雰囲気に包まれていた。そんな雰囲気とは正反対な雰囲気を千聖は纏いながら、図書室にいた。

「(燐子ちゃんから呼び出し…。なにかしら。)」

朝、千聖が登校すると、下駄箱の中に手紙が入っていた。女子校な為、手紙が入っていた事に千聖は驚いたが、差出人が燐子だったこと、そして内容が「お話しがあります。昼休み図書室に来て下さい。」というものだったので、一瞬、ホッとしたが、すぐに話の内容が分からず、午前中の間、ずっと考えていたのであった。

「お…遅くなって…すみません。」

「大丈夫よ。燐子ちゃん。早速で悪いのだけど、お話しって、何かしら。」

燐子が席に着くと、すぐに千聖は話しかけた。

「あ、あの…。その…橘君…でしたよね?き、聞こえてしまったのですが…告白…されたのですか?」

「ええ。…そうよ。」

「そ、その…私の…勘違いだったら…申し訳ないのですが…何か…悩んで…いますか?わ、私が相談に、乗ってから…すぐの事…だったので…気になってしまって…。」

「そう。勘違いじゃないわよ。…燐子ちゃん、話を聞いてくれるかしら…。」

千聖は微笑みながら「(燐子ちゃんって不思議ね。何でしょう、安心感があるわ。)」と思っていた。

「光君の事…好きと思っているわ。可愛いし、一緒にいると楽しいし、癒される…。でもね、最近分からなくなってしまって…。光君の事が好きなのは、恋している私を自分が好きになる手段になっている気がするのよ…。これで本当にいいのかなと思ってしまって…。」

「白鷺さん…?あの…。橘君の幼馴染みを…あれだけ煽って…そんな事…思って…いたのですか?」

燐子が首を傾げながら言うと、千聖は苦笑いをした。

「あれは…。今、思い返すと大人気なかったわね。」

「えっと…あ、あんな事して、白鷺さんの…行動と発言が…矛盾しているような気が…しますが?」

燐子は頬を赤くした。燐子の言う「あんな事」と言うのは光の頬に千聖の頬をくっつけた事だ。

「い、言い方はあれだけど…。そうね。矛盾していると自分でも思うわ。だから悩んでいるの。光君がいると、歯止めが効かなくなるのよ。」

「え、えっと…。わ、私が言うのも…あれなんですが…。こ、恋の入り口って…そんな感じではないのでしょうか?」

「燐子ちゃん?」

「恋している自分が好きで…良いのでは…。い、入り口が…それでも…そこから橘君を…知っていって…さ、最終的に…橘君の事が…本当に好きと…思えれば…。す、すみません!し、知ったような事を…言って。」

一気に喋った燐子であったが、失礼な事を言ったのではと思い、目をクルクルと回した。

「大丈夫よ。燐子ちゃんの言う通り、かもね。…でも…そうなると…。」

「し、白鷺さん?」

「私、アイドルと恋って両立出来るのかしら…。仮にバレてしまったら、光君に迷惑が掛からないかしら。」

「あ、アイドルが…どういうものか…私には分かりませんが…、アイドルを続けるから…橘君を諦めますか?」

「…アイドル失格かも知れないけど…。私のワガママだけど…。光君と離ればなれは嫌ね。」

「白鷺さん、頑張って…下さい。わ、私で良ければ…いつでも…お話しを聞きます…ので…。」

燐子が微笑みながら言うと、千聖も微笑みながら頷いた。話が終わったのと同時に昼休み終了のチャイムが鳴った。千聖は軽くなった足を軽快に動かして、教室に向かうのであった。

 

─────────────────────

「はぁ~。」

千聖と同じく、ここにも恋に悩める者がいた。

「たっくん~?幸せが逃げちゃうよ~?」

「す、すみません。ため息ばかりついちゃって。」

光は今、モカと共に、お店のレジに立っていた。

「良いけど~、まだ千聖さんの事で~、悩んでるの~?」

「はい。そうですね。」

光が再び、「はぁ~。」とため息をつく。そんな姿を見て、モカは人差し指を自分の顎に当て、「う~ん。」と言った。

「たっくんは~、難しく考え過ぎだと思うなぁ~。付き合っちゃえば良いとモカちゃんは思うなぁ~。」

「いやいや。千聖さんと僕は釣り合いませんよ。…って、幼馴染みに言ったら叱られちゃいましたけどね。」

「そうだよね~。それは、怒るよ~。まぁ、釣り合うとか、釣り合わないとか、分かんないじゃん?だから~、付き合ってみたら~?案外、釣り合うかもよ~?仮に釣り合わなかったら~、別れるだけだよ~。」

珍しく、真面目に話すモカに光は驚いていた。

「そ、そんな簡単に…。」

「簡単で良いじゃん?たっくんは、千聖さんから~告白されて、嬉しくなかったの~?」

「そ、それは…。嬉しかったですが…。」

「だったら、それで良いじゃん?千聖さんと付き合うのが、絶対に嫌だったら~、すぐにたっくんは断ってたと思うよ~。そんなに悩むくらいなら~、付き合った方が良いよ~。」

「そう、ですかね?」

「私はそう思うなぁ~。まぁ、後はたっくん次第だから、モカちゃんの出番はここまで~。」

最後はモカらしく、ニヤっと笑っておちゃらけた。

「そうそう~。」

「なんですか?」

「相談料はパンでお願いします~。」

「年下に集らないで下さい!」

モカの事を少しでも見直した光だったが、最後は結局、苦笑いで終わるのであった。しかし、モカの言葉は光の心を軽くするには充分であった。 

「(悩んでも、始まらないし、僕から千聖さんを誘ってみようかな…。また会えば、考えも変わるかもだし…。そうだ!)」

光はカレンダーを見てある考えを浮かべるのであった。その横では「ねぇ~?パンは~?」とモカが言い続けるのであった。

 

 




いつも、読んで頂き、ありがとうございます。
UAが1万を超え、お気に入りも100になりました。本当に感謝でいっぱいです。
物語もまだ続くので、これからも読んで頂けたら幸いです。

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